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Mini-ITXに対応したSkylake対応のR.O.G.マザーボード「MAXIMUS VIII IMPACT」。相変わらずの高い機能性は要チェックだ
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印刷2016/02/10 00:00

テストレポート

Mini-ITXに対応したSkylake対応のR.O.G.マザーボード「MAXIMUS VIII IMPACT」。相変わらずの高い機能性は要チェックだ

MAXIMUS VIII IMPACT
メーカー:ASUSTeK Computer
テックウインド(販売代理店) info@tekwind.co.jp
実勢価格:3万6000〜4万円程度(※2016年2月10日現在)
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 マザーボードの多機能化と,大型のグラフィックスカードに対応する小型PCケースの拡充もあって,自作派PCゲーマーがMini-ITXを選ぶことは,別段珍しくもなくなった。
 ただ,筆者の記憶が確かであれば,そこに市場を切り開いたのは,2013年1月に世界市場でデビューした(※国内発売は同年8月)ASUSTeK Computer(以下,ASUS)製マザーボード「MAXIMUS VI IMPACT」だった。R.O.G.(Republic of Gamers)ブランド初のMini-ITXマザーボードたるMAXIMUS VI IMPACTがなければ,今日(こんにち)の「ゲーマー向けMini-ITXシステム隆盛」はなかった……というのはさすがに言い過ぎだと思われるものの,MAXIMUS VI IMPACTのデビューが市場形成に重要な役割を果たしたのは確かだと思う。

 今回取り上げるのは,そんなR.O.G.版Mini-ITXマザーボードの最新モデルとなる「Intel Z170」(以下,Z170)搭載モデル「MAXIMUS VIII IMPACT」である。
 Skylake世代のCoreプロセッサに対応する新しいR.O.G.版Mini-ITXマザーボードはどんな製品なのか。詳しく見ていきたい。


非常にコンパクトなサイズながら,複数のサブ基板により多機能を実現


 あらためて基本的な事柄を確認しておくと,MAXIMUS VIII IMPACTは,LGA1151パッケージのCPUに対応したマザーボードだ。本体サイズは170×170mmと,もちろんMini-ITXフォームファクタに準拠している。

MAXIMUS VIII IMPACTを正面から見たカット
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斜めから見ると,Impact Power III(奥)とSupremeFX Impact III(手前)が目立つ。ちなみに最も高い部分(=Impact Power III)で高さは実測約45mmだった
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 MAXIMUS VI IMPACTは,デジタル電源回路「DIGI+ VRM」の構成要素を「Impact Power」としてサブ基板(=ドーターカード)化したデザインで注目を集めたが,MAXIMUS VIII IMPACTが採用するのはその第3世代モデルとなる「Impact Power III」だ。さらに,専用サウンドカードのこれまた第3世代モデルである「SupremeFX Impact III」も搭載しており,横置きしたときに“背の高い”シルエットとなっている。

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Impact Power IIIのヒートシンクを取り外したところ
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Skylakeでは,ベースクロック(BCLK)を生成するPLLが外付けとなったが,さすがにそれはImpact Power III上には載っていない。マザーボード本体側にIDT製のクロックジェネレータ「5V41538NLG」を搭載している
 というわけで「ヒートシンクやカバーの取り外しはメーカー保証外の行為であり,本稿と同じことを試す場合は,くれぐれも自己責任でお願いしたい」と断りつつ,この2つから先に見てみることにするが,まずImpact Power IIIは,(当たり前だが)マザーボード基板に直付けされており,着脱は不可だ。
 電源フェーズはMAXIMUS VI IMPACTのImpact Power,そして第2世代モデルとなる「MAXIMUS VII IMPACT」の「Impact Power II」と同じ8+2構成。ただ,MOSFETがImpact Power IIにおけるTexas Instruments製「NexFET」からInternational RectifierのPowIRstageシリーズに属する「IR3553」へ変更となっており,ASUSによると,この仕様変更によって電力損失量が減少し,製品寿命も向上したという。
 さらに,チョークコイルも従来の「60A BlackWing Chokes」から「MicroFine Alloy Chokes」へ変更し,安定性と電力効率の向上を実現したとのことである。

 なお,一般的な固体コンデンサより高耐久と長寿命になっているニチコン製GTシリーズのコンデンサを採用している点はImpact Power IIから変わっていない。

Impact Power IIIの表面(左)と背面(右)。表側は写真左から8フェーズ分がCPUコア用,残る2フェーズ分がアンコア用だ。背面側では,デジタルVRMコントローラを統合したASUS独自の電力管理チップ「EPU」(Energy Processing Unit)を実装しているのも分かる
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 もう1つのサブ基板であるSupremeFX Impact IIIは,25ピン端子で接続されているため,ビスを取り外せば着脱可能だ。
 MAXIMUS VII IMPACTに差さっていた「SupremeFX Impact II」だと,EMIシールドはHD AudioCODECチップのみを覆うような格好になっていたのだが,今回のSupremeFX Impact IIIでは従来比で大きくなったカード全体がロゴ入りのシールドで覆われており,より見た目のインパクトが増している。

SupremeFX Impact IIIを取り外したところ(左)。右は参考までに,SupremeFX Impact IIのイメージ画像だ
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EMIシールドを外した基板。ちなみにES9023とリレーの間に見えるのは富士コム製のクロックジェネレータ「FCO-736B-40.000MHZ」だ。ES9023用と見てまず間違いない
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 EMIシールドを外してみると,中身もSupremeFX Impact IIとはまったくの別モノなのが分かる。とくに印象的なのは,Realtek Semiconductor製のHD Audio CODEC「ALC1150」とは別に,ESS Technology製のD/Aコンバータ「ES9023」を搭載していることだ。ES9023は,AV機器での採用例も多い,いわゆるSabre DACシリーズの製品で,チップレベルのダイナミックレンジは112dBというスペックを持つ。

3.5mmミニピン端子はLED付き。ライン入力は青,ライン出力は緑,ヘッドフォン出力は赤で光る
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 また基板上には,Texas Instruments製のライン出力用OPAMP(オペアンプ)「RC4580」と,ASUSが「Sonic SenseAmp」と呼ぶヘッドフォンアンプ,そしてヘッドフォン/ヘッドセット接続時のポップノイズ対策用と思われるNECトーキン製の高密度実装型ミニチュアシグナルリレー「UD2-4.5NUN」の姿も見える。アナログのラインおよびヘッドフォン出力に向け,かなり豪勢な仕様になっていると述べてしまって問題ないだろう。

サウンドカード自体の電源用と思われるが,ニチコン製の固体コンデンサを搭載(左)。カード背面側には何もない(右)
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Impact Control III
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 さて,MAXIMUS VIII IMPACTには実のところもう2つ,マザーボードに対して垂直に実装されているサブ基板がある。それは,背面のI/Oインタフェース部にある「Impact Control III」と,無線LAN機能とBluetooth を実現する「Wi-Fi Go!」だ。

 Impact Control IIIのほうは,「ATX電源ボタンとリセットボタン,POSTコード表示用2桁の7セグメントLED,クリアCMOS用プッシュスイッチ,USB BIOS Flashback用プッシュスイッチがまとまっているだけ」と言えばそれまでだろう。だが,Mini-ITXシステムの場合,一度PCケースに組み込むと,マザーボード基板全体にアクセスするというのは困難を窮めるケースが多い。それだけに,PCケースの背面側からさっと使えるというのは,利便性の観点から高く評価できそうである。

 もう1つ,カバー付きなので一見オンボード実装といった雰囲気のWi-Fi Go!は,IEEE 802.11ac(2x2,MU-MIMOサポート)対応の無線LANおよびBluetooth 4.1接続を提供するカードだ。マザーボードのM.2スロットに差さっている。
 搭載するコントローラはQualcomm Atherosの「QCA61x4A」だ。

左は,ネジ留めされているWi-Fi Go!を取り外したところ。右は付属のMIMO対応アンテナを取り付けたところだ
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Fan Extension Card
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 また,これはマザーボード基板から“生えて”いるわけではないのだが,MAXIMUS VIII IMPACTにはもう1つのサブ基板,「Fan Extension Card」も付属している。
 これは,ASUS製の「Intel X99」チップセット搭載マザーボード「X99-Deluxe」に付属しているのと同じもののようで,簡単にいうと,ファン3基,温度センサー3基を増設できる,いわばファン拡張カードである。PCケース内のファンをマザーボードから制御したい場合に役立つだろう。

 一方で,省略されたものもある。MAXIMUS VII IMPACTには,PCI Express(以下,PCIe) 3.0 x4接続のM.2コスロットと,無線LAN&Bluetoothモジュールが標準で差さったPCIe 2.0 Mini Cardスロットを両面に搭載する「mPCIe Combo IV」がマザーボードに対して垂直に接続されていたが,Wi-Fi Go!の採用に伴ってmPCIe Combo IVはなくなっている。
 代わりにオンボードで追加となったのは,PCIe 3.0 x4接続のU.2端子だ。M.2とU.2のどちらが便利かというのは議論の余地がありそうなので,ASUSによるこの判断の評価は分かれそうだが,少なくともPCIe 3.0 x4接続のストレージ用インタフェースは維持できているともいえるだろう。
 ちなみにストレージ用としてはそのほか,ほかにSerial ATA 6Gbpsポートが4つある。

U.2端子(左)。Serial ATA 6Gbpsポートは,メモリスロットとPCIe x16スロットに挟まれたような場所にある(右)。グラフィックスカードを差すと,メモリスロットともども,取り回しの難度は上がる印象だ
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I/Oインタフェース部全景
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I219-V
 そのほかのインタフェースも確認しておこう。背面インタフェースにあるインタフェースのうち,ここまでに出てきていないのは,光角形のデジタルサウンド出力×1とHDMI(Type A)出力×1,USB 3.1(Gen.1,Type-A)×4,1000BASE-T(RJ45)×1,USB 3.1(Gen.2,Type-A)×1,USB 3.1(Gen.2,Type-C)×1。オンボードではIntel製のThunderbolt 3コントローラを搭載しているが,Thunderbolt 3としてUSB Type-Cを利用できるわけではない。
 1000BASE-T LANコントローラはIntelの「I219-V」で,LAN端子は「Anti-surge LANGuard」により,一般的なLAN端子の2.5倍,最大15000Vのサージ電圧に耐えるという。

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Thunderbolt 3コントローラ「DSL6540」を搭載するが,MAXIMUS VIII IMPACTではこれをUSB 3.1(Gen.2)コントローラとして利用している
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基板上にはUSB 3.1(Gen.1)×2(≒USB 3.0)のフロントパネル用ヘッダピンも2系統分ある

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 メモリスロットはDDR4 SDRAM対応のものが2本。ASUS製マザーボードでよく見られる片側ノッチタイプで,Impact Power III側のノッチが省略されているため,干渉の恐れなしにメモリモジュールを取り付けられる。なお,動くかどうかは別の話として,マザーボードの仕様上はDDR4-4133(PC4-33000)までのサポートだ。

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UEFIにはCPUの冷却に液体窒素を利用するための「LN2モード」がある。U.2端子のすぐ近くにある「LN2」ジャンパピンを使うと,LN2モード用UEFIに切り替え可能だ
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こちらはマザーボード背面側。Mini-ITXマザーボードだと,背面側にM.2スロットを搭載するようなものもあるが,MAXIMUS VIII IMPACTの場合,インタフェース類はない


使いやすいUEFIには「液冷CPUクーラーを考慮した設定」あり


EZ ModeのEZ Tuning Wizard
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 ASUSが「UEFI BIOS」と呼ぶUEFIが,より簡単な「EZ Mode」と,昔ながらのBIOSに近いメニューを利用できる「Advance Mode」を持つというのは,最近のASUS製マザーボードと共通。オーバークロック設定は自己責任であり,結果は一切保証されないことを断ってから続けると,EZ Modeでは,「EZ Tuning Wizard」に従って進めていくだけでオーバークロック設定を行うこともできるようになっている。
 一方のAdvence Modeでは,より細かな設定を行えるようになっている。たとえばベースクロックなら,「Extreme Tweaker」メニューの「Ai Overclock Tuner」以下にある「BCLK Frequency」という項目から,40.00〜650.00MHzの範囲を0.01MHz刻みで指定可能だ。もちろん,「K」型番のCPUでは,「CPU Core Ratio」から,CPUの動作倍率をコアごとに40〜83倍の範囲から指定できる。

BCLK Frequency(左)とCPU Core Ratio(右)
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TPU。選択肢は3つだ
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 Extreme Tweakerに「TPU」の項目がある点にも注目したい。
 TPU(TurboV Processing Unit)は,オーバークロック設定を自動で行う機能「Turbo V」を制御する専用チップのこと。標準では「Keep Current Setteings」としてUEFIの設定内容を反映するようになっているが,これを「TPU I」や「TPU II」に変更すると,Turbo Vによる自動オーバークロックを利用できるようになる。
 TPU Iは空冷クーラー用,TPU IIは液冷クーラー用。最近のMini-ITXケースでは簡易液冷クーラーを搭載できるものが増えてきているだけに,液冷クーラー搭載時のための項目があるというのはありがたい。

 ちなみに,初期リリースであるバージョン0205だと,「Advenced」のサブメニューには,Thunderboltの設定項目が用意されているが,これはUEFI側のミス。2016年1月19日リリースのバージョン1402だとこの項目はなくなっている。前段でも指摘したとおり,MAXIMUS VIII IMPACTのUSB Type-CポートがサポートするのはUSB 3.1(Gen.2)である。


AI Suite 3でも細かなOC設定が可能。Game First IVでは有線LANと無線LANの有効活用を実現


AI Suite 3のDual Intelligent Processors 5にはオーバークロック関連のさまざま設定が並ぶ(上)。また,ウインドウ下部はモニタリングツールとなっており,動作クロックや各種電圧などを確認可能だ。下はAI Suite 3の機能一覧。MAXIMUS VIII IMPACTではここからLED Controlがなくなっている
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 MAXIMUS VIII IMPACTは,これまた従来のASUS製マザーボードと同じく,付属のWindows用アプリケーション「AI Suite 3」の「Dual Intelligent Processors 5」により,さまざまなオーバークロック設定が可能だ。先ほど挙げたベースクロックや動作倍率の変更などは,Dual Intelligent Processors 5上でも設定することができるようになっている。

 4Gamerでは以前,ASUS製のIntel Z170搭載マザーボード「Z170 PRO GAMING」を紹介し,そのときAI Suite 3の紹介も行ったが,MAXIMUS VIII IMPACTにおけるAI Suite 3の機能で変わったところはほとんどない。MAXIMUS VIII IMPACTでLEDが光るのはアナログサウンド入出力端子のみなので,Z170 PRO GAMINGにあったLED制御関連項目「LED Control」がなくなっているくらいだ。

Dual Intelligent Processors 5のTPU(左)とDIGI+VRM(右)。TPUでは,左上でベースクロックや動作倍率の変更を行える。また,DIGI+VRMではVRMのフェーズ数制御周りを変更可能だ
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GameFirst IV専用ユーティリティ
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 一方,MAXIMUS VIII IMPACTで押さえておきたいソフトウェアとしては,「GameFirst IV」がある。これは端的にいえば,ネットワーク関連の設定ツールで,MAXIMUS VIII IMPACTでは,有線LANと無線LANの両方を備えているが,アプリケーションごとにどちらを利用するかを適宜設定することが可能となっている。つまり,ゲームのパケットは有線LANで流しつつ,ボイスチャット用など,副次的なパケットは無線LANで流すといった使いかができるわけだ。
 なお標準だと「Intelligent Mode」で,アプリケーションが負荷状況を見て自動的に割り振るようになっている。手動設定したいときは,「Application」タブのすぐ下に並んだ「AUTO」「MANUAL」から後者を選択すればいい。

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アプリケーションの優先度は「Highest」「Higher」「Normal」「Lower」「Lowest」の5段階から設定可能だ
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アプリケーションごとに,有線LANと無線LANのどちらを利用するかを任意に変更することもできる
「Network Monitor」では,「Top 5 applications」でどのアプリケーションがどれだけの帯域幅を占めているか確認し,アプリケーションの優先度指定におけるヒントとしたり,「LAN usage」で有線LANと無線LANの利用状況を確認したりすることもできる
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 サウンド関連のソフトウェアスイートとしては,R.O.G.マザーボードでお馴染みの「Sonic Studio II」が標準で用意される。
 Sonic Studio IIでは,バーチャルサラウンドサウンドや低域強調,セリフの強調といった出力関連機能のほか,マイク入力時には「ボリューム安定装置」の名でいわゆるAGC(Auto Gain Control,小声でしゃべっても相手に聞こえやすくする機能)やノイズリダクションといった機能を利用可能だ。また。ゲームの動画配信時や録画時に音質の向上を図るという機能「Casting Enhancer」も利用できるようになっている。

機能群は出力用の「Sonic Studio」,マイク入力用の「Perfect Voice」,そして実況用の「Casting Enhancer」としてまとまっている
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機能性は文句なし。価格が高いのは玉に瑕だが,ゲーマー向けMini-ITXマザーボードとしての価値はかなり高い


製品ボックス
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 コンパクトなMini-ITXマザーボードでは,その実装面積の狭さから,機能性が省略されることが多い。しかし,このMAXIMUS VIII IMPACTでは,さすがハイエンドのゲーマー向けモデルということで,妥協のない,多機能かつハイスペック名マザーボードに仕上がっているとまとめていいだろう。
 Mini-ITXマザーボードでどこまでオーバークロックを試すかという点には議論の余地があると思う。また,3万6000〜4万円程度(※2016年2月10日現在)という実勢価格は,正直,かなりの数の潜在的なユーザーを躊躇させるとも思うが,それでも,本気でMini-ITX環境をメインのゲームPCとして運用したい場合に,MAXIMUS VIII IMPACTは,かなり有力な選択肢になるはずだ。

 もちろん,これをあえてリビングに持ち込むというのも,面白いのではなかろうか。

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ASUSのMAXIMUS VIII IMPACT製品情報ページ

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