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  • 任天堂
  • 発売日:2010/09/02
  • 価格:6800円(税込)
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簡単操作で華麗なアクション! これまでにない新しいベクトルに進化を遂げた最新作,「METROID Other M」レビュー
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印刷2010/10/09 10:00

レビュー

簡単操作で華麗なアクション! これまでにない新しいベクトルに進化を遂げたシリーズ最新作

METROID Other M

Text by 稲元徹也


 1986年にファミコンのディスクシステム用ソフトとして発売されて以来,任天堂のさまざまなゲーム用ハードウェアにて展開されてきた「メトロイド」シリーズ。その最新作となるWii用ソフト「METROID Other M」が,9月2日に発売となった。

画像集#001のサムネイル/簡単操作で華麗なアクション! これまでにない新しいベクトルに進化を遂げた最新作,「METROID Other M」レビュー

 メトロイドと言えば,最近では,北米のレトロスタジオが手掛けた「メトロイドプライム」シリーズが記憶に新しい。FPA(ファースト・パーソン・アドベンチャー)というジャンル名からも分かるように,こちらは一人称視点を採用した作品であった。
 今回発売された「METROID Other M」は,制作をテクモ(現コーエーテクモゲームス)の開発チーム“Team NINJA”に移したほか,ゲームシステムもWiiというプラットフォームを意識した内容に刷新するなど,“新機軸のメトロイド”として大きな話題となったタイトルである。
 また,自らを“サムス(主人公)の育ての親”とする任天堂の名クリエイター・坂本賀勇氏が6年ぶりにプロデューサーとディレクター,さらに脚本家を兼任し,ゲーム中のムービーの制作を「DEAD OR ALIVE XTREME2」「NINJA GAIDEN Σ2」など,テクモ作品のムービー制作を手掛けてきたD-Rocketsが担当。久しぶりの“純国産のメトロイド”という意味でも,本作は注目度の高い作品である。

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 私事で恐縮なのだが,メトロイドは,映画「エイリアン」に影響を受けたと思われるSFホラーのテイストと,巧妙に作り込まれたマップを探索するゲームシステム,そしてディスクシステム内蔵音源による完成度の高いBGMなど,学生時代の筆者を大いに魅了した作品である(もちろん,シリーズの新作が出るたびに購入しプレイを続けている)。
 今回のアザーエムは,前シリーズからの大幅な模様替えに加えて,サムスの育ての親である坂本氏が,「メトロイド ゼロミッション」以来久々に,直接手掛ける作品とあって,ぜひともここでレビューさせてほしいと立候補した次第だ。

「METROID Other M」公式サイト



Wiiリモコン1本に絞ったこだわりの操作感


 ゲームデザインはプライムシリーズの主観視点から一転,3Dのメトロイドとしては初めて,主人公サムスの姿を見ながらプレイする客観視点のスタイルに変わった。操作はWiiリモコンを横に持ってプレイする形で,拡張コントローラーなどは必要はない。
 これはファミコン時代を意識した操作方法で,十字ボタンと1・2ボタンだけで,大体の操作が行えるようになっているのが本作の大きな特徴だ。一見アナログに見えるサムスの移動は十字ボタンのみで行い,実際に移動しているのは8方向のみである。
 Wiiリモコンの十字ボタンは,ファミコンやスーパーファミコンのそれと比べると小さめでやや固く,正直なところあまり斜め入力には向いていないと思うのだが,マップの構成やカメラワークなどが工夫され,普段の移動に関しては斜め入力はほとんどしなくて済むようになっている。Wiiリモコン自体の弱点を,ゲームのチューニングでカバーし,遊びやすさを確保している点はさすがといったところだろう。

画像集#004のサムネイル/簡単操作で華麗なアクション! これまでにない新しいベクトルに進化を遂げた最新作,「METROID Other M」レビュー
走って撃って倒す。撃ってスピード感があるアクションを序盤から体感できる。ボールに変身するモーフボール,壁をジャンプするキッククライム,足場のへりにつかまるパワーグリップなどの能力は最初から解放されている
画像集#005のサムネイル/簡単操作で華麗なアクション! これまでにない新しいベクトルに進化を遂げた最新作,「METROID Other M」レビュー
序盤で合流する銀河連邦軍第7小隊の面々。サムスはかつての上官で唯一の理解者でもあるアダム・マルコビッチの指揮下に入り,廃コロニー“ボトルシップ”の中を調査していく

 坂本氏の強いこだわりによってデザインされたこの“ファミコン操作”は,敵との戦闘時のアクションにおいてもよく考えられている。例えば,敵は当然,3Dアクション然としたアナログな動きでサムスに迫ってくるのだが,攻撃する際にサムスが敵の方向さえ向いていれば,自動的に敵に狙いをつけてビームを撃ってくれるのだ。
 そのほかにも,倒れた敵に接近して1ボタンを押すことでトドメの一撃を加える“リーサルストライク”や,敵の上に乗って1ボタンを押すと至近距離でビームを撃ち出す“オーバーブラスト”など,簡単な操作で華麗なアクションを繰り出すことができる。

 さらに敵からの攻撃に対しては,十字ボタンをタイミングよく押すと“センスムーブ”が発動し,サムスが自動的に回避行動を行ってくれる。この“センスムーブ”は,操作は同じでも敵によって演出が異なり,半自動でくり出される一連のアクション描写は,ファミコン時代にはない現代の3Dアクション的な効果で,それが十字ボタン+2つのボタンで可能というのが,本作の最大のセールスポイントとなっているわけだ。
 これらの各種アクションが必要なときは画面にチュートリアル的なメッセージが出るなど,プレイヤーに対する配慮も万全で,序盤から華麗な動きで気持ち良くゲームを進められるのである。

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 アナログ的な入力といえば,もうひとつ重要なのが“サーチングビュー”だ。手持ちのWiiリモコンの先端を画面に向けることで,視点がサムスのバイザー越しのものに素早く切り替わり,ポインターを動かすことで周囲の探索やミサイル攻撃ができるようになる。
 これもWiiリモコン1本へのこだわりから派生した操作で,客観視点だけでは補えない要素をうまく補完しているシステムだろう。その一方,サーチングビューの最中は,センスムーブ(敵の攻撃に合わせてポインターを画面外に外す)以外の移動ができなくなり,ミサイルもロックオンしなければ発射できない。敵の攻撃が激しい場所では使いどころを考えなければならないなど,ゲームとしての戦略性にも寄与している点も見逃せない。
 ただ一部では,このサーチングビューを組み込んだ一連のアクションにギャップを感じることがあり,“主観視点で狙っている間は動けない”という仕様が,若干足かせに感じるケースがいくつかあった。

画像集#008のサムネイル/簡単操作で華麗なアクション! これまでにない新しいベクトルに進化を遂げた最新作,「METROID Other M」レビュー
ビームの数倍の破壊力を持ち,いつでも補給可能なミサイルを,通常のビームと同じ感覚で撃てるとなれば,ゲームバランスは崩壊してしまう。そういう意味でもサーチングビューの意義は大きい


シリーズの伝統を打ち崩す新たな試み


 上記で述べてきた操作系以外にも,本作には,これまでのメトロイドシリーズの伝統から大きく異なる試みがいくつか見受けられる。
 まずひとつは,従来はマップ内を探索することで武器やアイテムを発見し,それを使うことで先へ進めたり,ボスを倒せるようになるという前作までの流れが,一転しているところが挙げられる。
 例えば,本作におけるサムスは,ほとんどの装備を最初から“封印した状態”で持っており,特定のイベントなどでそれが解放されることで,パワーアップしていくようになっているのだ。

 これは,後述する“ストーリー重視”を企図した本作の特徴を表す部分でもあり,よりドラマチックにパワーアップするという意図も見受けられるのだが,同時に,これまでのアイテムを取ったときの“ゲットしたー!”という達成感と,取った直後にアイテムを試してみるワクワク感は薄れたように感じられた。
 ミサイルやエネルギータンクなど,昔のように“探して取る”アイテムもあるにはあるが,これらのほとんどはマップに大まかな位置が表示されており,一つ一つじっくり探す必要(楽しみ)が無くなっているのは,賛否が分かれるところだろう。

画像集#009のサムネイル/簡単操作で華麗なアクション! これまでにない新しいベクトルに進化を遂げた最新作,「METROID Other M」レビュー
舞台となるボトルシップは,中枢部のメインセクターから,3つのセクターに行けるようになる。セクターにより環境もまったく異なり,出現する敵キャラも違う。シリーズを知っている人には懐かしい敵も登場

 次に変わった点は,サムスが“自給自足”できるようになったということ。ゲーム中にWiiリモコンを上に向けてAボタンを押したまま数秒待つと“コンセントレーション”が発動し,ミサイルと一定量のエネルギーをその場で補給できるようになっている。
 1回のコンセントレーションで,ミサイルはフルチャージ,エネルギーはゲージが一定以下になったときに,一定量だけ回復可能だ。これにより,特にボス戦などでミサイルを消費したりエネルギーが減ったときに,敵の隙を見て自ら回復する動作が攻略要素として組み込まれ,攻防における緊張感がグッと増している。
 一方,サムスが自給自足できるようになったため,本作では敵を倒しても回復アイテムなどが一切出ない。確かにコンセントレーションとセーブポイントでのエネルギー補給があれば,回復アイテムの意義は薄れるのだが,それでもやっぱり,敵を倒したときの手応えとしての“ご褒美”がないのは淋しいところもある。

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 最後にもうひとつ。これは変わったというより“付加された要素”と考えるのが正しいかもしれないが,ゲーム全般において,本作ではストーリー部分に重みが置かれているという点は強調しておいた方がよい事柄だろう。
 本作の物語は,スーパーファミコン版「スーパーメトロイド」のラストシーンから始まり,その後,救難信号が出されていた廃コロニーにサムスが立ち寄るシーンへと続いていく。
 サムスはここで,かつて所属していた銀河連邦軍の仲間たちと出会い,行動を共にすることになるのだが,その中でサムスの過去や仲間たちに対する心理描写などが,作中のムービーシーンによって克明に描かれていくのだ。

ムービーはサムスのモノローグで語られるシーンも多い。クリア後のシアターモードでは,シーンごとの閲覧以外に,アクションシーンの一部をからめたフルバージョンも見られる。通して見ると約2時間11分の長編だ
画像集#012のサムネイル/簡単操作で華麗なアクション! これまでにない新しいベクトルに進化を遂げた最新作,「METROID Other M」レビュー

 これまでシリーズ中ではあまり語られたことのない,主人公サムス・アランの素性や過去については,メトロイドシリーズのファンとしての見解を言わせてもらえるなら,知りたくもあり,知りたくもなかったというのが正直なところかもしれない。
 任天堂の公式な設定として,サムスという女性キャラクターが一体どんな人物なのかを知りたいと思いながらも,逆にあまり素性が見えていないからこそ,ミステリアスで感情移入もしやすかったという側面もあるからだ。

 個人的には,「こういうメトロイドもありだな」と思ってプレイしてはいたものの,「自分なりのサムス像を膨らませていた」筆者的には違和感も拭えなかった。あくまで一プレイヤーの意見として捉えてほしいが,このストーリー重視という方針もまた,賛否が分かれるポイントになるかもしれない。

 なお,メトロイドシリーズで日本語音声が入るのは本作が初めてのこと。サムスの声を演じているのは小林 愛さん。この音声はオプションによって英語+字幕にも切り替えられるので,ハードモード(アイテム回収率100%で出現)などで再プレイする人は英語音声で遊んでみるのもいいだろう。

バイザー越しのサムスや,銀河連邦時代の若いサムス,さらにゼロスーツ姿のサムスなど,さまざまな姿を見られる。筆者は彼女の素顔の口元にあるホクロに大いに驚かされた
画像集#013のサムネイル/簡単操作で華麗なアクション! これまでにない新しいベクトルに進化を遂げた最新作,「METROID Other M」レビュー


サムスが本当の主役となった最新作


 冒頭でも書いたことだが,この「METROID Other M」は,簡単かつ派手なアクションとストーリー性を重視した“新生メトロイド”とでも言うべき作品である。長いシリーズの中であまり語られていなかった,サムス自身のエピソード(ストーリー)が中心となる作品というのも,とても面白い試みだ。

 思い返せば,かつて坂本氏が手掛けたゲームボーイアドバンスの「メトロイドフュージョン」でも,本作に繋がるような試み(サムスの心理描写を描く,ストーリー重視の設計という意味で)は行われており,本作を,メトロイドフュージョンから進化した派生作品と捉えられなくもない(舞台設定的には,本作はこのあとフュージョンへのそれへと続いていく)。

 個人的には“メトロイドらしさ”という意味で,もっと“探索感”のような要素があってほしかったと思う面もあるにはあるが,本作がこれまでのメトロイドシリーズとひと味違うということは,本作のプロモーションからしてある程度わかっていたことだし,そのあたりは,次回作(きっとあると信じている)に期待したいと思う。

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 ともあれ,任天堂らしい丁寧な作り込みが際立つ「METROID Other M」。本作を機に,ぜひメトロイドの世界観に触れてみてほしいところ。昨今では,「メトロイドプライム」シリーズ3部作がWii用ソフトとして発売されているほか,バーチャルコンソールでも「メトロイド」「スーパーメトロイド」が配信されている。興味があれば,これら名作の誉れ高い作品達に触れながら,メトロイドシリーズの移り変わりを味わってみるのも楽しいかもしれない。

専用のガイドブックが店頭に置かれるなど,プロモーションにも非常に力が入れられていた本作。ダブルジャケット仕様のパッケージも豪華だ。ちなみにCMの「メトロイド オモロイド」は,ゲームボーイ版「メトロイドII」のコピーである
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