インタビュー
[gamescom]Wargaming.netが新たにリリースするハック&スラッシュのアクションRPG「Pagan Online」について,詳しい仕様を聞いた
「Pagan Online」公式サイト
そんなコアなファンがひしめく世界に,Wargaming.netが新たなタイトルを投入する。「Pagan Online」は,セルビアのデベロッパであるMad Head Gamesが開発する新作で,どちらかといえばカジュアルなポイント&クリック型のアドベンチャーゲームを得意としてきた同社がハック&スラッシュのアクションRPGを作るというのは,それだけでも興味深いニュースだ。
本日(2019年8月24日)掲載した記事で,WargamingのCEO,Victor Kislyi氏が述べているように,8月27日にリリースされるPagan Onlineは日本語にも対応しており,日本人のハック&スラッシュファンにとっても新たな選択肢となり得るだろう。
[gamescom]Wargaming.netが新規タイトルを多数展開予定。CEOのVictor Kislyi氏に現在の状況を聞いた
「World of Tanks」や「World of Warships」で知られるWargaming.netは,4つの新作を開発している。しかも,そのうち1作は2019年8月27日に日本語対応で世界同時リリースされる予定だ。gamescom 2019で,同社CEOのVictor Kislyi氏に話を聞いたので,その模様をお届けしたい。
独特の世界観だけでなく,W/A/S/Dキーでの移動とマウスによるエイムというハック&スラッシュとしては珍しい操作系を採用した本作について,WargamingのProduct Director Pagan Online Global PublishingであるJacob Beucler氏に話を聞いた。
Jacob Beucler氏(以下,Beuler氏):
「Pagan Online」はMad Head Gamesが開発し,Wargamingが販売を担当するゲームです。Mad Head Gamesの人々はゲーム開発に情熱的で,彼らから送られてきた戦闘デモが素晴らしかったことから,企画がスタートしました。
ゲームとしては見てのとおり,見下ろし型のハック&スラッシュのアクションRPGで,10種類のキャラクター(=職業)がいて,キャラクターごとに成長をさせられるスキルがあり,大量の装備品やアイテムが出てきて,敵もたくさんいて……と,このあたりはスタンダードな現代ハック&スラッシュになっていると考えてください。
昨年(2018年)12月にクローズドβテストが始まり,今年の4月には英語圏で,また6月にはアジアの多くの地域でアーリーアクセスが始まりました。そして来週,8月27日に正式リリースが行われて,全世界でプレイが可能になるわけです。
言語の対応としては,ユーザーインタフェースと字幕が日本語化されますので,プレイに困ることはないと思います。
4Gamer:
ハック&スラッシュ好きとして,日本ではなかなかプレイが可能にならなかったのでヤキモキしていました。
Beuler氏:
日本のファンには,完全な状態でお目にかけたかったんです。そのほうが日本では好まれると思いましたので。ともあれ,ハック&スラッシュのファンは世界中にいて,それぞれに強いこだわりを持った人が多いと改めて感じています。コミュニティからのフィードバックを見ると,心からそう思いますよ。
4Gamer:
非常に古いゲームジャンルであるだけでなく,同じタイトルを何千時間も遊ぶプレイヤーがたくさんいるジャンルでもありますから,私を含めて「こうあるべきだ」というこだわりを持つファンは多いですよね。
Beuler氏:
ハック&スラッシュでは何をプレイされていますか。
4Gamer:
最近は「Grim Dawn」を,トータルで1000時間ほど。その前に長く遊んだのは「Diablo II: Lord of Destruction」で,正確にはカウントしていませんが最低でも2000時間は遊んでいると思います。
Beuler氏:
私も,Diablo IIにどっぷりハマった人間です。
4Gamer:
強烈な魅力を持った,いまだに現役のハクスラですから。ブースで少し試遊させてもらいましたが,Pagan Onlineもそういった熱狂的なファンを獲得していくことになると思いました。
Beuler氏:
ありがとうございます。そうなることを目指しています。
話を戻しますが,Pagan Onlineを構成する柱には「戦闘」「アイテム収集」「成長」「物語」の4つがあります。このうち「物語」には,スラブの伝承をベースにしたストーリーを用意しています。Mad Head Gamesはアドベンチャーゲームを多数作ってきましたので,面白い物語を作るのが得意ですし,多くのプレイヤーのとって,新鮮な世界観を提供することもできていると思います。
4Gamer:
Pagan Onlineは操作方法もユニークですね。
Beuler氏:
はい。一般にハック&スラッシュといえばマウスのクリックで移動先ないし攻撃の対象を指定して,キーボードはスキル発動に使われます。
ですが,Pagan OnlineはW/A/S/Dキーで移動して,マウスでエイム,マウスボタンとキーボードでスキル発動という機動性を重視したセッティングになっており,これはそのままゲームパッドなどでのプレイにも利用できます。もちろん,一般的なタイトルと同様のセッティングで操作することも可能ですので,このあたりはプレイヤーの好みに応じて使い分けてください。
4Gamer:
個人的にハック&スラッシュはゲームパッドで遊ぶのが楽だなと思っていますので,Pagan Onlineの操作系はとても嬉しいですね。マウスで移動&攻撃のゲームをゲームパッドでプレイすると,近接戦闘キャラをプレイするときに敵がうまく攻撃できなかったりして,イライラすることが多いので。
Beuler氏:
試遊しての感じはどうでしたか。
4Gamer:
非常に快適でした。最初に魔法系のキャラクターをプレイしたのですが,引き撃ちのやりやすさは一般的なハック&スラッシュの操作系と一線を画しています。
スキルの発動ボタンが,移動に使うW/A/S/D周辺のキーやマウスクリックに割り当てられているのも,慣れれば問題はないと感じました。スキルスロットの数が限られているので,「どのスキルスロットがどのキーに対応しているのか」を手が覚えれば大丈夫です。それを覚える手間をかけていいと思うくらいに,安定した機動力の確保と正確なエイムの両立は大きいですね。
Beuler氏:
そうですか。
では続いてPagan Onlineの流れを紹介しましょう。最初にプレイヤーはパンテオン画面に出現します。簡単に言えばロビーですね。ここでは,ほかプレイヤーとのコミュニケーションが可能なだけでなく,各種のクラフトなども行えます。
Pagan Onlineはセッションベースのゲームですので,パンテオンで実行するクエストやミッションを選んだら,プレイヤーないしパーティに対してインスタンスが生成され,そこで探索や戦闘をする形になります。このあたりはMMORPGを想像してください(筆者注:日本の有名タイトルでいえば「ファンタシースターオンライン2」のようなスタイル)。
4Gamer:
なるほど。Pagan Onlineとタイトルどおり,基本はオンラインゲームなんですね。
Beuler氏:
そのとおりです。先程説明したようにキャラクターは10種類あり,それぞれに異なるスキルツリーを持っています。キャラクター固有の能力値は高めに設定されているので,しっかりやりこみたいゲーマーにとっても満足できるシステムだと思います。
4Gamer:
パッと見た感じ,派生能力値が多いようで,キャラクタービルドのしがいがありそうです。
Beuler氏:
ご期待ください(笑)。また,キャラクターの外見に関して,Pagan Onlineは従来のハック&スラッシュとはまったく異なる方式を採用しています。
一般的なハック&スラッシュですと,装備品に応じてキャラクターの外見が変わることが基本ですよね。ですが,そのために「この装備は性能がいいし,自分のビルドには必須なんだけど,見た目が気に入らない」といったことが起きました。Pagan Onlineのキャラクターの外見は,装備によって変化しません。その代わりに,MOBAタイトルで見られるように,スキンを変更すると外見全体が変わるというシステムになっています。
4Gamer:
好き嫌いが分かれそうなシステムかもしれませんが,面白いですね。
スキルの育成はどんな感じでしょうか。
Beuler氏:
スキルは一般的なスキルツリーのように,「前提のスキルを取ると解放される」ものもありますが,スキルそのものを細かくカスタマイズすることもできます。
通常,スキルを強化していく場合,各スキルに対してスキルポイント的なものを投じてレベルを上げる,ということになりますよね。ですがPagan Onlineでは,スキルごとにさまざまなカスタマイズのブランチを用意して,そのブランチを伸ばしていくことでスキルをいろいろな方向へ尖らせていくことが可能になっています。
4Gamer:
見た感じ,カスタマイズの幅がかなり広くなりそうです。キャラクターのビルドのしがいがありそうです。
さて,そもそもハック&スラッシュのゲームに「終わり」はないですが,それはそれとして,ストーリーが一応の終わりを迎えるには,だいたい何時間くらい必要になりますか。
Beuler氏:
そうですね……この手のゲームに慣れている人なら,1キャラクターあたり25〜30時間。普通は35〜40時間で,初心者だと50〜60時間くらいかかるかなと思います。
4Gamer:
なかなかのボリュームですね。
Beuler氏:
そうなんです。Pagan Onlineのストーリーは8章構成になっていますが,それ以外に,ストーリーとは別に発生するMission,対ボス戦闘だけを楽しめるAssasinationと,コンテンツには事欠きません。
4Gamer:
マップは自動生成ですか。
Beuler氏:
固定です。ただし,どんな敵が出現するかはランダムです。
4Gamer:
アイテムの管理は,どうなっていますか。アイテムバッグがあって,そこにアイテムを保管していくというイメージでしょうか。
Beuler氏:
はい。キャラクターごとに持ち運べるアイテムの量に限界がありますが,それ以外に倉庫があって,ほかのキャラクターと装備品を交換できるスペースもあります。このあたりは,一般的なハック&スラッシュと同じです。
4Gamer:
セッションベースのゲームとのことですが,例えばミッション中にパンテオンに戻り,それからまたミッションに向かうといったことは可能ですか。つまり,Diablo IIのTown Portalを使って拠点に戻り,拠点で作業したあとまたクエストに向かうイメージです。
Beuler氏:
可能です。それぞれのミッションは保存されていますので,例えばアイテムが床に散らばった状態でパンテオンに戻り,またミッションに入り直した場合,アイテムは床に散らばったままです。
4Gamer:
試遊したバージョンではプレイヤーキャラクターが強く,敵があまり強くなかったために分からなかったのですが,ポーションはどのような仕様になっているのでしょうか。
Beuler氏:
ハック&スラッシュ好きならではの質問ですね(笑)。Pagan Onlineのポーションは,クールダウンがなく,使うとHPがフル回復するという大変強力なものですが,最大で9個しか持てません。ミッション中にポーションを拾うこともありますが,いずれにしろガブ飲みではなく,使いどころに頭を使う貴重なリソースというバランスです。
4Gamer:
なるほど。
Beuler氏:
Pagan Onlineは,アクションRPGのファンという,Wargamingにとって新しいユーザー層を開拓するために作られた,Wargamingの従来作品とはまったく異なるゲームです。ハック&スラッシュが好きな人はもちろん,アクションRPGが好きな人なら,ぜひ一度プレイしてください。
4Gamer:
リリースされたらすぐに遊びたいと思います。インタビュー時間がこの3倍あっても聞きたいことが全部聞けたとは思えないので本当に残念なのですが,ともあれ,本日はどうもありがとうございました。
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