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「クロックタワー」の“精神的続編”となる「NightCry」のプレイレポート。開発を手がけるヌードメーカー・河野一二三氏へのインタビューも掲載
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印刷2016/02/10 00:00

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「クロックタワー」の“精神的続編”となる「NightCry」のプレイレポート。開発を手がけるヌードメーカー・河野一二三氏へのインタビューも掲載

 2016年1月30日と31日に開催された闘会議2016の「デジゲー博.SPECIAL in 闘会議2016」に,ヌードメーカーの河野一二三氏が手がけるホラーゲーム「NightCry」PC / PS Vita / iOS / Android)がプレイアブル出展されていた。

 河野氏が過去に手がけた「クロックタワー」シリーズの“精神的続編”として企画された本作は,2015年1月から2月にかけて行われたクラウドファンディングでの資金調達に成功し,2016年の発売を目指して開発が進められている。本稿ではそのプレイレポートと,河野氏へのインタビューの模様をお届けしよう。

会場にはPC版が2台出展され,プレイした人が感想やメッセージなどを書き込めるノートも置かれていた
画像集 No.001のサムネイル画像 / 「クロックタワー」の“精神的続編”となる「NightCry」のプレイレポート。開発を手がけるヌードメーカー・河野一二三氏へのインタビューも掲載

 会場でプレイできたのは,チャプター1の冒頭だ。主人公のモニカ・フローレスは,豪華客船「オシアニス号」に乗船しているという設定で,まずは船内を歩き回ってみる。

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 操作はマウスのみで行うクリックオペレーションとなっており,モニカはクリックした場所に移動し,ダブルクリックで走る。会話ができたり調べられたりする場所ではポインタの形が変わるなど,ちょっと懐かしい雰囲気だ。カメラは特定の場所まで移動すると自動で切り替わる仕組みで,プレイヤーは操作できない。

 そんな感じで歩いていると。無表情のまま血まみれの首筋をかきむしっているボーイや,不気味に笑う老婆と遭遇するなど,船内の様子が何となくおかしいことが分かってくる。

 そして,決定的な恐怖が訪れるのは,友人のハリーが自動販売機に食われてしまうというショッキングなシーンだ。上半身を取り出し口に引き込まれて絶命したハリーの血だまりから,巨大なハサミを持った怪物,シザーウォーカーが現れる。
 戦って勝てるような相手ではないとすぐに分かったので,逃げようとするのだが,カメラを操作できないのがもどかしい……実は,追われている間は右クリックで振り返り,シザーウォーカーとの距離を確認できることをプレイ後に知った。

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 逃げる途中,目に止まった客室に逃げ込み,クローゼットに入って扉を閉めると,シザーウォーカーが部屋に入ってきて,画面にはレティクルの中央に心臓を描いたようなマークが表示された。どうやらこれにポインタを合わせろということらしいのだが,マークは突然大きく動くので,ポインタが外れてしまうこともある。外れたままだといかにも具合が悪そう(きっとシザーウォーカーに見つかる)だったので必死に合わせて,何とかやりすごすとゲームプレイは終了となった。

 シンプルな操作方法で,特殊な操作が必要になる場面でも「こうすればいいのではないか」と直感的に分かるのは好印象だった。フラグを立てるには同じ人物と何度か会話する必要があることに気付かず,若干詰まり気味になることもあったが,ここも懐かしいアドベンチャーゲームを再現するための仕様ではないだろうか。もちろん“怖さ”はかなりのものなので,ホラー表現が大の苦手でなければぜひプレイしてほしい。

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河野一二三氏ミニインタビュー


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まずは「NightCry」を闘会議へ出展した狙いを聞かせてください。

ヌードメーカー代表取締役 ディレクター 河野一二三氏
画像集 No.010のサムネイル画像 / 「クロックタワー」の“精神的続編”となる「NightCry」のプレイレポート。開発を手がけるヌードメーカー・河野一二三氏へのインタビューも掲載
河野一二三氏(以下,河野氏):
 パブリッシングしていただくPLAYISMさんの提案で,クラウドファンディングのバッカー以外の一般の方にも開発の進捗をお伝えする機会を作ることと,ゲームの形がある程度見えてきたものを触っていただいて,生の声をお聞きしたいということで出展しました。

4Gamer:
 ブースではプレイした人が感想などをノートに書きこんでいましたが,反応はいかがでしょうか。

河野氏:
 「こうしてほしい」というご希望やご指摘をたくさんいただきましたが,ほぼ想定内のものでした。ゲームの根幹に関わる部分での否定はほとんどなかったです。
 ポイント&クリック方式のゲームって,今ではかなり珍しいと思うんですが,僕としては,あえてそれをやるという前提があってのスタートでしたから,普通の操作系にはしないことを考えてここまで作ってきました。その根っこの部分を否定する意見はなかったということなので,安心しています。

4Gamer:
 ポイント&クリックこそが,このゲームの根幹なんですね。

河野氏:
 はい,そこを変えるつもりはないですね。操作性には「クロックタワー」の頃から賛否があって,今の時代に出すのであれば,よりダイレクトな操作感にすべきという声は当然出てくると思うんです。でもダイレクトな操作で遊びたいということなら,ほかにもいい作品はたくさんありますし,わざわざ僕らがインディーズでクラウドファンディングを使ってまで作る必要性はないですから。

4Gamer:
 確かに少し懐かしい手触りでしたが,プレイしていて不満はなかったです。

河野氏:
 それはよかった。ポイント&クリック操作ではあっても,違和感のないプレイフィールになるような努力はしていますので,その甲斐があったということですね。

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4Gamer:
 ゲーム中,マップは表示されないようでしたが,あれはやはりクロックタワーを意識してのものですか?

河野氏:
 はい。マップを出してみようという案もあったんですが,現実感とのバランスもありますし,よくも悪くも古くさいところを意識していているんです。

4Gamer:
 クローゼットに隠れるシーンで心臓のマークにポインタを合わせるところが印象に残りました。

河野氏:
 隠れて息をひそめているときの緊迫感を,ゲームシステムとして表現したんです。雑に名付ければ「息ひそめシステム」です(笑)。追ってくる殺人鬼から逃げて隠れたときに,何かの拍子に声が出てしまうという,ホラー映画の定番シーンの再現で,カーソルを合わせている間は大丈夫だけど,一定時間カーソルが外れてしまうとミスになる。そこでストーリーも分岐するという流れですね。

4Gamer:
 クローゼットに隠れて,あとはじっとしているだけ……と思っているところにあれが来たのでちょっと驚きました。

河野氏:
 隠れるだけで解決できるものと息をひそめるパターン,それとクロックタワーのシステムを継承したクリック連打と,シーンに合わせた演出を用意しています。

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4Gamer:
 隠れるだけでなく,消火器などで撃退することもできるようですね。

河野氏:
 一時的に撃退する手段は多めに用意しています。そういった手段を駆使しながら,なぜこういう事態になったのか,どうすれば生還できるのかを探っていくゲームです。

4Gamer:
 開発の進捗はいかがですか。

河野氏:
 ゲームのデータやシステムの組み込みはほぼ完了しています。ここからは今回の出展でお客様からいただいた意見をもとにしたブラッシュアップやデバッグなどを行う,総仕上げの段階ですね。ゲーム制作はここからが長いんですが。

4Gamer:
 今回出展されたものから大きく変わることはないということでいいでしょうか。

河野氏:
 プレイフィールなどは変わらないと思います。ただ,今回遊んでいただいた人から「何をしていいのか分からない」というご意見をいただいているので,もしかすると序盤に関してはもう少しわかりやすく進められるような調整を入れるかもしれません。

4Gamer:
 チュートリアル的な要素ですね。

河野氏:
 それともう一つ。ライティングやカメラワークはもっと良くなります。ここは僕自身が手掛けているんですが,作り続けているうちに腕が上がってきて,今回お見せした前半よりも,後半のほうがライトもカメラもよくなっているので,もう一度前半も調整します。

4Gamer:
 かなり細かいところまで河野さんご自身が手掛けているようで,ちょっと驚きました。

河野氏:
 バリバリやってます。直接Unityを触っていますし。指示を出すよりも自分でやったほうが早いんですよ。インディーズ作品で人手不足というのも理由の一つですが。

4Gamer:
 ここを見てほしい,というポイントはどこですか。

河野氏:
 クロックタワーらしさをうまく残せた作品になったという手応えはありますので,そこですね。自分自身はごく普通の人間,相手は不死の怪物で,それに追いかけられる恐怖を体験するという部分ですね。当然,腕力では対抗できないので,知恵や勇気で生き延びていくというゲーム性は,本作でも表現できたと思います。

4Gamer:
 ホラーゲームなので当然の演出とは思うんですが,冒頭からなんとなく不穏な空気が漂っていたのも印象的です。

河野氏:
 今回はちょっとデヴィッド・リンチの作品を意識していて,「ツイン・ピークス」のように,胡散臭いキャラクターがいっぱいいて,非日常に入る前から,どこか歪んだ世界だということを臭わせているんです。そこから非日常に放り込まれる感じは,クロックタワーを意識した演出ですね。

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4Gamer:
 あの人たちは現実の人間なんですか。

河野氏:
 そこについては,僕がこうなんですと説明するよりは,プレイしたみなさんのご想像にお任せしたいですね。実際にゲームをプレイして,受け止めた通りのものという考え方でいいと思います。

4Gamer:
 ということは,彼らが物語の伏線になっているというわけではないのでしょうか。

河野氏:
 詳しくは言えませんが,本作の3つあるチャプターは時系列順になっていません。そして,チャプター1と2で体験したことが,3でギュッと収束するようになっています。

4Gamer:
 いろいろと仕掛けがありそうですね。ホラー的な演出としては,序盤からショッキングな描写もありました。

河野氏:
 あれはまだ可愛い方で,後半はもっとショッキングなシーンもありますよ。ただ全体の構成としては,単純にグロいから怖いというチープなものではなく,演出上必要なものとして入れていますし,グロ以外でもちゃんと怖がっていただけるかと思います。

4Gamer:
 乗客がやられるシーンは,あれ以外にもあるのでしょうか。

河野氏:
 そのための乗客ですから(笑)。さすがに全員死ぬということにはなりませんが。「ザ・グリード」という,巨大なゴカイが豪華客船を襲うというホラー映画のキャッチコピーは「3000人を食い尽くす」みたいな派手なものでしたが,劇中で実際に食われているのは10人ぐらいでしたよね(笑)。

4Gamer:
 見ていないところでも実は殺されていると理解することにします(笑)。主人公のモニカも,ミスすれば殺されてしまうんですよね。

河野氏:
 ええ,バラエティ豊かな死に様を用意していて,それをコレクションする要素もあります。ちょっとした運が絡む,隠し的な死に方もありますので,ぜひ探してみてください。

4Gamer:
 ちなみに,NightCry(夜泣き)というタイトルにはどういう意図があるのでしょうか。

河野氏:
 「赤ん坊の泣き声」と「ホラー」を絡めると,いろいろと連想できると思いますし,シザーウォーカーの生い立ちのような部分との関係もあります。

4Gamer:
 シザーウォーカーは,神出鬼没の殺人鬼のようですが,血だまりから現れたりして,この世の者ではないような印象も受けました。

河野氏:
 そのへんも生い立ちに関係しています。ゲームを終えた後に清水監督(清水 崇氏)のPVを見ると,分かることがあるかもしれません。


4Gamer:
 あの映像はイメージ的なものではなく,ちゃんと物語に関係しているんですね。

河野氏:
 ゲームで触れていない部分を,あの映像で補完している。というのがより正しい表現かと思います。

4Gamer:
 なるほど。今回試遊できたのはPC版でしたが,PS Vita版やスマートフォン版との違いはあるのでしょうか。

河野氏:
 PS Vitaやスマートフォンには当然ながらマウスはありませんし,画面の解像度も違いますから,そこは最適化しますが,それ以外の部分に関しては未定です。プラットフォームごとに,喜んでいただけるようなものを入れたい気持ちはあるんですが,作業的に「もう限界」というところまで来ていまして……(笑)。
 後から発売されるものに追加要素を入れることになったら,先に発売したほうにはDLCとして提供する,といったことはやってみたいですね。

4Gamer:
 CAMPFIREのクラウドファンディング達成で,日本語吹き替えにも対応されるそうですが,そちらの開発の進捗はどうでしょうか。

河野氏:
 まだ詳しくはお話できないんですが,収録自体は既に終了しています。キャスティングはPLAYISMさんにお願いしたんですが,凄く豪華な顔触れで,僕自身も納得のいく内容になりました。キャストの方々の発表はもう少しお待ちいただきたいのですが、ぜひ期待していただきたいです。

4Gamer:
 気になる発売日ですが,いつ頃になりそうですか。

河野氏:
 すでに調整段階まで来ているので,発表している通りの2016年に発売できると思います。正式な日程についてはもうしばらくお待ちください。

4Gamer:
 では最後に,本作に期待している方へひと言メッセージをいただけますか。

河野氏:
 ここまで作ってこられたのは,応援してくれたバッカーさんをはじめとして,開発に協力していただいたみなさんのおかげだと思っています。僕らもその思いに応えるために,お預かりした資金の限界を突破するぐらいの作品にするつもりです。クロックタワーのファンはもちろんですが,プレイ経験がなくても,ホラーゲーム好きであれば,こんな独特の操作感覚のゲームがあったか,と楽しんでいただけるのではないでしょうか。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

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