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ストリーミングプレイの条件は? 発売時期は? ベールを脱いだ「SHIELD」の謎についてNVIDIAの担当者へいろいろ聞いてみた
SHIELDを体験中の筆者。NVIDIA担当者にいろいろと聞いてきた |
Tegraの開発コードネームと同じく,
SHIELDの名前はアメコミ由来
NVIDIA CEOのJen-Hsun Huang(ジェンスン・フアン)氏がアメコミ好きということもあって,Tegraの開発コードネームには,アメコミのスーパーヒーローの名前を由来とした名称が付けられている。たとえばTegra 4なら「Wayne」だが,これはバットマンの正体である実業家「Bruce Wayne」(ブルース・ウェイン)から,といった具合だ。SHIELDもそれと同様で,映画「アベンジャーズ」にも登場した,スーパーヒーロー組織の名前にちなんでいるのだという。
そんなSHIELDは,基本的にAndroid端末である。OSはAndroid 4.1.X(Jelly Bean)で,Android用に流通している多数のゲームを実行できる。
SHIELDでまず気になるのは,既存のAndroid端末向けゲームをSHIELDで動作させたときに,SHIELDの持つアナログスティックやボタンで,きちんと操作ができるのか……という点だ。その点をさっそくNVIDIAのSHIELD担当者にぶつけてみると,次のような答えが返ってきた。
NVIDIA担当者(以下,NVIDIA):
Android 3.1(Honeycomb)以降に対応するアプリケーション開発環境「Android NDK」(NDK:Native Development Kit)には,ゲームパッドをサポートする標準APIが用意されている。
これにはNVIDIAも開発に協力しており,標準APIを使用したタイトルならば,SHIELDの各スティックや各ボタンに,自動的に操作がマッピングされる。だから,ゲームに(パッドでの操作を可能とする)パッチを適応しなくても,そのままSHIELD上で違和感なくプレイできる。
Android用のボクシングゲーム「Real Boxing」をプレイしている様子。アナログスティックで快適に遊べる |
NVIDIAブースでは,AndroidアプリをSHIELDで操作するデモの一環として,スマートフォンやタブレットで操作できるParrot社のラジコンヘリ「AR.Drone」を,SHIELDのアナログスティックで操作したり,タッチ画面でカメラの視界を切り換えるデモが披露されていた。
SHIELDの背面。トリガーボタンは問題ないが,ショルダーボタンがやや押しにくい |
このAR.Droneのアプリは,Android版として提供されていたものを,約5日でSHIELD向けに移植したものだ。オリジナルはタッチ画面による操作だけだったが,それをAndroidが持つ標準ゲームパッドAPIに対応させた。特別な“SHIELD専用API”を使ったわけではない。
SHIELDでストリーミングプレイできる
PCゲームの条件はなにか?
SHIELDは,Android用ゲームをプレイできるだけでなく,Kepler世代のGeForceを搭載したPC上で動作しているPCゲームを,SHIELD側にストリーミング表示させてプレイすることも可能だ。この技術は将来的に,NVIDIAのクラウドゲームサービス用システム「GeForce GRID」へと広がるものである。
4Gamer:
SHIELDでのPCゲームのストリーミングプレイは,どのように実現されているのでしょうか。
NVIDIA:
ゲームのランタイム(=実行環境)は,ホストPC側で普通に動作している。PC側で動作しているゲームをストリーミングするための制御用ドライバソフトが,SHIELDと通信を行い,SHIELD側で行われたスティック操作やボタン操作を取得する仕組みだ。基本的には,(XInput APIを使って)「Xbox 360 Controller for Windows」に対応するPCゲームであれば,SHIELDでそのまま動かせると思っていい。
一方で,リアルタイムストラテジーやMMORPGなどのキーボードショートカットキーを多用するゲームは,SHIELD側に映像を伝送できても,現実的には遊びづらいということになる(筆者注:これらをプレイしたいなら,事実上,SHIELD向けに特別な対応が必要になるということだ)。
4Gamer:
その映像伝送とは,どのような仕組みで実現されているのでしょう。
NVIDIA:
SHIELDのPCゲームストリーミング機能が,Kepler世代以降のGeForceに限定されるのは,Kepler世代以降のGeForceに内蔵されているリアルタイムH.264エンコーダの機能を活用しているためだ。
また,最初に登場する予定のSHIELDは720p(1280×720ドット)の画面解像度なので,基本的にはPCゲーム側も,720pで動作させる必要がある。720p以外の解像度を指定した場合は,720pに解像度変換がなされて伝送されるはずだが,詳細についての確定情報は持ち合わせていない。
4Gamer:
映像伝送は有線,無線のどちらにも対応しているとのことですが,無線伝送にはどのような技術を使っているのでしょうか。
NVIDIA:
無線伝送の場合,Wi-Fi Allianceの映像伝送規格「Miracast」※に準拠した方式となる。非常に表示遅延の小さい表示を達成できているが,無線LAN接続方式にはIEEE 802.11nが必須だと考えてほしい。
ただし今回のデモは,ブース展示ということもあり,電波干渉による不具合を避けるために,有線LAN経由で接続している。
※ Miracastは「Wii U GamePad」の映像伝送にも採用されている規格でもある。ゲームのストリーミング用途としては,それなりに実績がある方式,と言ってもいいだろう。
4Gamer:
SHIELDでデモンストレーションされるPCゲームは,Valveの「Steam」で提供されるタイトルや,EAのオンラインストア「Origin」で提供されるタイトルに偏っている気がします。これには理由はあるのでしょうか。
NVIDIA:
それは気にしすぎだ(笑)。DVD-ROMで提供されるゲームも,ちゃんとストリーミングさせることができるよ。
4Gamer:
最後に,SHIELDのリリース時期については,なにか新情報はありませんか。
NVIDIA:
Tegra 4を搭載する製品が,2013年下半期に登場予定だ。今はそれくらいしか言えない。価格についても,なにも言えないよ。
ただ,SHIELD向けにはゲームファンがあっと驚くようなゲームタイトルが提供される予定なので,楽しみにしていてほしい。本当に「あっ!」と驚くと思うよ。そのときに,ビックリして気絶しないように,今からハートを鍛えておいてくれ。
Project SHIELD 公式Webページ
GTC 2013 公式Webサイト
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SHIELD
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