インタビュー
[G-Star 2019]韓国産のゲームでeスポーツを――。NGEL GAMESのCEOが語る3つの新プロジェクト
[G-Star 2019]サイバーで終末な「Project RTD」。NGEL GAMESの3大プロジェクト第1弾は“6人対戦タワーディフェンス”だ
韓国・釜山で開催されているG-Star 2019に,NGEL GAMESの新作「Project RTD」がプレイアブル出展されていた。本作は同社の3大プロジェクトタイトルの第1弾で,作中ではポストアポカリプスチックなサイバー世界で,最大6人同時のタワーディフェンス対戦を楽しめる。
[G-Star 2019]「Project Arena」は,最大15人がMOBAチックな3Dアクションで戦うバトルロイヤル
韓国・釜山で行われているG-Star 2019に,NGEL GAMESの「Project Arena」がプレイアブル出展されている。同社の3大プロジェクトタイトルのうち,第2弾となる本作は,“最大15人がMOBAチックな3Dアクションでバトルロイヤル”と,面白要素がてんこ盛り。期待の一作だ。
[G-Star 2019]広大なファンタジー世界が舞台のRTS「Project Pendion」を紹介。NGEL GAMESの大型プロジェクト第3弾
韓国・釜山で開催されている「G-Star 2019」に,NGEL GAMESのPC/スマホゲーム「Project Pendion」がプレイアブル出展されていた。同社の3大プロジェクトタイトルの第3弾となる本作は,広大なファンタジー世界を舞台に,物語に注力しているというRTSになっている。
韓国の対戦ゲームで,eスポーツをやりたい
4Gamer:
昨年は編集部スタッフと“「Guild Wars」のお話”で盛り上がりましたが,今年は発表されたばかりの“新プロジェクト”についておうかがいさせていただこうと思いますので,よろしくお願いします。
Ji Hoon Park氏(以下,Park氏):
こちらこそ,よろしくお願いします。
4Gamer:
ではさっそく本題から。NGEL GAMESは,今年のG-Starで「“Project”を冠する3つの新作」を発表しましたね。
Park氏:
はい。第1弾の「Project RTD」(プロジェクト ランタディ。PC / その他),第2弾の「Project Arena」(プロジェクト アリーナ。PC / その他),そして第3弾の「Project Pendion」(プロジェクト ペンディオン。PC / その他)です。ただ,これは配信順ではなく,制作は3つが同時に進行している形になります。
4Gamer:
制作はNGEL GAMESが一括で行っているのですか。
Park氏:
「Project RTD」と「Project Arena」は弊社で制作していますが,「Project Pendion」だけは,外部の開発会社さんにお願いしています。ただ,3タイトルを抱えている事には変わりがないので,チームが右往左往したり,バラバラになりそうだったりと,わりと大変で……(笑)。
4Gamer:
それはまた……。それで,今は問題なく進んでいるのでしょうか。
Park氏:
問題ない,と思いたいですね。制作には弊社から約70名を動員しているのですが,まずは,このG-Starという場所での発表の日のために。といった気持ちで進めてきました。
このイベントは,もともと新しいゲームを発表するところでしたが,近年は新作タイトルの発表数が少なくなっているので,だからこそ,頑張ろうと思いまして。
4Gamer:
それはなによりです。では,各タイトルの特徴をお聞きしたいのですが,まず,これらのタイトル名はそれぞれ正式名称なんでしょうか? それとも開発中のプロジェクト名ですか。
Park氏:
「Project RTD」は正式名称で,ほかの2つは仮名称です。で,「Project RTD」からご説明しますが,こちらはeスポーツ向けの対戦型タワーディフェンスゲームとして開発しています。
Park氏:
開発には,「Star Craft」世界大会チャンピオンの経験者で,ゲームクリエイターのLee Yoon Yeolに協力してもらっていまして,より優れた競技性を獲得できるようにと設計している最中です。
4Gamer:
リー・ユンヨルさん(Lee Yoon Yeolの日本読み)ですか! ウチの通訳も耳にした途端に色めきだっていましたが,韓国の名プレイヤーですよね。
Park氏:
ええ。このゲームをタワーディフェンスにしたのも,韓国で長く人気を博している「Star Craft」から構想を得たからなんです。それに,「Star Craft」を制作していた開発者たちにも参加してもらっていて,さらに現代の市場にあわせたチューニングを施しているのが,「Project RTD」なんです。
4Gamer:
本作は“対戦”が要になるとのことですが。
Park氏:
従来のタワーディフェンスは1人用ゲームの色が濃かったのですが,今回は対戦ジャンルの色合いを押し出すようにしています。
4Gamer:
eスポーツ向けの対戦ゲームとして,売り出すと?
Park氏:
これからは,多くの方々とその環境を作っていけなければ,決して成り立たないことは承知しております。ただ「eスポーツ」とだけラベルを貼ってもダメなのは,今では誰でも分かっていることですので,まずはサービス面の充実を図り,ゆくゆくはそうなれるようにしたいかなと。
4Gamer:
韓国のeスポーツ市場は,日本に比べて何倍も大きいという資料がありますが,そんな中でも,簡単に参入することは難しいのでしょうか。
Park氏:
ですね。市場が大きいことは確かなのですが,実は韓国のeスポーツ業界には“韓国のゲーム”がほとんどないんです。それこそ,「Star Craft」や「リーグ・オブ・レジェンド」などが主流になってますし。
4Gamer:
あっ,言われると確かにそうですね。
Park氏:
だからこその「Project RTD」というわけです。
4Gamer:
なるほど,対戦を押し出すといった狙いがよく分かりました。続いて「Project Arena」はどうでしょう。
Park氏:
「Project Arena」は,日本をはじめ世界各国でバトルロイヤルゲームが流行っているのに目をつけて開発をスタートしました。誰でも遊べるようにとカジュアル寄りに調整した,キュートでコミカルな対戦アクションゲームで,リアルタイムで状況が変化するフィールドで,最大15人で対戦できます。
4Gamer:
こちら体験しましたが,本格的なバトルロイヤルでありながら,手軽に遊べる感じがしました。
Park氏:
ありがとうございます。G-Starの会期前までは,あまり大きく打ち出してはいませんでしたが,このゲームは“自分で作ったオリジナルマップで対戦できる”ことを,大きくアピールにしていきたいと考えています。
4Gamer:
バトロワのマップ作成ですか。興味を持つ人も多そうですね。プレイしてひとつ気になったのは,バトロワ特有のランダム性がありつつも,アクション性も非常に高い仕様に感じましたが,ゲームがうまい,要は強い人だけが勝てる内容にはなりませんか。
Park氏:
このゲームでは対戦中,プレイヤーはそれぞれの選択キャラクターの特徴と,レベルアップ時に獲得するスキルなどのランダム性を加味しながら,戦略をもってビルドを構築していきます。
しかし,プレイごとに環境が変わるバトロワ要素によって,思いもよらぬ展開が生まれるようにしています。事実,アクションは多彩ですが,操作自体はとてもカジュアルですので「ゲームのプレイがうまいから勝てる」とはいかないはずです。
4Gamer:
なるほど。
Park氏:
それと,これも大切にしていることなんですが。
4Gamer:
なんでしょう。
Park氏:
“負けてもストレスにならないゲーム”というところです。「Project RTD」もそうと言いたいのですが,よりストレスフリーなのは「Project Arena」,といった気持ちで方向性の差別化を図っています。
4Gamer:
対戦ゲームの人口を増やすうえでは,大切な概念ですね。それでは3つめの「Project Pendion」はいかがでしょう。
Park氏:
端的に言うと,「マフィア・シティ-極道風雲」(iOS / Android)のような,戦略性のあるストラテジーです。キャラクター育成ではなく,自分の王国を成長させていく面が強いです。
4Gamer:
RTSというと,対戦るプレイヤーの数が気になるとことですが,ひとつのサーバーには,どれだけの人数が参加できるんですか。
Park氏:
数千名くらいを予定しています。その人たちが王国を育てていって,ときには協力し合ったり,ときにはぶつかり合ったりなど,中長期的なゲーム体験を楽しんでもらえるような作りにしていますね。
4Gamer:
このゲームは物語にも注力しているとのことですが。
Park氏:
そうなんです。戦略ストラテジーゲームはシステム優先で,世界観や設定はあれど,ストーリーを疎かにしているケースが多いですよね。
しかし,このゲームは,開発者が考えている「物語の大切さ」を重要視しているので,重厚な英雄譚を味わってもらえると思いますよ。
4Gamer:
“開発者の考え”となると,制作に関しては開発会社に一任している形なのでしょう?
Park氏:
はい。私たちは彼らが尽力して作ったゲームを,楽しんで遊んでもらいやすくするため,サービス面に注力していくつもりです。
4Gamer:
これらの3作品ですが,いずれも対戦を押し出している理由はなんでしょうか?
Park氏:
私達が考えるゲームの本質のひとつとして,遊んだプレイヤーが共感できたり,競い合ったりすることで,思い入れがより強くなる,というものがあります。ですので,そのためのコミュニケーションを対戦要素に担ってもらいました。
4Gamer:
韓国では依然,対戦ゲームがメインストリームになっていますしね。
Park氏:
でも,日本でもバトルロイヤルゲームなど,対戦ものもすごい人気ですよね?
4Gamer:
たしかに。「対戦」も「協力」も本格的に,主軸ではなくて要素になってきたということかもしれないと。ちなみに,3作品はいつごろの提供が予定されていますか。
Park氏:
「Project RTD」が2020年春ごろ,「Project Arena」と「Project Pendion」が2020年夏ごろの予定です。
4Gamer:
配信地域は?
Park氏:
開発も運営も韓国ですので,まずは韓国での配信を目指します。それともちろんですが,日本に向けても準備を進めていきます。
4Gamer:
それは楽しみです。
Park氏:
私たちはすでに「ロードオブダイス」(iOS / Android)の日本サービスを通して,現地での運営業務についても知見がたまってきています。国内外の多くのゲームメーカーと同様,私は日本市場を大切に考えているので,できるかぎり努力していきます。
あと,韓国では配信中の「ヒーローカンターレ(Hero Cantare with NAVER WEBTOON)」も,2020年内に提供する予定ですので,楽しみにしていただければと。
4Gamer:
日本市場の知見について話がでましたが,特に感じたことはありますか。
Park氏:
当初は,韓国と日本のユーザーとでは,楽しんでもらいやすいゲームの設計が異なっていると思っていたのですが,市場が成長していくにつれ,ユーザー側の成熟度も高まってきたことで,「楽しんでもらえるゲームにあまり違いがなくなってきた」と感じています。
当然,ローカライズに気を配るにしてもです。ウケる大作なんかはまさにそれで,同じような気がしますね。
4Gamer:
それは,今年のG-Starを見てもなんとなく感じました。
Park氏:
それが理由かどうかが分かりませんが,今年のG-Starでは韓国メーカーのみならず,海外メーカーの大々的なブース出展も目立っています。ですので,私たちは韓国のゲーム会社として,もっと存在感を出せるようにしていかなければならないとも思いました。
4Gamer:
今回,3つもの新プロジェクトを発表したのは,それが理由でもあるのですね。
Park氏:
そのとおりです。
4Gamer:
発表された3作品,国内のリリースも楽しみにしています。
本日はありがとうございました。
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