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夏ですね!
最近は雨続きで暑さはそうでもないにしても夏だ! 「ガリガリ君リッチ チョコミント」(※)の季節だ!!
※チョコミン党かつ氷菓派にとって神のアイス。
夏と言えばロケット。そしてロケットと言えば,映画「アルマゲドン」ですね。「アルマゲドン」の監督は(マイケル)ベイ氏。ベイと言えば……「バンゲリングベイ」!
というわけで,今回は夏らしいゲーム,「バンゲリングベイ」でやっていきましょう。見出しに「海」とか書いていますが,“宇宙の海はおれの海”です。SummerのSは宇宙(スペース)のスですし,RocketのRは宇宙船のウで,BungelingのBはブラッドベリのブです。開けてごらん夏のドア!(それはハインライン)
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「バンゲリングベイ」は,ハドソン(当時)から1985年に発売されたファミリーコンピュータ用ソフト。バンゲリング帝国の軍事施設を空母搭載型の攻撃ヘリコプターで叩き潰す,全方位型のシューティングゲームです。ファミリーコンピュータ版をもとにしたアーケード版「VS.バンゲリングベイ」や,ザップ開発・ソニー発売によるMSX版「バンゲリングベイ」も同年にリリースされていました。
続編や移植に恵まれていないにもかかわらず知名度が比較的高い「バンゲリングベイ」ですが,それというのも“クソゲー”としての評判が大きいため。「銀魂」や「高校アフロ田中」など,著名な漫画でもさんざんネタにされていますね。そのように評された主な理由は,前進/後退&左右旋回という操作スタイルや,広大なマップ,根幹を絶たなければRTSのように成長する敵勢力など,当時としては難解な“ファミリーコンピュータのゲームらしからぬ”ゲームデザインだったためでした。
もともと「バンゲリングベイ」は,アメリカのbroderbundから発売されたCommodore 64用ソフト「Raid on Bungeling Bay」でした。Commodore 64版がヒットしたので(あと,当時のハドソン社内でラジコンが流行っていたためだとか)ファミリーコンピュータに移植されたわけですが,ゲームをメインに設計されたファミリーコンピュータと,ホビーパソコンとしての利用をメインに設計されたCommodore 64では処理性能に差があるため,表現できることも異なります。例えばファミリーコンピュータ版「ドンキーコング」はポリーン救出時のハートマークや,ドンキーコングが足場から転落したときのアニメーションなど,アーケード版さながらの演出が盛り込まれているのに,Commodore 64版はそういった部分がオミットされている! Ocean製のMSX版「ドンキーコング」ですらハートマークくらいはあったのに!
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「Raid on Bungeling Bay」は好評を得たそうですが,「ゼビウス」や「バルーンファイト」などの後にリリースされたCommodore 64用ソフトの移植タイトルが,当時の少年少女にとって見劣りするもの,かつ手に馴染まないものだったことは想像に難くありません。いわゆる“洋ゲー”らしい不親切さも相まって,ガリガリ君(当時のフレーバーはソーダ/コーラ/グレープフルーツの3種類)を我慢して貯めたお小遣いでソフトを買ったような日本の少年少女が阿鼻叫喚に……なんか前にも似たような例を取り上げた記憶がありますね。War...war never changes.(人は過ちを繰り返す)
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まあ,市場とのミスマッチがあったにしろ,2Pコントローラのマイクに向かって「ハドソン!」と言うと敵機が襲撃してくるというオリジナル要素は,悪ふざけとしか思えませんが(ハドソンの宣伝戦略だったとか)。ちなみに北米での評価は高くて,アメリカのゲーム雑誌・Computer Gaming Worldは「Action-Strategy Game of the Year for Nintendo」と絶賛したそうですよ。
そんなこんなで当時の少年少女を苦しめた「バンゲリングベイ」ですが,小学館のコロコロコミックとタイアップした宣伝が良くも悪くも効果的だったため,相当数が出荷された(一説によると日米累計で75万本)そうです。その好調なセールスにより,Commodore 64版の開発者・William Ralph Wright氏は,敵施設の成長システムを発展させた“次作”を開発するまでの経済的余裕を得たそうです。その次作というのが,現在はElectronic Artsが権利を有する「シムシティ」でした。ちなみにWright氏をモチーフにして生まれたのが,スーパーファミコン版「シムシティ」のライト博士です。
そう,「シムシティ」が生まれたのは,ハドソンがファミリーコンピュータ版「バンゲリングベイ」を作ったおかげ。ひいては近年の小学生が「SimCity BuildIt」(iOS / Android)で都市計画について学べたりしているのも,1985年の小学生が「バンゲリングベイ」を買っ(てしまっ)たおかげなのです。戦争の悲劇も,時が経てば時代の礎ということなのでしょう……たぶん。
ちなみにバンゲリング帝国は,「ロードランナー」と「チョップリフター」にも登場しています。日本だと「ロードランナー」シリーズはハドソンや旧アイレム,ティーアンドイーソフト(当時)などからリリース,「チョップリフター」シリーズは旧ジャレコやセガ・エンタープライゼス(当時),システムソフトなどからリリースされていましたが,どちらもオリジナルはbroderbund発売でした。
![]() PlayStation用ソフト「ロードランナー・エクストラ」と,SG-1000版「ロードランナー」 |
![]() ファミリーコンピュータ版「チョップリフター」 |
「ロードランナー」はバンゲリング帝国が溜め込んだ金塊を奪取するゲーム,「チョップリフター」はバンゲリング帝国の捕虜となった味方兵士を救出するゲームです。これらと「バンゲリングベイ」は,“バンゲリング帝国三部作”として括られたりもしますが,どれもバンゲリング帝国が出るという以外に設定の統一性はありませんし,ゲームの開発者もそれぞれ異なるので,おそらくbroderbundが販売戦略として後付けした設定なのでしょう。北米コンテンツ特有の無茶なシリーズ化……「超時空要塞マクロス」「超時空騎団サザンクロス」「機甲創世記モスピーダ」を再編したアニメ「Robotech」や,「勇者ライディーン」「超電磁ロボ コン・バトラーV」「惑星ロボ ダンガードA」のロボットから物語を構築し直したコミック「Shogun Warriors」のようなものでしょうか。もしくはタイトーの「ルナーク」にベルサー(「ダライアス」の敵と同名)動物保護法人が出てくるような,ジョークじみたセルフオマージュかもしれませんね。
そんな「ロードランナー」は,現在Tozai Gamesが権利を有していて,今年1月には最新作「ロードランナー・レガシー」のPS4版がリリースされています。公式サイトによると,「ロードランナー・レガシー」の敵は“邪悪な帝国”とのことなので,バンゲリング帝国の設定は辛うじて生きているようです。38年前にApple II用ソフト「Choplifter」の解説文で初登場した“Bungeling Empire”が現代にも受け継がれていると思いながら「ロードランナー・レガシー」をプレイすると,ちょっと感慨深いかもしれません。「ガリガリ君って1981年からあるんだ……」くらいの感慨深さが。
「チョップリフター」も,2012年に「Choplifter HD」としてリメイクされていました。ただ,ストーリーと呼べるようなものはなく,都市・砂漠・ジャングル・雪原と多彩な戦場を渡り歩き,敵としてゾンビが出てきたりもするので,「バンゲリング帝国が敵!」という雰囲気はありません。リメイク自体は良い出来なので,ちょっと残念ですね。
「ロードランナー・レガシー」はPS4のほかPC / Nintendo Switch版も出ていますし,「Choplifter HD」は日本向けの販売が現在は行われていないものの小細工すれば購入できますが,「バンゲリングベイ」にはリメイクがありません。というか,なぜか1980年代から移植に恵まれていません。2018年に発売された「Steel Alcimus」や,今年7月にアーリーアクセスが開始された「Raid on the Zone」など,オマージュ作品もいくつかあるので,ニーズはあると思うのですが……。
バンゲリング帝国の海は,今どこにあるのでしょう。権利関係を追ってみると,1990年にbroderbundの新ベンチャー事業部がTHQに売却されたときか,2001年にUbisoftが「Myst」や「Prince of Persia」などbroderbundのIPを買収したときに移動しているはず。どこだ……。どこに潜んでいるんだバンゲリング帝王!!
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