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“FPS特化”を謳うHORIのゲームパッド「FPSアサルトパッド」レビュー。感度調節機能や追加ボタンは有用だが……
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印刷2013/04/13 10:00

レビュー

FPS特化を謳うHORI製ゲームパッドを試す

HORI FPSアサルトパッド 3,FPSアサルトパッド EX

Text by Gueed


FPSアサルトパッド 3(左),FPSアサルトパッド EX(右)
メーカー:HORI
問い合わせ先:製品サポートページ
実勢価格:4000円前後(2013年4月13日現在)
画像集#001のサムネイル/“FPS特化”を謳うHORIのゲームパッド「FPSアサルトパッド」レビュー。感度調節機能や追加ボタンは有用だが……
 コンシューマゲームで対人戦の人気が高い主なジャンルは,FPS,格闘アクション,レースといったところだろうか。後二者には,それぞれアーケードスティックやステアリングホイールなどの専用デバイス――それも定番と呼べるような製品――がある。その一方でFPSの場合,Razerの「Razer Sabertooth Elite Gaming Controller for Xbox 360」(以下,Sabertooth)や,HORIの「タクティカルアサルトコマンダー3」といった製品は発売されているが,国内で定番化したと言えるようなデバイスは,まだ生まれていないのはなかろうかと思う。
 近年,Call of DutyシリーズやBattlefieldシリーズなどが,国内コンシューマゲーム市場でも好調なセールスを達成しているにも関わらず,なかなか不思議な状況である。

 そんななか,ついに国内メーカーであるHORIから,FPS用を謳うワイヤードゲームパッド「FPSアサルトパッド」(以下,FPS-AP)が2012年11月に発売された。果たしてその実用性はいかほどのものなのか。発売からやや時間は空いてしまったが,「キルレシオが上がるといいな」という欲望剥き出しの心で,じっくり見ていきたいと思う。

 なおFPS-APには,PlayStation 3(以下,PS3)用の「FPSアサルトパッド 3」と,Xbox 360用の「FPSアサルトパッド EX」の2製品が存在する。ボタンのレイアウトを除けば,基本仕様はどちらも同じ。そのため本稿では主にPS3版を用いてテストを行っていくので,この点はあらかじめご了承を。


ボディはやや大柄なボディのFPS-AP
ボタンのレイアウトは純正パッドと異なる


ケーブル長は約3.2mで,本体重量は340g,ケーブル抜きの参考重量は約250gとなる。ちなみに,DUALSHOCK 3だと順に1.5m,230g,170g。DUALSHOCK 3に比べて,かなりずっしりとしている
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 まずは,FPS-APの外観を眺めながら,基本仕様を確認していこう。
 FPS-APは全体的にふっくらしており,どちらかと言えば,「Xbox 360 Controller」(以下,Xbox 360純正パッド)に近い形状のゲームパッドとなっている。実測サイズは約152(W)×48(D)×117(H)mm。PS3用の純正ゲームパッド「DUALSHOCK 3」だと同156(W)×49(D)×90(H)mmなので,スペック上,高さ以外はあまり変わりないのだが,ボリュームある形状のせいか,手に持つとかなり大きく感じる。
 なお表面は,目の細かいラバーでコーティングされており,高級感のある手触りだ。

「太っ!」と思わず声に出してしまうほど,FPS-APのグリップはボリュームがある。細かいことだが,この形状だと,パッドを寝かせて置いたときに,トリガーボタンを“誤爆”しにくい。この点はグッドだ。
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 さて,そんなFPS-APにおけるDUALSHOCK 3との最大の違いは,左右アナログスティックが筐体上部の端側,方向キー(D-Pad)と[△/○/×/□]ボタンが内側という配置になっていることだ。DUALSHOCK 3と比べた場合,アナログスティックとボタン類を入れ替えたようなレイアウトになったと言えば分かりやすいだろうか。かといって,Xbox 360純正パッドともまた違った配置となっている。
 ちなみに,Xbox 360版のFPS-APは,Xbox 360用純正ゲームパッドの配置と同じなので,PS3版でだけあえて逆の配置にしているのは,“FPSのプレイアビリティ向上のため”ではなさそうだ。残念ながら理由ははっきりとしないが,慣れ親しんだレイアウトでプレイしたいという人は多いと思われるだけに,配置変更が必要だったかと言われると疑問である。

画像集#002のサムネイル/“FPS特化”を謳うHORIのゲームパッド「FPSアサルトパッド」レビュー。感度調節機能や追加ボタンは有用だが……
左がFPS-APで,右がDUALSHOCK 3。FPS-APではアナログスティックが左右の端に配される。方向キーと[△/○/×/□]ボタンの間にあるのが,ボタンの割り当てに使う「プログラムボタン」,方向キーの下に見えるのが,右アナログスティックの感度を調節するためのダイヤルだが,これについては後述する
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こちらはXbox 360版FPS-AP(右はXbox 360純正パッド)。アナログスティックと,方向キー&[A/B/X/Y]ボタンの位置関係は,Xbox 360純正パッドと同じだ。ただし,左右のスティック間の距離が,Xbox 360版FPS-APは79mmなのに対して,Xbox 360純正パッドは66mmと,多少の違いもある


各部位と機能をもう少し詳しく見てみる


 全体像を確認しただけでも,レイアウトや形状など,ずいぶんとDUALSHOCK 3とは異なる点があるゲームパッドということは分かってもらえると思う。それに加えて,FPS-APにはさまざまな独自機能が盛り込まれているので,各部位を細かく見ていこう。

■左右アナログスティック
最長のアタッチメントを取り付けて握ったところ。なんだか笑えてくる長さだ
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 左右のアナログスティックは,付属のアタッチメントを付け替えることにより,その高さを3段階で調節可能だ。アタッチメントを低いものから高いものへ順番に取り替えると,スティックの高さが15mm→25mm→30mmと変わっていく。
 最大の30mmは恐ろしく長く,もはやシュールとまで言える見栄えで,初見では吹き出してしまうこと請け合いだ。違いは長さだけなので,使いやすいものを選べば良いと思うが,正直,標準で取り付けられている15mmアタッチメント以外は長すぎて細かな操作に向かず,あえて使う理由は思いつかない。

アナログスティックの高さを調整するためのアタッチメント。トップ部分は,いずれもXbox 360パッドのように中央が凹んだ形状となっている
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アタッチメントを装着。見たこともない長さのアナログスティックが誕生するが,この長さで操作したいシーンはあまり想像できない
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いちいちオプション画面などを表示せずに自分の好みの感度を探せる。新しいゲームを始めて感度設定を変えたいときなどに便利だ
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 アナログスティックについて続けると,筐体手前側の側面に搭載されたダイヤルで,感度を変更できるのが,もう1つの大きな特徴となる。ダイヤルの目盛りは1〜10まであり,数字が大きくなるほど感度が上がる仕組みだ。ただ,変わるのはあくまで感度であって,スティックを倒した時の重さ自体は変わらない。また,仮にダイヤルを最大にしたとしても,DUALSHOCK 3の入力最大値を上回る動きができるわけではない。基本的には,ゲーム内オプションを表示せずとも,手元で好みの感度を探せる機能と考えて良いだろう。
 ちなみに,これはハードウェア側で感度を調整する機能なので,ゲーム側の感度設定を使えば,さらに感度を上下させられる。もっとも,そこまで極端に調整してしまうと,快適にゲームをプレイするのは当然難しくなってしまうので,どちらも“ほどほどに”調整するのが一番だ。

■方向キーおよび[△/○/×/□]ボタン
 方向キーは,DUALSHOCK 3のようなセパレートタイプではなく,小ぶりなプラスチックの単一部品で構成されている。そのため,斜め入力は若干しづらいが,FPSで方向キーを使う時,斜め入力の精度が問われるシーンは思いつかないので,とくに問題はないだろう。
 また,[△/○/×/□]ボタンに大きな特徴はない。表面の形状は,中心が少しだけ盛り上がって凸型になっているDUALSHOCK 3に対して,FPS-APのそれは平坦だが,どちらが良いかは好み次第だ。

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■[L1/L2/R1/R2]ボタンと,追加の[FL][FR]ボタン
 側面にはDUALSHOCK 3と同様,[L1/L2/R1/R2]ボタンが搭載されているが,面白いのは,[L1]ボタンと[L2]トリガー,そして[R1]ボタンと[R2]トリガーの間に,[FL][FR]というボタンがそれぞれ設けられていること。これらは,[○/×/△/□/L1/L2/L3/R1/R2/R3]の中から好きなものを割り当てられる追加ボタンになっており,人差し指や中指でとっさに押したいボタンを割り当てておくのに使える。機能的には,RazerのSabertoothや「Razer Onza Tournament Edition」と同様のものと考えて良い。

[L1]と[FL],[R1]と[FR]は,それぞれ高さに差がつけられており,追加の[FL/FR]は少し背が高い。指の感覚で押し分けをしやすいようにという工夫だろう。[L2][R2]はアナログトリガーになっている
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 ちなみに,[FL/FR]ボタンだけでなく,実は[L1/L2/R1/R2]にも,この割り当て機能は有効。これらのボタンへの割り当て手順は以下のとおりで,PCなどに接続せずともカスタマイズが可能だ。

上面中央あたりに,カスタマイズ用のプログラムボタンが,[SELECT]ボタンと[START] ボタンの下にLEDが配置されている
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  1. [SELECT]ボタンの下にある緑色のプログラムLEDが点灯するまで,パッド中央部の[PROGRAM]ボタンを長押しする
  2. ボタン割り当てを変更したいボタンを押す(これでプログラムLEDが点滅)
  3. プログラムLEDの点滅中に,(2)で選んだボタンに設定したいボタンを押す


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 なお,DUALSHOCK 3の[L2/R2]トリガーは,下側になるほど手前側に緩いカーブを描く形状だが,FPS-APの場合,逆に少し上方向へ少し反った形になっている。また,FPS-APの[L2/R2]トリガーは,DUALSHOCK 3よりも“重く”作られている印象だ。こういったボタンの仕様に加え,FPS-APがボリュームあるボディになっていることを考えると,手が小さい人が「押しにくい」と感じる可能性はあるだろう。

■[TARGET]ボタン
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 筐体裏面には[TARGET]ボタンが搭載されている。このボタンは,押している間,右アナログスティックの感度を大きく下げるという機能を持っており,FPSプレイ中に使うと,視点移動の動きがガクンと鈍くなる。狙撃時など,正確に敵を狙いたいとき利用することが想定されているのだろう。
 ちなみに,[TARGET]ボタン使用時のスティック感度は,ゲーム内の設定やFPS-APのダイヤルによる設定に左右されず,常に一定となる。

PC(OSはWindows 7)に接続して,ゲームパッドの設定画面で[TARGET]ボタン利用時の入力を確認してみた(※PC接続時,FPS-APは「PAD A」という名で認識される)。画像は,[TARGET]ボタンを右アナログスティックを右いっぱいまで倒したところ。いっぱいまで倒した状態でも,Z軸の入力が最大になっていないのが分かる
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■イルミネーションLED
 ゲームパッド上部と,グリップの内側に配置されたイルミネーションLEDは,電源の入ったPS3に接続することで青く発光する。またFPS-APは,サードパーティ製ゲームパッドながら振動機能に対応しているのだが,振動するタイミングで,LEDの色が赤に変わるギミックも用意されている。
 LEDはけっこうまぶしいので,邪魔になるという人はいるかもしれないが,[SELECT]ボタンを3秒間長押しすればオン/オフが切り替え可能なので,大きな問題はないだろう。

LEDは筐体上部とグリップに搭載されている
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独自機能は悪くないが,アナログスティックに問題あり


 それでは,実際に本機でPS3版「バトルフィールド 3」をプレイして,その使い勝手を確認してみよう。

 ……と意気込んでみたものの,まず最初にお伝えしておかなければならない残念なお知らせがある。使ってみるとすぐに気付くのだが,困ったことにFPS-APは,アナログスティックの入力精度が著しく低いという,非常に大きな問題を抱えているのだ。
 原因となっているのは,スティックを倒して入力が成立するまでの“遊び”の幅だ。個体差なのかもしれないが,今回試したFPS-APの場合,スティックを左に倒すと遊びが非常に大きく,一方で右に倒すと遊びが少ない。
 左右の遊びが違っているだけでも問題だが,とくに酷いのは左側の挙動だ。ゆっくりとスティックを倒していくと,しばらくは視点がピクリとも動かないのだが,スティックがある角度に達した段階で突然敏感に動き出す,という状態になってしまうのである。Xbox 360版でも試してみたのだが,こちらも同じ挙動を示したので,どうやら不具合ではなさそうだ。

参考までに,アナログスティックが反応する角度を撮影してみた。左の写真のように,左側へは,ここまで倒しても視点が動かない。うーむ
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 さらにこの問題は,上下の要素を加えた斜め方向の入力にも影響がある。スティックをゆっくりと左斜上に倒した場合,左方向は“広い遊びの範囲”から出るまでに時間が掛かるため,ひたすら上方向にだけ入力され続け,結果的に視点は上方向にしか動いてくれない。「スティックをクルクル回して円を描こうとしても,思うように描けない」と言えば分かりやすいだろうか。

 そしてもう1つ,FPS-APとDUALSHOCK 3のレイアウトの違いもかなり気になるところだ。どちらが良いかは慣れや手の大きさ,好みによるところはあるかもしれないが,筆者としては,DUALSHOCK 3のレイアウトのほうが操作しやすいと感じた。
 その理由は,アナログスティックやボタンを操作するときの「親指の伸び」によって,操作感が変わるからだ。皆さんがDUALSHOCK 3を握っている状態を想像してもらいたいのだが,おそらくはその配置の都合上,パッド中央近くに配置された左右アナログスティックは親指が少し伸びた状態で,パッドの外側にある[△/○/×/□]ボタンは指が曲がった状態で,それぞれ入力することになるのではなかろうか。一方FPS-APはその逆で,親指が曲がった状態でスティックを操作し,伸びた状態で各種ボタンにアクセスすることになる。

指を伸ばした状態では[△/○/×/□]ボタンを押し分けにくい。また,DUALSHOCK 3なら[□]ボタンがくる部分に[△]ボタンがあるので,慣れるまでは「リロードしようとして武器変更」を連発してしまうのも困りものだ
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 筆者は,正確に敵を狙うときなど,デリケートにアナログスティックを操作したいシーンでは,指で操作するというより,指を固定した状態から手首を使って少しずつスティックを倒すように操作する。そのため,スティックはパッドの中央にあったほうが――指を伸ばした状態で使えるので――都合が良いのだ。
 対して,[△/○/×/□]ボタンを親指が伸びた状態で操作するFPS-APの配置では,[□]ボタンを押すときに[△/×]ボタンに指が干渉してしまい,“誤爆”の危険性がある。これもマイナス点と言える。

[TARGET]ボタンの機能自体は便利だが,やや軽めに作られており,慣れないと誤って押してしまうのが欠点。使わない人向けに,無効化する機能があっても良かったのではなかろうか
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 というように,先に欠点を述べてしまったが,一方で[TARGET]ボタンや[FL/FR]ボタンといった独自機能はなかなか実用的だ。まず感度を一時的に下げる[TARGET]ボタンだが,これはかなり“使える”印象を受ける。とくに,目標となる敵が遠くにいてしっかり狙いたいときに,大きな効果を発揮してくれた。
 使い方は,「最初は目標に向かって勢いよく,かつ大ざっぱに視点を動かし,レティクルが目標に近づいたらブレーキを効かせるように[TARGET]ボタンを押す」感じだ。途中で感度が変わるので慣れは必要だが,精密射撃を行えるメリットは大きく,うまくやれば狭い範囲に密集した敵を順番に狙撃するといった行動も,かなり楽にできてしまう。個人的には,FPS特化を謳うデバイスなら標準装備にしてほしいと思えるほどである。

DUALSHOCK 3の感覚でFPS-APを握ると,人差し指が[FL/FR]に乗る形になってしまい,それより一段低い場所にある[L1/R1]を押す場合,指に若干のストレスを感じた。こういう場合は,例えば[R1]の割り当てを[FR]に移すなど,押しやすいように[FL/FR/L1/R1/L2/R2]すべてをカスタマイズするといい
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 もう1つの追加ボタンである[FL/FR]ボタン周りの仕様もなかなか悪くない。側面のボタンが増えていることで,「スティックから指を離さない/スティック操作の邪魔をしない」というような方向性で割り当てを設定できるのだ。
 例えば,デフォルトでは[L3]に割り当てられている「全力疾走」や,[R3]に割り当てられている「しゃがむ/伏せる」の動作,あるいは[□]ボタンの「リロード」,[△]ボタンの「武器変更」などを設定しておけば,スティック操作がよりシンプルになり,戦闘中の隙も生じにくくなるというわけである。
 難点を述べるとすれば,[SELECT]ボタンの割り当てに対応していないということだろう。バトルフィールド 3をプレイする場合,[SELECT]ボタンの「スポット」動作を側面のボタンで行えると,左スティックで移動しながらガンガン行えるので便利なのだが,ここに対応していないのはもったいない仕様だと感じた。


とてつもなく“惜しい”
改良版が発売されれば化けるか


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 まとめると,本機を試して気になったのは,「アナログスティックの精度」「ボタンレイアウト変更による押し分けにくさ」の2点となる。[TARGET]ボタンなどの独自機能はかなり有効だと思えるというのに,FPSをプレイするうえで,欠点があまりにもクリティカルなため,結果的に残念な操作性となってしまっているのは事実だろう。
 せめて,アナログスティックがきちんと機能してくれるのであれば,独自機能による+αが使えるゲームパッドとして,また違った評価になるのだが……。“化ける”可能性を秘めた製品であることは間違いないので,できることなら,欠点が解消された改良版が登場してほしいところだ。

「FPSアサルトパッド 3」製品情報ページ

「FPSアサルトパッド EX」製品情報ページ

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