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「セカンドライフ」,「じゃぱらんど〜日本列島計画〜」のプロデューサー,シャ乱Qはたけ氏による特別セミナーが開講
はたけ氏は,2006年10月より「セカンドライフ」をプレイしており,現在はキューブジャパンの運営するSIMプロジェクト「じゃぱらんど〜日本列島計画〜」のプロデューサーとして活動している。
会場には,セカンドライフのプレイヤーや,セカンドライフについて興味を持った多くの聴講生が集まり,ほぼ満席状態となっていた。この,はたけ氏にとって初めての講演の開催に際して,各方面から(シャ乱Qのメンバーである“まこと”氏からも)の祝電が伝えられたが,やはりその多くはセカンドライフのプレイヤー仲間からだったようだ。
次いで,自由とモラルの両立についての話に。アダルトなコンテンツへの制限や,セカンドライフ上でのルール,いわゆるハラスメント行為についてが語られていた。その中でもBIG6と呼ばれるルール付けは,宗教や人種の話をしてはいけないというような,世界的に守るべきルールを準拠したものになっているという。また,本作では,システム上では相手を攻撃することができるのだが,無断で危険な行為や行動をとる人(アバター)は,当然歓迎されない(最悪,BANされる)のである。これは,そのゲームの背景/設定によって違いはあるが,システム上で許されているから,何をやってもいいのかという,オンラインゲームで長く論議されている話でもある。
ここでは,桃源郷というSIMに日本人が集まっていた話や,4Gamerの連載で紹介されていた(連載記事)という話も。
新谷氏の運営する“MagSL.NET”は,セカンドライフを楽しむためのWebマガジンとして公開されているWebサイトである。新谷氏がプレイを始めた当初,多くの日本人がセカンドライフに足を踏み入れ,そして理解できないまま去っていくことが繰り返されていたという。実は,そこで日本人の誰にでも分かるようにと作成した巨大な看板が最初の“MagSL.NET”だったのだ。なお,土地の分譲状況が分かる居住区の地図は,新谷氏が最初に作ったものだとのこと。
さらに,一つのSIMに50人が限度と言われているが,実験した結果では100人が入っても問題なかったという興味深い話が語られた。また,オンラインゲームではありがちな(?)隣にいる人が誰なのか……? という話も。つまり,何気なく話している人が,大企業のとある偉い人だったということがありえるという話だ。多くの企業が注目しているとされるセカンドライフだけに,その可能性は決して低くはないのかもしれない。アバターの中身を気にすることなく遊ぶことが,オンラインゲームを長く楽しむ秘訣だと思うのだが,慇懃無礼な行いは謹んでおいたほうが……万が一のときに安心かもしれない。
はたけ氏は,セカンドライフはソフトも含めて未完成さが楽しめるメディアだと語っていた。この未完成さが,このタイトルを一緒に育てていこうという感覚を生み出し,そういう感覚を持って作り出す,作り出されるコンテンツは自ずとプレイヤー相互の話題に上がる。こういった経緯こそが,結果として深い楽しみを与えることにつながるということなのだろう。また,日本人が少ない世界だからこそ,集まったときの結束は強く,それがコミュニティを形成しやすい重要な要素にもつながるのだ。
はたけ氏は,何が面白いのか,楽しませるものとは何かを考えることが,セカンドライフで成功するために重要だと語る。大掛かりな仕掛けがあったとしても,何度も楽めて“人が集まる”コンテンツでなければ,人はやってこない。それは道理である。「こちら」や「こちら」の記事でもお伝えしたように,認知度は高まっているものの,二の足を踏む人が多いのは,現在のセカンドライフは企業/広告面ばかりが目立ち,内容,面白さが伝わっていなことも要因となっているのではないだろうか。
ちなみに,聴講していた筆者自身は,以前に「ウルティマ オンライン」を(とくに海外サーバーで)プレイしていたときに感じたことを思い出していた。世界に放り出されたときの,何をしても構わないからこそ,では何をすればいいのか? という困惑,まだ小さかった日本人のコミュニティ,みんな何もかもが手探りだったときの苦労が,当時楽しかったのだ。
セカンドライフは,世界の多くの部分をプレイヤーの技術/スクリプトによって作ることができるという特徴があるが,その基本部分は,これまでのMMORPG,オンラインゲームで実現されてきたメソッドの集合体といえるだろう。日本では企業主体で,主に広告面から語られることが多い本作。広告のためではなく,箱庭(ゲーム)としてのセカンドライフの世界を見てみることが,今後必要なことなのではないだろうか。プレイヤーが求めるものは“遊ぶこと”だろう。広告効果は,その遊びの中で生まれてくることが,理想的だと感じるのだ。
- 関連タイトル:
Second Life
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