秘めた想いを隠すことも,偽ることも許されなかったら。それは,呼吸すら憚られるような,ひどく窮屈な世界なのではないだろうか。
そんな“真実に絆された世界”を描く「In Falsus」の話を聞いてほしい。
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2026年9月9日にリリースを迎える「In Falsus」は,lowiroが手掛けるPC向けリズムゲームだ。
本作は,日本語フルボイスで描かれる長編ビジュアルノベルと,キーボードとマウスを組み合わせた独自の操作を採用したリズムゲームであり,シナリオと音楽をシームレスに結びつけた“物語体験”を特徴としている。
配信に先駆けて本作をプレイする機会を得たので,第2章までのプレイをもとにしたインプレッションをお届けしよう。
そこは感情を隠せないディストピア。首輪に縛られた少女たちの群像劇
「In Falsus」の舞台は,とある近未来の世界。突如として政府直轄のプログラム“AARC(アーク)”に招かれた5人の女子高生,ニア,メイ,ストーリー,あやめ,アイリスのそれぞれの視点で物語が描かれる。
ここまでの設定を聞くと,少女たちが繰り広げる爽やかな青春群像劇を期待するかもしれないが,彼女たちの物語はその対極にある。
不穏でいて,シリアスでいて,どこか息苦しい。読み手の心にまで痛みが伝わるようなしんどさのある物語だ。
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なぜなら,この世界は感情を隠すことが許されないディストピアだからだ。
少女たちが住む世界では,着用者の精神状態を通知する首輪“バインド”の着用が義務付けられている。
これは,インジケーターの色味によって着用者の感情を可視化するもので,感情が大きく揺れ動く――それこそ怒りや焦燥を感じると赤みを帯びた色へと変化する。
そして,言動と感情が一致しない偽りの発言をすれば警告を発するようにノイズが走るのだ。
嘘をつけば必ずバレる。ここでは,やさしいお世辞も,強がりも,言い逃れも許されない。なんと息苦しい世界だろうか。
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自身を偽る必要がない優しい世界にも思えるが,少女たちの心の声を耳にすれば決してそうではないことが分かるはずだ。偽ることが許されないからこそ生まれる苦悩,葛藤,ジレンマ。
「In Falsus」の物語は暗く,重い。ときに心を抉られるようなシーンもある。
だからこそ,暗がりを裂くように少女たちの感情が鮮烈な色を描き,読み手の感情を揺さぶり,シナリオを読み進める手を止められなくなる。
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だがもし,そんな覆しえぬ呪縛から逃れる力に目覚めたら。他者の心にダイブし,魂に干渉する術を手にしてしまったら……。
プログラムへの参加を機に,世界の理に抗う力に触れた5人の運命は静かに動き出す。
少女たちが目撃することになる“知らなかった現実”とは――。気にならないだろうか? いや,気にならないはずがない。その真相は,ぜひ本編で確かめてほしい。
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マウス&キーボードでノーツをさばく,爽快なリズムゲーム
5人の視点でシナリオを読み進めていくと,物語の展開に合わせ“エンカウント”が発生する。
エンカウントとはいわゆるリズムゲームパートであり,目標スコアに到達するか,対戦相手のHPを削りきって楽曲を完走すればクリアとなる。
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まず注目したいのが,上下2層のレーンを流れるノーツをマウスとキーボードで同時にさばく,いかにもPC向けタイトルらしい独自の操作感である。
ノーツには,フィールド,フリック,タップ,ホールドの4つがあり,上段レーンを流れるフィールドとフリックはマウスで,下段レーンを流れるタップとホールドはキーボード(ASDF,左Shift,Spaceキー)を使って演奏することになる。
左手で6つのキーを捌きながら右手でマウスを操作する形なので,言わずもがな手が忙しい。とくに左手が。
はじめはこの独自の操作感に慣れず苦戦したが,これが手に馴染んでくると一転してその気持ちよさに気付かされる。
とくにフィールドとフリックノーツをマウスでさばく感覚は,まるでDJがターンテーブルをスクラッチしているかのようで爽快だ。
あまりにマウス操作が楽しいので,個人的にはマウスのみで演奏できるモードも用意してほしかったと感じたほどである。
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また,エンカウントを有利に進めるためのシステムとして“カード形成”が用意されている。
5枚のカードをデッキに組み込むことで,リズムゲーム中のキャラクターのステータスを向上させられる。
加えて,カードにはカラー相性があり,対抗する相手カードに有利な色をぶつけるとカードのステータスに補正がかかる形だ。
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これらのカードは,シナリオの進行報酬で得た設計図からクラフトできる。
やることはシンプルで,ヘックスマスで区切られた設計図を粒子で満たすだけでいい。
設計図には基礎ステータスを向上させるカラーゾーンが存在し,それをどのように満たすかで最終的なカードのステータスが決定する。
しかも,粒子は好き勝手に置けるわけではなく,決められたルールに則って配置しなければペナルティが発生し,ステータスが減衰してしまう。
粒子同士を隣接させる,範囲外にはみ出さない,配置上限数を守るといった制限の中で,最適解を模索する必要があるのだ。
仕組みは簡単だが,これが実際に触れてみるとパズル要素が強くてなかなか面白かった。
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音楽と物語が深く結びつく物語体験。「In Falsus」は考察好きに刺さる一本
プレイして実感したのは,“ビジュアルノベルと音楽の融合”を目指したという本作のコンセプトに偽りなしということだ。
シナリオはリズムゲームの添えものではなく,またリズムゲームも小休止のためのおまけではない。
シナリオと音楽の両面を通しで体験することで,1つの物語体験が完成していた,といえばいいだろうか。
例えばエンカウントでアンロックされる楽曲には,歌詞やメロディにキャラクターたちの状況や心情が落とし込まれており,音の面から少女たちの内面を描き出している。
シナリオのテキストから,キャラクターの表情から,楽曲から,ノーツから,彼女たちの感情の色をくみ取り,プレイヤーは劇中の出来事をひとつなぎにしていく。
この“物語体験”が,ただテキストを読み進めるだけでは得られない,深い没入感を生み出していたように思う。
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ネタバレになるので詳細は省くが,5人の視点を切り替え読み進める群像劇は,自分なりの解釈を持ち考察をしながら読み進めるのが楽しいシナリオであった。
感情の描き方,音楽を通した体験のさせ方がとにかく巧く,まさに考察好きにオススメしたい1本だった。
ちなみに,音ゲーが苦手な人でもクリアしやすいよう物語体験重視の難度が用意されているので,純粋にシナリオ目当てで遊びたい人も安心して「In Falsus」の世界にダイブしてほしい。
もちろん遊びごたえのあるリズムゲーム目当てでも,本作は十二分に楽しませてくれることだろう。
嘘のつけない世界で彼女たちはどんな“真実”へとたどり着くのか,どうかその目で確かめてみてほしい。
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