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Dragon's Dogma
  • カプコン
  • 発売日:2012/05/24
  • 価格:通常版:7990円 / イーカプコン限定版:1万1990円(いずれも税込)
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「Dragon\'s Dogma」の自由度が高いキャラエディットシステムはどうやって実現されたのか 〜Autodesk University Japan 2011セッションリポート
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印刷2011/09/20 00:00

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「Dragon's Dogma」の自由度が高いキャラエディットシステムはどうやって実現されたのか 〜Autodesk University Japan 2011セッションリポート

 2011年9月15日,Autodeskが主催する「Autodesk University Japan 2011」というイベントが開催された。3Dグラフィックスソリューションを展開する同社による業界向け勉強会といった内容のイベントである。Autodeskの製品を活用している業界は建築,製造など幅広く,もちろんゲーム&エンターテイメント業界も主要なユーザーの一つ。
 そんなゲーム業界向けのセッションの中から「Dragon's Dogmaゲーム開発事例 キャラクターエディットを活用したゲーム開発効率化」の内容をレポートしたい。


自由度が高いキャラエディットシステムの裏事情


カプコン ディレクティング室 ディレクター柳原孝安氏
画像集#001のサムネイル/「Dragon's Dogma」の自由度が高いキャラエディットシステムはどうやって実現されたのか 〜Autodesk University Japan 2011セッションリポート
 カプコンが2012年初頭に発売を予定している「Dragon's Dogma」PS3 / Xbox 360)「Dragon's Dogma」。東京ゲームショウ 2011(TGS 2011)では,同社が推すタイトルの一つとして公開されていたので,実際にプレイして映像に驚いた読者もいるかもしれない。5月14日には本タイトルのキャラエディットの詳細が公開されたが,本セッションではこの自由度の高いキャラエディットがどのようにして実現されているのか,その一端が明かされた。

 セッションを担当したのは,同タイトルを手がける柳原孝安氏。氏はDragon's Dogmaの概要を簡単に紹介したあと,まずは同タイトルのキャラクターがどのように作られているかを紹介した。
 氏によると,Dragon's Dogmaには,NPCを含め400体以上のキャラクターが存在するそうだが,「全部をイチから作るのではなく,同じキャラクターエディットシステムで作っている」(柳原氏)という。そのキャラクターエディットシステムは,MT Framework上に実装されているそうだ。ご存じの方が多いと思うが,MT Frameworkとは,同社オリジナルのゲームエンジンである。


Dragon's DogmaにはNPCを入れて400以上のキャラクターがいるそうだ。それらを一つ一つ作っていたら開発コストは膨大なものになりそうだが,同じキャラクターエディットシステムで作ることで,開発を効率化しているという
画像集#003のサムネイル/「Dragon's Dogma」の自由度が高いキャラエディットシステムはどうやって実現されたのか 〜Autodesk University Japan 2011セッションリポート
これがMT Framework上に実装されたキャラクターエディットシステム。プレイヤーが操作するものではなく,あくまで開発者が使うエディットシステムだ。キャラクターをいくつかの円が取り巻いているが,この円を操作すると,その部分のスケールを変えることができるという
画像集#002のサムネイル/「Dragon's Dogma」の自由度が高いキャラエディットシステムはどうやって実現されたのか 〜Autodesk University Japan 2011セッションリポート

 開発に使われているエディットシステムはスライドのようなもの。素体となるキャラクターの各部を変えることで,400以上の異なるキャラクターを作り出しているという。非常に自由度が高い一方で「ゲーム上で問題が起きそうなものについてはストッパーが付いている」(柳原氏)そうで,例えば,ゲーム上問題になるほど極端に太った人は作れないように縛りがかけられている。
 柳原氏によると,もともとはプレイヤーが行う主人公のキャラクターエディットにも「このシステムを載せようと考えていた」そうである。だが「コントローラでやるのは大変すぎる」(柳原氏)という理由で,先日公開されたようなデザイナーがあらかじめ作成したモデルを選択する方法が採用されたそうだ。
 ちょっと残念な気もするが,たしかにコントローラでの操作は難しいかもしれない。MT Framework上に実装された開発者用のキャラクターエディットシステムでどのようなことができるのか,主だった特徴をスライドで紹介してみよう。

キャラクターの身長や体型を総合的に見ながらマウス操作で変更することができるようになっている
画像集#004のサムネイル/「Dragon's Dogma」の自由度が高いキャラエディットシステムはどうやって実現されたのか 〜Autodesk University Japan 2011セッションリポート

画像集#005のサムネイル/「Dragon's Dogma」の自由度が高いキャラエディットシステムはどうやって実現されたのか 〜Autodesk University Japan 2011セッションリポート
キャラクターの年齢は,顔にバンプマッピングのテクスチャを貼ってシワを入れることで変えているという。なお,裸のキャラクターはいないので年齢で変わるのは顔だけだそうだ
画像集#006のサムネイル/「Dragon's Dogma」の自由度が高いキャラエディットシステムはどうやって実現されたのか 〜Autodesk University Japan 2011セッションリポート
筋肉のつき方もバンプマッピングで表現。筋肉の彫りを深くしたり,浅くしたりして調節する。体型,筋肉の見え方,体各部のボリュームの調節だけでも,ほとんど無限のバリエーションが作れそうだ

顔も目の大きさ,頬骨の位置などさまざな部分が変更できる。顔には「70から80のボーン(骨)がありコントローラ(画面に出ている点)近辺のボーンは一定の法則で変形する」そうで,それにより破綻がない顔が作成できるそうだ。つまり,自由に編集できるが,ありえないような顔は作れない
画像集#007のサムネイル/「Dragon's Dogma」の自由度が高いキャラエディットシステムはどうやって実現されたのか 〜Autodesk University Japan 2011セッションリポート

画像集#008のサムネイル/「Dragon's Dogma」の自由度が高いキャラエディットシステムはどうやって実現されたのか 〜Autodesk University Japan 2011セッションリポート
髪はデザイナーが作成したモデルをかぶせる。もともとは100〜200の髪型デザインがあったが,モデリングがタイヘンだったため,よさそうなものに絞り込んだとのこと。髪は頭の形に自動的にフィットするという
画像集#009のサムネイル/「Dragon's Dogma」の自由度が高いキャラエディットシステムはどうやって実現されたのか 〜Autodesk University Japan 2011セッションリポート
ヒゲが貼り付けられるほか,ほくろ,刺青,傷などのテクスチャが用意され,さらに女性キャラ向けには口紅,アイラインといった化粧のテクスチャも用意されているという

 このような素体から,非常に高い自由度で破綻のないキャラクターを作成できるエディタを使って,400以上のゲーム中キャラクターやプレイヤー向けキャラクターエディタ(後述)用の素材が作成されているわけである。
 なお,MT Framework上のキャラエディットシステムは,もともとはAutodesk SoftImage上で作成され,それをMT Frameworkに落とし込んだもの。SoftImage上のキャラエディットシステムで作成したデータもXMLの形でMT Framework上にインポートできるため,SoftImageを使い慣れたデザイナーの場合は,そちらで編集するといったことも行われているようである。

Autodesk SoftImageで作成されたキャラエディットシステムをMT Frameworkに落とし込んだそうだ。データに互換性を持たせることでデザイナーがSoftImageを使ってキャラクターを編集することもできるようにしているという。
画像集#011のサムネイル/「Dragon's Dogma」の自由度が高いキャラエディットシステムはどうやって実現されたのか 〜Autodesk University Japan 2011セッションリポート

ゲーム機上でプレイヤーが操作するキャラエディットシステムは,コントローラで操作できるよう簡略化されたものだという
画像集#010のサムネイル/「Dragon's Dogma」の自由度が高いキャラエディットシステムはどうやって実現されたのか 〜Autodesk University Japan 2011セッションリポート
 以上は開発者が操作するエディタだが,セッションではプレイヤー向けキャラエディットシステムにも軽く触れていた。開発用のエディタほど細かくはいじれないものの,体形や顔をプレイヤーがエディットできるシステムである。
 「キャラクター編集中には関節が250あるが,編集後に170にまで減らされて保存される」という。ボーンの数も削減されてデータが軽量化される仕組みだ。このような内部処理がゲーム機上で行われるというのは少々興味深い。


キャラクターのアニメーション制作も効率化


バリエーションに富む膨大なキャラクターが出てくるゲームだが,アニメーションを使い回せるよう工夫することで制作効率を上げているという
画像集#014のサムネイル/「Dragon's Dogma」の自由度が高いキャラエディットシステムはどうやって実現されたのか 〜Autodesk University Japan 2011セッションリポート
 1つの素体から,エディタを使ってさまざまなキャラクターを作ることで,膨大なゲーム中キャラクターが作成されているわけだが,Dragon's Dogmaでは,アニメーションについても複数のキャラクターで使い回せるようにすることで,開発効率の向上が図られているという。その一例としてフェイシャルアニメーションが紹介された。

画像集#012のサムネイル/「Dragon's Dogma」の自由度が高いキャラエディットシステムはどうやって実現されたのか 〜Autodesk University Japan 2011セッションリポート
これは標準的な顔のキャラクターがしゃべっているアニメーション。まったく同じアニメーションデータが異なる顔のキャラクターにも使えるそうだ
画像集#013のサムネイル/「Dragon's Dogma」の自由度が高いキャラエディットシステムはどうやって実現されたのか 〜Autodesk University Japan 2011セッションリポート
例えば,このようなキャラクターの顔の動きも,同一のアニメーションをもとに自動生成されるという

 セリフを喋る顔の動きは,役者の顔の動きをキャプチャして,それをキャラクターの顔の動きにかぶせるフェイシャルキャプチャという技術が使われている。まず,役者に普通の顔や口を大きく開けた顔といった,いくつかの基本パターンを演じてもらって,それをキャプチャ。そのデータをキャラクターの顔のフィットさせれば,以降はフェイシャルキャプチャのデータでしゃべっているアニメーションが自動的に作成されるようなシステムを作っているようだ。

画像集#015のサムネイル/「Dragon's Dogma」の自由度が高いキャラエディットシステムはどうやって実現されたのか 〜Autodesk University Japan 2011セッションリポート
まず役者に普通の顔を作ってもらい,キャラクターにフィットさせる
画像集#016のサムネイル/「Dragon's Dogma」の自由度が高いキャラエディットシステムはどうやって実現されたのか 〜Autodesk University Japan 2011セッションリポート
「表情筋の移動量は役者によって違う」(柳原氏)ので,口を大きく開けた顔などいくつかの極端な表情を作ってもらい,それをキャラクターにフィットさせると,あとは役者のフェイシャルキャプチャのデータから顔のアニメーションが作成できるという

 このように,1つのフェイシャルキャプチャのデータから,複数のキャラクターのアニメーションを作成することで開発効率があげられているわけだが,全身のアニメーションもまた,さまざまな工夫で共通のデータが使えるようになっていると柳原氏は説明していた。例えば,キャラクターの身長や腕の長さ,脚の長さが違っていても同じアニメーションのデータが使えるという。

画像集#018のサムネイル/「Dragon's Dogma」の自由度が高いキャラエディットシステムはどうやって実現されたのか 〜Autodesk University Japan 2011セッションリポート
標準体型からの差分を係数として出し,リアルタイムに乗じることで同じデータから,異なるキャラクターが自然にアニメーションするようになっているそうだ
 やや突っ込んだ話になるが,MT FrameworkにはIK(Inverted Kinematics)が実装されている。身長や腕,脚の長さなどが変わると,足が滑って見えるなどIKの処理がうまくいかなくなることも多いのだが,Dragon's Dogmaでは「エンドエフェクタ(手足の先端のこと)のデータの持たせ方を従来とは変えてある」という。そのため,身長,腕,脚の長さが違っていても自然なアニメーションが生成されると説明してた。なお,当然かもしれないが,どのようにデータの持たせ方を変えているかは秘密とのこと。

手足や身長が異なるキャラクターも,同じアニメーションのデータを使って,同じ動きができるよう工夫されているという
画像集#017のサムネイル/「Dragon's Dogma」の自由度が高いキャラエディットシステムはどうやって実現されたのか 〜Autodesk University Japan 2011セッションリポート

画像集#019のサムネイル/「Dragon's Dogma」の自由度が高いキャラエディットシステムはどうやって実現されたのか 〜Autodesk University Japan 2011セッションリポート
男女の動きの違いも,同じアニメーションデータから生成できる仕組みが作られているという。動きの男らしさ,女らしさはの違いを表現するのは簡単ではないそうで,柳原氏はさまざまな映画を見てイメージを掴んだそうである。
 さらに面白いのは,女らしい動き,男らしい動きというのも自動的に生成できるようにしているという点だ。例えば,女性の歩きなら肩を張って腰の動きくを大きするといった調整を自動的に行い,同じアニメーションデータから女性らしい歩き方が作られているそうだ。手間がかかるアニメーションの制作を減らし,同じデータでさまざまなバリエーションが作成できるようソフトウェア側で工夫しているということだろう。

 ちなみに,この記事でも触れられているが,Dragon's Dogmaの主人公は,プレイヤーが自由に編集できるため,身長などが異なるキャラクターが一緒にプレイすることになる。その際に,カメラ位置が自動で変わるようになっていることが特徴だが,「どの骨に合わせてスケールを調節するか,MT Frameworkでリアルタイムに計算している」という。ただ,この機能のデバッグは非常に大変だそうで,「いまだにやっている」と開発中の苦労話も飛び出していた。

 というわけで,Dragon's Dogmaでは素体(男性1体,女性1体の計2体だそうだ)から,多数のキャラクターが創り出され,また共通のアニメーションデータから異なるキャラクターの動きはもちろん,男女の違いまでが創り出されているわけである。
 柳原氏は最後にDrago's Dogmaの新しいトレイラーを紹介。今回解説されたように,共通のモデリングデータやモーションで作られていることを感じさせない映像をご確認いただきたい。これだけの独自技術を盛り込んで制作されるアクションRPG,Drago's Dogmaは2012年初頭に発売予定となっている。早く完成品の姿を目にしたいものである。

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