「そうだ アニメ，見よう」第94回は近未来サスペンス「PSYCHO-PASS サイコパス 3」。シリーズ最新作は新コンビ“灼と炯”が活躍

　2012年10月から2013年3月にかけて放送されたオリジナルTVアニメーション「PSYCHO-PASS サイコパス」。“人々の精神が数値化され，管理される”近未来の世界を描いた本作は，「踊る大捜査線」シリーズを手がけた本広克行氏が総監督を務め，「魔法少女まどか☆マギカ」の虚淵玄氏がストーリー原案・脚本を担当し，今なお人気を誇るタイトルだ。
　2014年にはTVシリーズ第二期が放送され，その後，劇場版アニメや舞台など多数のメディアへ進出。ゲームでも2016年に「PSYCHO-PASS サイコパス 選択なき幸福」（PS4/PS Vita）が発売されるなど，着々と人気を伸ばしている。

　というわけで「そうだ アニメ，見よう」第94回のタイトルは，10月にスタートしたシリーズ最新作「PSYCHO-PASS サイコパス 3」。アニメーション制作はProduction I.G，シリーズ構成は冲方 丁氏，脚本は深見 真氏，吉上 亮氏が担当。監督は第1作から変わらず，塩谷直義氏が務めている。

「PSYCHO-PASS サイコパス 3」

　2120年の日本。厚生省管轄の巨大監視ネットワーク「シビュラシステム」によって，人々の感情や欲望，社会病質的心理傾向はすべてが記録・管理され，職業適性や恋人適性，果ては罪を犯す可能性のある人間“潜在犯”の特定までが可能となっていた。
　その潜在犯を取り締まる，厚生省公安局刑事課一係に配属された新人監視官の慎導 灼（CV：梶 裕貴）と炯・ミハイル・イグナトフ（CV：中村悠一）は，ハイパー・トランスポート社の大型輸送ドローンが墜落した事故の調査に乗り出す。

　灼と炯は，そこで同社の会計士である旭・リック・フェロウズが行方不明になっていることを知り，捜索のため，灼は追跡対象者に成り切る＜メンタルトレース＞を行いリックの行動を追う。
　しかし，リックは遺体で発見され，状況的に事故死と判断されてしまう。リックの死に違和感を抱いた灼と炯は捜査を続行し，事故は偽装であり，内部告発の口封じのために事故を仕組んだ人物にたどり着くのだった。

新人ながらも卓越した能力を持つ灼と炯。2人には秘密がある？

　人々が巨大なシステムの下で管理される社会を描いているのが，本作「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズだ。古今東西のフィクション作品で取り上げられるテーマだが，独自の要素として，人間の心理状態や性格傾向を計測し，それを数値化した「PSYCHO-PASS（サイコパス）」と呼ばれるものが登場している。
　このPSYCHO-PASSは，精神的なストレスなどで変化し，一定の数値“犯罪係数”を超えることで“潜在犯”と呼ばれ，犯罪者として逮捕されてしまうのだ。作品中では，生体反応の計測値は“色”として視覚化され，心理状態が健全だと澄んでいる色だが，悪化すると「色相が濁る」と表現される。

犯罪係数を算出し，同時に刑の執行にも使用する装備「ドミネーター」

　シリーズ第一期，第二期では，こうした潜在犯に対処する新人監視官の常守 朱（CV：花澤香菜）と，その相棒となる執行官・狡噛慎也（CV：関 智一）達の活躍が描かれていたが，今回の物語は，二期ラストの約5年後からスタートし，新たな監視官の灼と炯が主人公として登場している。
　厚生省公安局刑事課は，霜月美佳（CV：佐倉綾音）を課長とした新体制となっており，執行官達の顔ぶれも若干変化。なにより，日本政府は従来の鎖国政策を緩和し，段階的に移民を受け入れ始めているのだ。
　「PSYCHO-PASS サイコパス 3」は，開国後の不安定な国内情勢をめぐって巻き起こる，さまざまな事件を中心にストーリーが展開。一連の事件の背後に潜む「ビフロスト」と呼ばれる謎の組織に，新たな「灼と炯」コンビが挑んでいく。

執行官には潜在犯達が選ばれる。元監視官から降格することもある

優秀すぎる“新人”監視官の2人

　新人監視官として配属された灼と炯だが，第一期，二期目の配属されたばかりの頃の朱や美佳と比べると，なんというか“優秀過ぎる”という印象だ。経験のない部分を執行官にフォローしてもらっていた彼女達に比べ，灼と炯は深い洞察力と素早い決断力で，どんどん事件の真相に近づいていく。
　しかも，灼は対象者に成り切り，事件の様子を再現する能力＜メンタルトレース＞で，当時の情報を詳細に入手できるのだ。
　唯一の欠点と言えば，上司の美佳の命令をまるで聞かないことと，メンタルトレースの副作用らしきもの。今後はこの副作用による灼の精神状態と，2人が追っている“ある事件の真相”が物語のキーとなりそうだ。

雨の音でメンタルトレースを発動する灼

かつての公安局刑事課一係のメンバーはどこに？

　灼と炯という新たな登場人物達が活躍するいっぽうで，朱や狡噛達はどうしてしまったのか気なっていた人も多いはず。ストーリーの序盤では行方の分からなかった狡噛と宜野座（CV：野島健児）は，Episode.2「テウメソスの生贄」で外務省海外調整局行動課の職員として登場。華麗な格闘術を披露し，その健勝ぶりをファンに見せてくれた。
　いっぽう，朱はどうやら何か事件を起こし，公安局内に拘束されている模様。朱が灼達と邂逅することはあるのかどうか，また，朱がなぜ捕らえられているのか。「PSYCHO-PASS サイコパス 3」最終話の見どころとなりそうだ。



　1時間枠で1話を放送する，イレギュラーな放送スタイルがとられている本作。これまでのシリーズよりも，政治問題や宗教関連など，事件自体がやや社会派寄りになっているためか，複雑な人間関係や聞きなれない単語が多く，集中してオンエアされるのは，視聴者としては非常に助かると感じた。
　物語では，「ビフロスト」のコングレスマンやインスペクター達が灼達の前に姿を現している。「シビュラに対抗できるのはビフロストだけ」と語る彼らの目的が何なのか，今夜放送の最終話の展開が見逃せないものになりそうだ。
　なお，シリーズの貴重な資料を展示する企画展「PSYCHO-PASS サイコパス資料展 2112→2117 / 2120 in 京都マルイ」が現在，京都で開催されている。会場ではオリジナルグッズの販売も実施されているので，参加希望の人は「こちら」で詳細をチェックしておこう。

「PSYCHO-PASS サイコパス 3」公式サイト

「PSYCHO-PASS サイコパス 3」公式Twitter

放映データ
2019年10月〜

キャスト
慎導 灼：梶 裕貴
炯・ミハイル・イグナトフ：中村悠一
雛河 翔：櫻井孝宏
廿六木天馬：大塚明夫
入江一途：諏訪部順一
如月真緒：名塚佳織
唐之杜志恩：沢城みゆき
霜月美佳：佐倉綾音
ドミネーター：日髙のり子
法斑静火：宮野真守
代銀遙煕：中 博史
裁園寺莢子：田中敦子
小宮カリナ：日笠陽子
ラウンドロビン：森川智之
梓澤廣一：堀内賢雄
小畑千夜：矢作紗友里
狡噛慎也：関 智一
宜野座伸元：野島健児
須郷徹平：東地宏樹
六合塚弥生：伊藤 静
花城フレデリカ：本田貴子
常守 朱：花澤香菜

スタッフ
監督：塩谷直義
シリーズ構成：冲方丁
脚本：深見 真、冲方 丁、吉上 亮
キャラクター原案：天野明
キャラクターデザイン・総作画監督：恩田尚之
色彩設計：鈴木麻希子
美術監督：草森秀一
3Dディレクター：大矢和也
撮影監督：村井沙樹子
撮影視覚効果：荒井栄児
編集：村上義典
音楽：菅野祐悟
音響監督：岩浪美和
オープニング・テーマ：Who-ya Extended「Q-vism」（SMEレコーズ）
エンディング・テーマ：Cö shu Nie「bullet」（ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ）
アニメーション制作：Production I.G

■Blu-ray＆DVD情報

Blu-ray/DVD　第1巻


発売日：2020年 1月22日（水）
価格：Blu-ray 9,000円＋税／DVD 8,000円＋税
品番：Blu-ray TBR29346D／DVD TDV29351D
仕様：
本編(91分)＋特典映像
【BD】1080p High Definition／16：9ワイドスクリーン／2層(BD50G)／音声：日本語 2.0chリニアPCM
【DVD】MPEG-2／片面2層／音声：日本語 2.0chドルビーデジタル

＜初回生産限定特典＞
【封入特典】
◆シナリオブック（1話・2話）
◆「PSYCHO-PASS サイコパス ３」徹底解説ガイドブック(1)

＜初回・通常共通特典＞
【仕様】
◆キャラクターデザイン・総作画監督： 恩田尚之 描き下ろし特製アウターケース

【映像特典】
◆特別番組『PSYCHO-PASS サイコパス ３』#0
◆PV集

【音声特典】
◆オーディオコメンタリー
（監督：塩谷直義＋音響監督：岩浪美和＋梶 裕貴）
※発売日、収録内容、特典および仕様は予告なく変更になる場合がございます。予めご了承ください。
(C)サイコパス製作委員会