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[TGS2022]YGG Japanブースセッション「NFTアイテムガチャの普及で一気に広がる 国内「NFTゲーム市場」とマーケットプレイス」レポート
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印刷2022/09/21 21:15

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[TGS2022]YGG Japanブースセッション「NFTアイテムガチャの普及で一気に広がる 国内「NFTゲーム市場」とマーケットプレイス」レポート

 東京ゲームショウ2022のYGG Japan ブースで行われたブロックチェーンやWeb3,NFTなどに関するセッションのなかから,本稿では「NFTアイテムガチャの普及で一気に広がる 国内『NFTゲーム市場』とマーケットプレイス」をレポートしていく。YGG Japanのステージでは,レイヤーに分けて多数のセッションが行われたが,本セッションは根本に近い内容になっている。

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 登壇したのは,tofuNFT VP of Product tokenPocket.inc CEO 中村昴平氏,チューリンガム CBDO 田中 遼氏,double jump.tokyo 取締役 CTO 満足 亮氏。モデレーターは幻冬舎あたらしい経済編集長 コンテンツビジネス局局長 設楽悠介氏。登壇者のいずれも4〜5年,NFTに関わっているため,技術の登場直後からいままでを見てきたともいえる。

今のNFTと振り返り


 この1年〜1年半前から急にNFTが広がった。マーケットプレイスを運営する中村昴平氏は,資産価値が100倍になったり,1/100になったりとジェットコースターみたいな市場であると評する。また,一時期はバズワードにもなっていたが,NFTがチケットや出席証明に採用されるケースも出てきたため,ユーティリティ(有用性)の面で利用される可能性が強くなっているとし,そのひとつが,ゲームへの組み込みだと語った。

 田中 遼氏は,夢のある事例でブロックチェーンやNFTの認知は広がったが,それが起きたのが約1年前で,それ以前は誰もNFTという言葉を知らない状況だったと振り返った。また,業界ではNFTのガイドラインや市場の環境整備を進めているとのこと。今後の日本には必要であり,ようやく土壌が整い始めた印象を持っているそうだ。

 満足 亮氏は,2018年に「My Crypto Heroes」をリリース。同作のキャッチコピーは「ゲームにかけた 時間も お金も 情熱も、あなたの資産となる世界」。TGS 2022でよく見たブロックチェーンゲームが掲げていた路線の先駆けともいえるが,良い結果とはいえなかったと振り返った。
 その経験から,市場の立ち上がりに不安を覚えていたが,ゲームメーカーへのアプローチは続けていたという。そして2021年の頭ごろに,業界内でNFTは禁句になるほどしぼんでいたが,急に盛り上がり,一気に認知が進んだことを実感した。ただ,ユーティリティがないものに価値がつくのはどうなのかという傾向から,ゲームとNFTの関係に注目が集まっているのではないかと分析した。

 設楽悠介氏は,他の登壇者が話したことを踏まえて,国内の状況はインフルエンサーを使って話題を先行させたうえで,「NFTにユーティリティ性はあるが,それはこれから発表していきます」という“雰囲気”で進めているものが多い気がすると,登壇者にぶつけた。その見解は共通しており,現在は“これから”ユーティリティ性を持たせていくという段階だという。また,中村氏はtofuNFTのマーケットプレイスではNFTプロジェクトの99.9%は2週間で出来高がなくなるという状況で,世界共通ではないが,健全ではないとの見方を持っており,継続性を持たせることも必要だとのことだ。


ゲームメーカーの反応は?


 ブロックチェーン業界はゲームを作りたいという展望を持っているが,ゲームメーカーの反応はどうなのだろうか。田中氏はゲーム会社も新しい手法として注目していると思うが,NFTに対する考え方は各社で違うと認識しているという。例えば,NFTでプロフィール画像や限定アイテムを作っていくというモデルは形になったと言えるが,同時にNFTの利用法としては限界を迎えており,ユーティリティ性を持たせるなどの新しい使い方を探っている段階にあるのではないかと語った。
 また,中村氏は,ゲームでNFTを利用するのならば,たくさんのNFTを生成できるような,ゲームに特化したNFTが必要になるのではないかという見解を示した。

 田中氏と中村氏は,「My Crypto Heroes」が一時は世界でもっとも取引のあった背景から,その立ち上げ背景を満足氏に聞いた。
 満足氏は,NFTはいまでこそ資産的な価値を持つものという認識があるが,当時はユーティリティがないと売れない時代だったと振り返る。
 いまでこそチケットの管理や出席証明などで外部のエコシステムが使えるようになってきているが,当時は外部のエコシステムはなく,自分たちだけで完結させる,しかもなるべくブロックチェーン上で完結させることを考えると,ゲームしか選択肢がなかったと背景を語った。また,ゲームは技術の進歩に合わせて発展してきた歴史があり,いずれはブロックチェーンのゲームがくるだろうといった予測もあったそうだ。

 これを受けて田中氏は,NFTは暗号資産(FT)と比べ,金融と切り離して考えられることが普及の切っ掛けになったのではないかと述べた。一方で,法制面や税制面での課題もあり,日本法人ではトークンの発行など,なかなか難しい面もあるという。このあたりの課題に関しては,今まさに議論が進んでいるところであり,徐々に改善されていくのではないかという見方を示した。

 設楽悠介氏は,本題からズレると断ったうえで,NFTを入れたゲームは,最初に「これを買えば遊べる」といったモノが多いが,流動的に取引されるという性質上,あとから始める場合は,「必要なもの」の値段が高くなっていてゲームを遊ぶことができない,ということも考えられるのではないかと指摘する。そうした可能性も考慮し,従来のゲーム作りと違う,NFTゲームを開発するうえ重要なこととは何か,と問いかけた。

 3人の共通見解は「従来のゲーム開発の考え方をそのままNFTゲーム開発に持ってくることは難しい」だった。中村氏は,プレイヤー視点で見ると普通にゲームを楽しむプレイヤー以外に,稼ぐ目的のプレイヤーも存在するため,仕様変更に対して損害賠償を起こされる可能性も考慮する必要があり,そういった従来のゲームにはない可能性を考慮した設計が必要だと述べた。
 満足氏は,NFTをそのゲームの中でどう定めていくかが重要になるのではないかと語った。例えば優勝トロフィーをNFT化した場合,そのトロフィーに資産的な価値はないが,NFTというもの自体は体験できる。そういうものであれば,既存のゲームに追加しても問題はないという。一方で,NFTに資産的な価値を付与する場合は,やはり根幹からゲームの設計を考え直す必要がある。例えば収入源にしても,マーケットで取引される二次流通の手数料といった新たな収入も考えられる。そうした新たな収入となる要素も含めて,ゲーム設計なり,事業計画なりを考えていく必要があるという。


ガチャとNFT,NFTガチャはできるのか


 Free-to-Play型のゲームにおいて,ガチャシステムがビジネスモデルの根幹に置かれているが,NFTを利用したガチャシステムを導入できるのかについても話された。
 ガチャを導入するうえで,大前提として既存のアイテムとNFTアイテムの扱いの違いが問題になるという。従来のゲームにおけるガチャはアイテムが排出されても,その所有権は認められておらず,アイテムを使用する権利がある,というのが現在主流の考え方だ。そのため,RMTなどの二次流通は基本的に認められていない。
 一方で,NFTとなると「プレイヤーが所有者になる」という基本的な考え方があるため,二次流通は認められている。そしてそうなってくると,賭博に当たる可能性が出てくるというわけだ。

 一方で,ガチャのようなシステムを採用している事例もあるという。一例として挙げられたのがNFTを利用したトレーディングカードの販売プラットフォームNBAトップショットだ。そこでは複数のカードが入ったパッケージで販売されており,何が入っているかは開けてから分かるという仕組み。システムとしてはガチャに近いものであるが,現状でそれは稼働している状況だ。
 また,ユーザー体験からすると,ガチャ(あるいはルートボックス)はありがたいシステムでもあるという。満足氏の体験での話になるが,1万種ものNFTが売りに出された場合,それをひとつひとつ確認するだけで膨大な時間がかかる。そうした経験を踏まえ,パッケージで販売されれば選ぶ手間も省けるし,何が出るかという楽しみも得られると語っていた。
  • 関連タイトル:

    My Crypto Heroes

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