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この連載「昭和・平成レトロボードゲーム大百科」でも紹介しましたが,タカラ(当時)を代表するボードゲームといえば,間違いなく「人生ゲーム」です。
では「その次は?」と言われたら,おそらく今回紹介する「億万長者ゲーム」ではないでしょうか。昭和43年(1968年)の人生ゲームの発売から5年後,昭和48年(1973年)に発売された本作は,目的こそ人生ゲームと同じ億万長者ですが,こちらはビジネスで成功しての億万長者という,大人の雰囲気漂うゲームとなっています。
コマまで億万長者という徹底っぷり
ということで,さっそく今回もパッケージイラストから見ていきましょう。立体的でズーンと迫ってくるような「億万長者ゲーム」の巨大文字。その手前に,金のサングラス&スーツ姿の男が,装飾バリバリの椅子に足を組んで座っている,インパクトの塊のようなビジュアルです。実際に会ったことはありませんが,おそらく昭和の億万長者とはこんな男なのでしょう。
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そしてゲーム盤を見ると,まずは中央に,タカラのゲームでは外すことのできない,あのルーレットが。本作は,そのルーレットを中心に二層に分かれたルートを巡る,周回型ゲームとなっています。
ゲームの流れを簡単に説明しましょう。最初に内側の「資本金稼ぎゾーン」と呼ばれるエリアを周回し,そこで潤沢な資本金を稼いだら,世界市場と呼ばれる外側のエリアに向かいます。ここには世界各地の都市名が書かれたマス目が並んでおり,それらを回りながら特等地と呼ばれる大都市にビルを建設。そのビルを,自分もしくは誰かが3階建てにした時点でゲームは終了し,そのときに一番多く財産を所有していたプレイヤーが真の「億万長者」となります。
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といったことを踏まえてプレイの準備です。それぞれ好きな色のプレイヤーコマを選びスタート位置に置きます。ちなみにコマは,パッケージイラストのような椅子に座った人物を模しています。
続いてコマの色と同色のビルコマ10個を受け取ります。そして人生ゲームと同様に,誰かが銀行役を担当し,各紙幣を整理箱に並べます。
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さらに,特等地別に用意されている株券や,事業拡張カード,税金カードなどのアクシデント系カードも所定の位置に。最後に産業スパイのコマを産業スパイマスに置いたら準備完了です。
まずは海外進出に必要な30万ドルを稼げ!
ゲームを開始したら,さっそく内側の「資本金稼ぎゾーン」を周回してお金を稼ぎます。順番にルーレットを回して出た数だけマスを進み,止まったマスの指示に従ってお金をもらったり,払ったり。ここでの目的は文字通り海外進出のための資本金を稼ぐことで,そのために必要な最低金額は30万ドルとなっています。
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ただ,資本金稼ぎゾーンは16マス中11マスがお金をもらえるマスなので,30万ドル稼ぐのにあまり苦労はしません。しかも1周するごとに(給料日のマスを通過するごとに)10万ドルが支給されるので,遅くとも3周すれば30万ドル以上貯まります。
いくつか特徴的なマスを紹介しておきましょう。まずは「宝くじ当たる」マス。なんといきなり20万ドルという,このゾーンにおける最高額をゲットできるマスとなります。つづいて「ギャンブルコーナー」マス。ここではルーレットを回して出た数字×1万ドルをもらえるので,ギャンブルとはいってもノーリスクです。
もう1つ挙げるとしたら「仕事でミス」マス。ここはお金が減るわけではないのですが,プレイヤー全員から手の甲にしっぺをもらうという,令和の現在では訴訟や警察沙汰にもなりかねないと思える微妙なマス。ただ,筆者がプレイしていた昭和の時代は,しっぺはわりとポピュラーな罰ゲームで,当時は笑ってバシバシやり合ってました。
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そんなこんなを繰り広げ,30万ドル稼いだプレイヤーから順に世界市場へ……という流れですが,この30万ドルはあくまでも最低限の金額で,世界市場で戦っていくにはやや厳しい。可能なら,それよりやや多めの40〜50万ドル稼いで出たいところです。
ただ,当然早く世界市場に出たほうが早くビルを建てられますし,株も買えるので,世界市場への進出タイミングの見極めはとても重要。また,資本金稼ぎゾーンを最後に出たプレイヤーは,罰金として5万ドル払わされるので,そうならないようにほかのプレイヤーの動向も常にチェックが必要です。
本番の世界市場! 特等地にビルを建てろ!
世界市場に飛び出したら,いよいよ各地にビルを建てていきます。なお都市には大きく分けて2種類あり,1つは普通の都市,色でいうと青系のマスです。そのマスに止まったらビルを建てるために,1万〜3万ドルの権利金を支払います。金額に差はあるものの,割とリーズナブルな金額といえるでしょう。購入したら,その都市にビルを建てたということで,マスに自分のビルコマを1個置けます。
以降,ビルを建てた都市のマスに別のプレイヤーが止まったら,そのプレイヤーからマスに書かれた営業利益の金額を徴収できて,これが世界市場での収入源の1つになります。
また,世界市場の2周目以降に,自分のビルがあるマスに止まって再度権利金を払えば,ビルを2階建て,最高3階建てにでき,積み上げた分だけ営業利益も上がります。ただ準備の説明でも書きましたが,プレイヤーが持っているビルコマは全部で10個なので,所持金や建てる都市もよく考えて建てる必要があります。
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もう1つがこのゲームにおける重要都市,ピンクのマスになっている特等地。具体的にいうと東京,パリ,ロンドン,ニューヨーク,モスクワの5都市です。特等地も普通の都市と同様に,そのマスに止まって権利金を払えばビルを建てられますが,金額は10万ドルとかなり高額です。ただ,それだけにほかのプレイヤーがこのマスに止まったときの営業利益も大きく,さらに,購入後,その都市の親株券(6万ドル)がもらえます。
また特等地のビルも,周回して再度止まり,権利金を払えば2階建てにできます。そして,さらにもう一度止まって3階建てにしたところで,このゲームは終了となります。つまりゴールの役割も兼ねているので,少なくとも1都市は押さえたいところです。しかも特等地に限り,3階建てにするときに払う権利金10万ドルが無料となるゴールボーナスが設定されています。勝敗を決する最後の精算で,このボーナスが大きく影響してきます。
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ハイリスクでも株券を買って儲けろ!
さて,世界市場でのもう1つの大きな収入源が株です。先ほど特等地にビルを建てた際に親株がもらえることについて書きましたが,株は特等地購入以外にも「証券取引所」や「株券売買」のマスで購入できます。
まず証券取引所ですが,このマスに止まったら欲しい特等地の子株(3万ドル)を1枚購入できます。次に株券売買のマスでは,証券取引所での購入のほかに,ほかのプレイヤーが持っている子株(親株は不可)を3倍の値段(9万ドル)で購入することもできます。どちらの場合も買えるのは株券1枚なので,より有利になる株券を購入したいところです。
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そして株券を手にしたうえで株式相場のマスに止まると,株で勝負できます。ルーレットを回して出た数字によって,持っている株の利益または損失が確定。損益額には,持っている株の枚数が大きく影響するので,株の所持数が勝負の分かれ目となります。
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そして株券を使った最大の攻撃手段が「乗っ取り」です。このゲームにおける特等地の優位性は先ほど説明しましたが,そもそもルーレットで特等地のマスに止まらなければ手に入れられないので,場合によってはまったく止まれず,ほかのプレイヤーにすべての特等地を奪われてしまうこともあります。
ただその打開策として,その特等地の子株を4枚買い揃えて乗っ取る方法が用意されているのです。乗っ取られたプレイヤーは親株を乗っ取り側のプレイヤーに渡し,自分が建てたビルを撤去。逆に乗っ取ったプレイヤーは,そこに建っていたビルと同じ階数のビルを新たに建てることができます。なので,乗っ取った特等地のビルが2階建てだった場合は,一気に2階建てにでき,次にもう一度そこに止まればゴールとなるので,大逆転も狙えます。
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なので,特等地保有者としては,乗っ取りをさせないため,所有している特等地の子株を2枚以上買っておいたほうがいいでしょう。
税金カードで払い,事業拡張カードでもらう
さて,そのほかのマスについてもいくつか紹介しておきましょう。まず「税金カード」と「事業拡張カード」は,どちらもそれぞれのマスに止まった際に引くカードです。名前からも分かるように,税金カードはほとんどの場合で支払いを請求され,事業拡張カードの多くはお金がもらえる内容となっています。
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そして「倒産」マス。ここに止まったら,これまでに建てたビルの中から1つを撤去しなくてはなりません。権利金の高い低いに関係なく1個撤去なので,ここに止まったときの保険として,安いビルを1つ以上建てておくことをオススメします。ちなみに倒産マスは2か所あります。
「国際空港」のマスに止まったら,その真上にある,資本金稼ぎゾーンのエンタープライズ空港に飛んで,1周だけ資本金稼ぎゾーンを周回することになります。給料日マスを通過するので,確実に10万ドル以上稼いだうえで,再び国際空港マスから世界市場に戻れます。ゲーム後半で資金難になったときにはかなり助かります。
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産業スパイになってライバルから利益を盗み取れ!
さて,世界市場においてもっとも特殊なマスが「産業スパイ」です。プレイヤーがこのマスに止まったら,使っているプレイヤーコマを白い産業スパイコマに変更して,世界市場を1周することになります。
これまでと同様にルーレットの数に従って移動しますが,できることに制限があり,ビルの建設も株券の購入も不可。税金カードや事業拡張カードも引けず,国際空港も利用できません。
ただし,ほかのプレイヤーがビルを建てている都市のマスに止まったら,本来なら払うはずの営業利益を逆に自分の懐へ入れることができます。つまり産業スパイになっているあいだは,できるだけほかのプレイヤーがビルを建てた都市のマスに止まり,営業利益を盗み取っていくプレイになります。
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ただ,そんな産業スパイも1つだけ気をつけたいのが「拘置所」のマス。普通のプレイヤーがここに止まってもペナルティはありませんが,産業スパイだけは15万ドルという高額な保釈金を払わなくてはなりません。なお,足りなかったら株券やビルを売ってお金を工面する必要があります。
このゲームでは,銀行で株券やビルをお金に変えられないので,お金が足りないときはその場で競りを行い,ほかのプレイヤーに買い取ってもらうことになります。それでも足りなかった場合は,約束手形での借金になります。
ビルが売れた場合は,それを取り払い,買ったプレイヤーが,もともとあったビルと同じ階数のビルを新たに建て直すことができます。
特等地のビルを2階建てにしてからが意外と大変
そんなこんなを繰り返し,自分が購入した特等地のビルを2階にしたら,あとはもう1度その特等地のマスに止まってゴールイン……するだけなんですが,意外と難儀します。
そもそもルーレットでそのマスにピッタリ止まれる確率は10分の1。もちろん,あっさり目当ての数字が出てゴールインできる場合もありますが,筆者の経験から書かせてもらうと,そう簡単には出ません……。
特等地の2階建てビルを複数持っていればゴールの数も増えますが,1個だけの場合は止まれなかったからもう1周,また止まれなかったからもう1周というループにハマることも多くなります。実のところ,このループ中に倒産のマスやほかのプレイヤーの高額な特等地マスに止まって順位を落とすことはよくあります。
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正直,このゴールのしにくさは何とかならないかと思ったこともありますが,過去にこの連載でも書いたことがあるように,こういったバランスの悪さも含めてレトロボードゲームなので,「いつになったらゴールできるんだぁ」とか言いながら楽しんでください。
そんな苦労の末,自分もしくは誰かが特等地にゴールし,ビルを3階建てにしたら,いよいよ精算です。精算は以下のような相場で行われ,そこに自分の所持金を加算します。
- 特等地3階建て……60万ドル
- 特等地2階建て……40万ドル
- 特等地1階建て……20万ドル
- 普通の都市……権利金の倍額
- 親株券1枚……10万ドル
- 子株券1枚……5万ドル
その結果,一番多くお金を持っていたプレイヤーが優勝となります。いつ終わるかわからないルーレットによる運任せな部分もありますが,ビルで得られる営業利益と株式相場でうまく稼いで,夢の億万長者を目指しましょう。
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なお今回の「億万長者ゲーム」も,筆者が経営している「Book CAFE ヨミヤスミ」のイベント「8時だョ!レトロボードゲーム」にてプレイできますので,よかったらご参加ください。
■■Book CAFE ヨミヤスミ■■
京王線の京王多摩川駅から徒歩6分ほどの場所にあるブックカフェ。1980〜90年代の本や雑誌,漫画に加えて,パソコン雑誌やゲームブックなども揃っています。
毎週末開催されるイベント「8時だョ!レトロボードゲーム」では,本連載で紹介したものをはじめとしたレトロボードゲームをプレイできますので,下記のイベントサイトでお申し込みのうえ,ぜひご来店ください。
公式サイト:https://sites.google.com/view/yomiyasumi
公式イベントサイト:https://sites.google.com/view/yomiyasumi-8jidayo
公式X:https://x.com/yomiyasumi

































