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まばたきすると化け物に襲われる? PS VR2の視線トラッキングはゲームでどのように活用されているのか
西川善司の3DGE:技術の視点で分析するPSVR2の体験。進化した映像表現や操作感からグラフィックス表現のポイントまでまとめて解説
ソニー・インタラクティブエンタテインメントが2023年初頭の発売を目指して開発中のVR HMD「PlayStation VR2」。報道関係者向け体験会に参加した西川善司氏が,技術的な視点でPSVR2の体験を解説する。PSVR2では,何がどう進化して,VR体験はどう変わったのだろうか。
この視線トラッキング自体はゲーム開発者も利用でき,実際にゲームメカニクスの面で効果的に活用しているタイトルも登場している。本稿ではそうした,視線トラッキングの技術をより肌で感じられる作品を紹介するので,なにで遊ぼうか迷っている人は参考にしてほしい。
Moss&Moss: Book II
発売日:2023年2月22日Polyarcが手がける「Moss」および「Moss: Book II」は,ジオラマのように広がる世界を俯瞰しながら,ネズミの主人公「Quill」をラジコンのように操作してステージを進めていくアドベンチャーゲームだ。
本作では,ステージ上のオブジェクトを動かしてQuillの足場を作ったり,障害物を取り除いたりする,インタラクティブなパズル要素がゲームプレイの大半を占めている。
PS VR版ではどのオブジェクトに干渉できるのか,実際に触れてみるまで分からなかったが,PS VR2版では見つめたオブジェクトが干渉可能だった場合,薄く光る機能が追加された。もちろん,そこから先は自分の力で解く必要があり,この機能によりパズルの難度が下がることもないので安心してほしい。
「Moss&Moss: Book II」PS Storeページ
Rez Infinite
発売日:2023年2月22日「Rez Infinite」は,量子化されたサイバースペースを進みながら,途中で現れるエネミーを撃ち落としていくシューティングゲームだ。複数の敵をまとめてロックオンして,一気に撃墜していくのが基本スタイルとなっており,敵を撃破したときに奏でられるリズミカルな効果音が気分を上げてくれる。それはまるで「音楽を見る」ような,はたまた「映像を聴く」ような体験であり,PlayStation 5の「Tempest 3D Audio」によって高い没入感が生まれている。
Rez Infiniteを攻略するうえでキモになるのは,「いかに素早く敵をロックオンできるか」だ。そしてPS VR2版には,ロックオンの操作タイプが4つ用意されている。コントローラと頭の動きで照準を動かす「Type-1」,コントローラの動きだけで照準を動かす「Type-2」,頭の動きだけで照準を動かす「Type-3」,視線トラッキングで照準を動かす「Type-4」だ。
注目すべきはこのType-4。視線だけで照準を動かせるので,ほかのタイプと比べても敵を捕らえるスピードが段違いに速い。少し慣れは必要だが,近未来的なシューティングアクションが楽しめるので,PS VR2でRez Infiniteをプレイする際は,オプションでType-4に変更することをオススメしたい。
「Rez Infinite」PS Storeページ
テトリス エフェクト・コネクテッド
発売日:2023年2月22日名作パズルゲーム「テトリス」に幻想的なビジュアルとサウンドを融合させることで,深い没入感を生み出した「テトリス エフェクト・コネクテッド」。本日(2月22日)リリースされたPlayStation 5版は,PS VR2にも対応している。
基本的なルールはテトリスと同じで,30種類以上のステージや,10種類以上のモードが用意されたシングルプレイのほか,3人で協力してボスの撃破を目指す「コネクテッド」や,スコアを競う対戦モードといったオンライン要素もあり,この一本にたくさんの遊びが詰め込まれている。
そんな本作のPS VR2版では,プレイヤーが1秒だけ目をつむると「ZONE」に突入できる。ZONEに入ると時間が止まり,テトリミノが自動で落下しなくなるので,危機的状況に対処できるわけだ。また,ZONE中にテトリミノを積み上げて消し去ると,ボーナスポイントを獲得できるというご褒美も用意されている。
ゲームオーバーラインまであと少しという状況で,祈るように目をつむり,ゆっくり目を開けると,世界の時間が止まっている……PS VR2でプレイすれば,この神秘的な体験ができるので,ぜひとも試してみてもらいたい。
「テトリス エフェクト・コネクテッド」PS Storeページ
Before Your Eyes
発売日:2023年3月10日「Before Your Eyes」は,2021年にリリースされたアドベンチャーゲームで,魂が死後の世界へ行くまでの過程が物語として描かれる。
魂だけの存在となった主人公は,謎めいた船乗り「フェリーマン」の案内によって死後の世界に向かうことになるが,無事にたどり着くには,フェリーマンにこれまでの人生を語らなければならない。彼によって人生の大切な瞬間に送り返された主人公は,それを再び体験することで,少しずつ記憶を取り戻していくのだ。
そんな本作の最大の特徴は,プレイヤーのまばたきによってストーリーが進行するという部分にある。まばたきすると新しいシーンに移動してしまうため,重要な会話があるシーンでどれだけまばたきを我慢できるか……といった感じで,ほかのアドベンチャーゲームにはない体験が味わえるのだ。
PC版ではWebカメラを利用してプレイヤーのまばたきを検知していたが,PS VR2版では同じことを視線トラッキングによって実現している。ほかの作品では,操作を補助する形で活用されることの多い視線トラッキングだが,本作ではそれを主軸にゲームが展開されていくというのが面白いところだ。
インディーズゲームの小部屋:Room#680「Before Your Eyes」
「インディーズゲームの小部屋」の第680回は,GoodbyeWorld Gamesが開発した「Before Your Eyes」を紹介する。本作は,プレイヤーのまばたきによってストーリーが進行する,一人称視点のアドベンチャーゲーム。Webカメラを使ってプレイヤーのまばたきを検出するというゲームシステムと演出,そして喜びと悲しみの入り交じったストーリーが大きな魅力だ。
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「Before Your Eyes」PS Storeページ
The Dark Pictures: Switchback VR
発売日:2023年3月16日最後に紹介するのは,ホラーアドベンチャー「The Dark Pictures」シリーズのスピンオフ作品としてPS VR2向けにリリースされる「The Dark Pictures: Switchback VR」(以下,Switchback)だ。
「The Dark Pictures」シリーズといえば,プレイヤーの下した決断が登場人物たちの運命を左右するストーリーモードや,最大5人でコントローラを回しながら物語を楽しむ「ムービーナイトモード」が特徴的だったが, Switchbackはこれまでのシリーズとはまったく異なる装いになっている。
というのも,Switchbackのジャンルはアドベンチャーではなく,“ジェットコースターアクションホラーシューティング”――つまりは自動で動くコースターに乗って敵を倒していくレールシューターだからだ。プレイヤーは,疾走する地獄のジェットコースターに乗り込み,Dark Picturesシリーズのシーズン1に登場した化け物たちと対峙していくことになるわけだ。
そんな本作のPlayStation Store紹介ページを見ると,「瞬きは許されない」という文言がある。なんと陳腐なキャッチコピーなのだろうかと初めは思ったが,ゲームシステムを調べていくうちに,これの意味するところが分かった。本作にはプレイヤーのまばたきを視線トラッキングで検知し,まばたきした瞬間に襲い掛かってくる化け物が存在するのだ。
ホラーゲームではよく,プレイヤーが目を離したときだけマネキンが動き出すというシチュエーションが登場するが,本作でもそうした演出が盛り込まれていると思われる。「瞬きは許されない」――なんとも的を射た恐ろしいキャッチコピーなのではないだろうか。
「The Dark Pictures: Switchback VR」PS Storeページ
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