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[TGS 2014]明日のゲームを作る人材は,今何を作っているのか? 東京デザインテクノロジーセンター専門学校ブースレポート
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印刷2014/09/22 21:01

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[TGS 2014]明日のゲームを作る人材は,今何を作っているのか? 東京デザインテクノロジーセンター専門学校ブースレポート

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 東京ゲームショウには毎年,専門学校・大学からの出展も行われている。展示されているのはその学校の生徒や学生が作ったゲームやイラストで,彼らはこれからのゲーム業界を支えていく人材の卵と言ってもいい。
 一方でこの数年,学校ブースの規模は徐々に拡大し,デベロッパのブースよりも大規模な出展となっているケースも一般化しはじめた。また話題性的にも,2013年の「アオモリズム」,今年(2014年)の「はげピッ!ピッ!」と一部の視線を独占したゲームを展示した神奈川工科大学に代表されるように,一般的なゲームデベロッパに勝るとも劣らない展開を見せている。
 さてこの学校ブース,いったい毎年どんな行程を経て,ここに至っているのだろうか? 東京デザインテクノロジーセンター専門学校(以下,TECH.C.)の講師と生徒に詳しい話を聞いてみた。


鈴木大司教が語る,ゲームの作られ方


 今回,TECH.C.における制作工程を聞いたのは,デジタルデヴィルの鈴木一也氏である(鈴木氏は現在,デジタルデヴィルでゲーム制作の指揮をとりつつ,TECH.C.で企画関係の講師を務めている)。

メガテンファンならご存じの鈴木大司教。ポーズを決めていただきました――のではなく自発的にこのポーズをですね
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 TECH.C.の場合,展示されるゲームは,東京ゲームショウに完全に照準を合わせたものとなる。
 企画の開始はだいたい4月頃だが,ものによっては年末年始頃にスタートするものもあれば,6月頃にようやくスタートを切るものもあるとか。

ニンジャ!? ニンジャナンデ!?
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 手順としては,まず最初に,生徒に対して企画の公募が行われる。この企画は,講師陣からのアドバイスを踏まえて修正され,そのうえで企画発案者はほかの生徒に対して企画のプレゼンを行う。このプレゼンを見て,生徒達は「自分がどの企画に協力するか」を決めていくわけだ。
 技術的な問題から,メンバーは2〜3年生が中心。企画のプレゼンを行った生徒はプロジェクトリーダーとなるが,2年生がリーダーとなり,3年生がスタッフとして入るということもあり得る。

 こうして始まったプロジェクトは,やがて最初の試練である「中間発表」を迎える。この段階で明らかに無理そうなものについては,生徒と面談して講師が続行か否かを決めるシステムだそうだ――が,実際には「このままいけるかどうか」を一番分かっているのは当の生徒達であるという。
 いずれにしてもこの段階で,プロジェクトの「ボツ」が発生する。

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 その後も開発は続くが,現実同様,プロジェクトは必ずしも順調に進むとは限らない。会社であれば「業務命令」であり,好き嫌いに関わらず納期までに一定のクオリティのものを提出することが求められるが,やはり学生となるとそこまで厳密な運用は期待できないのだ。
 結果,やる気があるチームはぐいぐいプロジェクトを進めていくが,ノリが悪いままチームが瓦解することもあるという(こういう場合は,講師がサポートに入るそうだ)。

 ここにおいてプロジェクトの成否を握る,隠れた重要ポジションが「進行管理」である。TECH.C.では企画への関与の仕方として,進行管理を専門で行うというポジションを認めており,実際この役割を担った生徒の能力がプロジェクトの成否を決めることもあるとか。実に身につまされる話であるが,それだけ実際の現場に近い,「現場のシミュレーション」としてこのプロジェクトが進んでいることが分かる。
 ちなみに今回の場合,最初の企画22本に対し,それがまず19本に減少。完成・展示にこぎ着けたのは16本。プロジェクトの完遂率としては,なかなか好調な数字のように思える。


「新しいもの好き」専用の罠


 ここで実際に,個別の作品ごとに事情を聞いてみた。

 最初は「ペパーミントドロップ」を展示していたチームのリーダーから。「ペパーミントドロップ」はLeap Motionを使ったゲームで,プレイヤーは指先の動きで画面内の操り人形を操作してゴールを目指す,2D横スクロールアクションである。

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 企画が立ち上がったのは4〜5月頃で,実際にプログラムを作り始めたのは6月頃。プログラミングの中心を担ったのは3年生だそうだ。
 集まったメンバーは合計7名で,チームリーダー1名,進行管理1名,プログラマー2名,グラフィッカー3名。この7人編成というのはチームとしては大きいほうで,「人数としてはほぼ限界」だという。

 ちなみに企画者は去年もチームリーダーを務めており,Leap Motionを使おうと決めたのは「昨年Leap Motionを使ったゲームを展示していた先輩達の作品が,たくさんの来場者にプレイされていたから」とのこと。しごくもっともなマーケティングである。
 ……が,これが予想もしない難関となった。

 Leap Motionを使うとなると,まずはLeap Motionの仕様から理解しなくてはならない。そしてここで最初の罠,「企画者が想定していた動作を,Leap Motionは感知してくれない」が浮上する。
 この問題は操作方法を変えることで解消したものの,今度はLeap Motion独特の癖に振り回されてしまう。

敵にぶつかると,人形のパーツが破壊される
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 結局,この癖をつかんで,使いこなせるようになったのがごく最近。このため出展したバージョンでは,いま一つ企画者の意図どおりとは言いがたいユーザーエクスペリエンスになってしまったようだ。
 これについて企画者は「新しいものが好きなのでLeap Motionを使ってみたかったというのもあるが,ちと痛い目を見ました」とのこと。新しい物好きがしばしば遭遇する罠である。

 ちなみに,使用したエンジンはUnity。企画者としてはとても使いやすく,レベルデザインも本人が行ったとのこと。TECH.C.ではCocos2d-xも人気で,その理由として「支援ツールの使いやすさ」「使い方の教えやすさ」などが挙げられていた。

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インターナショナル・チーム


 もう1本,「ミストラーズ・チャンピオン」を展示していたチームも紹介したい。「ミストラーズ・チャンピオン」はターン制の対戦シミュレーションゲームで,プレイヤーはスクウェアマップの上で魔術師を操って敵魔術師を倒すというPvPゲームである。

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 このチームの大きな特徴は,6名のメンバーの国籍が,合計で6種類ということだろうか。アメリカ・バスク・中国・ギリシア・スウェーデン・日本と6か国で編成された国際チームで,コミュニケーションは英語と日本語で行われたそうだ。

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 このゲームは,昨年の東京ゲームショウに出展した作品の改良版となる。ゲームエンジンはUnreal Engine(以下,UE)。
 制作においては,もちろんUEを学ぶ苦労もあったが,何よりもチームが2年めということもあって「自分達が作っているゲームに慣れすぎていた」という,ゲーム開発あるあるが発生していたのが痛かったという。ギミックや難易度,UIなど,「分かっている」目で見て作りこんでしまったため,「このゲームの初心者はどう感じるか」「何に悩むか」が見えなくなってしまっていたのだ。

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 ちなみに企画者は日本のゲーム会社への就職を希望していて,現状すでにインターンとしてソーシャルゲームデベロッパで働いているという。日本のゲーム会社の場合,採用条件に「日本での3年以上の実務経験」が示されていたりすることもあり,そのため学校で技術を学びつつ,インターンとして実務経験も積んでいるというわけだ。
 彼のような留学生は,本国ですでにキャリアを積んでいる場合も多く,当然ながら技術的にも,上を目指す意識的にも,一線を画すものがあるという。このため,「同級生」たる日本人学生にとっても,非常によい刺激になっているそうだ。


来年の東京ゲームショウまで1年を切った!


 さて,メディアの注目度で言うと,今年の(そしておそらくは昨年も)東京ゲームショウにおける学校出展の最注目ブースは,神奈川工科大学ということになるだろう。確かに,神奈川工科大学の展示は,人の目を惹く力を持っている。
 だがその一方で,一般日の専門学校ブースが神奈川工科大学一色だったかといえば,まったくそういうことはない。いくつかのブースには長蛇の列ができていたし,「整理券切れで試遊受付中止」になった展示もあった。このあたり,東京ゲームショウという特殊な環境においては,「長蛇の列」も「整理券切れ」も「割とよくあること」なのが辛いところだ。

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 そういう意味で,来年以降,学校ブースにおいて「より印象的な企画」をめぐる戦いが勃発するのではないか,という予測は容易に立てられる。
 だが,では現状で学校側がそういう努力をしていないかといえば,それもまた間違いだ。例えばTECH.C.での出展作品にはPCゲームが多めだが,これには「小さい画面のゲームだと,東京ゲームショウの会場では注目されにくい」という判断が働いているという。実に妥当な判断である。
 KinectやLeap Motionといったデバイスが利用されるのも,そのあたりが踏まえられてのことだ(筆者的には,来年はOculus RiftのようなHMDが増えるんじゃないか,などと勝手な予測をしている)。

 そして実際,鈴木氏によれば「企画段階で言えば,とても面白い,はじけた企画がたくさんあった」という(鈴木氏をして「はじけている」と言わしめるのだから,相当だ)。
 だがそれらが表に出てこれなかった大きな理由として,「昨年の展示が企画先行になりすぎて,実装が追いつけなかった」という反省があったという。どんなに講師が励ましても,実作業する生徒の半分は昨年の状況を見てしまっているのだから,そこで腰が引けるのも,むべなるかなである。
 結果,今年は「ちゃんと完成するであろう企画」に生徒の人気が集まった,というわけだ。

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 だが現状,少なからぬゲームメディア関係者からは,「今年がインディーズゲームの年になったように,来年は学校ブースの年になるのではないか」という声が出ているのも事実だ。
 そして実際,その可能性は十分にあるように思える。間違いなく,ここには「何かをしでかしてくれそう」な熱気があるし,講師陣はそれをうまく芽吹かせようと尽力している。

 なので,ついては1点だけ,来年の学校ブースでの作品出展を目指す学生諸氏にはお願いしたいことがある。どうか,展示ゲームの1プレイの時間(あるいは1セッションの時間),これをもう少し考えてみていただけまいか。
 これは東京ゲームショウという環境による特性だが,「5分で楽しめる簡単なゲーム」であっても,50本並んでいたら250分が必要になる。「TGSに参加した一般来場者」という視点を想像し,そこでどういうゲームが望まれるのかを考えることは,作品にとって大いにプラスになるように思う(ちなみにこれは筆者の個人的な感想ではなく,複数のプロから出された意見だ)。

 来年の東京ゲームショウで,「昨年からその兆候はあったが,やはり今年は学校ブースの年になった」という記事が書けることを,大いに期待したい。

4Gamer「東京ゲームショウ2014」特設サイト

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