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  • コーエーテクモゲームス
  • 発売日:2016/01/28
  • 価格:通常版:9800円(税抜)
    TREASURE BOX:1万4800円(税抜)
    GAMECITY限定セット:6万9800円(税抜)
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男色ディーノが「三國志13」のプロデューサー鈴木氏,ディレクター利川氏にインタビュー。ファン目線で本作の面白さを探ってみた
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印刷2016/01/16 00:00

インタビュー

男色ディーノが「三國志13」のプロデューサー鈴木氏,ディレクター利川氏にインタビュー。ファン目線で本作の面白さを探ってみた

画像集 No.015のサムネイル画像 / 男色ディーノが「三國志13」のプロデューサー鈴木氏,ディレクター利川氏にインタビュー。ファン目線で本作の面白さを探ってみた
 コーエーテクモゲームスの新作シミュレーションゲーム「三國志13」PC / PS4 / PS3 / Xbox One)が,2016年1月28日に発売される。もともとは,シリーズ第1作の発売日であり,「歴史シミュレーションゲーム『三國志』の日」として正式に記念日に認定された12月10日,つまり2015年12月10日発売予定だったのだが,残念ながら発売延期が発表されていた。
 そのあたりの話については,2015年末に掲載したシブサワ・コウこと,コーエーテクモゲームス 代表取締役会長 襟川陽一氏へのインタビューでも語られているので,合わせて確認してほしい。

2015年末シブサワ・コウインタビュー『シブサワ・コウ,「川中島の合戦」から「三國志13」までを語る。コーエーテクモを引っ張るクリエイターは,筋金入りのコアゲーマーだった』


 さて,そんなニュースに悲しみ,怒り,そして声を上げたのが,昔からのコーエーファンであり,4Gamerで連載記事を執筆しているプロレスラー兼ゲイムライターの男色ディーノ,その人だ。今回,そんな行き場のない怒りを抱いていた彼は,延期の理由や,そもそも三國志13はちゃんと面白いのかを問い詰めるために,コーエーテクモゲームスの本作プロデューサー鈴木亮浩氏とディレクターの利川哲章氏を訪問することに。男色ドライバーが炸裂! することはさすがになかったが,「三國志」シリーズファンの目線でいろいろと話を聞いてきたので,インタビューとしてお届けしよう。

(左から)ディレクターの利川哲章氏,プロデューサー鈴木亮浩氏,男色ディーノ
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「三國志13」公式サイト


700人の武将が織りなす「相関図」が三國志の世界を描く


男色ディーノ:
 今日はよろしくお願いします。

鈴木氏&利川氏:
 よろしくお願いします。

画像集 No.002のサムネイル画像 / 男色ディーノが「三國志13」のプロデューサー鈴木氏,ディレクター利川氏にインタビュー。ファン目線で本作の面白さを探ってみた

男色ディーノ:
 まず初めに……(机をドンと叩いて)私は珍しく怒っているわ! 三國志の日(※)に発売されないってどういうことなの?

※12月10日。「三國志」が発売されてから2015年で30周年を迎えたことを記念して,その発売日で記念日登録を行い,正式に認定されたもの(関連記事

利川氏:
 申しわけありません。チーム一丸となって一生懸命頑張っていたのですが……。

男色ディーノ:
 なぜ延期になっちゃったの? 説明してちょうだい!

鈴木氏:
 単純に完成度の問題です。東京ゲームショウ 2015でデモプレイをお見せしたとおり,ゲーム自体は9月の時点でほとんど仕上がっていたのですが,シミュレーションゲームの命とも言えるゲームバランスをもう少し調整する必要があると判断したので,延期させていただきました。

男色ディーノ:
 ふむう。ということは,逆に言えば延期した1か月分以上のクオリティアップは期待して良いのね?

鈴木氏:
 もちろんです!

男色ディーノ:
 仕方ないわね。じゃあ,一旦,怒りを収めるけど,延期で強化される部分を,具体的に教えてちょうだい。

利川氏:
 30周年記念,そして全武将プレイを復活させたということもあって,三國志13はかなりの規模感のタイトルになっているのですが,全体を通したバランス調整のほかにも,より三國志13を長く遊んでいただけるように,システムの細かな部分にまで調整を入れました。大きなところでは,当初予定にはなかった「特権」システムを新たに追加しています。これは,「階級が上がったときに一度だけ外交・戦闘の提案を受け入れてもらえる」というもので,弱小勢力の配下武将としてプレイした時に,敵対勢力に抗う手段として力を発揮してくれることを狙った追加です。

男色ディーノ:
 既存のシステムをより深く掘り下げていったのね。まあ,掘り下げるってのは私も嫌いじゃないわ。で,先ほどお話があった全武将プレイに関して気になったんだけど,今回,一般武将や君主・重臣など,さまざまな立場になって遊べるけど,各プレイの基本やこれまでの作品との違いを教えてもらってもいい?

利川氏:
 まず,一般武将プレイだとプレイヤーは一配下なので,統治者からの命令をこなしながら勢力に貢献していくことが基本になります。小さな勢力の配下では思うようにいかないこともあるのですが,その中で勢力を自分の力で盛り立てて,地位を築いていくというのが醍醐味ですね。
 対して,君主や都督(※中国における官職),太守や重臣といった統治者の立場では,配下に命令できるので,勢力が大きくなるにしたがって判断することが増えていきます。具体的には,自勢力の大きな方針を決めたり,敵対都市への侵攻を部下に命じたり,都市の内政を取り仕切るといったことができるようになります。

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鈴木氏:
 今までの三國志シリーズと大きく違うのは,各武将の絆を「相関図」で見られるようにしたことです。また,それぞれの武将に「存在感」というパラメータを設定しています。

男色ディーノ:
 ほほう。

鈴木氏:
 例えば劉備は,初期から三國志の世界全体で「存在感」が大きく設定されており,“地位は低くても,存在感が大きい”という表現になっています。

男色ディーノ:
 つまり,劉備は誰からも注目されているのね。

鈴木氏:
 はい。そして,それぞれの武将から見た,各武将の存在感を表現したものが「相関図」で,その中で大きく表示されている人物ほど,存在感が大きな武将だということになります。(相関図を指しながら)最初は豆粒のような大きさですが,武将の存在感が大きくなるにつれて相関図の武将アイコンもどんどん大きくなっていきます。

男色ディーノ:
 なるほど。今までの作品で言う「名声」とは違うのかしら?

利川氏:
 近いんですが,ゲームでの使い方はまったく違いますね。

鈴木氏:
 全武将プレイを採用していたこれまでの作品では,プレイヤーの目標設定が“自分の出世や成長(≒名声)”に置かれていたため,プレイが単調になっていました。今回は「相関図」や「存在感」を導入したことで,例えば「自分がAという人と交流すると,Aと親しい人に,自分の影響がどう及ぶだろう」と考えながらプレイできるところが大きく違います。

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男色ディーノ:
 ははあ……。何というか三國志シリーズはどんどん大人なゲイムになってるわね! ほら,自分が組織の中でどういう立場にあるのかとか,自分が起こした行動による周りへの影響って,現実に私達が大人になって考えることじゃない。そういう意味で,小さい頃にプレイした三國志のイメージよりも大人のゲイムという印象を受けるのよね。

利川氏:
 そうかもしれないですね。でもシンプルに考えると,趙雲は最初に公孫サンの配下として登場しますよね。それが,劉備と言う人物に惹かれて最終的に劉備に仕える。そういう状況がこの相関図で可視化されているんですよ。

男色ディーノ:
 ゲイム上で言うと,趙雲にとって劉備は共感できる人物だったから,登用に応じてくれたというわけね。

利川氏:
 そんな感じですね。そのために直接人間関係を結んだり,もしくは趙雲に親しい人物に近づいて紹介状を書いてもらったりということができます。

男色ディーノ:
 ところで,この相関図でつながっている人は,仲が悪いけど線で結ばれているみたいなこともあるのかしら。

利川氏:
 いえ,プレイヤーと仲の良い武将が線でつながります。ただ内部データでは,線で表されていないほかの武将たちとの間にも親近感は存在します。ただ,例えば親近感のパラメータが1の状態だと,登用に応じてくれないこともありますね。

男色ディーノ:
 史実で仲の悪い人同士は,やはり親近感も低めに設定されているのね。

利川氏:
 そうですね。ただ,親近感のパラメータは変動するので,一緒に内政や戦闘を行うと親近感が高まっていきます。

男色ディーノ:
 いずれは関係改善もあるわけね。じゃあ,人間関係で自分の行動でほかの武将が嫉妬するみたいな要素はあるのかしら? 例えば,演義における貂蝉をめぐって争う董卓と呂布のやり取りだとか。ああいった嫉妬が三国志の物語を大きく動かすことが,少なからずあると私は思っているんだけど。

利川氏:
 嫉妬という表現は入っていません。これには理由がありまして,実は初期段階では,例えばライバルという要素の導入も視野に入れていました。ただそれを導入すると,人間関係のいろいろなことに気を使いながらプレイすることを強いられてしまうんですね。

男色ディーノ:
 それは……リアルだけど,胃が痛くなりそうね(笑)。

利川氏:
 はい(笑)。そうなると,プレイヤー自身の手で勢力をダイナミックに動かす面白さが損なわれてしまいます。結果的に,身動きが取れなくなり,全員の関係が平均的なものになっていくので,「相関図」というシステムが機能しなくなるんですよ。

男色ディーノ:
 それもシミュレーションとしてはすごい結果だわね。でも,ちゃんとそれぞれの要素を検証して,取捨選択をしてくれているということが分かって安心したわ。

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利川氏:
 もったいなかったですけどね。こうした人間関係を表すものとして,過去にも派閥のようなシステムを採用したタイトルはありますが,今作ではあまりガチガチに人間関係を再現するとゲームとしてドラマチックなところが描けなくなるため採用しませんでした。

男色ディーノ:
 分かったわ。ところで……実は私,この相関図は,プレイヤー武将の周りの人間関係しか描かれないと勘違いしていたのよ。でも,全武将の相関図なのね。私が思ってたよりも壮大なスケールで人と人のつながりが描かれていて,すごく面白そう。ただ,武将700人分の相関図となると凄い量になるわよね……。ちなみに,前作の「三國志12 with パワーアップキット」からどれくらい増えているの?

利川氏:
 前作ではPC版「三國志12」の時点で約480人,コンシューマ版への移植やパワーアップキット開発を経て最終的には約580人なので,120人ほど増えています。

男色ディーノ:
 前から思ってたのだけど,新たに登場する武将を決めるときの基準はあるのかしら。

利川氏:
 基本は,三国志の正史と三国志演義の登場人物からというルールです。ほかの作品出典の創作武将も一部存在しますが,原則はこのルールですね。

男色ディーノ:
 同じ三国志がテーマの無双シリーズからの逆輸入だったり,影響があったりはしないの?

鈴木氏:
 そこは完全に分けて考えています。これまでも同じキャラを意識的に出したことはなかったと思います。巷では,「三國志12で王元姫が出たのは,無双の影響」と言われたりもしましたが,まったく別のプロジェクトで,たまたま被ってしまっただけなんです(笑)。


絆を深めるカギは各武将が持つ「価値観」


男色ディーノ:
 続いて,前作「三國志12」からの改善点や変更点をお聞きしてもよろしいかしら?

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利川氏:
 今作のコンセプトは「これぞ三國志。百花繚乱の英傑劇。」ですが,これは主役である英傑たちの活躍を描き切るだけでなく,シリーズの集大成的なタイトルにするという狙いが込められたコンセプトになっています。ですので,開発の初期段階から「三國志12」に限らず歴代タイトルに寄せられた意見を改めて確認し,タイトルの制作に活かすようにしましたね。

鈴木氏:
 プレイヤーの皆さんから寄せられる意見のなかには,時には厳しい声もありますが,そういったものも網羅して,タイトルコンセプトに合致する形で深めるところは深めるという考えで作りました。

男色ディーノ:
 例えば,どんなところでしょう。

鈴木氏:
 世界観の描き方を丁寧にしたり,武将のパラメータを細かく設定したりですね。あと大きいのが「水上戦」の追加です。ゲーム上では「野戦」「攻城戦」に比べて,「水上戦」がどうしてもあと回しにされがちなのですが,やはり“赤壁の戦い”は絶対に描かないとダメだと強く思っていたので,頑張りました。

男色ディーノ:
 それは三国志のファンには嬉しいところよね。ところで,三國志シリーズの楽しみ方は,そうした史実を沿っていく遊び方のほかに,ifを楽しむ遊び方もあると思うの。その点で,今回はどんな楽しみ方が用意されているのかしら。

利川氏:
 大きな三国志の流れに身をゆだねながら,三国志に生きる人間としてその時,その時の選択を楽しんでもらえたらと思います。とくに今作では功績を上げて階級を高めることで,重臣という地位に就くことができます。都督や太守に任命されなくても重臣であれば独自の任務状(※)を持っているので,一般武将に比べて勢力の行く末に大きな影響を与えることもできるんです。例えば,袁紹が負けてしまう官渡の戦いで,自分が配下武将となって戦いをひっくり返したりですね。

※配下の武将や自分自身に発行することで,内政や計略が実行できる新システム(関連記事

男色ディーノ:
 コアな遊び方になるんだけど,勢力の小さな弱小国で始めたりしても外交を駆使したりすれば,戦えるのかはヘビーユーザーからすると気になるのよね。生き残りをかけて他国と同盟を結ぼうと思っても,すぐ断られてやられてしまうというケースが,これまでのシリーズだと頻繁にあったように記憶しているのだけど。

利川氏:
 結論を言うと,外交を駆使すれば弱小国でも遊べますよ。少し話が逸れますが,赤壁の戦いで諸葛亮が呉に単身乗り込んで,呉の重臣を次々に論破して方針を変えていくシーンがあるじゃないですか。

男色ディーノ:
 三国志の名シーンね。

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利川氏:
 今回の外交は,ああいったことができるようにと力を入れて作っています。おっしゃるとおり,これまでの作品では,相手にメリットがないと,いくら同盟を提案しようが断られて終わりという状況がありました。しかし,今作では舌戦の前に,敵国の配下武将を説得して外堀を固め,その後に舌戦に挑むという遊び方ができます。これをうまく利用すれば,弱小国でも外交の成功率を高められるんですよ。

男色ディーノ:
 舌戦一発勝負でなくて,それまでの根回しが生きてくると。

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鈴木氏:
 そうですね。舌戦自体のシステムは従来と変わらないのですが,そこに至るまでの過程に遊びの幅を広げるシステムを付けました。

男色ディーノ:
 それは素敵! ちゃんと前後がつながっていて,ゲイム内で物語が紡げるのは嬉しいわ。次に,戦闘の話を聞きたいのだけど,三國志はシリーズごとに異なった色を出してきたじゃない。今作は,どういった色に仕上がっているのか気になるのよね。

利川氏:
 今作の戦闘では,武将の活躍はもちろんですが,「士気」という要素をフィーチャーしています。挟撃を行う,相手の陣を落とす,相手方の部隊を壊滅させるなどして相手部隊の士気をゼロにすれば “潰走状態”となり戦闘力が大幅に下がるので,連鎖的に敵の部隊を倒していくこともできます。

男色ディーノ:
 これまでは戦闘の時は兵力が重要だったけど,今回は士気のほうが重要になったという認識でいいのかしら。

利川氏:
 兵力も重要です。ですが,力技だけではなくて,士気をうまくコントロールすることで,プレイヤー自身のテクニックや采配がより活きるようになっています。なので,弱者が強者を倒すといった展開も十分に望めます。

男色ディーノ:
 それってバランス調整が難しそうじゃない?

利川氏:
 そうなんですよ……。でも,実際に作ったものを見ると,狙いどおり綺麗に落とし込めたと思っています。かなり大雑把なイメージになりますが,兵力というのはその部隊がどこまで生き残るか、対して士気はプレイヤー自身のテクニックや立ち回りを反映したもの,というように棲み分けができました。

男色ディーノ:
 それは楽しみね。ところで,士気の影響は実際のプレイでもはっきり分かるものなの?

利川氏:
 はい。先ほど触れた“潰走状態”のほかにも,士気が100を超えると“高揚状態”となって戦闘力がアップするなど,勝敗を左右する重要な要素として感じていただけると思います。

男色ディーノ:
 今までの作品を私がプレイしたときは,赤壁の戦いに劉備軍で挑むと曹操軍が圧倒的な兵力でなかなか撃退するのが大変だった印象があるんだけど,今回は士気によって史実の再現もしやすくなっていると考えてもいいのね?

利川氏:
 そこはプレイヤーの立ち回り次第ですね。ただ,戦闘に入る前段階として外交や下準備などはで十分にしてほしいとは思いますが。

男色ディーノ:
 結局,プレイヤー次第ではあるのね。ところで今,赤壁の戦いをベースにお話を聞いてるけど,三国志ならここは押さえておきたいという戦いや出来事は何かあるかしら。

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利川氏:
 赤壁の戦い以外ということになると,官渡の戦いですね。三国志においては,よく赤壁の戦いがフィーチャーされますけど,野戦だけでなく,攻城戦で兵器が活躍する官渡も,赤壁と同様に押さえておきたい戦いだと思います。やはり,三國志の魅力は日本の戦国時代などではあり得ない大規模戦闘や大火計だったりするので,史実の官渡を参考に攻城戦もしっかり作らせていただきました。

男色ディーノ:
 都市を成長させ国力を成長させることのメリットは,ほかにもあるの?

利川氏:
 一番大きいのは都市の収入が増えることです。ほかには都市の防衛力が上がるなど,都市を成長させることが勢力の基盤固めにもつながります。

鈴木氏:
 先ほどの攻城兵器も,都市の「文化」が上がらないと作れないんです。

男色ディーノ:
 文化はどのような要素なのかしら。信長の野望シリーズなどでは武家文化や南蛮文化みたいに複数に細分化されていて,各パラメータを伸ばすと特殊な施設を建てられたわよね。ああいったものなの?

利川氏:
 いえ,信長の野望のように細分化していませんが,文化の値を一定まで上げるごとに,さまざまな都市技術の中から必要なものを選択できるようなシステムになっています。都市技術には内政系のものだけでなく,先ほど紹介した攻城兵器系の技術や,逆に守城兵器系,艦船系のものなどがあり,都市ごとに選択できるものが違っています。

男色ディーノ:
 文化が混在する日本の戦国時代と違って,三国志時代の文化は唯一無二ということなのね(笑)。でも,シミュレーションゲームを楽しむときに,こうしたパラメータや数字にどれだけ思い入れを込められるかというのも大切なことよね。文化のほかに,今作で新しくできたパラメータは何があるのかしら。

利川氏:
 武将に「価値観」というパラメータができました。武将ごとに義理や才愛,友愛といった価値観を持っていて,プレイヤーやほかの武将がどのような行動を取ると共感してもらえるかが,分かるようになっています。

男色ディーノ:
 それは,これまでのシリーズにあった武将の相性とは別物なの?

利川氏:
 相性とは,ちょっとニュアンスが異なりますね。同じ価値観を持っている武将と仲良くなりやすいというのは相性に近いですが,もっと細分化されているんですよ。

男色ディーノ:
 お話を聞いている限り,これもまたプレイヤー次第ということなのね。

利川氏:
 はい。また,先ほどお話ししたように,相関図における親近感の変動も,戦闘や内政での価値観が共鳴して起こります。

男色ディーノ:
 価値観を共有して仲良くなるわけね。その価値観は変わったりするのかしら?

利川氏:
 いえ,価値観が変わることはありません。ただ,今作では親近感や価値観のほかにも,武将の感情状態というものを用意していて,価値観の違う者同士でも,プレイヤーの活躍次第で「感謝」や「魅了」の状態になります。

男色ディーノ:
 自分にないものに惹かれるってやつかしら。人間関係は複雑よねぇ……。じゃあ,新システムの任務状についても聞かせてください。

利川氏:
 任務状は,今作のゲームシステムの軸となる要素で,君主や都督,太守といった統治者側では配下への命令という形で,配下側からは統治者への提案という形で機能するものです。統治者側はほぼすべてのコマンドを実行できますが,配下側は自勢力の方針に合致していれば,その提案が通りやすくなります。

男色ディーノ:
 命令される任務で代表的なものには何があるのかしら?

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利川氏:
 一般武将のときに降りてくる任務は,都市を成長させるための内政系のものや,他勢力都市の攻略のための出陣はもちろん,外交,人材登用,集落の懐柔など,多岐にわたります。もちろん、プレイヤー武将の能力によるところも大きいので,例えば統率が低いと訓練系の任務を任せてもらえないといったことも,十分にあります。逆にプレイヤーの地位によってはこれらの任務を自ら提案することもできます。

男色ディーノ:
 結構大きなことを任されるのね。太閤立志伝のように,お金を増やしてこいとか,馬を集めてこいみたいな細かな任務を命じられるわけではなくて。

利川氏:
 そうなんですよ。私が昔「三國志X」で君主プレイをしていた時に,庶民の話を聞いていたら,いろいろな依頼をされたことがあって……。

男色ディーノ:
 ああ(笑)。

利川氏:
 あくまでも勢力の拡大や中華統一が前提ですから,また違う切り口のイベントも遊んでもらいたいなと。ですので,本作では絆を結ぶ過程ではもっと人間臭いイベントを描いていますが,任務という形では中華統一という最終目標に向けたものを中心にしています。

男色ディーノ:
 中華統一が前提だから,命じられる任務もスケールが大きくて当然なのね。ところで,武将の成長システムはどうなってるの?

利川氏:
 統率/武力/知力/政治といった各パラメータが,任務を通じて経験を積むことで成長します。また「好感」や「感謝」といった感情状態になった武将に“師事”することで成長させたり,絆を結んだ相手の特技が修得できたりもします。

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男色ディーノ:
 質問が細かくなるんだけど,絆や血縁関係が人事に影響することはあるのかしら。偉い人と絆を深めておくと空いたポストに入りやすくなったり,重臣の身内が亡くなった場合,優先的に血縁関係にある者が後釜に就いたりというような。

鈴木氏:
 いえ,絆は政治的なところには介入しません。能力やその時の官爵が高い者が後任になります。

利川氏:
 ゲーム中のさまざまな場面で絆は影響してくるのですが,副将に設定すると部隊の戦闘力が上がったり,戦法の効果時間が伸びたり,一騎討ちや舌戦の時に助けてくれたり,任務を一緒にこなすと結果が良くなったりといったところです。ほかにも,提案をしたときに採用されやすくなるとか,本当にいろいろなところで影響が出てきますね。

男色ディーノ:
 君主に反乱を起こす時にも有利に働いたりすると面白そうね。

利川氏:
 まさにその通りで,絆武将が多かったりすると一斉蜂起してくれますよ。

男色ディーノ:
 おお,頼もしい。ちなみに,君主の方針に価値観は影響してくるの?

利川氏:
 性格付けはされていますが,価値観が君主の方針に直接影響することはありません。

男色ディーノ:
 君主の性格は,ゲイム内で具体的に表示されるのかしら。

利川氏:
 いえ,そこはプレイヤーの皆さんにゲームを遊ぶ中で感じてほしいので,あえて表示していません。劉表が大きな兵力を持っているのに全然攻めてこないな……とか。

男色ディーノ:
 史実に基づいて性格をイメージすると,君主ごとに(難度の)格差が広がりそうで怖いわね。そのあたりのバランス調整も難しいのでは。

利川氏:
 そうなんですよ……。

男色ディーノ:
 やっぱり苦労してるのね(笑)。そういった苦労を乗り越えて,ゲイムが良いものになったのか,その手ごたえをお聞きしたいわ。

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利川氏:
 手ごたえはあります。自分が動くだけでなく,方針を伝えて部下を動かしたり,逆に部下から提案があったりということが並行して発生するので,時間あたりのゲームの密度も濃くなっています。1時間プレイしたときに得られる満足感は,過去作と比べると高いと思いますよ。

男色ディーノ:
 それは楽しみね。さて,ここまでは三國志13の新要素を聞いてきたけど……逆に前作「三國志12」から残しておこうと思った部分があれば,教えてくれるかしら。例えば,前作の大きな指示をすればあとは部下が勝手にやってくれるというのは,君主らしいと言えば君主らしかったじゃない。そういった手軽さの部分からのアプローチが今回はあるのかが,気になってるのよ。

利川氏:
 なるほど。確かに細かな指示を出したいプレイヤーもいれば,簡単に国取りを楽しみたいというプレイヤーもいますからね。とくに地位が上がるとやることは増えますし。前作では,委任という形で全てを任せることができましたが,今回は任命と評定という2つのシステムをうまく活用することで,委任をゲームシステムの中に取り込むようにしました。つまり,君主プレイでは,評定を開いて参加者の意見を聞いた後に使命を決定しますが,都市や地域の運営そのものは任命した都督や太守に任せることができます。もちろん,細かく指示を出したい人はすべて自分で取り仕切ることもできます。

男色ディーノ:
 プレイヤーが適宜プレイ感の重さ,軽さを選べるわけね。
 
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