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任天堂の宮本 茂氏が“もの作り”の動機や楽しさを語った,「コ・フェスタPAO」第3弾「ものを作らなソンやと思わへん?」聴講レポートを掲載
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印刷2011/01/21 00:00

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任天堂の宮本 茂氏が“もの作り”の動機や楽しさを語った,「コ・フェスタPAO」第3弾「ものを作らなソンやと思わへん?」聴講レポートを掲載

 2011年1月19日,東京ミッドタウンで「コ・フェスタPAO」第3弾が開催され,任天堂の宮本 茂氏によるトークセッション「ものを作らなソンやと思わへん?」が開催された。

ステージは,超LLのニンテンドーDSiを模した装飾がなされていた

 「コ・フェスタPAO」は,経済産業省 NPO法人映像産業振興機構(VIPO)主催による,次世代のコンテンツ産業を担うクリエイターの発掘・育成を目的としたプロジェクト。合計10人の各界の著名クリエイターが,それぞれ“映像”と関連付けた企画を提案し,トークセッション,ワークショップ,展示などを通じて披露するというものだ。
 宮本氏は,京都を拠点とする劇団「ヨーロッパ企画」の代表である上田 誠氏および俳優の角田貴志氏とともに,人を惹きつける物語やキャラクターなどをテーマとしたトークを繰り広げ,自らが考える“ものを作る動機”や“ものを作る楽しさ”などを披露した。

 ちなみに,今回以降の開催としては,3月22日から3月27日にかけての6日間,「コ・フェスタPAO WEEK」としてプログラムが連日開催される予定だ。詳細は以下の公式サイトで確認してほしい。

「コ・フェスタPAO」公式サイト



宮本 茂氏
 登壇した宮本氏は,まず「ものを作るということは,誰でも楽しい」と述べる。自身においては,ゲーム制作でCADを扱っているときは楽しいと話し,会場の聴講者達に向けては,PowerPointを使って書類を作っているときは楽しいのではないかと問いかけた。

 さらに宮本氏は「ゲームも遊んでいる人が何かを考えているから楽しい。インタラクティブな楽しさとはそういうもので,それをどう作っていくかが僕らの仕事。だからテーマは“遊ぶ人もクリエイティブ”」と続け,自らの仕事を「コンピュータを使った“おもちゃ”を作るようなもの」と認識するようになったと説明した。
 宮本氏は,かつて自らが手がけた「マリオペイント」「マリオアーティスト タレントスタジオ」「似顔絵チャンネル」などを挙げ,それらは「“作ることの楽しさ”を提供するゲーム」であるとまとめた。
 またニンテンドーDSi/DSiLLに内蔵されているカメラ機能も,同様の楽しさを追求するものと宮本氏は述べる。曰く,電車内で楽しそうに携帯メールをやり取りしている若者達を見て,「自分で撮った写真を,その場で加工できればもっと楽しいのではないか」と考えたとのこと。

 宮本氏は,そうした一連の流れを汲むソフトとして,DSiウェアとして配信されている「うごくメモ帳」を紹介した。
 このソフトはパラパラマンガなどを作ることができるのだが,操作が簡単で,さまざまな創意工夫を楽しめるという特徴を持っている。宮本氏は,「うごくメモ帳」で作ったものをインターネット上に投稿できることに触れ,「見た人の反応を得ることも楽しい」と付け加えた。
 なお2010年には,「スーパーマリオブラザーズ」の25周年企画として,「うごくメモ帳」を使ったコンテストが開催された。マリオの絵描き歌,マリオをモチーフにしたパラパラマンガなど,コンテストには1800通もの応募があったとのこと。入選作の応募者の中には,普段落書きなどを楽しんでいても,“作品”を意識して何かを作ったのは初めてという人もいたそうである。

New スーパーマリオブラザーズ Wii New スーパーマリオブラザーズ Wii
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 そこで宮本氏は,「もの作りは誰にとっても楽しい」ということを再認識する一方で,普段からものを作っている人が「うごくメモ帳」を使ったらどうなるか,興味を持ったとのこと。
 ここで,ゲストとしてヨーロッパ企画の上田氏と角田氏が登壇。両氏は宮本氏が手がけたゲームの大ファンとのことで,舞台にもゲームをヒントにした斬新な演出を取り入れているそうだ。

上田 誠氏
角田貴志氏

 トークの最初のテーマは,“もの作りを始めたきっかけ”だ。
 上田氏は,小中学生時代から壁新聞や豆本,PCのプログラムを手がけたりしてきたと話す。宮本氏は,ジオラマやパペットを作ったことや,ガリ版で漫画を印刷して友人に読ませていたエピソードなどを披露。角田氏は,絵を描くのが好きだったが,貼り出された作品を多くの人に見てもらうのも好きだったと述べた。

 角田氏の発言を受けて宮本氏は,「もともと好きで得意だから作っているけれども,だんだん期待されるようになる。そうなると納期が生まれ,“仕事”になっていく」と述べた。そこから,「人と違うものが作りたくて,任天堂入社当時に登場したばかりのビデオゲームを手がけた」と,自らのエピソードを披露した。
 上田氏も,学生時代に演劇の脚本を頼まれ,その評価が高かったことから引き続き依頼が舞い込むことになったと述べる。すなわち宮本氏も上田氏も,もともともの作りが好きであって,作ったものを誰かに評価してもらいたいという欲求が,今の仕事に繋がっているわけだ。
 ちなみに宮本氏は,「最近,ゲームが作りたいのか,自己顕示欲が強いだけなのか分からなくなった」と,笑いながら話していた。

 さらに先述のコンテストの話に絡めて,宮本氏は「仕事として納期が生まれたことで,ゲームを完成させることができた」と当時を振り返る。上田氏もまた「納期がないと,いつまでも作り続けてしまう。完成させるのはしんどい」と同意する。
 宮本氏は納期やコンテストの締切といった制限があるからこそ,“密度”を上げることができるとコメント。また,かつてのファミコンはハードの制限が大きかったので,密度を上げるためには新しい創意工夫を盛り込む必要があったが,今のゲームはハードの性能が上がって制限が少なくなった結果,物量勝負に陥ってしまい,密度が下がっているのではないかと指摘した。

 また宮本氏は,時間が有限であることにも言及し,同じ時間を使うなら,人と同じことではなく,自分達の新しいアイデアを実現したいと述べる。
 宮本氏は「Wii Fit」を例に挙げ,「新しいフィールドの方が,ネタは簡単に見つかる」と,ゲームのノウハウをさまざまな方面に応用することが新しい発想に繋がり,しかも多くの人に受け入れられることを示唆した。
 新しい発想という点に関連して,宮本氏は自身のゲームが世界で評価された点について,京都を拠点にしたことで,頻繁にトレンドが変化する東京の影響を受けなかったことが大きかったのではないかと分析する。上田氏も,人やものが集中する東京の利便性を重視する一方で,必ずしも自身のもの作りに向いているわけではないとコメントした。

 ここで,「うごくメモ帳」を使ってヨーロッパ劇団が制作した作品が披露された。
 実写を組み合わせたコント調のパラパラマンガに始まり,テキストを効果的に使ったホラー調の小話,メニュー画面の機能を駆使したアドベンチャーゲーム,指を使ったツイスターゲームと,さまざまなアイデアが盛り込まれた作品ばかりだったが,その中でも「無事故で道路横断コンテスト」に,宮本氏は最も大きな関心を示していた。

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New スーパーマリオブラザーズ Wii
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 同作品は,“横断歩道を渡る人物に向かって車が突っ込んでくる”というパラパラマンガで“人物が車を避ける瞬間”の部分を,数名の劇団員に作ってもらったというもの。
 人物が巨大化してその股下を車が通る,人物の頭が風船のように膨らんでフワッと浮かんだり,“画面を見ている人”の方に飛んでいったりと,個性あふれるアイデアが次々に披露された。
 それを見た宮本氏は,「見た人が続きを作りたくなるよう,上手に仕掛けている」と賞賛。上田氏も,そうしたシステムをどうやって作るかに注力したと説明した。

 宮本氏は,こうした企画はどうやって考えるのかと,上田氏と角田氏に疑問を投げかけた。両氏は,まずさまざまなキーワードを列挙し,その中から面白くなりそうなものに絞り込んでいったと答えた。とはいえ,これは「うごくメモ帳」の制約が意外に少なかったからで,必ずしも演劇と同じやり方ではないとのこと。
 上田氏は,演劇では誰もやっていない/ほかにはない価値を重視していると述べると,宮本氏もこれに同意し,「ニュー・スーパーマリオブラザーズ」(NDS)や「New スーパーマリオブラザーズ Wii」をその例に挙げた。
 すなわち,ゲームとしては“今までのマリオの延長”でも十分なのだが,「大きくなるマリオ」や「複数人数同時プレイ」といったPR的な価値を加え,目に見える新しさを強調しないと伝わらないケースもあるというわけだ。

 宮本氏は,常にさまざまな“実験”をしていて,製品化に結びつかなかったアイデアも,ラベルに“ダメな理由”を書いてストックしておくとのこと。これはなぜかというと,たとえば「より高速なCPUのリリース」など,ダメだった理由を解決できそうな手段が登場したとき,あらためて採用を検討できるからだ。
 なお宮本氏は,自らの制作スタイルを「わりとズルズルしている」と述べていた。さまざまな方向に展開していく中で,あるとき「ココとココを削れば製品として完成する」と直感的に分かる瞬間が訪れるとのことだが,これは30年間にわたってゲーム制作に携わり,また多くのヒットを飛ばしてきた宮本氏ならではの感覚といえるかもしれない。

 トークショーの最後では,上田氏と角田氏が,聴講者の代表として宮本氏に質問をぶつけた。

 最初の質問は,「隠されたデザインの工夫」について。
 たとえば「スーパーマリオブラザーズ」では,スタート時に右を向いたマリオが左下にいることから,暗に右に向かうとゲームが進行することを示すというデザインが施されている。
 宮本氏によると,同タイトルを「右に進めばゴールできるように徹底した」とのこと。ボスのクッパの倒し方もいろいろ模索したが,ずっと右に進んできたゲームなのだから,最後も右に行けば何とかなるようにしたという。
 その一方で,左右どちらにも行ける「スーパーマリオワールド」では,左に行くとちょっとしたご褒美が用意されている。これを宮本氏は「期待に沿っておいて,少し裏切ると共感が生まれやすい」と説明し,「観客の目線と,自分が作りたい部分のバランスが重要」とまとめた。

 続いての質問は,「アイデアの練り上げは一人でやるか」というもので,宮本氏は,アイデアの量は皆で増やすが,まとめるのは一人でやると回答した。
 宮本氏は,ゲーム制作におけるブレインストーミングの効果を信じていないとのことで,「絶対に仕上げようと考える人がいないと面白くならない。密度が高まらない」と持論を述べた。
 宮本氏はアイデアを思いついたとき,昔から一緒に仕事をしているデザイナーとプログラマーにまず相談し,感触を確かめるそうだ。また「あまり声高にはいえないが」という前置きのもと,最も大きなヒントとして「つまらないものを見たとき」を挙げた。つまり「自分なら,もっとこうするのに……」と考えてしまうというわけである。

 「ゲーム制作が暗礁に乗り上げることはあるのか?」という質問には,「しょっちゅう」と宮本氏は答える。上手く進行しているものでも,その数か月前には必ず「もうやめようか」と思ったことがあるとのこと。
 なお暗礁に乗り上げた場合は,一度巻き戻して要素をバラバラにし,悪いところを発見して並び替えると何とかなる,と宮本氏は説明する。さらに宮本氏は,巻き戻しをするためには,どこで重要な決定をしたかを把握しておかなければならないので,先に述べたとおり,アイデアをまとめるのは一人でなければならないと繰り返した。
 また,せっかく作業を進めてきたスタッフに巻き戻しをさせるのは勇気のいることだが,結果,いいゲームに仕上がるのであれば,納得してもらえるとも話していた。

 最後の質問は,「ゲームに初めて携わったとき,今のような状況を想像していたか」というもの。宮本氏は未来など考えたこともなかったと述べる一方で,「コンピュータを使ったインタラクティブな表現は残る」と感じていたという。
 たとえば,「スペースインベーダー」で弾が当たるとトーチカが1ドット単位で欠けていくという表現は,それまでの遊びにはなかった要素であり,当時の宮本氏は,そうしたコンピュータのジャッジを組み込むことですべての“遊び”が作り直せる,すなわち膨大な資産があると確信したそうだ。

 宮本氏は,「ゲームにはまだまだ何かできることがある」と述べ,再びゲームのノウハウがさまざまな形で応用できることに言及する。
 「作りたくて作っているのか疑問に思うときもあるが,ゲーム作りは楽しい。ゲームは芸術なのか? と問われることも増えたが,どっちでもいい」と述べた宮本氏は,「何かを見て楽しんでいるとき,きっと人は“ものを作る”方向を向いています。そういうところを引き出して,共感を生んでいくのが,これからの僕の“もの作り”です」と,トークセッションを締め括った。

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