インタビュー
構想10年,開発5年の期間を経てついにリリースされる「フォーオナー」。クリエイティブディレクターが語る誕生の経緯と企画意図,そしてゲームとしての魅力とは
「フォーオナー」公式サイト
ユービーアイソフトから2017年2月16日にリリースされる予定のアクションゲーム,「フォーオナー」(PC/PlayStation 4/Xbox One)は,ナイト,ヴァイキング,そして侍がそれぞれの勢力に分かれて争うという,独特の世界観を持ったアクションゲームだ。ゲームの中心となるバトルでは剣,斧,刀などといった武器を使用し,大迫力の近接戦闘が楽しめる。
このたび,「フォーオナー」のクリエイティブディレクターを務めるJason VandenBerghe氏に,本作が生まれた経緯や,ゲームとしての魅力などについて話を聞くことができたので,その模様をお伝えしよう。
まったく新しいゲームがついに登場
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずはVandenBergheさんが,「フォーオナー」の開発で,どんな役割を担っているのか教えてください。
Jason VandenBerghe氏(以下,VandenBerghe氏):
「フォーオナー」のクリエイティブディレクターを務めています。私は約20年間,ゲーム開発の仕事をしているのですが,この「フォーオナー」には15年も関わってきました。だからもう,このタイトルは自分の子供のような存在ですね。
4Gamer:
ということは,「フォーオナー」は,15年も開発が続いていたのですか。
VandenBerghe氏:
私が構想を練り始めてから15年ということで,実際に開発が始まってからは5年ですね。
4Gamer:
なるほど。つまり,VandenBergheさんが「フォーオナー」の発案者というわけなんですね。
VandenBerghe氏:
それから10年間,ずっとそうしたゲームを作りたいと会社に言い続けて来たのですが,帰ってきた返事は「ノー」「ノー」「ノー」「……うーん,やっぱりノー」と,ずっと却下されてきました。しかし5年前,ついにユービーアイソフトのモントリオールスタジオで本作の開発がスタートしたんです。
4Gamer:
その10年間,ずっとユービーアイソフトで仕事をしていたんですか。
VandenBerghe氏:
私がユービーアイソフトに入社したのは,10年くらい前です。それ以前は,ActivisionやElectroninc Artsなどにいました。最初に手がけたのは,テレビドラマ「X-ファイル」のPC向けゲームでしたね。わずか7名で作りました。
それが,今回の「フォーオナー」の開発にはモントリオールスタジオをメインに,7つのスタジオで計400名以上のスタッフが関わっています。ええ,振り返ってみると,この20年間におけるゲーム開発の規模の拡大に驚きます。
4Gamer:
「フォーオナー」の世界では,ナイトとヴァイキング,そして侍という3勢力が争っていますよね。日本人としては,なぜ侍が取り上げられたのか,その理由が気になります。
VandenBerghe氏:
それはもちろん,侍がクールだからですよ(笑)。侍の繰り出す剣術は,芸術と呼んでもいいくらい素晴らしい。また侍のエピソードは,ナイトやヴァイキングのそれと並んで,剣術のファンなら誰でも知っています。だから,「フォーオナー」に侍を入れないなんてことは考えられませんでしたね。
4Gamer:
侍を登場させることは,15年前の構想の時点で決まっていたのでしょうか。
VandenBerghe氏:
4Gamer:
これまでにない新しいゲームということで,開発は大変でしたか。
VandenBerghe氏:
ええ。でも開発3年めのことです。床にモニターを並べてプレイテストを行ったのですが,スクリーンの中でキャラクターが構えを取っている姿を見て,それまで10年以上にわたって私の思い描いていたものが実現できたことに感動を覚えました。それをもうすぐ世界中の皆さんに披露できると思うと,本当に嬉しいですね。
4Gamer:
ゲーム開発者冥利に尽きる瞬間ですね。
VandenBerghe氏:
そう思います。ゲームを作っている間も楽しいのですが,やはり自分の子供のように育ててきた作品が成長し,たまに反抗するときもありますが,予想を超えて素晴らしいものとなっていくのを見るのは,何物にも代えがたい喜びです。
ストーリーモードは,
そのためだけに買う価値があるほど充実した内容に
4Gamer:
それでは,発案者であるVandenBergheさんが考える,本作の特徴や魅力を教えてください。
VandenBerghe氏:
4Gamer:
剣や刀の操作にリアリティを持たせるために,「アート・オブ・バトル」というシステムを搭載しているとのことですが。
VandenBerghe氏:
「フォーオナー」のバトルには3つの構えが存在し,バトル中は相手の構えに合わせて,コントローラの右スティックを使って自分の構えを切り替えることになります。マルチプレイでは最大8人のプレイヤーが,そうやって構えを切り替えつつ,入り乱れて戦うのですが,そんな状況でリアルな戦いを実現するのがアート・オブ・バトルなんです。
4Gamer:
お話を聞いていると,ゲームの操作は複雑そうですね。
VandenBerghe氏:
いつも言葉で説明すると,あなたのように「難しいゲームなんじゃないか」と受け止められてしまいがちです。でも,実際にプレイしてもらえれば,操作はすぐに理解できますよ。「フォーオナー」の最終的なゴールは,対戦ゲームの面白さを多くのプレイヤーに伝えることにありますから,誰でも遊べるように設計しました。
4Gamer:
なるほど。ところで「フォーオナー」は,対戦に軸足を置いたゲームとのことですが,シングルプレイのストーリーモードもあるんですよね。
VandenBerghe氏:
もちろんです。ストーリーモードでは,「フォーオナー」の世界でなぜ3つの勢力が争っているのかといったことが明かされます。また,シングルプレイはチュートリアル的な役目も担っており,これを遊ぶことで,さまざまな戦い方が学べます。
4Gamer:
ストーリーモードの主人公は一人でしょうか。
VandenBerghe氏:
ストーリーモードは全3章で構成されており,最初にナイトの章,次にヴァイキングの章,最後に侍の章をプレイすることになります。その中でプレイヤーは,各ミッションのキーとなるヒーローを操作することになります。
4Gamer:
つまり,3つの話を楽しめると。
VandenBerghe氏:
いえ,ストーリー自体は一つで,それぞれの章が順番に出てくるという形式です。すべての章は,「フォーオナー」の悪役であるアポリヨンという女性によってつながっています。
4Gamer:
詳細は実際にゲームをプレイして確認するとして,3つの勢力がなぜ戦っているのか,さしつかえない範囲で教えてもらえますか。
VandenBerghe氏:
4Gamer:
なるほど。ところで,ストーリーモードでは,選んだヒーローをカスタマイズできるのですか。
VandenBerghe氏:
性別などをカスタマイズできますし,プレイを進めていく中で戦技などをアンロックできます。ただしマルチプレイと比較すると,カスタマイズの自由度は高くありません。
4Gamer:
ストーリーモードの総プレイ時間は,どのくらいになりそうですか。
VandenBerghe氏:
プレイ次第でまったく変わってしまうので,この場で答えるのは難しいです。ただ,あなたのその質問が,「ストーリーモードだけのために本作を買っても満足できるか」という意味なら,自信を持って「イエス」とお答えします。各章にはさまざまなミッションが用意されており,それらをクリアしていくだけでも十分に楽しめるはずです。
すべてのヒーローは,自分の子供のようなもの
4Gamer:
「フォーオナー」のマルチプレイモードは,5種類ですか。
VandenBerghe氏:
はい。4人対4人で拠点を奪い合う「ドミニオン」,同じく4人対4人のサバイバル戦「チーム エリミネーション」と「スカーミッシュ」,2人対2人の決闘「ブロウル」,そして1人対1人の決闘「デュエル」です。
4Gamer:
これまでに何度かマルチプレイモードのテストを実施していますが,手応えはいかがですか。
VandenBerghe氏:
4Gamer:
なるほど。ところで,VandenBergheさんの,オススメの勢力とヒーローを教えてください。
VandenBerghe氏:
すべてのヒーローが私の子供のようなものですから,なかなか甲乙付けがたいですね。ただ,私がよく使うのは,ナイトの女性ウォーデンです。もともと「フォーオナー」は,中世ヨーロッパの剣技を元にしたロングソード・ファイティングが基本ですし,また私自身,アーサー王の話が大好きなので,やはりナイトに思い入れがあるんです。
4Gamer:
ウォーデンは,初めて「フォーオナー」をプレイする人にも扱いやすいでしょうか。
VandenBerghe氏:
ナイトのウォーデン,ヴァイキングのレイダー,侍の剣聖は「ヴァンガード」と呼ばれる攻防のバランスが取れたタイプに分類されますので,初めてこのタイトルを遊ぶ人にはピッタリです。ほかの3タイプのヒーローは,うまく操作するためには少々テクニックが必要となるので,ゲームに慣れてから使ったほうがいいかもしれません。
4Gamer:
以前,「フォーオナー」のプレイアブルバージョンを試遊したときに,思っていたよりもバイオレンスな表現が控えめだと感じました。何か理由があるのでしょうか。
VandenBerghe氏:
いや,実はバイオレンスな表現も結構入れてありますよ。敵を倒すとき,特定の操作をすると「エクセキューション」モードが発動するんです。こういう仕様にしたのは,エクセキューションをリワード的な位置付けにしたからです。ただ,そうした血なまぐさい表現はバトルの結果として起こるものですから,それほど前面に押し出していません。
4Gamer:
具体的には,エクセキューションはどうやって発動させるのでしょう。
VandenBerghe氏:
エクセキューションは各ヒーローに2種類ずつ用意してあり,「強攻撃」で相手を倒したときに,画面の指示に合わせてボタンを入力すると発動します。成功するとクールな演出が見られますし,またドミニオンでは倒した相手のリスポーン時間を延長できるというメリットがあります。
ただエクセキューションを行ったプレイヤーは,演出の間,無防備になります。この演出は結構長いので,その間に敵プレイヤーから倒される可能性が高くなるというリスクもあるんです。
現在最優先で考えているのは,
リリース後により多くの人に楽しんでもらえること
4Gamer:
ゲーム本編のリリース前ということで少々気の早い話ですが,アップデートやDLCの予定はありますか。
VandenBerghe氏:
まずは本編のリリースに注力しているので,もう少し待っていてください。
4Gamer:
同じユービーアイソフトの「レインボーシックス シージ」のような感じでアップデートが続くと嬉しいのですが。
VandenBerghe氏:
また私達自身も,アップデートやDLCに関するさまざまなアイデアを持っています。ただ繰り返しになりますが,このタイトルはこれまでに例のないゲームなので,今は,より多くの人達に遊んでもらうことを最優先に考えています。
4Gamer:
分かりました。それではこれまた将来の話になってしまうのですが,VRへの展開は考えていますか。「フォーオナー」とVRは,かなり相性がいいと思うのですが。
VandenBerghe氏:
「フォーオナー」をVRコンテンツにするとなると,モーションコントロールの関係で,一人称視点に作り替えなければなりません。今のバージョンを広く展開することができれば,チャレンジしてみたいですね。
4Gamer:
ひょっとして,「フォーオナー」のリリースに向けて結構緊張されてますか。
VandenBerghe氏:
ええ,少し(笑)。でも私達自身,「これが,いいんだ」と胸を張れるゲームを作りましたので,プレイヤーの皆さんもそう思ってくれると嬉しいです。
4Gamer:
そういえば,E3 2015のプレスカンファレンスで「フォーオナー」が電撃発表されたとき,会場が大騒ぎになったことをよく覚えています。VandenBergheさんは,どういう気持ちでその反響を受け止めたのでしょう。
VandenBerghe氏:
素晴らしい瞬間でした。当時の「フォーオナー」はユービーアイソフトの中でも機密事項になっており,発表前に情報が漏れないよう厳戒態勢が敷かれていたんです。これはかなり大変だったのですが,会場で披露したトレイラーが高く評価されたこと,また多くの人がライブデモを驚きとともに好意的に受け止めてくれたことを嬉しく思いました。
4Gamer:
そんな「フォーオナー」が,あと少しでリリースされます。本作に期待する人達に向けて,メッセージをお願いします。
VandenBerghe氏:
皆さんが「フォーオナー」を楽しんでくださることを願っています。ぜひご自身の使うヒーローをじっくり選んでください。戦場で会いましょう。
4Gamer:
本日はどうも,ありがとうございました。
「フォーオナー」公式サイト
キーワード
© 2017 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. The For Honor logo, Ubisoft, and the Ubisoft logo are registered or unregistered trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries.
(C)2016 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. The For Honor logo, Ubisoft, and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries.
(C)2016 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. The For Honor logo, Ubisoft, and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries.