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印刷2008/12/01 23:23

連載

剣と魔法の博物館 モンスター編 / 第112回:フィンヴァラ(Finnbheara)

剣と魔法の博物館 〜モンスター編〜
第112回:フィンヴァラ(Finnbheara)
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 アイルランド北部のアルスター地方には,フィンヴァラ(Finnbheara)という名前の妖精が言い伝えられている。といっても一般的に連想される,小さな可愛らしい妖精ではなく,彼はアルスター地方に君臨する威厳のある妖精王なのである。
 フィンヴァラは,「アイルランドの古代伝説とまじないと迷信」の第一巻「11月1日前夜」に登場することで知られている。あるところにヒュー・キングという名の漁師がいた。漁が長引いてしまい,あたりはとっぷりと暮れてしまった。おまけにその日はハロウィン。ヒュー・キングは家路を急いだが,道中,不思議な明かりを見つけ,ふとした好奇心から明かりに近づいていった。するとそこでは楽しそうにはしゃぐ人々がいたが,よく見ると楽しそうにしているのは,妖精や,亡くなったヒューキングの知人達だった。
 ヒュー・キングがあっけにとられていると,そこに4頭の白馬にひかれた馬車が到着し,全身黒ずくめの威厳のある男性と,ダイヤがちりばめられたように光る銀色のベールで顔を隠した金髪の貴婦人が降りてきたという。この黒ずくめの男性こそがアルスターの妖精王,フィンヴァラで,金髪の貴婦人がその后であるウーナ(Una)だったのである。
 フィンヴァラの特徴は,黒ずくめの衣装を身にまとっていることと,歌で女性を魅了できること,それからこれは後述するが,馬の調教が得意なことだ。なお残念ながら筆者はゲームでフィンヴァラを見たことがなく,関連事項でいえば「マジック・ザ・ギャザリング」に,妻であるウーナが登場していることくらいだろうか。
 とはいえ,オンラインRPGの台頭に伴って,ゲーム業界ではモンスターの網羅性が高まっているので,フィンヴァラやウーナが一般化するのも時間の問題かもしれない。

 

 フィンヴァラに関連する逸話としては,「アイルランドの古代伝説とまじないと迷信」の第二巻に書かれているものも有名だ。
 ある日のこと。アイルランド西部ゴールウェイのカーワン家は,数日後に控えた馬のレースのためにあわただしい日々が続いていた。そこに黒い馬に乗った調教師が現われ,一人の騎手を紹介してくれたのである。騎手は優れた馬術を習得しており,レースでも大活躍。見事カーワン家の馬は勝利に輝いたのだ。
 逸話では,実は黒い馬に乗った調教師は妖精王フィンヴァラで,カーワン家に勝利をもたらしてくれただけではなく,後日カーワン家の若者を気に入ったのか,食事に誘っている。若者はフィンヴァラの邸宅で立派な食事会に参加したが,ほかの参加者にどことなく違和感を覚えたのでよく見ると,そこに招かれていた人々は,なんと亡くなったはずの知人達だったのである。
 不思議に思いながらも晩餐会を楽しんで帰った若者だったが,帰宅してから腕輪を見ると,腕輪は焼けていたという。この腕輪は亡くなった婚約者の忘れ形見だったそうだ。妖精の持ち物や食べ物に手を出すと,ひどい目に遭うという言い伝えがあるので,この逸話では婚約者の腕輪が男を守ってくれたのかもしれない。
 なお,フィンヴァラのエピソードには,亡くなったはずの人々が登場することが多いこともあって,フィンヴァラは妖精王としてだけではなく,死者の王とも呼ばれることがあるそうだ。

 

セルキー

 

■■Murayama(ライター)■■
先日,奥さんと高尾山登山をしたというMurayama。頂上でビールを飲みつつ,二人で将来のことをアレコレ話していて,ふと「お父さんになるってどういうことだろう」という話題になったそうだ。そのときMurayamaとしては,夢のある返事を期待していたそうなのだが,それに対して奥さんは「保険に入るってことでしょ!」とキッパリ。普通にリアルな発言に,ビールがいつもより苦く感じたという。
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