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  • NeoWiz
  • WONDER POTION
  • 発売日:2022/06/21
  • 価格:1520円(税込)
    ※2022年6月21日アーリーアクセス開始
    ※2023年11月正式リリース予定
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[プレイレポ]人々が消えた巨大都市を舞台に,伝説の退役軍人が最後のミッションに挑む。ハイテンポ&スタイリッシュな2Dワイヤーアクション「SANABI」
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印刷2023/11/08 02:00

プレイレポート

[プレイレポ]人々が消えた巨大都市を舞台に,伝説の退役軍人が最後のミッションに挑む。ハイテンポ&スタイリッシュな2Dワイヤーアクション「SANABI」

 NEOWIZは明日(2023年11月9日),WONDER POTIONが手がける「SANABI」PC / Nintendo Switch)を正式リリースする。本作は2022年6月にSteamでアーリーアクセスが開始され,2023年8月にはベータ版も公開された2D横スクロールアクションゲームだ。
 プレイヤーはかつて伝説となった退役軍人を操り,巨大企業が支配するサイバーパンクな都市“マゴ”を舞台に,身体に装着されたチェーンフックを駆使して暴れ回ることになる。

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「SANABI」公式サイト


 ゲームジャンルとしてはいわゆる「ワイヤーアクション」に分類されるもので,国内では現在でも続く「海腹川背」シリーズや,カプコンのファミコンソフト「ヒットラーの復活」などで知られる。本作は序盤から非常にスピーディーかつスタイリッシュな移動やバトルが繰り広げられるのが大きな特徴だ。今回は正式リリース版を先行プレイする機会を得られたので,そのレポートをお届けしよう。


ある日突然,すべての人間が消えた巨大都市マゴ

かつて伝説となった“将軍”が,復讐の鬼となりその謎に挑む


 本作の舞台は,マゴ特別市と呼ばれる巨大企業が支配するハイテク都市だ。国家警察の捜査権すら及ばない,ある種の治外法権のようなものが認められているこの街は,企業のお膝元として300万人の人口を誇るまでに発展している。雲を突き抜けるほどに高いタワーを有する摩天楼では,上層で富裕層が悠々自適な暮らしを満喫しているものの,下層は貧民で溢れているとも言われていた。

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 そんなマゴ市は,ある日突然,人為的なものと思われる大規模な停電“ブラックアウト”が発生し,同時に市民が一人残らず消滅するという緊急事態に見舞われる。事件の裏に「サンナビ」と呼ばれる人物が関わっていることを突き止めた軍は,かつてサンナビと邂逅し,その後に家族を殺され復讐の鬼となった伝説の退役軍人を呼び出し,事態の把握とその収拾を依頼する。
 忽然と消えた人々の行方と,探索を進めるごとに不可解さが増していく巨大都市マゴ。そして“将軍”と呼ばれる退役軍人が追い求めるサンナビの正体とはなんなのか……数多くの謎を抱えつつ,プレイヤーの分身である将軍はチェーンフックのみを武器に,生還の予定がない最後のミッションに挑むことになる。

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 冒頭で紹介したように,本作は横スクロールタイプのアクションゲームだ。プレイヤーは移動と攻撃の手段を兼ねた武器“チェーンフック”を駆使し,人々が消えたマゴ市を進んでいく。チェーンフックなしで行える主なアクションはダッシュ(歩行)とジャンプ,そして特定の壁を登ったり降りたりできる程度で,最序盤から道具の活用が求められる。とはいえ基本は「高所にフックを引っかけて“振り子の原理”を利用して移動する」だけであり,あとはそれをどのタイミングでどう活用するかが,非常に重要になってくるのだ。

壁やオブジェクトにフックを引っかけ,チェーンを振り子のように動作させ遠心力で移動していく。通常のジャンプアクションとは挙動がかなり異なるが,慣れれば連続して高速移動ができる
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 動作は非常に俊敏で,横方向への移動はもちろん,登れる道や壁(画面の表示上は真っ直ぐな舗装された範囲)ならスイスイ踏破していく。その半面,純粋なジャンプ力はかなり控えめで,ステージにもよるが奈落の穴が非常に多いので,フィールドの広範囲をぶら下がって進んでいくことになるだろう。
 チェーン部分はかなり長めで画面の半分程度なら余裕で伸びていくし,引っかかったあとのレスポンスもかなりいいので,振り子の原理を使ったワイヤージャンプを連続で決めるのも非常に簡単だ。崖をものともせずどんどん飛び越えていけるのは,プレイしていてとても爽快で気持ちいい。
 ワイヤーアクションをモチーフにした作品は,序盤から高難度のものも多いが,本作においては少なくとも前半は誰でもサクサク進んでいけるレベルに調整されている印象だ。

右スティックを活用すれば時間が遅くなりじっくり目標を定められるだけでなく,判断が間に合いそうにない空中戦でも有利に戦いを進められる。またスイングダッシュの機能を使えば,瞬時にぶら下がったまま加速が可能だ
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  操作方法は,コントローラなら左スティックだけで移動とフックのターゲットを兼ねた動作ができ,右スティックでフックの照準を操作する。さらに照準の操作中は時間がゆっくりになる機能が発動する。瞬間的な判断力や操作テクニックのみで,成功や失敗が決まるような仕組みになっていないのも,個人的にはうれしい。
 また,ぶら下がり中に発動すると自分の速度を一瞬で上げられるスイングダッシュ能力や,敵の破壊時やダメージを受けたときに入力方向に短距離の高速移動できる特殊なダッシュなど,使いこなすほど便利かつスタイリッシュに行動できるスキルも用意されている。

ゲーム中盤以降はチェーンの巻き取り機能が使えるようになり,機動性がさらに高まるが,それを前提としたギミックも増えていく。とくに立ち入った瞬間に攻撃される赤いエリアは,適切にかわさないとあっと言う間に丸焦げだ
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 なおプレイヤーが操るチェーンフックは,最初はチェーンの伸縮(巻き取り)機能がオミットされた状態で始まるが,ステージの進行に応じてこちらもアンロックされる。より繊細で微調整が効く動きができるようになる一方,これを活用しなければ進めない難度が高めのマップ構成になっていく。ただタイミングとしては,操作に慣れた段階になるので比較的スムーズに利用できるのはうれしいところだ。


想像以上に良く動くクオリティの高いドット絵と

ていねいな描写で進行していく謎に満ちた物語も魅力


 本作では要所で敵の襲撃があり,基本的にはこれをすべて排除することが先へ進む条件になっている。敵はライフルやマシンガンなどの銃器で武装しており,ステージボスはさらに多彩な攻撃方法を持っているが,プレイヤーが使えるのはチェーンフックのみなので,大概は遠方から一方的に攻撃されることが多い。自由に移動できないぶら下がり中に攻撃されるのは,なかなかに神経を使うシチュエーションだ。

敵はこちらの射程距離外から攻撃してくることも多いが,いざこちらが距離を詰めれば半自動的にオートロックオンがかかるため,簡単に撃破できる。とくに前半は,アバウトに敵方向にフックを伸ばすだけでも次々撃破できるだろう
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 とはいえ勘違いしないでほしいのは,本作は戦闘も移動のように基本的に高速で爽快だということ。前述のようにチェーン部分が長いので,画面内に捉えれば攻撃するのは難しくないし,ほとんどの敵はチェーンフックを引っかけて1回アタックするだけで撃破できる。また,本作はオートロックオンがかなり強めに効くため,適当に敵の方向にレバーを倒してフックを伸ばすだけで敵を倒せるうえ,敵に引っかけて瞬間移動している最中は,例え真正面からの攻撃でも無効化できる。
 少なくともゲームに慣れていないのが前提となる前半部分のプレイなら,いわゆるガチャプレイでも何とかなると言ってしまってもいいだろう。その割りにキャラクターは,高速で飛び回り画面狭しと暴れ回れるので,作中の設定どおり伝説の軍人になれたような気分を味わえる。

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 もちろんゲームが進むとそれだけではクリアできなくなり,正面からの攻撃を避けたり,敵を掴んでステージのトラップに投げ込んだり……といったテクニックが必要になってくるのだが,その頃にはその程度の応用プレイはできるようになっているはず。
  さらに本作は,ライフ制になっているので落下死を除けば即死する機会も少なく,その気になれば道中のトラップなどもダメージ覚悟のゴリ押しで進められる。ライフ自体も時間経過で自動回復するので,落ち着いて進めば,詰まってしまう状態にはそう陥らないはずだ。

 設定にイージーなどの難度調整があることも含め,全体的にかなりユーザーフレンドリーな仕組みになっていると言えるだろう。とはいえゲームが進んでいくと,動く足場を追いかけて進んだり,交互に複数の足場を活用しつつタイミングを合わせて進む必要に迫られたりと,ステージは相応に難しくなっていくため,手に汗握る緊張感もちゃんと用意されている。

一部の敵は無敵状態でこちらに迫ってくるが,そういったときは仕掛けられたトラップや敵の攻撃を逆に利用することによって,道が開けたりする
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 ビジュアル面では,3D要素がないスタンダードな2D横スクロールであるが,とにかくキャラのアニメパターンが多いのが印象深い。主人公である将軍もさることながら,その家族である娘やマゴ市で出会う協力者のマリなど,コロコロ表情が変わり見ていて楽しい。緻密に描かれたタイプではないのだが,デフォルメがうまく動きも非常に自然だ。本作では長尺のデモシーンも多いのだが,これにより物語への没入感もグッと高まっているように感じる。
 また,サイバーパンクをモチーフにしたマゴ市の特徴的なビジュアルは,背景の使い回しこそ若干気になるものの,全体的な雰囲気はかなり良好。一見派手でありながら,人々が消え去りロボットのみが動く不気味さも同時にうまく描かれており,作風にマッチしている。

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 ストーリーも回想シーンをふんだんに盛り込み,ていねいに描かれる将軍の復讐劇と,謎めいたマゴ市の本当の正体が非常に気になる作りになっており,飽きることなく進められるだろう。細かいところでは,都市にある(サイバーパンクでは定番の)日本語看板だけでなく,ゲームや動画などの細かい日本のサブカルチャーネタも投入されており,日本人のプレイヤーならより一層楽しめる要素も多い。翻訳などのローカライズについてもかなり良好な出来になっているので,そのあたりも安心だ。

 ゲーム全体としては操作のチュートリアルがしっかりしているのと,難度の上昇が全体的に緩やかなので,ワイヤーアクションにあまりなじみながないプレイヤーでも,気軽にプレイできるだろう。本作には探索要素がなく,基本的には一本道で,アイテムなども存在しないので(ライフの回復ポイントはある),“先に進む”ことだけを考えれば済むというシンプルさも個人的には好みだった。
 また,敵だけでなく地形やギミックに関しても,オートロックオンがかなり強めに効くので,チェーンフックの目測を外して落下,というシチュエーションが思いのほか少ないのはかなりうれしいところだ。

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 とはいえ,ワイヤーアクションという関係上,どうしても落下死は頻繁に起こり,かつステージが進むと前述のように可動式の足場やトラップが頻出するようになるため,決してヌルくて簡単というワケではない。復帰のポイントとなる中間地点も減ってくるし,ボスに関しては大概特殊な倒し方を求められるので,手こずる場合もあるかもしれない。
 場所によってはしっかり観察しないと移動先がわからなくなったり(下だと思ったら単なる穴だった,など),一部のトラップにハメっぽい感じで連続ダメージを食らったりと若干ストレスに感じる部分もあったが,全体としては難しすぎない良好なバランスだと感じた。

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 冒頭でも触れたとおり,Steamではアーリーアクセスから1年以上が経っているが,現在でも「圧倒的に好評」の評価を得ている本作。個人的にはその評価も納得できる仕上がりになっていると感じた。ワイヤーアクションゆえに挙動にクセがあり,慣れないうちは直感的に動けないことに少し苦労するかもしれないが,慣れてくれば一騎当千のワイヤーバトルと爽快な高速移動を楽しめるだろう。興味があればぜひ,将軍の復讐劇を体験してみてほしい。

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