インタビュー
KOYABU SONIC 2023に「フォートナイト」参戦! なぜ音楽×お笑いのフェスにゲームのエリアを新設したのか,主宰の小籔千豊さんに話を聞いた
4年振りに開催される同イベントに,Epic Gamesのバトルロイヤルゲーム「フォートナイト」(PC / PS5 / Xbox Series X|S / PS4 / Xbox One / Nintendo Switch / iOS / Android)のエリアが新設されることが発表となったのが7月24日のこと。音楽と笑いのフェスに,新機軸としてゲームが加わるのだ。同エリアは,著名なフォートナイトプレイヤーや配信者を招き,一緒にプレイしたり,その模様を観戦したりできる場所になるという。
なぜ音楽×お笑いのフェスに,新たにゲームのエリアを設けようと考えたのか。フェスの主宰であり立ち上げ人,そしてフォートナイト下手くそおじさん(@user-cw9fl8os4c)として活動するフォートナイトプレイヤーとして知られる吉本興業所属の芸人・小籔千豊さんに,その理由や思いについて聞いてきた。
KOYABU SONIC(コヤブソニック)公式サイト
僕なりのフォートナイトへの恩返しの形です――コヤブソニックにフォートナイトが参戦する理由
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。コヤブソニックにフォートナイトのエリアが新設されると聞きました。
小籔さんと言えば,フォートナイト下手くそおじさんとしてフォートナイトのプレイヤーには知られていますが,まずはあらためてフォートナイトを始めたきっかけやどうハマっていったのかを教えてください。
小籔さん:
子どものころや学生時代はゲームをやっていたんですけど,結婚して,お父さんなって,新喜劇の座長で忙しなって,バンドの練習もあるとなって,ゲームする時間なんかないと。それで,一人でゲームするってことはなかったんですけど,うちの下の男の子がゲームが好きで,「パパやろう」って言われて遊ぶみたいなのはあったんですね。
子どもは,嫁はんから「ゲームは1日1時間」って言われてるんですけど,パパとの時間はそれに含まれていないんで,パパを誘えばゲームできる時間が増えると思ったんでしょうね,多分。
4Gamer:
(笑)。子どものころ,同じようなことをした記憶があります。
小籔さん:
でも,台本考えないかんし,ドラムの練習もあるし,そんなに相手はできなくて。1個やって「もうええわ」,今度また違うゲームやって「もうええわ」みたいな繰り返しやったんですが,そのなかでフォートナイトはえらく熱心で,何度も誘ってきたんです。
そうして一緒にやっているうち,最初は「難しいわ」「分からん」だったのが,「これなんでこうなってんの」「なんでそれできるの」みたいに子どもに聞くようになって,それが「なるほどなあ。もう1回やらせて」になって,気がついたらハマってたって感じですね。
4Gamer:
フォートナイト下手くそおじさんとしてゲーム配信を始めたのは,どういうきっかけだったんでしょう。
小籔さん:
「フォートナイト面白いけど,あかん,やりすぎている」って,こんなに仕事じゃないことに時間を費やしているのはヤバいなって思っていて。ちょうどそんなときに,YouTubeやらないかって話があったんです。それで,仕事という形にもなるし「フォートナイトやったらやりますわ」と。
始めたのが2020年の2月なんですが,そこから1か月後に新型コロナで新喜劇が休みなって,テレビの収録も延期になってという時期に入ったんですね。
4Gamer:
配信が活動的だったのには,そういった理由もあったんですね。
ゲームプレイも配信の内容もかなりストイックな印象があるんですが,なぜこういったスタンスで配信に取り組まれるようになったのでしょう。
小籔さん:
最初はほんまエンジョイ勢で,野球で例えると,おっさん同士の草野球をやっていた感じだったんです。YouTubeにはゲーム配信というジャンルのプロの人たちがいて,そういう人たちが大谷翔平選手だとしたら,僕は草野球をやっている,野球経験もそんなにないただのおっさんで。
まあでも,それも楽しいわけです。楽しいけど,「でも,それだけではあかんな」って思ったんですね。
4Gamer:
それはどういったあたりでしょうか。
小籔さん:
先人たちが切り開き,盛り上げてきたフォートナイトのゲーム配信という世界に,後から来たおっさんの芸人が土足で入ってくる。それって,「あいつなんやねん」「流行ってるからってやり出したわ」って思うやろうと。
YouTubeの世界にお世話になるわけじゃないですか。だから,先人たちに感謝しつつ 「ちゃうんすよ。僕ガチなんですよ」という姿勢を見せなきゃいけないし,自分の配信のことを考えるだけじゃなくて,フォートナイトの世界になにか貢献できることをしなきゃあかんと思ったんですね。
4Gamer:
なるほど。ここから本題ですが,ではなぜ,コヤブソニック2023にゲームエリアを設けようと考えたんでしょうか。
小籔さん:
フォートナイトの世界になにか貢献したい,恩返しがしたい。いや,しなければならないって,その気持ちは強くなっていたんですね。
それで,オンラインで親子大会を開いたりしたんですが,ほかに僕ができる,先輩配信者や先輩リスナーが「小籔がフォートナイトのゲーム配信の世界に来てくれてよかった」って喜んでもらえること,貢献できることってなんやろうなと考えていたとき「コヤブソニックがあるな」となったんですね。
コヤブソニックにくるお客さん,みんながみんなゲームが好きとは限らないですけど,「なんかやってるなあ」っていろいろな人に興味を持ってもらえたら,フォートナイトのファンが喜んでくれるかもしれない。ゲーム好きの家族やったら,「私はステージ観に行くけど,その間あんたらはフォートナイトのとこ行ってる?」みたいに楽しんでくれるかもしれない。そう考えてゲームのエリア作ろうって思った感じです。
で,それはフォートナイト側の視点なんですよ。もう一つ,フェス側の視点からの理由もあるんですね。
4Gamer:
フェスを長年開催している小籔さんとして,ですね。ぜひ聞かせてください。
小籔さん:
“音楽とお笑いとゲームのフェス”ってまだないし,それを実現できるんやったら,僕がフェスをやらせていただく意味もあると思ったんです。
コヤブソニックを始めた2008年からコロナ入る前くらいまで,音楽とお笑いのフェスってあまりなかったけど,いまは珍しくなくなっているんですよね。もう,僕がやる必要なくなってきてるんですよ。フェス自体を。
前は「ほかに誰もやっていないから」っていうのがあったけど,もうみんなやっている。そうなると「なんでこんなやつがフェスやってんねん」ってなるから。
4Gamer:
いえいえ,コヤブソニックはその先駆者ですし,ここまでの規模のものはなかなかないですから。ただ,たしかに珍しいものではなくなりつつありますね。
小籔さん:
「みんなやってるし,それやったらほか行くわ」みたいな気持ちもあるし,フェス,どないしようと思っていたんです。それなら,フォートナイトを広めたいし,フェスにゲームを足してみようか。音楽とゲームのフェス,音楽とお笑いのフェスはあっても,音楽とお笑い,そしてゲームっていう3つを揃えて,きっちり同じ熱量でやっているフェスっていままでないよなと思ったら,これはやってみる価値あるなと。これがフェス側の視点での理由ですね。
4Gamer:
音楽とお笑いと同じ熱量で,というお話でいうと,公式サイトで出演者を見て驚きました。
発表されたときは,ちょっとした一角にゲームを遊べるコーナーを設けて,たまにゲストが顔を出すくらいのものをイメージしていたんですが,著名なプレイヤーや配信者の名前がたくさん並んでいて。このメンバーを集めてのオンサイトのイベントを行うのは大変ではないかと感じました。
小籔さん:
そうですね。いろいろありますけれども,まず,何人お客さんが来るのかのめどが立てられなくて,どれくらいの席数を用意していいかがまったく分からないのが大きいなあと。
フォートナイトのエリアが有料で,例えば「エリア入場券付きチケット」みたいなチケットの売り方をしていれば,そのチケットが売れた枚数を見て決められますけど,エリアは無料で,フェスのチケットを持っていれば行き来は自由ですから,そういう想定のしかたができないんですね。マジで5人の可能性もあるし,700人の可能性もあると思っています。
4Gamer:
さすがに5人以上は……っ! と思いますが,やはりこの規模のイベントだと,席数はもちろん機材を揃えたりセッティングしたりも相当ですよね。
小籔さん:
これのための舞台を作って,イスとテーブル並べて,PC並べて,後ろに大きいモニター置いて,それにフォートナイト映るように線つないで。あと,ラグがあったらダメだから,フォートナイトのエリアのためだけの回線も引いてますからね。
それをやってくれるスタッフは本当に優秀な人たちが揃ってるんですが,そういう彼らの労力もめちゃくちゃかかっていますし。
4Gamer:
音楽やお笑いのライブとはまた違った労力のかけ方やコストの発生がありますよね。
小籔さん:
お金って話に限ると,コヤブソニック全体にとって,フォートナイトのエリアは言ってしまえば負債なんですね。
このエリアに入るために別でお金を取っているわけじゃないから,お客さんにいっぱい来てもらえないと,何のためにやったかが伝わらない。「なんでこれに,こんなにお金かけたん?」ってなるんですね。だから,フォートナイト好きな人に足を運んでほしいんですよ。
4Gamer:
こういうイベントの“利益ではないところの価値”って,なかなか評価されにくいところがあったりしますよね。
小籔さん:
それは,最初に「コヤブソニックでゲームのエリア作りたいです」って会社に話すときに大変だったことですね。
「このゲームはこれだけ世界的に有名です」「これだけ有名な人が参加するって言ってくれています」ってどれだけ熱弁しても,それがなかなか伝わらないんですよ。じゃあ逆の立場になって,ぜんぜん知らないゲームとかスポーツの話されて,その競技のすごい人が参加しますって聞かされたら「あー,そうですか」になるし,それはそれで仕方ないんですが,この説得はひと苦労でした。
ただそのあたりは,Epic Games Japanの皆さんがすごくサポートやバックアップをしてくれて。Epic Gamesとの法務的な手続きとかもですが,本当にありがたかったです。
4Gamer:
それだけのコストと苦労がかかるとしても,フォートナイトへの貢献のためにやりたいと。
小籔さん:
たくさんのお客さんが来てくれたら,来年以降もできるかもしれないし,このエリア自体にスポンサーがついたり,もっといろんな人を呼べたりするかもしれない。でも5人しか来なかったらもうできなくなる。試金石であり挑戦なので,なんとか成功させたいなと思っています。
4Gamer:
YouTubeやSNSでも小籔さんご自身が語られていますが,あらためてフォートナイトのエリアでなにが行われるのか教えてください。
小籔さん:
エリアには出演者で名前が出ているプレイヤーの皆さんの誰かしらがいます。エリアに来た人は,箱に札を入れて,抽選で当たったらそのプレイヤーと一緒にゲームができます。観るだけなら15歳未満の人も大丈夫ですが,ゲームに参加できるのは15歳以上,参加したい人は自分の使い慣れたキーボードとマウスやコントローラを持ってきてください。Switchでも参加できます。
あとはひたすら,一戦終わったら次,その一戦が終わったらまた次と,スクワッドを繰り返す感じですね。
4Gamer:
それを3日間と。ストイックな内容です。
小籔さん:
このメンバーとスクワッドできるって,そうそうない機会だと思うんです。そもそも,配信で見たことがあっても,本当に会えるってこれまでないですし,オンラインで一緒にプレイすることだってめったにない人たちですから。
お客さんがどれくらい来るか次第で,何とも言えないところもあるんですけど,ゲームに参加できない年齢の子がたくさんいたら,サイン会とかもやろうと思っていますんで。
4Gamer:
ああ,それはフォートナイト好きの保護者も喜びますね。
小籔さん:
ですよね。あんまり子どもいなかったら,15歳以上の人たちも混ぜて。
本当に,それぐらい光り輝いている方々が集まるわけですよ。そんな人たちに会えて,しかも一緒にスクワッドできるというのは,このエリアのめちゃめちゃ大きな魅力ですね。
4Gamer:
最後に,フォートナイトのエリアができることでコヤブソニックに興味を持った人,行くかどうか検討している人にイベント全体のオススメのポイントをお願いします。
小籔さん:
僕がお客さんやったら行きたいなと思うイベントを作ってます。
僕はもう50歳になるおっさんなので,駅から遠いとか,外にずっとおるとかっていうのはもう無理なんですね。でも,コヤブソニックの会場はインテックス大阪です。地下鉄の駅からすぐで,屋内だからしんどくなっても安全に過ごせます。
女性のトイレをたくさん用意していますし,携帯の充電スポットもあります。子どもがなかに入ってピョンピョン跳ねて遊ぶやつとか,滑り台とか,縁日みたいな場所もあります。子ども専用のトイレもあるので,子どものピンチのときも安心です。各段,トイレに並ばなくても済むフェスだという風に思っていただければと。
「夏フェスか。暑いんちゃうん。体力いるんちゃうん。遠いんちゃうん。しんどいんちゃうん。子供連れて行きにくいんとちゃうん」と,そう思っている方々も,まずは公式サイトを見たり,参加したことがある人の話を聞いたりしてみてください。僕みたいなおっさんもお子さん連れも,フォートナイトのファンも,いろいろな人に楽しんでほしいです。
4Gamer:
音楽好き,お笑い好き,そしてゲーム好きとしてもイベントの成功を祈っています。今日はありがとうございました。
KOYABU SONIC 2023 公演情報
開催日時:2023年9月16日(土),17日(日),18日(月・祝)
会場:インテックス大阪4号館,5号館(大阪市住之江区南港北1-5-102)
主催・企画:吉本興業株式会社
制作協力:キョードー大阪
【チケット情報(一般販売)】
FANYチケット / チケットぴあ / ローソンチケット / e+(イープラス)
【公式サイト,SNS】
KOYABU SONIC公式サイト:http://www.koyabusonic.com/
Twitter:@koyabusonicfest
Instagram:@koyasoni
※各種情報は,2023年8月26日時点のものです
KOYABU SONIC(コヤブソニック)公式サイト
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