インタビュー
「Steam Deck」を日本にもたらすKOMODOのCEO,リッキー・ウイ氏にインタビュー
出展内容については9月16日に掲載したTGS 2022レポートで紹介しているが,「DEATH STRANDING」や「ELDEN RING」といったゲームが,約10分という短い時間ながら自由にプレイできた。
「Steam Deck」の正式な発売日は発表されていないが,日本を含むアジア地域では2022年後半までに出荷を開始する予定だ。価格は,内蔵ストレージ容量64GBモデルが5万9800円,256GBモデルが7万9800円,512GBモデルが9万9800円(いずれも税込)で(関連記事),KOMODOの日本向けの特設サイトでは予約受付が始まっている。
そんな「Steam Deck」の日本および韓国,香港,そして台湾での流通と販売を手がけるのが,KOMODOだ。聞き慣れない人も多いかもしれないが,Steamでも使用可能な決済サービス「KOMOJU」や「PROスチーマー」などで知られるDegicaのゲーム部門,Degica Gamesから独立した会社で,Degicaと同様,Valveとの関係は深く,VR対応ヘッドマウントディスプレイ「Valve Index」の国内展開も行っている。ちなみに,8月8日に掲載した記事でお伝えしたValveの社内ツアーや,8月4日の開発者インタビューに協力してくれたのも,KOMODOだった。
KOMODOを率いるのは,CEOを務めるリッキー・ウイ(Ricky Uy)氏にメールインタビューを行ったので,その内容を紹介したい。
KOMODO公式サイト
4Gamer:
まず,自己紹介をお願いします。
はい。私は子供時代からゲームの開発が好きで,最初に作ったのはTI-83という計算機を使ったストラテジーゲームでした。大学を卒業してからは,エンジニアやゲームデザイナー,それからプロジェクトマネージャーなどを,Netflixや現在のSony Interactive Entertainmentといった企業で経験し,KOMODOを立ち上げるまでの8年間は,Valveで「Steam」のビジネスストラテジーやアジア市場のビジネス開発に携わっていました。
4Gamer:
では,CEOを務めているKOMODOの紹介もお願いします。
ウイ氏:
いいですよ。KOMODOはDegicaのCEOであるジャック・モモセ(Jack Momose)と一緒に,Degicaのゲームパブリッシング部門の経済的に独立したスピンアウトとして立ち上げました。モモセとはValve時代からのなじみだったこともあり,一緒に何かをしたいという話を以前からしていたのです。
歴史は短いですが,すでに100作以上のゲームやDLCをリリースしており,日本の皆さんには,「Valve Index」のディストリビューターとして認知されているかもしれません。その関係から,近日中に発売予定の「Steam Deck」もValveと提携し,日本と韓国,香港,台湾での販売を担当することになったわけです。
4Gamer:
内部では,ゲーム開発も行っていると聞きました。
ウイ氏:
そうです。昨年,ホノルルスタジオを開設しました。我々のビジョンは,楽しくてアーティスティックなオリジナル作品を通して,ゲーマーの生活や世界にポジティブなインパクトを与えることです。まだ見たこともないようなゲームを作っていますので,いつの日か,紹介できるのを楽しみにしています。
4Gamer:
KOMODOはTGS 2022で驚くほど大きなブースを展開していましたね。巨大な「Steam Deck」も印象的でした。
ウイ氏:
Valveとの協力によって実現しました。日本のゲーマーをリスペクトし,そして我々の存在を示すためにも,大きなプレゼンスが必要だと感じました。1人でも多くの来場者にプレイしてもらい,「Steam Deck」が軽量ありながらもパワフルで,プレイフィールの良いデバイスであることを知ってもらいたかったのです。あの大きな「Steam Deck」は,対応しているゲームやブース内部で行っていたストリーミング配信を,会場のどこからでも見えるようにして,多くの来場者に注目してもらうといった意図で設置しました。
4Gamer:
ブースには何台の「Steam Deck」があったのですか。
ウイ氏:
数百台の「Steam Deck」を持ち込み,少なくとも常時150台のデモ機がフロアで稼働している状態にするようにしました。来場者がプレイしている間に,先に使っていたものの衛生処理を施し,次の人にスムーズに移行する必要がありましたから。
4Gamer:
来場者のリアクションは,どのように捉えていますか。係員に話を聞いたところ,最長で2時間待ちの行列ができていたそうですが。
ウイ氏:
全体的に,非常にポジティブであったことは断言できます。「思ったよりも軽かった」という意見をよく聞きましたし,ゲームがスムーズに作動することに驚く声も多かったですね。期間中,何千人というデモ体験者にアンケートを行ったのですが,全体の97%がポジティブな回答だったことに満足しています。
4Gamer:
日本のゲームメーカーの反応はどうですか。
ウイ氏:
我々にとって,日本のゲームメーカーと協力し合えるのは本当に光栄なことです。こちらも非常にポジティブにサポートしてもらっている印象ですね。デモ機で体験できたゲームが,カプコンやコジマプロダクション,スクウェア・エニックス,フロム・ソフトウェア,スパイク・チュンソフト,そしてバンダイナムコエンターテインメントといった企業の作品だったことからも分かってもらえると思います。
4Gamer:
「Steam Deck」の価格については,現在の為替相場を考慮する必要から,非常に難しいものがあったと思いますが。
ウイ氏:
「Steam Deck」は,新しいカテゴリーを作る最初のハードウェアです。誰にでも使いやすい携帯型のゲーム機である一方,非常にパワフルで,ノートPCに取って代わることさえ可能です。このような革命的なデバイスの価格を決定するには,さまざまなファクターを考えなければなりませんが,何より重要なのは顧客がハッピーになれることだと信じています。我々は常に,顧客に最大のバリューで商品を提供できることに努めています。
4Gamer:
最近Valveは,現在の販売対象地域向けに「Steam Deck修理センター」の開設を発表しました。日本を含むアジア地域での計画はどうなっていますか。
ウイ氏:
それは,もう少しお待ちください。しばらくすれば,詳しいお話ができると思います。
4Gamer:
では,ウイさんにとって,2022年のTGSにおける最大のニュースはなんですか。
ウイ氏:
本当に,いろいろなことがありました。個人的には「ストリートファイター 6」(PS5 / Xbox Series X / PS4 / PC)の参戦キャラクターが紹介されたことです。また,日本市場でPCゲームがより一層,受け入れられていることが感じられました。デベロッパもゲーマーも,PCを1つのプラットフォームとして楽しんでいる姿が印象的で,ゲームが日本で非常に元気であることを再認識しました。
4Gamer:
では最後に,「Steam Deck」を読者に売り込んでください。
ウイ氏:
ぜひ「Steam Deck」にトライしてください。見ることは信じることです。これまでPCやコンシューマ機でプレイしていたパワフルなゲームの数々が,そのまま皆さんの手の中で楽しめるのです。持ち運ぶのに十分軽く,プレイするのに心地良く,すでに数千ものお気に入りのゲームがライブラリーに揃っていることが,どれだけ素晴らしいことなのかが理解できるはずです。我々KOMODOチーム一同は,ゲーマーの皆さんに楽しんでもらえることを心から願っています。
「東京ゲームショウ2022」公式サイト
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