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印刷2008/10/27 21:07

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剣と魔法の博物館 モンスター編 / 第107回::クサントス(Xanthus)/バリオス(Balius)

剣と魔法の博物館 〜モンスター編〜
第107回:クサントス(Xanthus)/バリオス(Balius)
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 日本のファンタジーRPGに多大な影響を与えた神話といえば,ギリシャ,北欧,ケルト,エジプトといったあたりがすぐに思い浮かぶだろう。とくにギリシャ神話に登場するモンスターやアイテムは,数多くのゲームや小説に登場することから,もはや定番といえる認知度を誇っているのではないだろうか。
 とはいえギリシャ神話には,まだまだ魅力的な存在が数多い。今回は,ギリシャ神話で最速の神馬として知られている,2頭の馬を紹介してみたい。

 本題に入る前に,英雄アキレウスについて少し説明しておこう。彼はペレウス王と海の女神テティス(Thetis)との間に生まれた。祖父は冥界の裁判官アイアコス,曾祖父は主神ゼウスであり,その血統はまさにサラブレッドと呼ぶに相応しい。
 アキレウスは生まれて間もなく,母親によって冥府の川ステュクスの水に浸されたため,不死の力を得ている。ただし,浸す際に両足首を持たれていたので,アキレス腱が弱点となってしまった。
 幼少期はケンタウロスの賢者であるケイローンに育てられ,立派な戦士として成長した彼は,いくつもの戦いで華々しい戦果を上げた。そんなアキレウスの戦車を引いていたのが,クサントス(Xanthus)とバリオス(Balius)という2頭の馬である。
 クサントスとバリオスは非常にたくましい馬で,不死の能力を持ち,人間と会話することもできたという。また神の血を引き,しばしば神速と称されたアキレウスよりも速く走れたことで知られている。一説によれば,アキレウスよりも速く走れる馬は,クサントスとバリオスだけだったと言われている。
 残念ながら,RPGでその名を見かけることはほとんどないが,一時期同名の競走馬がいたり,カワサキのバイク名に採用されていたりするので,名前を耳にしたことがあるという人も案外いるのではないだろうか。

 

 ギリシャ神話にはハーピーという半人半鳥のモンスターが登場するが,クサントスとバリオスは,ハーピーのポダルゲ(Podarge)と,西風神ゼピュロス(Zephyros)が交わって生まれたとされている(父親は北風神ボレアスとの説もあり)。ちなみにポダルゲという名には「速く歩く者」という意味があり,ほかにもアエロ(疾風),オキュペテ(速く飛ぶ者),ケライノ(暗雲)といった姉妹がいる。
 両者から生まれたクサントスとバリオスは,海神ポセイドンに預けられ,やがてアキレウスの母親であるテティスが結婚する際に贈られ,最終的にはアキレウスのものとなった。以降はアキレウスに従い,数々の戦場で活躍。アキレウスの死に際しては涙を流して,その死を惜しんだとされている。
 なおこれは余談であるが,太陽神ヘリオスの戦車を引くアイトーン(Aithon),ピュロエイス(Pyroeis),プレゴーン(Phlegon),エーオオス(Eoos),暁の女神エーオース(Eos)の所有するラムボス(Lampos),パエトーン(Phaethon)などは,クサントスとバリオスの兄弟馬として知られている。どの兄弟も偉大なる主君に仕えているところを見ると,やはり類い希な能力を持っていたのだろう。

 

■■Murayama(ライター)■■
ファンタジーと美味いものをこよなく愛するライター,Murayama。前回の著者紹介欄では,彼が精米に手を出し始めたというエピソードを紹介したが,最近は自家製の「燻製」を楽しんでいるそうだ。手間暇かけて作る酒のつまみは格別とのことだが,その煙と臭いに,奥さんは相当参っているのだとか。なんで奥さんを怒らせるようなことばかりするんですかね,Murayamaは。
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