連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第304回「パワプロ一流アスリート説」
のっけから極めて個人的なことで恐縮なんですがね,ついにこの時がやってまいりましたよ。何がって,近況報告よ。ゲイム好きの読者にとっては何の感慨もない報告ではあるけどね。
えー私,ご存じかどうか分かりませんがプロレスをヤっておりまして,今年で……何年だっけ? たぶん13年目になると思うんだけど。とうとう! 負傷によるケツ場をすることになってしまいました。これまで,インフルエンザとか風疹といった病気,それから海外遠征によるケツ場っていうのはあったんだけど,負傷ケツ場は初めてだから,正直ショックを受けております。負傷したのは腰で,年内を目途に復帰したいな,と。
……なんでこんなことをここで報告するかというとですね,誰からも聞かれないからですよ。先日,11月半ばから欠場することを発表したんですがね,ビビるくらい反響が無くてですね。誰からも詳しく聞かれない。やっぱりこういう発表のあとってホラ,構ってほしいじゃない。でも,誰も構ってくれないの。
そればかりか,感じるのよ。髪を切ったときに蔓延する「そこに触れたら負けだぞ」感が。もっとガツガツ来なさいよ! プロレスキャリア13年の中で,もっというと,学生プロレス時代を合わせれば19年の歴史の中で,初めての出来事だよ? “19年ぶり”って言葉をインターネットで検索してみたら,ダイアナ・ロスの単独来日公演が決定したって話が出てくるぐらい,レアなことなのよ? せっかく休むんだからもっとホラ,心配されたいじゃん? いや,ホントに誰からも何も言われないの。繰り返すけど,もっと心配してもいいんですよ?
というわけで,そんなこんながあってご機嫌斜めの男色ちゃんなわけだけれども,今週は初の負傷ケツ場を自分で記念して“続けることのすごさ”について語ってやろうかと思っておる次第です。
で,ふと気付いたことがあってね。「パワプロ」シリーズで,初めてサクセスモードが搭載されたのって,スーパーファミコンの「実況パワフルプロ野球3」で,当時の私,まだ高校生だったのよ。そこからずっと,サクセスモードは搭載されてきているのよね。ぶっちゃけ,サクセスモードが無ければ,パワプロはパワプロでいられなかったと思うの。
これは野球ゲイムだけでなく,スポーツゲイム全般の宿命でもあるんだけど,プレイヤーにとってスポーツゲイムのシリーズものって,選手データが最新版に変わった以外の変化が感じにくいものなのね。でも,パワプロはサクセスモードの存在によって,ゲイムとしての変化をつけることが出来ていると思うの。
基本はもちろん,野球ゲイム。それはプレイヤーも分かってる。でも,商品として考えた場合,買う動機っていうのが必要になるわけ。パワプロの場合,プレイヤーの多くが抱く“買う動機”の大半を,サクセスモードが占めているんじゃないかとすら,私は思っているわ。
実際のところ,エンターテイメントにおいて,どうやって受け手に“買う動機”を抱いてもらうのっていうのが,けっこう難しいところなのよ。それっていわば,基本的な要素に加える“+α”の部分なんだけどね。
プロレスで言うと,今,いろんな団体があって,いろんな選手がいるわけ。それこそプロレス好き以外の人には何が何やら分かんないぐらい。これだけ数が多いと,プロレスを見ようと思えば,(選びさえしなきゃ)いくらでも見られる時代なわけ。でも,我々としては自分のところを選んでもらわなきゃいけない。そうじゃないと商売が成り立たないからね。ということは,どこかでほかとの違いを見せなければならない。では,どこで差別化を図るか。それが“+α”なのね。
選択肢が少ない時代は,基本的な要素さえ満たしておけばよかったのよ。でも,消費者に選択肢ができた瞬間から,“+α”の重要性が増してきたのね。なぜなら,戦いだから。戦いには,武器が必要でしょ。エンターテイメントにおける武器っていうのが,すなわち“+α”の部分であり,これを提示できるかどうかが,エンターテイメントビジネスの勝敗を分けるものだと思うの。
私なんかはゲイレスラーで,試合中対戦相手の股間を狙うスタイルだからよく言われるのよ。「プロレスを馬鹿にしてる」云々。もうね,しばらくケツ場するから表に顔を出す機会も減るわけだし,これを機にハッキリ言っちゃう。アホか,と。見りゃ分かるでしょうが。私はプロレスを馬鹿にしてるわけじゃない。馬鹿をしてるの。プロレスは馬鹿をも受け入れてくれるからね。
たぶん私は,私の試合を見て「プロレスを馬鹿にするな」っていう人より,プロレスについて考えてるわよ。比べられないけど。だって想像してみなさいよ。私が普通にプロレスをヤれば,そういう人には怒られないでしょうよ。ただ,その場合はおそらく,ゲイムのサイトに連載を持ってゲイムとあまり関係のないことを述べる機会もなかったでしょうね。
これって要は,私にセンスがないってことでもあるのよ。センスがありゃ,普通にヤって普通に売れてるかもしれないわ。センスがないのにセンスがある奴と戦わなきゃいけないわけだから,“+α”で勝負するしかないじゃない。それが私の場合は性癖だった,と。私は怒る人達のためにヤってるわけじゃなくて,ゲイのプロレスっていう概念に引っかかる人たちのためにヤってるの。
壮絶に話は逸れたけど,私が言いたいのはパワプロの+αが凄いってこと。サクセスモードの内容って,毎年変わってるわけじゃない? そのうえで,面白い。しかも,基本的には“能力オールAの選手を作ること”っていう,シリーズを通じて共通した目的が提示されているの。全部筋が通ってる。
じゃあ,まとめるわよ。
まず,パワプロは野球ゲイムです。でも,野球ゲイムは世の中にいっぱいあります。なんなら,ライバルは野球ゲイムだけではなく,ほかのジャンルのゲイムでもあります。ビジネスである以上,それらより少しでも売れたいところです。
そんなパワプロは,野球ゲイムとしてとても面白いです。では,野球部分だけが面白ければいいのか。そうではありません。プロ野球ファンや野球ゲイムファン以外にも買ってもらいたい。となると,野球ゲイムとしてではなく,普通にゲイムとして面白いものを“+α”で乗っけなくてはなりません。
そこで1996年,サクセスモードを搭載しました。これは,野球ゲイムが得意でなくても楽しめます。むしろ,育成ゲイムファンなら誰でも楽しめるものです。プレイヤーのモチベーションは,オールAの選手を作ること。毎年,新しいパワプロはこれをベースにしたサクセスモードが用意されています。とはいえ,内容が同じでは新作としての価値が出ないから,サクセスモードも毎年変化しています。でも,オールAは苦労しないと作れません。そこは毎年ブレません。作品ごとに好きの度合いに差はあるけど,毎年ちゃんと面白いです。
……すごくない? 勝手に作り手の立場に立ってもの申した部分があるのはご愛嬌だとして,すごくない? 毎年面白いって。私の場合は好かれる嫌われるって部分はさて置き,プロレスラー+ゲイという“+α”が比較的簡単に見つかったから,何とか戦えてるんだけど,パワプロの場合は野球ゲイム+育成ゲイム,これを続けてる。それでいて,内容が毎年変わるのよ。しかも面白い。
何なら,「栄冠ナイン」やら「マイライフ」やら,楽しめる ”+α”が増えてる。何気なく面白いものを続けてるって,本当にすごい。
これね,今の私がたまたまハマってるゲイムがパワプロだから,パワプロで説明しただけなんだけど,「ドラゴンクエスト」しかり「ファイナルファンタジー」しかり,長年続いているシリーズものって,どれもこれもすごいと思うの。面白いことが当たり前とプレイヤーに思われている状態で,ちゃんと面白いものを提示してきているわけだから。
繰り返すけど,同じシリーズでも作品によって好きの度合いに差はあるわよ。でも,それも前の作品に比べて……なわけだから。まったく別のゲイムに比べてっていうよりも,これまで遊んできた同じシリーズの作品に比べてって状態。これって,個人に置き換えると自分との戦いみたいなものよね。そう考えると,パワプロってもはや一流アスリートだわ。
面白いことだけでもすごいし,“+α”があることでもすごいのに,当たり前のようにそれを続けるすごさたるや。ホント,ゲイムやそれを作る人達ってすごいわよね。プレイヤーには完成品を遊ばせるだけで,基本的には苦労を見せないっていうのもすごいし。イヤ,ホント尊敬ですよ。
……ということをケツ場が決まって思い知らされましたっていう話です,今週は。で,一つケツ場に伴って困ったことがありましてね。それはこの連載の原稿〆切問題。今までは土日に試合があることを理由に〆切を守らなかったという一面があるんだけど,ケツ場してからはそれが通用しないんじゃないか? という疑惑が生まれまして。
イヤ,まあ私はブレないんですけどね! ホラ,当然のように続けることが大事だから。だから,この〆切スタイルは続けますよ! という感じで,ケツ場したからといって読者には何の関係もなく,この連載は続くよっていうお話で,今週はお別れしたいと思います。また来週!
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 4:「戦国無双4」
PlayStation 3:「実況パワフルプロ野球2014」
PlayStation Vita:「絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「ゼルダ無双」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「禁忌のマグナ」
Xbox 360:「剣の街の異邦人 〜白の王宮〜」
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- 関連タイトル:
実況パワフルプロ野球2014
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一般社団法人日本野球機構承認 日本プロ野球名球会公認 (公社)全国野球振興会公認 プロ野球フランチャイズ球場公認
ゲーム内に再現された球場内看板は、原則として2014年プロ野球ペナントシーズン中のデータを基に制作しています。
データ提供 データスタジアム(株)
(C)Konami Digital Entertainment
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