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今年もありがとう！　たくさんのときめきをくれた作品に感謝を込めて――4Gamerプレゼンツ「乙女ゲームセレクション2025」

2025/12/31 11:20 　2025年も，いよいよあと少し。今年もたくさんのステキな乙女ゲームが発売され，胸が高鳴るときめきや，思わず涙してしまう切なさ，そしてかけがえのない幸せを，私たちプレイヤーに届けてくれました。

　4Gamerでは，乙女ゲームへの日頃の感謝と愛を込めて，2025年発売のNintendo Switch向けタイトルを対象とした「4Gamer乙女ゲームセレクション2025」を開催します！　スマートフォンやPCでも魅力的なタイトルが数多く登場しましたが，今回はあえてSwitch向けタイトルにフォーカスします。

　すべての作品を網羅するのは難しいため，今年リリースされたタイトルの中から30作品を厳選。皆違って，皆最高な乙女ゲームたちを，編集部独自の視点で表彰していきます。

ノミネート項目とピックアップ作品について

　今回設けたノミネート項目は，全10種類。いずれも「今年はこの切り口で乙女ゲームを楽しもう！」という思いから選んだものです。あくまでテーマ分けなので，該当しない項目の要素がその作品にない，というわけではありません。気軽に，「こんな見方もあるんだな」と楽しんでいただければ幸いです。

　今回は，以下の10部門で合計30タイトルをピックアップしました。まずは，部門ごとにノミネートされたタイトルを一覧でまとめています。気になる作品があれば，ぜひタイトルをクリックしてチェックしてみてください。

ノミネート作品一覧（10部門・30タイトル）

ノミネート項目	タイトル
恋も役目も一生懸命で賞🏆	泡沫のユークロニア -trail-
	あと1％で運命の恋
	十鬼の絆 for Nintendo Switch
	Blackish House sideA→ -Retour-
切ない恋が美しく輝くで賞🏆	冬園サクリフィス
	魔女と亡霊のヴォロンテ
	レッドベルの慟哭
	もし、この世界に神様がいるとするならば。
個性的すぎる恋ができるで賞🏆	狂気より愛をこめて
	DistortedCode −生者の残り香−
	陰キャラブコメ　インシツマシマシ
モフモフ男子に会えるで賞🏆	蒼黒の楔 〜緋色の欠片 玉依姫奇譚〜 for Nintendo Switch
	勿ノ怪契リ
このチーム・グループが最高で賞🏆	「DYNAMIC CHORD」シリーズ feat.[rêve parfait] feat.Liar-S feat.KYOHSO
	Side Kicks! beyond
守るために戦う男がかっこいいで賞🏆	喧嘩番長 乙女 ダブルパック
	BYAKKO 〜四神部隊炎恋記〜
	アルカナ・ファミリア Rinato
危険な男にクラクラするで賞🏆	魔界王子と魅惑のナイトメア 〜誘惑の口づけ〜
	ネオンクラッシュ -Echoes of the Lost-
ご飯が美味しそうで賞🏆	OVER REQUIEMZ
	あやかしごはん 〜おおもりっ！〜 for S
そばにいてくれてありがとうで賞🏆	数乱digit for Nintendo Switch
	9 R.I.P. sequel
	闇色の魔珠
キュート（？）なマスコットで賞🏆	PanicPalette 〜パニックパレット〜
	悠久のティアブレイド for Nintendo Switch
	オランピアソワレ Catharsis

　それでは，各部門のノミネート作品を順番に紹介していきましょう。

4Gamerプレゼンツ
「乙女ゲームセレクション2025」全10部門発表

恋も役目も一生懸命で賞🏆

　恋だけでなく，使命や仕事，夢に向かって一生懸命な主人公や男性たちを見守れるのも，乙女ゲームの大きな魅力のひとつ。ときに悩み，迷いながらも前に進もうとするその姿に，心を打たれた人も多いはずです。ここでは，そんな「頑張る姿」がとくに印象的な作品を紹介します。

泡沫のユークロニア -trail-

ブロッコリー

　新ブランド“LicoBiTs（リコビッツ）”の記念すべきプロジェクトタイトル第1弾として，2024年4月11日にリリースされた「泡沫のユークロニア」の続編です。前作は，からくり仕掛けの空中都市「凍玻璃（いてはり）」を舞台に，外の世界に憧れを抱く主人公“雛菊”が，記憶を失った青年“矢代”との出会いをきっかけに，理想郷の裏に隠された真実と向き合っていく物語が描かれました。

　本作では，本編のベストエンド後を描く「アフターストーリー」，柊＆石蕗との恋が楽しめる「IFストーリー」，そして多くの課題を抱える偽りの理想郷「凍玻璃」に向き合う「アナザーストーリー」という，3つの物語を楽しめます。甘い恋模様だけでなく，真相後を描く「アナザーストーリー」だからこそ見えてくるドラマや，男性たちと築いていく関係性も大きな見どころです！

あと1％で運命の恋

　ボルテージの読み物アプリ「100シーンの恋＋」の人気作を，Nintendo Switch向けに移植したタイトルです。主人公は，東京丸の内にある大手化粧品メーカーで総合職として働くイマドキ女子。「いつ結婚するの？」という現実的な問いに直面するなか，マッチングアプリを通じて相性99％の彼と出会ったことから物語が始まります。

　瞬きすら忘れるデートや甘いキスを重ね，恋心は一気に加速。しかし，2人の関係に影を落とすのは，たった1％の“ミスマッチ”です。「最高の相性だって俺が証明してやる」という彼の言葉とともに，運命の人とは何かを問いかける，リアルで等身大の恋が描かれていきます。

　本作には，「100シーンの恋＋」内で配信された本編ストーリーに加え，「運命の人と紡ぐ未来編」までのシナリオを収録。独立独歩タイプの竜道 礼，理想の彼氏タイプの久世新也，高嶺の花タイプの百千高嶺など，タイプの異なる男性たちとの恋模様を，じっくり楽しめるのも魅力です。等身大だからこそ刺さる，運命的な恋が味わえる1本となっています。

十鬼の絆 for Nintendo Switch

　「薄桜鬼」シリーズの系譜作として知られる「十鬼の絆」と，その続編ファンディスク「十鬼の絆 花結綴り」を1本で楽しめる移植作品です。舞台は戦国時代。人の世に関わらざるべき存在とされる，特殊な力を持つ鬼たちは，人間の目を避けながらひっそりと生きていました。

　本編では，鬼の頭領たちが集う【十鬼衆】と，彼らを束ねる八瀬姫を中心に物語が展開します。人間社会への鬼の干渉を止めようとした八瀬姫は，何者かの襲撃を受け深い眠りについてしまい……。主人公は十鬼衆の一員として，八瀬姫を目覚めさせ，その最後の願いを叶えるため，仲間たちとともに旅立つことになります。
　鬼の仲間や人間と関わるなかで，世界を知り，成長していく主人公の姿が丁寧に描かれているのも，本作の大きな魅力です。

　ファンディスク「花結綴り」では，関ヶ原の戦いを経たその後の物語が描かれます。恋人となった相手との未来を描く「恋精華」，十鬼衆たちとの穏やかで賑やかな日々を綴る「千思廻り」，そして武将たちとの小話を楽しめる「鬼灯千華」など，本編とはまた異なる角度からキャラクターたちの物語を味わえます。戦国の世を駆け抜けた鬼たちの恋と絆を，じっくり堪能できる1本です。

Blackish House sideA→ -Retour-

　優れた容姿や才能，強烈な個性を持ちながらも，性格は全員ブラック――そんな問題児アーティストたちを抱える芸能事務所「星月プロダクション」を舞台に描かれる恋愛アドベンチャーです。事務所は彼らを一つ屋根の下に集め，半年後に控えたミュージカル公演を成功させるよう命じます。主人公は，その共同生活に放り込まれた，自分を持たない女優です。

　表舞台では華やかに輝くスターたち。しかしその裏側には，嫉妬や不安，葛藤といった人間臭い感情が渦巻いています。共同生活を通して，主人公は彼らの“本当の姿”に触れていくことになり，危うくも目が離せない関係が少しずつ築かれていきます。同じ目標であるミュージカルを目指すからこそ見えてくる瞬間や，ぶつかり合いながら生まれる絆が，とても尊く描かれているのが印象的です。

　本作は，2016年にアスガルドのレーベルhoneybee black（現：アリスマティック）から発売された作品の移植版。シチュエーションCDなどのメディア展開も行われ，多くのファンに楽しまれてきました。芸能界のリアルと濃密な人間ドラマ，そして少しビターで甘い恋愛模様をじっくり味わえる1本です。

切ない恋が美しく輝くで賞🏆

　身分や環境の違い，避けられない運命，立ちはだかる数々の試練……恋の行く手が順風満帆とは限らないのも，乙女ゲームの大きな魅力のひとつです。
　思うように気持ちを伝えられなかったり，選択を迫られたりと，切ない想いを重ねるからこそ，物語の先で迎える結末がより深く心に響きます。苦しさや迷いを抱えながらも，それでも恋を選び，歩み続けた先にあるハッピーエンドの輝きを，強く感じられる作品をピックアップしました。

冬園サクリフィス

　冬に閉ざされた世界「テイドール」。春の女神から祝福を授かった主人公は，人々のために祈りを捧げる日々を過ごしていました。春を待ちわびる声に応えるように祈り続けた末，ついに降臨した春の女神が告げた解決方法は，主人公を【神の花嫁】として冬の神に捧げること――それは，人間としての生を終えることを意味する選択でした。

　逃れられない運命の中で，主人公は誰を想い，何を選ぶのか。本作では，好感度によって【恋愛ルート】と【悲恋ルート】に分岐するほか，選択肢によって変化する「運命度」によっても，主人公の未来が大きく変わっていきます。めくるめく鮮やかな春を迎えるのか，それとも凍てつく永遠の冬に身を委ねるのか――切なさと美しさが交錯する物語が，プレイヤーの心を強く揺さぶります。

魔女と亡霊のヴォロンテ

　疫病が蔓延する暗黒の時代。騎士団によって故郷と家族を失った主人公は，すべてを失った絶望の中で，怪しげな男に導かれ，美しい魔法の国へと辿り着きます。そこは文明が発展した幻想的な国で，主人公は民に幸福と安寧をもたらす存在「月の魔女」として迎え入れられ，第二の人生を歩み始めることになります。

　神聖な巫女として人々に慕われ，穏やかな日々を過ごす主人公。しかし，夢のような時間は長くは続きません。次第に明らかになる国の歪みや人々の思惑，交錯する疑念と裏切りの中で，物語はサスペンス色を強めていきます。平穏を取り戻すため，そして自分自身の生き方を見つけるため，主人公は過酷な選択を迫られていくのです。

　本作は，誰を信じ，誰を選ぶのかによって結末が大きく変化するダークファンタジー×サスペンスの恋愛アドベンチャー。悲劇の真相を追い求めながら，愛と覚悟の行方を見届ける，切なくも重厚な物語を楽しめます。

レッドベルの慟哭

　紅鈴樹（レッドベル）を中心に，太陽の光が降り注ぐ国「ヘーメレー」。王制の続くこの国で，人間たちは穏やかに暮らしていました。しかし突如，ヴァンパイアが現れ，人々を蹂躙し，多くの命と大切な存在が奪われてしまいます。絶望と屈辱の中で生き残った主人公は復讐を誓い，ヴァンパイアに対抗する力を持つハンターへと成長していきます。

　やがて彼女は「Elpis7」――希望と呼ばれる者の1人となり，ある日，差出人不明の手紙をきっかけに王国騎士やハンターたちと合流。勅命のもと，ヴァンパイアの世界「ニュクス」へ侵攻する「ハント部隊」の結成に加わることになります。待ち望んだ機会に震える彼女ですが，それは世界の命運をかけた“遊戯”の始まりでもありました。

　本作では，物語の中でさまざまな選択を迫られる「Missionパート」が用意されており，一歩間違えれば最悪の結末に辿り着くことも。そんな過酷な戦いの中で主人公の切り札となるのが，不思議な遊戯盤です。得意のいかさまで駒をこっそり一手戻すことで，世界を少し巻き戻し，間違った選択をやり直して運命を切り開いていけます。人間とヴァンパイアの鮮烈な戦いと，選択の重みが胸に迫る物語を楽しめる作品です。

もし、この世界に神様がいるとするならば。

　もし，この世界に神様がいるとするならば――。Rejetの名作恋愛アドベンチャーが，Nintendo Switchに完全移植され，いつでも楽しめるようになりました。物語は，10年前の夏の日に行われた「カミサマごっこ」をきっかけに，大きく動き出します。

　主人公は，日本を生み出した神「イザナミ」の器として選ばれた少女。ともに恋心を抱いていた幼馴染たちは，彼女を守る神の依り代となり，さらに亡くなったはずの兄“マサト”もまた，イザナギの依り代として姿を現します。日常が崩れ去る中，日本神話の神々の目論見に巻き込まれていくことになります。

　鴉の足が三本ある異世界を舞台に，混沌，帰還，滅亡，そして真相へと至る物語は，運命に抗いながら愛の絆を育んでいく重厚な内容です。各キャラクターごとに用意されたエンディングルートでは，神に翻弄されながらも選び取る恋の行方が描かれます。壮大な日本神話の世界観と，運命に立ち向かう切ない恋を，じっくり堪能できる1本です。

個性的すぎる恋ができるで賞🏆

　日常ではなかなか体験できないような，ひと味もふた味も違う恋を味わえるのも，乙女ゲームならではの魅力です。独特な世界観や設定，クセの強いキャラクターたちとの出会いは，ときに驚きを，ときに新鮮なときめきを運んでくれます。定番の恋愛とは少し距離を置きながら，自分だけの特別な関係を築いていける――そんな「個性」が強く印象に残るタイトルを，ここでは3作ピックアップしました。

狂気より愛をこめて

　4人の男性たちと学園生活を1年間過ごし，選択肢によって好感度を上げていく恋愛アドベンチャーゲームです。一見すると王道の学園モノですが，本作最大の特徴は「絶対に会話がかみ合わない男たち」との恋が描かれる点。気になる相手なのに，なぜか話が通じない――そんなもどかしすぎる試練が，プレイヤーを待ち受けます。

　主人公は，元の高校が爆破されてしまったことをきっかけに，私立古詩庵歌羅芽琉院学園へ転校してきた高校2年生。金髪チャラ男の同級生“佐伯祐介”，色気漂う保健医の“荒川修司先生”，年下（？）の不思議な存在“田村マシュマロ”，そして生徒会長の“アオルタ先輩”と，クセの強すぎる男性たちとの学園生活が始まります。

　部活動や体育祭，夏祭りにお正月，さらにはうなぎとばし大会まで，1年を通してイベントは盛りだくさん。交流を重ねることで，彼らの意外な一面や秘密が少しずつ明らかになっていきます。選択肢によって好感度や物語が変化するマルチエンディング方式で，Nintendo Switch版には，Steam版のDLC「どどすこラブラブコンテンツパック」に収録された新シナリオを追加。分からないのに惹かれてしまう，狂気と愛が入り混じった個性的な恋を楽しめる作品です。

DistortedCode −生者の残り香−

　2年前に起きた傷害事件の被害者で，その影響から記憶喪失となっている主人公。事件の加害者であり，現在は少年院に収容されている双子の兄と再会したとき，「自分は確実に殺される」――そんな確信めいた予感を，彼女は抱いています。

　本作は，同一のキャラクターで複数の異なる世界線を体験するマルチシナリオ方式を採用。物語は「サイコホラー編」「仮想現実編」「オカルトホラー編」の3つに分かれており，世界線ごとに状況や人物の立場，恐怖の質までもが大きく変化します。

　兄の失踪後に起こる連続殺人事件の真相を追うサイコホラー編，世界が仮想現実かもしれないという疑念から日常が崩壊していく仮想現実編，不可解な事件と死者の気配が交錯するオカルトホラー編と，いずれも重く張り詰めた展開が続きます。

　恐怖と謎が渦巻く中で描かれるのは，主人公と男性たちとの関係性や恋の行方。世界が歪むほどに，想いはより鮮烈に浮かび上がります。異なる世界で繰り返される悲劇と選択の先に，主人公は何を見つけるのか。背筋が凍る緊張感と切ない恋が同時に味わえる，個性の際立つ作品です。

陰キャラブコメ　インシツマシマシ

　主人公は，陰キャをこよなく愛するオタクサークルの“王”。大学生活の中で，ひょんなことからオタクサークルの会長を任されることになり，恋のお相手となるのは，サークルに所属する陰キャ集団3名と，異質な存在感を放つ陽キャ（？）1名です。交流を重ねながら，最終的には告白を目指していく恋愛風ノベルゲームとなっています。

　本作最大の特徴は，攻略対象がほぼ全員“陰キャ”という尖りきった設定。イキリ陰キャ，常識人（？）枠，民度最悪の格ゲーマー，チル臭漂う侵略者など，クセの強すぎる面々とのやり取りは終始カオスで，笑いと戸惑いが止まりません。サークル活動を通して距離を縮めていくなかで，彼らの意外な一面や人となりが少しずつ見えてくるのも見どころです。

　主人公自身も含め，登場人物は全員一筋縄ではいかない個性派ぞろい。だからこそ生まれる，ほかでは味わえない唯一無二の恋模様が楽しめます。総再生時間は最低12時間とボリュームもたっぷり。陰キャ愛とラブコメが過剰摂取できる，強烈なインパクトを残す作品です。

モフモフ男子に会えるで賞🏆

　ケモノ耳やふさふさの尻尾，美しく広がる羽根――そんな“モフモフ要素”が加わることで，キャラクターの魅力がさらに引き立つのも，乙女ゲームならではの楽しさです。
　妖怪や神話をモチーフにした世界観の中で出会う彼らは，人ならざる存在ならではの価値観や距離感を持ちつつも，どこか人間らしい一面をのぞかせてくれます。そのギャップにときめいた人も多いはず。

　思わず触れたくなるようなモフモフ男子たちとの特別な恋が楽しめる作品を，ここではピックアップしました。

蒼黒の楔 〜緋色の欠片 玉依姫奇譚〜 for Nintendo Switch

　「蒼黒の楔 緋色の欠片3」とファンディスク「蒼黒の楔 緋色の欠片3 明日への扉」を1本で楽しめる移植作品です。「鬼斬丸」の封印から1年が経ち，世界の終わりを防ぐ戦いを終えた主人公たちは，穏やかな日々を過ごしていました。

　しかし，そんな平穏は長くは続かず，季封村は突如として異変に見舞われます。村は無人となり外界との行き来も断たれ，やがて鬼斬丸の封印と関わる“鏡”の存在が，事件の鍵であることが明らかに。主人公と守護者たちは，再び世界の終わりを防ぐ戦いへと身を投じていくことになります。

　本作に登場する守護者たちは，本来の力を解放する際に変身するのが特徴で，中には狗耳や狐耳が生える人物も登場します。モフモフ要素が加わってもなお，その美しさと格好よさは健在。
　切ない運命と恋が交錯する物語とともに，ケモノ耳姿の彼らにときめけるのも見どころです。シリーズのその後を描く物語と追加要素を余すことなく収録した，ファン必見の1本となっています。

勿ノ怪契リ

　陰陽師の一族に生まれた主人公は，妖怪が集まってくる小さな町「廻妖町」で，人々を守る役割を果たしています。遠い昔，祖先である安倍晴明が妖怪との争いを終結させましたが，千年以上の時を経て，再び妖怪が人間に悪事を働くようになります。その原因は，晴明が封印した大妖怪――化け猫の復活でした。

　事態を収めるため，主人公は強大な力を持つ妖怪たちと主従契約を結び，大妖怪に立ち向かうことを決意します。現代の陰陽師としての使命と，先祖の宿敵との因縁が交錯するなか，物語は大きく動き出していきます。妖怪は敵なのか味方なのか，信じるべき相手を見極めながら進む展開も見どころです。

　本作では，契約を結ぶ相手が美しい妖怪の姿だけでなく，モフモフな獣の姿に変化するのも特徴のひとつ。2つの姿を行き来するギャップに，思わず心を掴まれてしまいます。人間と妖怪，そして主従という関係性の中で育まれる恋と絆を，存分に楽しめる作品です。

このチーム・グループが最高で賞🏆

　一人ひとりの魅力はもちろん，仲間として集まったときにこそ輝きを放つ――そんなチームやグループの存在も，乙女ゲームの大きな魅力です。
　掛け合いや信頼関係，ときには衝突しながらも築かれていく絆は，物語に深みと温かさを与えてくれます。恋の相手としてだけでなく，「このメンバーだからこそ好き」と思わせてくれる関係性に心を掴まれた人も多いはず。ここでは，チームやグループとしての魅力がとくに印象的な作品をピックアップしました。　

「DYNAMIC CHORD」シリーズ

　バンドマンたちとの甘く，ときに激しい恋を描く人気シリーズが，Nintendo Switch向けに移植されました。本シリーズでは，登場するバンドごとに物語が描かれ，主人公の立場や関係性，恋の始まり方が大きく異なるのが特徴です。音楽活動を軸に，メンバー同士の絆や衝突，ステージに懸ける想いが丁寧に描かれ，チームとしての魅力が存分に味わえます。

　「feat.[rêve parfait]」では，メジャーデビューを目指す高校生バンド「[rêve parfait]」との恋を描きます。主人公は，幼馴染や先輩たちがバンド活動に打ち込む姿を見守りながら，夢と恋の狭間で揺れ動くことに。

　「feat.Liar-S」では，結成3年目にしてメジャーデビューを果たしたニューカマー「Liar-S」との出会いから物語が始まります。世間知らずなお嬢様の主人公が，彼らの音楽と本気の姿勢に惹かれていく過程が印象的です。

　「feat.KYOHSO」では，結成10年の実力派ロックバンド「KYOHSO」と，新人マネージャーとして奮闘する主人公との関係が描かれます。プロの現場ならではの緊張感と，大人の恋模様が楽しめる作品です。

　いずれの作品も，バンドというチームだからこそ生まれる関係性や物語が大きな魅力となっています。なお，「DYNAMIC CHORD feat.apple-polisher Remaster edition」は，2026年1月29日に発売予定です。

Side Kicks! beyond

　アメリカ・カリフォルニア州にある街「サクラダ」では，中毒性の高いドラッグ，通称「リップコード」が蔓延し，深刻な社会問題となっていました。その解決に向けて結成されたのが，自由な発想と異なる分野のスキルを持つメンバーを集めた特別捜査課「サイドキックス」です。主人公のイノリは，未来を断片的に見る予知夢の能力を持ち，その力を見込まれてチームにスカウトされることになります。

　本作は，「BUSTAFELLOWS」制作チームが手がけた原点とも言えるテキストアドベンチャーで，海外ドラマのような雰囲気で展開するクライムサスペンスが魅力です。
　運動神経抜群のチカ，心理分析に長けたヒバリ，天才ハッカーのシシバ，瞬間記憶を武器にするリコ，そして彼らをまとめるリーダーのタテワキといった，個性も能力も異なるメンバーが協力し合い，事件に挑む姿が描かれます。それぞれの強みを活かしたチームプレイは非常に見応えがあります。

　「Side Kicks! beyond」では，オリジナル版からグラフィックスや演出が刷新され，本編追加エピソードや個別エピソードに加え，「BUSTAFELLOWS」とのクロスオーバーエピソードも収録。プレイヤーの選択によって物語は変化し，仲間との絆や信頼関係が深まっていく過程も丁寧に描かれています。
　チームだからこそ立ち向かえる事件と，その中で育まれる関係性が強く印象に残る作品です。

守るために戦う男がかっこいいで賞🏆

　圧倒的な力や実力を持っているだけではなく，大切な人や守るべき存在のために戦う姿に，心を奪われてしまうのも乙女ゲームの醍醐味。迷いや葛藤を抱えながらも，自分なりの信念を貫き，立ち向かう男性たちの生き様は，とにかくカッコいいの一言です。ここでは，その「強さ」に惹かれずにはいられない作品をピックアップしました。

喧嘩番長 乙女 ダブルパック

　「喧嘩番長 乙女」と，その後日談を描いたファンディスク「喧嘩番長 乙女〜完全無欠のマイハニー〜」を1本で楽しめるダブルパック作品です。
　天涯孤独の身だった主人公は，生き別れの双子の兄“ひかる”と再会したことをきっかけに，男装して県内最凶と名高いヤンキー高校「私立獅子吼学園」へ通うことに。兄の家は由緒正しい極道「鬼ヶ島家」で，「学園をシメる」という重すぎる使命が課されており……。

　男子校という環境で，主人公は猛者ぞろいの男たちと拳を交えながら信頼と絆を築いていきます。恋も友情も，時にはケンカで語るのがこの世界の流儀。甘いだけでは終わらない熱い展開が続き，互いを認め合う関係性にグッとくるはずです。

　なにより，主人公自身も強く，覚悟を持って立ち向かう姿がとにかくカッコいい。ファンディスクでは，恋愛エンディング後の物語や賑やかな夏合宿エピソードも描かれ，最後まで拳と愛に満ちた物語を楽しめます。

BYAKKO 〜四神部隊炎恋記〜

　江戸幕府が衰退の一途をたどる動乱の時代。会津藩の武家に生まれた主人公は，戦いで兄を失い，わずか16歳にして天涯孤独の身となってしまいます。兄の切腹に使われた刀を抱いて眠りについた夜，彼女は白虎を名乗る神の夢を見て，「いずれ生まれる少年たちの悲劇を防いでほしい」という使命を授かります。目覚めると，兄の刀は不思議な力を宿した一挺の銃へと姿を変えていました。

　それから3年後，砲術の達人へと成長した主人公は，会津藩の戦友たちと出会い，ともに戦場を駆け抜けていくことになります。待ち受けるのは，史実に基づく避けられない悲劇と，それに抗おうとする強い意志。仲間と絆を深めながら，運命に立ち向かう姿が胸を打ちます。

　年下，同年代，年上と幅広い年齢層の男性たちとの恋が描かれるのも本作ならではの魅力で，戦いの中で芽生える想いが，より切なく，より強く心に残る一作です。

アルカナ・ファミリア Rinato

　地中海に浮かぶ小さな島「レガーロ島」を守る自警組織，アルカナ・ファミリア。ファミリーに所属する者たちは，「アルカナ能力」と呼ばれる不思議な力を持ち，島と人々を外敵から守っています。主人公のフェリチータは，組織を統べるパーパ（父のモンド）の一人娘であり，自身もファミリーの一員として歩み始めたばかりでした。

　しかしある日，父の誕生日を祝うパーティで，モンドは突如「アルカナ・デュエロ」の開催を宣言します。優勝者には組織のトップであるパーパの座を譲り，さらに娘と結婚してもらうという衝撃的な内容でした。
　結婚候補となるのは，いずれも強く魅力的な男性ばかり。それでもフェリチータは，他人に人生を決められることを良しとせず，「自分の道は自分で決める」とデュエロへの参加を決意します。

　乙女ゲームと少年マンガ的熱さを融合させた本作は，コミック風に物語が展開する「コミアルシステム」や，相手の心を読む「ココアルシステム」など独自要素も健在。仲間であり，恋の相手でもある男性たちと拳を交えながら，自立と恋を掴み取ろうとする主人公の姿が印象的な一作です。

危険な男にクラクラするで賞🏆

　近づいたらダメだと分かっているのに，なぜか目で追ってしまう。言動や立場，生き方そのものに危うさをまとった男性たちは，乙女ゲームの中でもとりわけ強烈な存在感を放っています。
　危険な香りがするからこそ，ふと見せる優しさや弱さに心を持っていかれてしまう……そんな“抗えない引力”も魅力のひとつ。ここでは，ハラハラしながらも目が離せなくなる，危険な男たちとの恋を描いた作品をピックアップしました。

魔界王子と魅惑のナイトメア 〜誘惑の口づけ〜

　紅い三日月が浮かぶ夜，目を覚ますと主人公は，魔法が当たり前に存在する「魔界」へと迷い込んでいました。突然の出来事に戸惑う彼女の前に現れたのは，魔界に君臨する美しくも危険な5人の王子たち。主人公の唇には特別な魔力が宿っており，王子たちはその力を求めて，甘い言葉と誘惑で彼女を奪い合うことになります。

　冷酷なカリスマ，掴みどころのない愛され系，嘘つきな色男，毒舌策士，完璧主義の王子……個性の異なる彼らとの関係は，常に緊張感と背徳感に満ちています。魔力を巡る駆け引きの中で，次第に向けられる視線や想いは，本心なのか策略なのか。美しく危険な王子たちに求められる，スリリングで甘美な恋を存分に味わえる一作です。

ネオンクラッシュ -Echoes of the Lost-

　恋のお相手は，マフィア。ネオン煌めく享楽の国「玖昴国（クミョウコク）」では，一部の富裕層がすべてを握り，多くの若者が生き延びるためにマフィアとなって抗争に身を投じています。市民から忌み嫌われる存在である一方，かつては人々に慕われた「リュウファミリー」という伝説の組織がありました。

　11年前に壊滅したそのリュウファミリーの唯一の生き残りと，隠された後継者である主人公が出会ったことで，止まっていた運命が再び動き出します。抗争と陰謀が渦巻く裏社会を舞台に描かれる物語は，キャラクターごとの分岐がない一本道構成。ネオン輝く危険な街で，重厚な人間ドラマにじっくり没入できます。

　危険と隣り合わせの世界で築かれていく絆と恋は，一筋縄ではいかないからこそ深く，切ないものに。悪を悪で正す覚悟を胸に，仲間とともに戦い抜く主人公の姿と，酸いも甘いも知るマフィアたちとのオトナな恋模様が強く印象に残る一作です。

ご飯が美味しそうで賞🏆

　仲間たちと囲む食卓には，その作品ならではの日常や関係性がぎゅっと詰まっています。一緒に料理をしたり，たわいない会話を交わしながら食事をしたり――そんな何気ないひとときが，物語に温もりとリアリティを与えてくれるのも乙女ゲームの魅力です。

　戦いや使命，恋に向き合う時間だけでなく，「ちゃんと食べて，ちゃんと笑う」場面があるからこそ，キャラクターたちが生きていると感じられるもの。見ているこちらまでお腹が空いてくるような，ご飯の描写が印象的で，心まで満たされる作品をピックアップしました。

OVER REQUIEMZ

　異世界「オズ」に迷い込んだ主人公は，理不尽に死罪を言い渡されてしまいます。生き延びるために与えられた条件は，怪物が徘徊する謎多き「廃墟」の調査。彼女は同じく死刑囚となった青年たち――かつて人を手に掛けた「殺人鬼」たちと共に，命がけの旅へ出ることになります。

　さまざまな危険と隣り合わせの旅の中で描かれるのは，彼らの残酷な過去だけでなく，人間らしい素顔や本音，そして少しずつ生まれていく信頼関係。主人公の選択によって物語は「真相ルート」と「闇堕ルート」に大きく分岐し，世界や彼らの在り方も変化していきます。

　一方で，旅の途中には仲間と食卓を囲む穏やかな日常も丁寧に描かれており，簡素ながらも美味しそうな料理と，何気ない会話が心を和ませてくれます。そんな平和な時間があるからこそ，過酷な運命や分岐後の展開がより強く胸に迫る作品です。

あやかしごはん 〜おおもりっ！〜 for S

　天涯孤独となった主人公のもとに，祖母の友人を名乗る男性が訪ねてきます。しかし彼の正体は，かつて祖母の家で出会った妖狐。引き取り手のない主人公は，彼と共に暮らすことになり，妖狐が営む小さなごはん屋さんを手伝いながら，新しい生活を始めます。

　引っ越し先の村で出会う同級生や，個性豊かなあやかしたちとの交流を通して描かれるのは，人と妖が寄り添って生きる日常と，少し不思議でやさしい恋模様。物語の中心にあるのは「食事」で，誰かのために作るごはん，一緒に食べる時間が，心の距離をゆっくりと縮めていきます。

　湯気の立つ炊きたてごはんや，素朴だけれど心まで温まる料理の描写は，見ているだけでお腹が空いてくるほど。甘くて切なく，それでいてどこか懐かしい空気感に包まれながら，「おいしいごはん」がもたらす幸せをしみじみと味わえる一作です。

そばにいてくれてありがとうで賞🏆

　乙女ゲームの魅力は，恋のお相手となる男性たちだけではありません。ときには背中を押し，ときには何も言わずそばにいてくれる――そんな友人たちの存在が，主人公の物語をより豊かにしてくれます。悩んだときに寄り添ってくれる言葉や，何気ない日常のやり取りがあるからこそ，主人公は前を向いて進んでいけるのです。

　本部門では，恋愛の陰で主人公を支え続けてくれる友人や仲間たちにスポットを当てました。「この人がいてくれて本当によかった」と思わず感謝したくなる存在に出会える作品をピックアップしています。

数乱digit for Nintendo Switch

　私立梵（そよぎ）学園には，「数家」と呼ばれる九つの名家の子息・令嬢が通い，学園内でも一目置かれる存在として知られています。数家には，序列と頭首【梵】を決めるための【数乱戦】と呼ばれる戦いがありましたが，ある数字を持つ家系が失われたことで，長らく開催されていませんでした。

　そんな中，失われたはずの数字【零】を宿した主人公が転校してきたことで，運命は大きく動き出します。突然，左手の甲に刻まれた刻印をきっかけに，主人公は数家同士が刃を交える過酷な【数乱戦】へと巻き込まれていくことに……。

　学園×刀バトル×和風ファンタジーという独特の世界観の中で，主人公は数家の面々と学園生活を送りながら，自分がこの戦いに関わる理由や，数乱戦の裏に隠された真実へと迫っていきます。過酷な運命を背負いながらも，育ての親である無良木耶告や，主人公を気にかけ支えてくれる友人たちの存在があるからこそ，物語はただの争いでは終わりません。

　孤独になりがちな戦いの中で，変わらず寄り添い，見守ってくれる存在の温かさが強く心に残る一作です。

9 R.I.P. sequel

　奇妙でおかしな恋物語を描いた「9 R.I.P.」の完全続編となる本作では，前作の2つのエンディングから物語が分岐して展開します。前作エンディング「終幕.天」から始まる【天編】では，新たな恐怖と向き合う仄暗い物語が描かれ，一方，「終幕.神」の後日談となる【神編】では，大切な彼との四季折々の日常を楽しめる，甘く穏やかな物語が綴られていきます。

　本作にはホラー要素も健在で，恋のお相手によって主人公が置かれる状況や，向き合う怪異の在り方は大きく変化します。緊張感のある展開が続くなかでも，幼馴染の飛騨咲耶果や，七不思議【保健室の少女】である月神優衣といった友人たちが，変わらず主人公を支えてくれる存在として寄り添ってくれるのが印象的です。

　恐怖と恋が隣り合わせの不安定な世界だからこそ，何気ない言葉や気遣いが心に染みる――そんな「支えてくれる存在」のありがたさをあらためて感じられる続編となっています。

闇色の魔珠

　全寮制のエリート魔法学園「オリエンス学園」を舞台に，秘密を抱えた主人公の初恋と愛憎が交錯するダークファンタジー。主人公は魔法界の名門スターニス家の娘ながら，実は魔法が大の苦手です。それでも優秀な兄“フィン”や周囲の助けを受けながら，学園生活を必死に歩んでいきます。

　兄のフィンは主人公を溺愛しており，彼女に近づく男性を牽制するほど。その背景には，フィンだけが知る主人公の“ある秘密”があり，物語と恋に大きな影響を与えていきます。甘酸っぱい初恋のときめきと，次第に深まっていく愛憎劇が絡み合う展開は見応え十分です。

　Nintendo Switch版では描き下ろしイベントスチルの追加や操作性の向上により，物語への没入感もさらにアップしています。主人公を支える人々の存在が温かく，見守る気持ちで物語を追いたくなる一作です。

キュート（？）なマスコットで賞🏆

　主人公のそばで癒しをくれたり，ときには物語の行方を左右する重要な役割を担ったりと，乙女ゲームに欠かせない存在がマスコットキャラクターです。
　見た目はかわいいのに言動がクセ強だったり，頼れる相棒かと思いきや思わぬ一面を見せてきたり……。そんな“キュートだけじゃ収まらない”魅力が詰まっているのもポイントです。
　今回は，物語を彩りつつ，プレイヤーの心にも強く残る個性派マスコットが登場する3作品をピックアップしました。

PanicPalette 〜パニックパレット〜

　異世界の王子リーディ・ヴォルパル7世に見初められ，強制的に“妃になる契約の印”を施されてしまった主人公の依藤亜貴。契約を解除するためには，期限内に「シェルオーラ」と呼ばれる特殊な液体を完成させなければなりません。昼は学園生活，夜は材料集めのため街を奔走するという，慌ただしくも非日常な日々が始まります。

　そんな主人公をサポートしてくれるのが，リーディの側近である慇懃無礼系・暴力執事のノルレッテ。口は悪く態度も横柄ですが，料理が得意で博識，実務能力も高いという非常に有能な存在です。しかもその正体は“球体”という強烈な個性派マスコット。毒舌ながらも的確な助言で主人公を導いてくれます。

　ドタバタな展開の中に散りばめられたコミカルさと切なさ，そして声の良さ（CV：竹本英史）も相まって，強烈な印象を残す一作です。

悠久のティアブレイド for Nintendo Switch

　「悠久のティアブレイド -Lost Chronicle-」とファンディスク「悠久のティアブレイド -Fragments of Memory-」を1本で楽しめるタイトルです。
　最終戦争によって荒廃した遥かな未来を舞台に，古代人が遺した巨大地下シェルター【ネオスフィア】で3000年もの時を生きる主人公【イヴ】と，スラムで暮らす少年“シュド”，謎の逃亡者“アタルヴァ”との出会いをきっかけに，物語は大きく動き出します。

　主人公を支える存在が，管理AI【クレイドル】。常にイヴを最優先に考え，的確なサポートと助言で彼女を導いてくれる心強い相棒です。しかも声がいい（CV：柿原徹也）。無機質でありながらどこか温かみを感じさせる存在感が印象的で，物語への没入感を高めてくれます。

　人型兵器【ティアブレイド】を巡る戦いや，世界の再生を懸けた選択の数々，そしてファンディスクで描かれる“その後”の物語まで，壮大なロボットSFと切ない恋が丁寧に描かれているのも魅力。機械でありながら機械だけではないクレイドルの存在も含め，心に深く残る一作です。

オランピアソワレ Catharsis

　2025年12月18日に発売されたばかりのオトメイト最新作で，「オランピアソワレ」の正統続編にあたる作品です。前作で魂の半身と出会い，彼と結ばれる未来を信じて疑わなかった主人公【オランピア】。しかし，島が少しずつ変わり始めたある日，彼女たちの恋の運命を大きく揺るがす存在が現れます。

　虹色の雨が降り注いでから2年半――朱砂たち若者の尽力により，天供島は確かに変化の兆しを見せていました。それでもなお，【白】は“女”しか存在しないという理は揺るがず，貴重な存在であるオランピアの婚儀は強く望まれていたのです。
　そんな中，【白】の証である髪色を持つ“男”というマレビトが島へ流れ着いたことで，新たな因果が動き出します。

　恋物語はもちろん，多彩な登場人物それぞれの想いや葛藤が丁寧に描かれるのも本作の魅力です。
　そして忘れてはならないのが，オランピアを支えてくれる癒し枠の鼠たち。仕え鼠のだいふく（CV：堀江 瞬）と，その兄弟であるジュリエット（CV：引坂理絵），パリス（CV：上村祐翔）は健在です。

　本作からは新たに黒鼠のムクロギ（CV：浦 和希）も登場し，物語に可愛らしくも意味深な彩りを添えてくれます。
　業に蝕まれた2つの魂の物語から，神と人が交わる“真話”へ――前作を越えて広がる色彩ファンタジーと恋の行方を，ぜひ見届けてください。

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　ここまで，「4Gamer乙女ゲームセレクション2025」として，さまざまな切り口から30作品をご紹介してきました。恋と使命に全力で向き合う物語，切なさが胸に残る恋，個性全開な関係性，危険で抗えない魅力を放つ男性たち，そして仲間やチームとの絆や，日常のぬくもりを感じさせてくれるご飯やマスコットの存在――。
　あらためて振り返ると，2025年の乙女ゲームは「恋」だけでなく，「生き方」や「関係性」を丁寧に描いた作品が多かったように感じます。

　また，完全新作の意欲的なタイトルに加え，長く愛されてきた名作の移植・リメイクが充実した年でもありました。当時遊んだ記憶を懐かしく思い出しながらあらためて物語に触れたり，初めて出会う人が“名作”と呼ばれる理由を実感したり――世代やプレイスタイルを越えて，乙女ゲームの魅力が広がった一年だったと言えるでしょう。
　操作性や演出の進化により，物語への没入感がさらに高まっている点も印象的でした。

　2025年は新作だけでなく，名作のリメイク版も多数発売され，大いに盛り上がりました。
　2026年もたくさんの乙女ゲームの発売が予定されています。来年も皆さまに，ステキな乙女ゲームとの出会いが待っていますように……。

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