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「ROG MAXIMUS IX FORMULA」を細かく見てみる。Z270搭載のゲーマー向けフラグシップマザーボードはありやなしや?
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印刷2017/01/12 00:00

テストレポート

「ROG MAXIMUS IX FORMULA」を細かく見てみる。Z270搭載のゲーマー向けフラグシップマザーボードはありやなしや?

 2017年1月4日に複数の記事でお伝えしているとおり,「Kaby Lake」こと第7世代Coreプロセッサが,本格的に立ち上がった。同時に,デスクトップPC向けKaby Lake-Sに対応するIntel 200シリーズチップセット搭載マザーボードが,各社から次々と発表になっている(関連記事1関連記事2)。

ROG MAXIMUS IX FORMULA
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:テックウインド(販売代理店) info@tekwind.co.jp
実勢価格:5万1000〜5万5000円前後(税込,2017年1月12日現在)
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 今回紹介するASUSTeK Computer(以下,ASUSTeK)の「ROG MAXIMUS IX FORMULA」は,先の基礎検証レポートおよびレビューでリファレンス機材として用いた,「Intel Z270」(以下,Z270)チップセット搭載製品だ。

 「Republic of Gamers」ブランドは,略称を従来の「R.O.G.」から「ROG」へ変え,さらに,ゲーマーおよびオーバークロッカー向けのプレミアムシリーズとして「ROG MAXIMUS」,従来の「PRO GAMING」に代わるゲーマー特化型のコスト対スペック比追求シリーズとして「ROG STRIX」を用意するという大改革を行ったわけだが(関連記事),ROG MAXIMUS IX FORMULAは,新しいROG MAXIMUSブランドに属し,ゲーマー向けフラグシップモデルの証である「FORMULA」を冠した最新モデルということになる。

 すでにさんざんテストで用いた後ではあるが,このROG MAXIMUS IX FORMULAは,どんなマザーボードなのか。仕様と機能を詳しく見ていきたい。


その外観はIntel Z170搭載モデルを踏襲。LEDが「無駄に光る」のではない点は高評価


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 まずは外観からだが,ASUSは「Intel Z170」(以下,Z170)搭載モデルとなる「MAXIMUS VIII FORMULA」で,従来の,黒地に赤というデザインから,黒と灰色を基調色として,派手な色は「ROG Aura」と呼ばれるLEDイルミネーションに任せるという,デザインコンセプトの変更を行った。なので,通電していない状態のROG MAXIMUS IX FORMULAは,かなり落ち着いた見た目だ。

 ただ,マザーボードを覆う「ROG Armor」が,そんなROG MAXIMUS IX FORMULAの存在感を際立たせてもいる。
 MAXIMUS VIII FORMULAから引き続いての採用となるROG Armorは,表側が主にプラスチック製,裏側が金属製で,表側は,グラフィックスカードなど,発熱量の多い拡張カードからマザーボード基板を守り,基板温度の上昇を抑えることができるという。一方の背面側は,重いCPUクーラーや拡張カードを差したときに,その重さでマザーボードがたわむのを防ぐだけでなく,大きなヒートスプレッダとしても機能するとのことだ。

ROG MAXIMUS IX FORMULAの表側(上)と裏側(下)。ちゃんと計測したわけではないが,ざっと全体の7〜8割はROG Armorで覆われている印象がある
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ネジを外すと,ROG Armorの一部を外して,その下にあるM.2スロットへアクセスできる
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2つあるM.2スロットのイメージ
 Z270チップセットでは,PCH側のPCI Express 3.0レーン数がZ170の20から24へと4レーン増え,それに合わせてマザーボードメーカー各社はPCI Express 3.0 x4接続のM.2スロットを2〜3基用意するようになった。

 その点,ROG Armorを用意するROG MAXIMUS IX FORMULAはどうなっているのか気になる人もいると思うが,本製品の場合,(MAXIMUS VIII FORMULAと同じく)ROG Armorの一部,具体的にはPCHの近くが取り外せるようになっており,ここを取り外すと,Type 2242/2260/2280/22110対応でPCI Express接続のM.2スロット1基にアクセスできるようになっている。

 ならもう1基はどこかというと,これまでもASUS製マザーボードの一部で採用されてきた「縦差し」仕様だ。付属のガイド(ステイ)を使って,マザーボードの端に立てるようにして差すわけである。ちなみにこちらはType 2242/2260/2280対応となる。

左のような感じで,1つめのM.2スロットの近くにあるスロットに,金属製ガイドをネジ留めすると,もう1つのM.2スロットを使えるようになる。左でガイドの右に見えるのはM.2モジュール固定用のゴム製部品だ。右は“聳え立つ”ガイドを撮影したもの
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各部のLEDを赤色で光らせた状態。この色がROGらしいと思う人も多いだろう。2つある,PCI Express x16スロットのツメ部分が光る点は要注目
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 見た目の話に戻ると,ROG Armorではロゴマーク部などにLEDイルミネーションが埋め込んであって,ここの色を調整できるのだが,それとは別に,オンボードのATX電源ボタンとリセットボタン,そしてPCI Express x16スロットのツメ部分にLEDが組み込んである点に注目したい。
 とくに重要なのは最後者で,これがあるため,PCケースにマザーボードを組み込んだ状態でグラフィックスカードなどを抜き差しするときに便利だ。この機能自体はMAXIMUS VIII FORMULAから引き続いての採用となるが,変わらずLEDに実用性がある点は評価すべきだろう。

LEDの色を緑(左)および青(右)に変更したところ
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 ちなみにこれらLEDは,製品ボックスに付属のDVD-ROMから導入できるアプリケーション「AURA」を使うことで,場所ごとに色や光り方を細かく設定可能だ。

ブロックごとに異なる色を設定したところ
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 対象となるイルミネーションのブロックはI/Oパネル部とATX&電源ボタン,マザーボード中央のロゴ部とPCI Express(以下,PCIe) x16スロットのツメ,PCH,それに別途追加できる市販イルミネーションLEDテープ×2の計5つだ。
 色の選択肢は約1677万で,光り方は常時点灯の「Static」や,ゆっくり明滅を繰り返す「Breathing」のほか,全体の色を順次変えていく「Rainbow」,早い点滅の「Flash and Dash」,CPU温度を色で通知する「CPU Temperature」,曲のジャンルに合わせて光り方を変える「Music」などから選択できる。

 ちなみにAURAの「Independent」というメニューでは,PCをシャットダウンしているときにもLEDを光らせる設定を行うことも可能だ。標準ではすべて点灯になっているので,シャットダウン時に全消灯としたいのであれば,画面左下の「ON/OFF」をクリックして「OFF」に切り替える必要がある。

常時点灯となる「Static」の設定画面(左)。「COLOR」のところに,「Back IO」「Center」「PCH」「LED strip-1」「LED strip-2」と設定できる5つのブロックが表示されており,ここで,ブロックごとに右側のカラーサークルから色を選択できる。右はPCをシャットダウンしたときにおけるLEDの光り方を設定するIndependentの設定画面。こちらだとLEDテープの設定は用意されていない
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CrossChill EK II
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液体の流量を追うためのセンサー用ピンをオンボードで搭載している
 電源部のクーラーは,液冷クーラーで知られるEKWBが開発した「CrossChill EK II」。基本的には空冷対応ながら,標準で液冷用のホースを取り付けるための接続インタフェースがあり,空冷と液冷の併用で電源部を冷却できるようになっている。

 ASUSがそうだと言っているわけではないのだが,製品情報ページにある画像を見比べると,MAXIMUS VIII FORMULAの「CrossChill EK」と比べ,銅製ヒートスプレッダの放熱面積が広くなっているように見えるので,ここが改良ポイントということなのかもしれない。

 なお,液冷時は,電源回路の温度を26℃下げられるとのことだが,これはCrossChill EKより3℃良好な値だ。

ASUSが示している,CrossChill EK IIの概念図(上)とCrossChill EKの概念図(下)
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拡張スロットとSLI HBブリッジ
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 拡張スロットは,先ほど紹介したLED付きのPCIe x16スロット2本と,もう1本,内部的にはx4接続のPCIe x16スロット,そしてPCIe x1スロットが3本という構成だ。マルチGPU構成としては2-way SLIおよび2/3-way CrossFireをサポートしており,2-way用のSLI HBブリッジコネクタも付属する。
 CPUとの直結となる,x16接続のPCIe x16スロットは,最近流行の金属製カバーで覆った「Safe Slot」仕様となっており,一般的な(というかx4接続のPCIe x16)スロットと比べて,重さへの耐久性が約1.8倍に高まっているという。

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 DDR4対応のDIMMスロットは4本で,CPU側のメモリコントローラが付いてこられるのかは別として,マザーボード自体はDDR4-4133設定にまで対応している。搭載できる最大容量は64GBだ。
 なおASUSは最近,メインメモリ容量の一部をストレージのキャッシュとして利用する「RAMCache」という機能をマザーボード製品に対して提供しているが,ROG MAXIMUS IX FORMULAではこれが「RAMCache II」となった。RAMCache IIでは,新たに「Smart mode」という動作モードが加わり,従来は,ストレージごとにRAMCacheの設定が必要だったのに対し,Smart modeではすべてのストレージに対して自動でキャッシュを利用できるようになった。

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 ストレージ周りでは,ほとんど使われていないSATA Expressの対応を省略したのが,ある意味で大きなトピックだ。
 前出のM.2×2を除けばSerial ATA 6Gbpsのみと,とてもシンプルな構成になっている。

 外観の最後はI/Oインタフェース部だが,最大の特徴は,I/Oパネルを統合していることである。
 従来もASUSは,マザーボードの中上位モデルで,内側にクッション材を貼り,取り付けるとき手を怪我しなくてすむようにしたI/Oパネル「Q-Shield」を同梱してきたが,ROG MAXIMUS IX FORMULAではそもそも「I/OパネルをPCケースに取り付ける」という手間がかからない。

I/Oパネルと一体化したI/Oインタフェース部。一番左にあるのは,「CMOS Clear」と,USBフラッシュメモリから自動でBIOS(UEFI)アップデートを行う「USB BIOS Flashback」用それぞれのプッシュボタン。そのすぐ右側が,無線LANおよびBluetooth 4.1用のアンテナ端子で,その右にはがDisplayPort 1.2とHDMI 1.4bのビデオ出力インタフェースが並ぶ。8つあるUSBポートは,黒がUSB 2.0 Type-A×4で,青がUSB 3.0 Type-A×4で,いずれもZ270と接続されている。その右は1000BASE-T対応有線LANポートと,USB 3.1 Gen.2 Type-A 3.1×1,USB 3.1 Gen.2 Type-C×1という構成だ。USB 3.1ホストコントローラは,ASMedia Technology製の「ASM 2142」である。最後に,最も右に並ぶのは,お馴染み,サウンドの入出力系である
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 また,ただ「マザーボードの取り付けが簡単になった」だけではなく,1万2000Vの静電気放電に対する保護も強化しているとのこと。正直,どういう理屈なのか分からないが,絶縁しているか,PCケースとセットでのアースを強化しているかのどちらかではないかと思われる。

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デュアルバンドIEEE 802.11acに対応した無線LAN機能を持ち,標準で無線LANアンテナも付属している
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ATX電源コネクタの近くに,「PCケースの前面パネル側へUSB 3.1 Gen.2 Type-Cを引き出すための専用端子」があるが,この端子の詳細は不明。対応ケーブルも付属していない


搭載するオンボード機能の多くは従来モデルと変わらず。ただ,一部で機能性が向上


 ここからは,ROG Armorを外して,基板をじっくり見ていこう。ASUSとしてROG Armorの取り外しはサポートしておらず,取り外した状態はサポートの対象外だが,「取り外そうとしてネジを回した時点でメーカー保証が切れる」ということはない。

ROG Armorは背面側,表面側という順で外すことができる
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表面側のROG Armorを外すと,前段で触れたROG Aura用のLEDが裏側にあるのを確認可能
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こちらはCrossChill EK IIとチップセット用ヒートシンクも外したところ

 というわけで,下が基板全景だ。

ROG Armorを外した状態のROG MAXIMUS IX FORMULA。ちょっと分かりにくいかもしれないが,CPUクーラー用を含めて計7基のファンを駆動させるためのピンコネクタと,液冷ユニットのポンプ計2基に電源を供給するためのピンコネクタが基板上に散りばめられている
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 オーバークロック競技用のいわゆる極冷に対応する,ROGの上位モデルで伝統の電源部「Extreme Engine Digi+」は,今回,10フェーズ構成。見た感じでは8+2,もしくは6+2+2といったところだろうか?
 搭載するMOSFETは,一般的なMOSFETと比べて半分のサイズながら,90%という電力効率を実現するという「NexFET Power Block」。チョークコイルには低損失かつ低発熱と謳われる「MicroFine Alloy Chokes」を,コンデンサは長寿命を誇る日本メーカー製の「10K Black Metallic Capacitors」をそれぞれ採用している。

電源部。デジタルPWMコントローラ「DIGI+ VRM EPU」で制御する構成だ。MOSFETはTexas Instruments製の「NexFET Power Block」シリーズに属する「CSD87350Q5D」で,コンデンサはニチコンのGTシリーズに属する「FP10K」と,このあたりはMAXIMUS VIII FORMULAから変わっていない
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 Integrated Device Technology製のクロックジェネレータを「PRO Clock」として搭載するのはZ170時代から変わらず。ただし具体的なチップは,Z170搭載モデルで採用していた「6V41538NLG」の後継製品にあたる「6V41638B」へ変わっていた。
 レビュー記事でオーバークロックを試みたときに使った,CPUの電圧制御を行う「TurboV Processing Unit」(TPU)も基板上では確認できる。

ROG SupremeFX
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 オンボードのサウンド機能に対してASUSは今回,「ROG SupremeFX」という名を与えている。搭載するHD Audio CODECは,Realtek Semiconductorの「ALC1220」をベースにした(と思われる)「SupremeFX S1220」,また,D/AコンバータとしてESS Technology製の「ES9023P」を採用する点は変わっていない。

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SupremeFX S1220
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ES9023P

 MAXIMUS VIII FORMULAが搭載していたサウンド機能「SupremeFX 2015」との間にある,明らかな違いは,前世代で搭載する単体のヘッドフォンアンプICが,ROG SupremeFXではなくなっていることが挙げられる。別途,Texas Instruments製のOPAMP「RC4580」(※刻印はR45801)と,「702」と書かれたFETが7個,「272」と書かれたFETが1個見えるので,この「OPAMP+FET」回路でヘッドフォン出力用アナログディスクリート回路としているのではないかと考えている。
 RC4580は2chのOPAMPなので,702が7個という数は,正直,よく分からないのだが。

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ヘッドフォン出力用と思われるディスクリート回路。製品情報ページにもインピーダンス自動検出機能付きと書いてあるので,おそらく間違ってはいないと思うが,すっきりしないものもある
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デジタル段から独立したアナログ段や,ニチコン製のオーディオ用コンデンサを採用するあたりの基本仕様は,従来のオンボード版SupremeFXと変わっていない

製品情報ページではルーティングが行えるとアピールしている
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 ROG SupremeFXと組み合わせて使うことになるユーティリティソフトは「SONIC STUDIO III」。「ミュージック」「ムービー」「ゲーム」「通信」と,4つのシチュエーションごとにリバーブやサラウンドなどの設定が行えるものの,Web上で告知されているルーティング機能が,2017年1月8日時点の最新版では利用できなかった。
 このあたりはバージョンアップで利用できるようになるということなのだろう。

左はSONIC STUDIO IIIで「エフェクト」を「ゲーム」に変更したところ。バーチャルサラウンド出力はもちろんのこと、セリフなどを強調する「Voice Clarity」や,低音を強調する「Base Boost」といったエフェクトが利用可能だ。「RECORD STUDIO」タブを開けば(右),ノイズ低減や音量安定化といったマイク入力に関する機能の設定も行える
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 LANコントローラとしては,Intelの「I219-V」を搭載する。前段で紹介したとおり,LANポートは1系統だが,MAXIMUS VIII FORMULAと同じく,1万5000Vの静電気に耐えることができるという「LAN Guard」を備え,また,オンラインゲームの優先順位などを変更できる「GameFirst IV」機能を利用できる。


UEFIにオーバークロック用のプリセットを用意。AI Suite 3はあまり変化はなし


 ROG MAXIMUS IX FORMULAのUEFIは,従来のASUS製マザーボードで広く採用されてきている,簡易な「EZ Mode」と詳細な「Advanced Mode」,2つの動作モードで操作できるものだ。EZ Modeでは,基本的なシステム情報表示や主にストレージ関連の設定変更をグラフィカルなUIで行え,Advanced Modeではオーバークロックを含む細かな設定を行えるという,その構成にも大きな変更はない。

EZ Mode(左)とAdvanced Mode(右)
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 それを踏まえてROG MAXIMUS IX FORMULAのUEFIについて見ていくが,Advanced Mode以下,オーバークロック関連の設定がまとまっている「Extreme Tweaker」のサブメニュー「Overclocking presets」に,オーバークロック用のプリセットがあらかじめ用意されていた。
 具体的なプリセットと概要は以下のとおりだ。ちなみにCPUのベースクロック(以下,BCLK)は100MHzである。

  • Gamer's OC Profile:CPUが2コアまで利用するときの最大動作倍率を48倍に,最低動作倍率も44倍に引き上げ。CPUコア電圧は1.325Vに固定
  • 340 BCLK OC Profile:BCLKを340MHzへ引き上げる一方で動作倍率を8倍にまで引き下げ
  • 360 BCLK OC Profile:BCLKを360MHzへ引き上げる一方で動作倍率を8倍にまで引き下げ
  • 380 BCLK OC Profile:BCLKを380MHzへ引き上げる一方で動作倍率を8倍にまで引き下げ
  • 3773MHz DRAM OC Profile:メモリクロック3773MHzを実現できるよう,メモリ電圧やCPUのアンコア部の電圧などを調整
  • 4000MHz DRAM OC Profile:メモリクロック4000MHzを実現できるよう,メモリ電圧やCPUのアンコア部の電圧などを調整

 オーバークロック関連の設定にもう少し突っ込んで触れておくと,コアクロックはExtreme Tweakerの「BCLK Frequency」から40.0000〜650.0000MHzの範囲を0.0025V刻みで設定可能。動作倍率も「CPU Core Ratio」から1倍刻みで8〜83倍に変更できる。このあたりは,Z170搭載マザーボードから変わっていない部分と言っていいだろう。

Extreme TweakerサブメニューにAVX Instruction Core Ratio Negative Offsetがある。設定した倍率分だけ,定格よりも低いクロックで動作することになるわけだ
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 また,基礎検証レポートでお伝えしているとおり,Kaby Lake-Sでは,AVXのクロック比を個別に設定できるようになったわけだが,その設定は同じく,Extreme Tweakerの「AVX Instruction Core Ratio Negative Offset」という項目にあり,「どれだけクロックを落とすか」を,0〜31倍の範囲から1倍刻みで指定可能だ。たとえば「Core i7-7700K」を用いた場合,同項目を31倍に変更すると,AVX命令実行時のクロックは45倍から31倍落とした14倍,つまり1.4GHz動作となる。
 なお,Extreme Tweakerサブメニューでは,画面上部に「Target CPU@AVX Frequency」が表示され,AVX命令実行時のクロックを確認できるようになっている。

 Windows上で利用できるASUSの独自ユーティリティ「AI Suite 3」は,端的に述べて,従来世代から変わっていない。「Dual Intelligent Processors 5」からオーバークロック設定を行える点や,TPUから動作倍率やベースクロックなどの変更を行える点はこれまでどおり。「DIGI+ Power Control」から電源フェーズ設定を変更できるあたりも同じままだ。
 ただ,LEDの制御は前述したAURAにまとめられたため,Z170搭載モデルにあった「LED Contorol」は,ROG MAXIMUS IX FORMULAだと省略されている。


非常に高価なため,対象ユーザーが限られるが,「ROGのゲーマー向けフラグシップ」に惹かれるならアリ


 ROG MAXIMUS IX FORMULAの実勢価格は5万1000〜5万5000円程度(※2017年1月12日現在)。Z270マザーボードの中でも群を抜いて高価だ。Z170ベースのMAXIMUS VIII FORMULAが5万〜5万5000円程度で販売されていたので,妥当といえば妥当だが,ゲーマー向けZ270マザーボードのなかでも,とくに人を選ぶ1枚であることに,議論の余地はない。

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 ただ,よくもまあこれだけ詰め込むものだと思えるほど,機能は豊富だ。できる限り全部使い切って,オーバークロックでの常用も狙うのだという場合に,応えてくれる可能性が高いマザーボードだとも言えるだろう。4Gamer的には「別の世界の話」だが,オーバークロックで“遊ぶ”場合にも,有力な選択肢となるのではなかろうか。

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ASUSのROG MAXIMUS IX FORMULA製品情報ページ

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