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「STRIX-GTX1080-O8G-GAMING」レビュー。ブースト最大クロック2GHz超級のASUS製GTX 1080カード,その速さに迫る
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印刷2016/07/30 00:00

レビュー

ブースト最大クロック2GHz超級の「ROG STRIX」なGTX 1080カード,その速さに迫る

R.O.G. STRIX-GTX1080-O8G-GAMING

Text by 宮崎真一


STRIX-GTX1080-O8G-GAMING
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:テックウインド(販売代理店) info@tekwind.co.jp
実勢価格:10万4000〜11万程度(※2016年7月30日現在)
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 ASUSTeK Computer(以下,ASUS)は,2016年6月のCOMPUTEX TAIPEI 2016において,それまで独立したゲーマー向け製品ブランドだった「STRIX」を,「R.O.G.」(Republic of Gamers)のサブブランド「ROG STRIX」として位置づけし直した(関連記事)。今回取り上げる「GeForce GTX 1080」(以下,GTX 1080)搭載グラフィックスカード「STRIX-GTX1080-O8G-GAMING」(以下,STRIX GTX 1080)はまさにそんなROG STRIXブランドのカードだ。

 ROG STRIXブランドの製品は,R.O.G.ブランドのファンよりも若い世代や,初心者に近い層をターゲットにしているとのことだが,それはカードの特徴から感じ取ることができるだろうか。しっかり確認してみたい。


流行の「3つの動作モード」を採用。メーカー保証付きでブースト最大クロック2GHz超を達成


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 4Gamerでは,MSIの「GeForce GTX 1080 GAMING X 8G」にGIGA-BYTE TECHNOLOGYの「GV-N1080G1 GAMING-8GD」と,2枚のGTX 1080カードを評価済みだが,それらのカードと同様に,STRIX GTX 1080も3つの動作モードプリセットを用意している。各モードの名称とそのGPUコアクロック設定は以下のとおりだ。

  • OC Mode:ベース1784MHz,ブースト1936MHz
  • Gaming mode:ベース1759MHz,ブースト1898MHz
  • Silent mode:ベース1721MHz,ブースト1860MHz

 工場出荷時設定はGaming modeで,その動作クロックはリファレンスのベース1067MHz,ブースト1733MHzよりざっくり1割高い。OC modeはそんなGaming modeと比べてさらに,ベースクロックが25MHz,ブーストクロックが38MHz,それぞれ高い設定となり,逆にSilent modeは,Gaming modeよりベースクロック,ブーストクロックともに38MHz低い設定となる。
 メモリクロックはどのモードも10GHz相当(実クロック約1251MHz)と,リファレンスから変わっていない。

GPU Tweak IIから動作クロックを追ってみると,後述するテスト環境ではOC modeにおいて最大2025MHzを記録した
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 さて,OC Modeのブーストクロックが1936MHzであることから期待している人もいると思うが,付属のアプリケーション「GPU Tweak II」(Version 1.3.2.2)から確認したところ,ブースト最大クロックはOC modeで2025MHz,Gaming modeで1974MHz,Silent modeで1936MHzと,OC modeで2GHz超えを果たした。4Gamerでは先にFounders Editionのオーバークロックで2GHz超級での動作を試しているが,ついに,メーカー保証の範囲内で2GHzクラスの最大動作クロックを実現するカードが出てきたわけだ。

 なお,動作モードの切り換えは,今その名を挙げたGPU Tweak IIから行う。今回はバージョン1.3.2.2で試したが,GPU Tweak IIの「Home」から各モードのボタンをクリックするだけで動作モードの選択が可能だ。

GPU Tweak IIのHome。別途「Simple Mode」という名称もある。上に[OC mode][Gaming mode][Silent mode]という3つのボタンがあり,ここで動作モードを選択できる
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Gaming modeを選択した状態からProfessional Modeを開いたところ
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 上の画面で右下に「Professional Mode」とあるのに気付いた人もいるだろうが,GPU Tweak IIでは,動作モードの選択後,Professional Modeへ移行することで,ブーストクロックや,GPUコア電圧,メモリクロック,ファン回転数,「Power Target」(電力ターゲット),「GPU Temp Target」(温度ターゲット),「Frame Rate Target」(フレームレートターゲット)を手動で設定できるようになる。

OC modeに対してGPU Voltageを+50にした例。変更すると[Apply]ボタンが表れる。[Aplly]ボタンを押さなくても,動作モード(※この例ではOC mode)に対するカスタマイズは有効だが,押せばUser1 Modeに対して新しい動作モードとして登録できる
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 メーカー保証の範囲内なのは動作モードを選択するところまでで,Professional Modeを使ったオーバークロック設定が自己責任となる点は注意が必要だが,「カスタマイズできる」ことは覚えておいても損はないだろう。

 ちなみにProfessional Modeでは,ブーストクロックを1MHz刻みで1733MHz〜2068MHzの範囲,メモリクロックを1MHz刻みで9009MHz相当〜11011MHz相当の範囲で設定できる。また,設定内容はそのまま使うほか,[Apply]ボタンを押すことで,追加の動作モードとして保存することも可能だ。追加の動作モードは,標準だと「User1 Mode」という名称だが,これは変更可能で,登録すると,GPU Tweak IIのメインメニューから,プリセットの3モードと同じように選択できるようになる。

 また,メインメニューにある「0dB Fan」スライダーは,「OFF」を選ぶことで,GPUへの負荷が低いアイドル時にファンの回転を停止させる「0dB Fan Technology」を無効化し,ファンが常時回転し続けるようにも設定できる。工場出荷時の設定は有効だ。

Gaming Booster。3要素は個別に有効/無効を切り換えられる。カジュアルに試すとしたらメモリのデフラグだろうか
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 もう1つ,メインメニュー下部の[Gaming Booster]ボタンをクリックすると,透過処理などのWindowsのエフェクトや一部のWindowsサービスを無効化したり,システムメモリのデフラグを行ったりしてシステム性能の向上を図る機能「Gaming Booster」を利用できる。
 正直,GTX 1080を搭載するようなハイクラスのゲームPC(や自作PC)でGame Boosterにどの程度の効果があるかは疑問というか,実際に試しても効果は体感できなかったのだが,こういう機能があることは押さえておいてもいいだろう。

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GPU Tweak IIに統合してほしい気もするが,こちらがAURAアプリケーション
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カード背面側のロゴ。ここもファン側と同じ色で光る
 なお,これはGPU Tweak IIとは別のアプリケーションだが,「AURA」(Version 0.0.2.1)を利用すると,STRIX GTX 1080が搭載するLEDイルミネーションの色や光り方を調整できる。
 LEDイルミネーションはファンの周辺にある線状の装飾部とクーラー側面部および背面部のR.O.G.ロゴだが,個別の設定は行えないので,その点は注意してほしい。
 ちなみに色は約1677万通りから選択可能。光り方は常時点灯の「Static」,明滅を繰り返す「Breathing」,点滅する「Strobing」,順に色が変わっていく「Color cycle」のほか,「Special Effects」にチェックを入れれば流す音楽によって点滅する「Music」や,GPUの温度を色で通知する「GPU Temperature」も選択可能だ。

AURA機能を使ってLEDイルミネーションの色を変更してみた例
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Founders Editionより長い,約30cmのカード長。電源部は8+2フェーズ構成へ強化


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端的に述べてSTRIX GTX 1080は大きい
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補助電源コネクタは8ピン+6ピンという仕様だ
 カードそのものを見ていこう。
 そのカード長は実測で約298mm(※突起部除く)で,GTX 1080 Founders Editionの同267mmと比べると,30mm強長い計算になる。基板自体も285mmとFounders Editionより長く,そこからさらに,カード後方へ向かって,3連ファン仕様のGPUクーラー「DirectCU III」がはみ出た格好だ。

 また,マザーボードに差したときの垂直方向に,ブラケットから実測約24mmせり出しているのも目を引くが,補助電源コネクタの部分だけはFounders Edition相当のところまで凹んでいるので,この方向の大きさが問題となることは(筐体内の余裕が極端に少ない超小型PCケースを別にすれば)そうそうないのではなかろうか。
 その補助電源コネクタは,8ピン+6ピンという構成。Founders Editionが8ピン×1という実装だったので,6ピン1つ分の強化となる。

GPUクーラーがカード方向にせり出した格好となるSTRIX GTX 1080。左の写真だと基板は短く見えるかもしれないが,背面側から見ると,補助電源コネクタの部分が凹んでおり,それが左の写真では角度の都合で見えなくなっているだけだと分かる
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 外部出力インタフェースはDisplayPort 1.4×2,HDMI 2.0b(Type A)×2,Dual-Link DVI-D×1。Founders EditionからDisplayPortを1つ減らし,代わりにHDMIを増やしているので,たとえばHDMI 2.0接続のテレビとVR(Virtual Reality,仮想現実)対応のヘッドマウントディスプレイへ同時に接続するといった場合には重宝するだろう。

ファンの奥を覗き込めばヒートシンクの存在を確認できる一方で,カード全体としてはヒートパイプが目立たないデザインになった
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 先ほど名前が出てきたDirectCU IIIは,「GeForce GTX 980 Ti」搭載カード「STRIX-GTX980TI-DC3OC-6GD5-GAMING」(以下,STRIX GTX 980 Ti)などでも採用されているクーラーの名称だが,見る限り,STRIX GTX 1080で採用するDirectCU IIIクーラーは,従来型とは異なる新世代モデルだ。

 STRIX GTX 980 TiのDirectCU IIIだと,10mm径のヒートパイプを2本採用するのがウリで,その太さを誇示するかのようにクーラーの側面をヒートパイプが走る構造だったのが,今回のSTRIX GTX 1080だとそういうことはなく,外観はすっきりしたものになっている。

ファンの羽はSTRIX GTX 980 Tiが搭載していたDirectCU IIIから引き続き,「Wing-Blade」仕様。ぱっと見だと分かりにくいが,ファンの羽を外周側から見ると,外周部が分厚くなっているのが分かる。ASUSによると,3連ファンとWing-Bladeの効果により,冷却性能はFounders Editionと比べて最大30%の向上を実現できているそうだ
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GPUクーラーを取り外したところ
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ヒートパイプは8mm径が4本,6mm径が1本。これらがGPUダイに直接触れる仕様となる
 GPUクーラーの取り外しはメーカー保証外の行為であり,クーラーを外した時点でメーカー保証は失効する。その点は十分に注意してほしいが,今回はレビューのため特別に取り外してみると,まず,「銅が直接」(DirectCU)という名前どおり,ヒートパイプがGPUと直接触れる,DirectCUクーラー伝統の仕様を確認できる。

 ヒートパイプの本数は5本で,は8mm径が4本に6mm径が1本という構成になっている点や,電源部の熱を熱伝導シート経由で放熱フィン部へ運ぶようになっている点,メモリチップにヒートシンクを被せてあり,ファンからのエアフローで冷却するような格好になっている点も,合わせて見てとれる。

メモリチップ用ヒートシンク,そして背面の補強板を外せば,基板全体を見ることができるようになる
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基板全体
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 電源部は見る限り8+2フェーズ構成で,5+1フェーズ構成のFounders Editionと比べると,明らかに規模が大きい。
 その部品は,ASUSが「Super Alloy Power II」と総称するもので揃っている。具体的には,コイル鳴きを極限まで抑えられるというチョーク「Super Alloy Power II Choke」,耐用年数が一般的なVRM用と比べて2.5倍あるというコンデンサ「Super Alloy Power II Capacitor」で,対応電圧を30%拡大したMOSFET「Super Alloy Power II MOS」といった具合だ。

 搭載するグラフィックスメモリはMicron Technology製のGDDR5X「MT58K256M32JA-100」(※パッケージ上の刻印は「6IA77 D9TXS」)。10Gbps品でチップ8枚により,総容量8GBを実現している。

電源部全体(左)。左端に4ピン端子が2系統見えるが,これはファンへの電源供給用である。詳細は不明だが,汎用のファンを追加することで冷却能力を増すといったことができるようだ。中央は電源部の部品に寄ったところで,左端のコンデンサがSuper Alloy Power II Capacitorで,その右横に並ぶチョークコイルがSuper Alloy Power II Choke。GPU用にはInternational Reactifier製「IR3550 PowIRstage」,メモリコントローラ用にはUBIQ Semiconductor製「M3056M」をそれぞれ採用し,MOSFETとして利用しているのも分かる。また,電源部の背面側には「470」と刻印されたコンデンサを2フェーズあたり3基ずつ搭載しているようだ。これはインピーダンスの低減用だろう
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デジタルPWMコントローラはFounders Editionと同じく「μP9511P」だった(左)。写真中央はITE Tech.の「IT8915FN-56」。どこにもこのチップに関する情報がなく詳細は分からないが,型番からしてI/Oチップのような気配はあるので,配置的に,2基ある汎用ファン端子の制御用と思われる。右は搭載するMicron Technology製GDDR5Xメモリチップである
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3つの動作モードでFounders Editionと比較


 さて,テストだが,今回は比較対象としてGTX 1080のFounders Editionを用意してこれをリファレンスとし,STRIX GTX 1080の標準動作モード3種が,それぞれリファレンスとどのように異なる結果を出すかチェックしたい。グラフ中に限り,3つの動作モードは「STRIX GTX1080(OC)」「STRIX GTX1080(Gaming)」「STRIX GTX1080(Silent)」と書いて区別する。

 テスト方法は基本的に4Gamerのベンチマークレギュレーション18.0準拠。ただし,「3DMark」(Version 2.1.2852)では,DirectX 12世代のベンチマークテストである「Time Spy」も実行する。
 Time Spyは,レギュレーション準拠となるDirectX 11版テストと同様に2回連続で実行し,スコアの高いほうを採用するので,この点はあらかじめお断りしておきたい。

 テスト解像度は,GTX 1080がハイエンド市場向けであるため,2560×1440ドットと3840×2160ドットの2パターンとした。
 用いるグラフィックスドライバは,テスト開始時の公式最新版となる「GeForce 368.81 Driver」。そのほかテスト環境はのとおりで,CPUの自動クロックアップ機能「Intel Turbo Boost Technology」は,テスト状況によってその効果に違いが生じる可能性を排除する目的で,マザーボードのUEFI(≒BIOS)から無効化している。

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Gaming modeではクロック分の順当な性能向上を確認。ただしブースト最大2GHz超のインパクトはそれほど大きくない


 それでは,順にテスト結果を見ていこう。
 グラフ1は3DMarkのDirectX 11版テストにおける総合スコアをまとめたものだが,STRIX GTX 1080のGaming modeはGTX 1080 Founders Editionに対して5〜6%程度高いスコアを示した。OC modeだとそこにプラスして1〜2%程度,Silent modeだとマイナス2〜3%程度といったところだ。大きな違いはないものの,きれいな階段状のスコアになっているので,動作モード設定が機能していると言うことはできるだろう。

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 3DMarkのDirectX 12版テストであるTime Spyのスコアがグラフ2で,ここでもスコア傾向は変わらない。Gaming modeで動作するSTRIX GTX 1080は,GTX 1080に対して約5%高いスコアを示している。

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 グラフ3,4は「Far Cry Primal」の結果だ。描画負荷が高めのテストとなるFar Cry Primalで,3つの動作モード間にある違いは最大でも2fpsしかない。GTX 1080との違いもほとんどないので,クロックアップモデルの効果を体感するのはまず不可能だ。

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 「ARK: Survival Evolved」(以下,ARK)のスコアをまとめたグラフ5,6だと,Gaming modeのSTRIX GTX 1080はGTX 1080に対し,「Low」プリセットで7〜10%程度,「High」プリセットで5〜6%程度高いスコアを示している。GTX 1080搭載PCでより現実的なグラフィックス設定プリセットとなるHighだと,実フレームレート上の違いは大きくないが,クロックアップの効果自体は確認できよう。
 なお,3つの動作モード間で違いがそれほどないというのは,ここまでと同じ傾向である。

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 「Tom Clancy’s The Division」(以下,The Division)のテスト結果がグラフ7,8で,ここではSTRIX GTX 1080のGaming modeがGTX 1080に対して7〜12%と,比較的大きめのスコア差を付けた。また,「中」プリセットの3840×2160ドットで,ベンチマークレギュレーションが合格ラインとする平均60fps,「ウルトラ」プリセットの2560×1440ドットでハイエンド環境の合格ラインとなる平均80fpsにそれぞれSTRIX GTX 1080が迫る点にも注目しておきたい。

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 グラフ9,10は「Fallout 4」の結果だが,解像度2560×1440ドットではSTRIX GTX 1080とGTX 1080のスコア差が最大でも約3%に留まるのに対し,3840×2160ドットではスコア差が最大約9%に広がる。これは先にテストしたGIGA-BYTE TECHNOLOGY製カードやMSI製カードとは異なる挙動なので,STRIX GTX 1080ならではの特性と言えるかもしれない。

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 「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」(以下,FFXIV蒼天のイシュガルド ベンチ)の結果をまとめたグラフ11,12では,なかなかインパクトのある結果が出た。STRIX GTX 1080はSilent modeでも,「最高品質」の3840×2160ドットで,スクウェア・エニックスの示すスコアの見方において最高指標となるスコア7000を超えているのだ。
 「標準品質(デスクトップPC)」の2560×1440ドットでは相対的なCPUボトルネックによってスコアの頭打ちが生じているが,それ以外だとGaming modeのSTRIX GTX1080はGTX 1080に5〜9%程度のスコア差を付け,クロックアップの相応な効果も確認できる。

※グラフ画像をクリックすると,平均フレームレートベースのグラフを表示します
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 「Project CARS」の結果をまとめたグラフ13,14でも,解像度2560×1440ドットではCPUボトルネックの影響を確認できる。3840×2160ドット条件だと,Gaming modeのSTRIX GTX 1080はGTX 1080に対して約7%高いスコアを示し,OC modeおよびSilent modeと緩やかな階段状のグラフを生んでいる。

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消費電力はGaming modeで最大29W増加。DirectCU IIIの冷却性能と静音性は申し分なし


 4Gamerで先にテストしたクロックアップ版GTX 1080カードはいずれもFounders Editionに対して相応に消費電力が上がっていたが,STRIX GTX 1080はどうか。今回も,ログの取得が可能な「Watts up? PRO」を用いてシステム全体の消費電力を測定,比較してみたい。

 テストにあたっては,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイの電源がオフにならないよう指定したうえで,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時としている。

 その結果がグラフ15で,アイドル時はむしろGTX 1080 Founders Editionより若干低めとなるSTRIX GTX 1080ながら,アプリケーション実行時だと5〜29W程度高いスコアを示した。クロックアップと,基板の豪華な作りを考えると,やむを得ないところといった印象で,少なくともGeForce GTX 1080 GAMING X 8Gよりは大人しめの消費電力増大率で済んでいる印象だ。
 ちなみにOC modeだとGaming modeからさらに2〜15W高く,クロック引き上げ分の代償を支払っているが,Silent modeだとGTX 1080 Founders Editionとの違いは1〜9W程度で済んでいる。

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 GPU温度もチェックしておこう。ここでは3DMarkの30分間連続実行時点を「高負荷時」とし,アイドル時ともども「GPU-Z」(Version 1.9.0)からGPU温度を取得することにした。なお,テスト時の室温は約24℃で,システムはPCケースに組み込まず,いわゆるバラックの状態に置いてある。

 その結果をグラフ16に示すが,ここではアイドル時にファンの回転が止まるデフォルト設定でテストを行っているため,STRIX GTX 1080のスコアはやや高め。ただ,それでも50℃未満なので,まったく問題のないレベルではある。
 一方の高負荷時だと,OC modeでも75℃なので,やはりまったく問題ない。DirectCU IIIクーラーの冷却能力は十分に高いと言っていいだろう。

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 さて,気になるファンの動作音だが,これは動画で確認してほしい。
 下に示したのは,カメラをカードと正対する形で30cm離した地点に置き,PCをアイドル状態で1分間放置した状態から,FFXIV蒼天のイシュガルド ベンチを最高品質の3840×21600ドットで4分間実行した,計5分間を録画したものだ。
 再生してもらえば分かるとおり,最初の1分間はファンの回転が停止しているため,聞こえる音は環境音のみとなる。そして,1分後にFFXIV蒼天のイシュガルド ベンチを実行すると,まずコイル鳴きらしき音が聞こえてくる。Super Alloy Power II Chokeでコイル鳴きを抑えているにもかかわらず,なお聞こえてくるのは残念だが,ベンチマーク開始約20秒後(=ファイルの冒頭から約80秒後)にファンの回転が始まると,ファンの回転でほぼ聞こえなくなるので,PCケースに入れてしまえばまず問題にはならないように思う。
 その後,ファンの動作音は次第に大きくなっていくが,それでも,さほど大きくはならないのが分かるだろう。このクラスのグラフィックスカードとしては,かなり静かだ。



クロックアップ動作に過度の期待は禁物。ただし全体のバランスはよい


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画像集 No.049のサムネイル画像 / 「STRIX-GTX1080-O8G-GAMING」レビュー。ブースト最大クロック2GHz超級のASUS製GTX 1080カード,その速さに迫る
 過去に4Gamerで評価したオリジナルデザイン版GTX 1080カードと同じく,STRIX GTX 1080のクロックアップ動作にも,過度の期待は禁物である。とくに,2GHz超級のブースト最大クロックを実現しているOC modeの利用価値があまりなさそうなのは気になった。ただ,標準設定のGaming modeには相応の価値があり,またSilent modeも,できる限り性能を引き出しつつ,消費電力は少しでも抑えたいという場合には価値があるだろう。
 DirectCU IIIクーラーが大きく,カード長が300mm近くなってしまっている点は人を選ぶものの,その分,冷却性能と静音性は高いので,むしろ魅力と感じる人のほうが多そうだ。

 実勢価格は10万4000〜11万円程度(※2016年7月30日現在)と,空冷仕様のGTX 1080カードとしては最も高価なクラスで,しかも原稿執筆時点ではほぼ完売状態だが,流通量が回復し,価格がもう少し下がってくると,鉄板の1枚になるのではなかろうか。

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※2016年7月30日時点では転売業者による高値設定となっているので注意してください。

ASUSのSTRIX GTX 1080製品情報ページ

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