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印刷2007/08/21 18:18

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[GC 2007#003]MMO界の有名人達が考える,大ヒット作「World of Warcraft」のあとに続くMMORPGとは?

 Games Conventionに先駆け,8月20日,21日に開催されている開発者向けの会合,GCDC(Games Convention Developers Conference)で,「Life After WoW: MMO Games of 2008 and Beyond」というタイトルのパネルディスカッションが行われた。

 これは,EA Mythic Senior ProducerのJeff Hickman氏,TurbineでExecutive Producerを務めるJeffrey Steefel氏,ZeniMax Online Studios PresidentのMatt Firor氏,Cryptic StudiosのRobert Westmoreland氏というMMOに携わる業界人4人をパネリストとして向かえ,大ヒット中のMMORPG「World of Warcraft」に続くMMOはどのようなものになるかというトピックについてディスカッションするというものだ。

「Warhammer Online: Age of Reckoning」の開発に携わっているJeff Hickman氏。会場でリリース時期を問われ,しばらく考えたあとに「2008年」と答えていた。中国で行った発表会では,2008年初旬と答えていただけに,少々先行きが不安だ
 はじめに,MMORPGの現状をどう考えているのかという質問が出された。業界を代表するような4人のパネラーが協議を続け,現在はゲーム市場の中でMMORPGというジャンルが確立された段階にあるという意見に落ち着いた。
 このなかでHickman氏は,映画を例に挙げて,映画がエンターテイメントの1ジャンルとして確立したあと,撮影技術などの発展に合わせて,さまざまなタイプの映画が登場し,ジャンルが細分化された状況に似ていると指摘した。

「The Lord of the Rings Online: Shadows of Angmar」のExcutevi Produserを務めているJeffrey Steefel氏
 次に話題はMMORPGのビジネスモデルに移行。アイテム課金と月額課金制のどちらが向いているのかという質問に対しては,4人ともゲームに合ったものを選択するのがいいという,実に無難な回答となった。4人ともMMORPGを開発中,もしくはサービスを開始したばかりの開発会社に所属しているという立場上,自分達がサービスしているMMORPGのビジネスモデルを否定するわけにいかないのだろう。とはいえ,作り手としては月額課金が理想ではあることが言葉の端々から感じ取れた。
 また「The Lord of the Rings Online: Shadows of Angmar」に携わるSteefel氏は,同作のような生涯メンバーシップを用意したり,月額課金をベースにして特別なアイテムなどを別に売ったりというように,MMORPGというジャンルの細分化に伴い,ビジネスモデルもさらに増えていくという考えを説明していた。ちなみに,The Lord of the Rings Onlineの生涯メンバーシップ登録者について,「数は多いが,具体的な人数は答えられない」と語っていた。


Cryptic Studios「Marvel Universe Online」の開発に携わっているRobert Westmoreland氏
 続いてコミュニティの重要性について議論が行われ,今後さらにカジュアルなオンラインゲームが増えることを考えると,コミュニティの重要性がいま以上に増すだろうと結論づけられた。シングルゲームの場合,ゴールが分かりやすく,喜びを感じるポイントがはっきりしているが,オンラインゲームはそうはいかない。コミュニティの中に自分がやったことを評価してくれる人達がいてはじめて,達成感などを感じるので,コミュニティがなければ,プレイヤーが遊び続けるモチベーションを維持できないということだ。

 次はオンラインゲームマーケットの市場規模の話題に移り,World of Warcraftが900万人という登録者を達成したが,これが上限だと思うかという質問が司会者より出された。この質問にこれといった回答は出なかったが,一つのゲームでそれ以上の会員数を確保することは難しいだろうが,マーケット自体はさらに拡大し,より多くの人がプレイヤーとなりえるだろうと結論付けられた。また,Hickman氏の娘さんは現在四つのオンラインゲームを同時進行しているという例を挙げ,オンラインゲーム人口は増えなくても,マーケット自体は拡大するという考えを述べた。

ZeniMax Online Studiosの代表を務めるMatt Firor氏。業界歴20年を数える大ベテランであり,Mythic Entertainment(現EA Mythic)時代に「Dark Age of Camelot」を手がけたことで有名
 ここまできてようやく本題に近づき,World of Warcraftに近づくにはどうすればいいかという議題が提示された。
 まず,最近発売されたMMORPGのほとんどはオリジナル要素を持っているが,そのことがなかなかプレイヤーに伝わらないことが多いと指摘。World of Warcraftの優れている点として,プレイヤーにゲームの特徴が伝わりやすい点を挙げていた。MMORPGは,サービス開始後も常に世界が広がって巨大なものになっていき,マップだけでなく,さまざまな要素が追加されていく。
 だが,どんなに要素を追加して面白くしても,その片鱗をゲーム序盤でプレイヤーに感じさせることができなければ,それはないものとみなされることが多い。とくに複数のゲームを同時進行する人が増えていく中で,例えば10時間以上遊ばないとその面白さが伝わらないというのは,致命的な欠点となる可能性が高く,プレイ開始直後の1分間でプレイヤーを引きつけられる仕組みができているものが,今後成功を収めるMMOとなるだろうとまとめていた。

 ディスカッションのタイトルを考えると,MMORPGの開発者達がWorld of Warcraftのどこを評価しているのかを,もっと詳しく聞きたかったというのが本音だ。ただし,さすがに公の場所であり,同業者と同じテーブルに着いている状態で,細かいアイデアを公開できるわけはない。一般論的な返答が増えてしまったのも仕方ないだろう。ともあれ,MMORPGの開発に携わる業界人がMMORPGの現状をどう捉えているのかが分かる貴重な機会であり,議題からはそれてしまったが,有意義なディスカッションだったといえるだろう。(noguchi)

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    Warhammer Online: Age of Reckoning

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