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「Hearthstone」の春季世界選手権で熱戦繰り広げたTredsred選手にインタビュー。印象に残った盤面などを振り返ってもらった
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印刷2017/07/11 13:05

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「Hearthstone」の春季世界選手権で熱戦繰り広げたTredsred選手にインタビュー。印象に残った盤面などを振り返ってもらった

画像集 No.003のサムネイル画像 / 「Hearthstone」の春季世界選手権で熱戦繰り広げたTredsred選手にインタビュー。印象に残った盤面などを振り返ってもらった
 Blizzard Entertainmentがサービスするオンライン対戦TCG「Hearthstone」PC / iOS / Android)。その大型大会となる「Hearthstone Championship Tour Spring Championship」(HCT春季世界選手権)が,2017年7月7日から7月9日まで中国・上海で開催された。

 この選手権は,南北アメリカ/ヨーロッパ/中国/アジア太平洋の4つの地域を代表するトッププレイヤーが一堂に会する,賞金総額25万ドルの国際大会だ。
 各地域からは,それぞれ4名の選手が出場しており,それまでの戦績に応じてA〜Dのグループに振り分けられている。そして各グループから上位の2名が決勝トーナメントへ進出するという流れだ。

 そして本選手権には日本からTredsred選手が出場した。Tredsred選手は,初日に行われたRdu選手との戦いでDグループステージを落としてしまったものの,翌日に行われたルーザーズ(敗者復活戦)の初戦では,中国のJasonZhou選手に3-0で勝利。しかし,次の相手となったアメリカのAnt選手に0-3で負けてしまい,惜しくもグループリーグで姿を消すことになった。
 なお,本選手権で優勝したのは,デンマークのHoej選手。今後の活躍に注目が集まるところだ。選手権のアーカイブはTwitchで見られるので,興味のある人は確認してほしい。

 今回は,大会を終えたばかりのTredsred選手に話を聞けたので,その内容をお届けしよう。

中国勢を意識しすぎたものの,結果は予想通り


4Gamer:
 選手権お疲れ様です。試合全体を振り返ってみてどうでしたか。

Tredsred選手
画像集 No.008のサムネイル画像 / 「Hearthstone」の春季世界選手権で熱戦繰り広げたTredsred選手にインタビュー。印象に残った盤面などを振り返ってもらった
Tredsred選手:
 公開されたデッキを見た段階で,Rdu選手に負けたあとJasonZhou選手に勝って,Ant選手に負けるというのは分かっていたので,予想通りとえば予想通りでした。ただ,いずれの試合も結果が極端でしたね。もっと接戦になると思ってました。

4Gamer:
 JasonZhou選手は頑なに翡翠ドルイドを通したがっていたように見えました。

Tredsred選手:
 そうですね。結局のところ何から出してもドルイドが通らないことには勝てないので。僕が持ち込んだのは翡翠ドルイドには絶対に負けないデッキだったので,そのあたりはちゃんと仕事を果たしてくれたなと思います。

4Gamer:
 Tredsredさんはアグロ寄りの構成でしたね。

Tredsred選手:
 アグロはプレイスキルが出にくいデッキなんですよ。今回はスキルの勝負をしたくなかったというのもありますが,もう少しコントロールを持ち込む選手が多いとも考えていました。

4Gamer:
 結果的には,ほとんどの選手がアグロ構成でした。

Tredsred選手:
 そのアグロに強いアグロをもってきたRdu選手とAnt選手は,やっぱりデッキ選択がうまいなと思いました。デッキ相性の悪い選手が自分のグループに2人もいたのがちょっと不運でしたね。Neirea選手やKolento選手,DiegoDias選手など,デッキ相性的には自分のほうがいいなと思っていた選手もいて,そういう人達とあたる可能性もあると考えていたのですが。

画像集 No.006のサムネイル画像 / 「Hearthstone」の春季世界選手権で熱戦繰り広げたTredsred選手にインタビュー。印象に残った盤面などを振り返ってもらった

4Gamer:
 試合が終わった今,自分のデッキを見直してみて何か思うところはありますか。

Tredsred選手:
 中国を意識しすぎたと思ってます。中国の選手がみんな翡翠ドルイドを使っているのは,別の大会の結果で知っていました。なので,翡翠ドルイドを持ってくる中国勢だけには勝てるようにしていたのです。実際に翡翠ドルイドを通そうとしたJasonZhou選手には3-0で勝ちましたし,考え方自体は間違っていなかったと思います。

4Gamer:
 このデッキはだけはBANするというのは決めていまいたか。

Tredsred選手:
 BANしようと考えていたのは海賊ウォリアー,トークンシャーマン,アグロドルイド,フリーズメイジです。この全部をRdu選手は持ってきたので,彼との試合では全部BANしたかったです(笑)。正直そこはRdu選手のうまさだと思いますし,最悪な相手と初戦で当たってしまったのは,やはり運が悪いなと感じましたね。

4Gamer:
 クエストローグはどうでした。

画像集 No.004のサムネイル画像 / 「Hearthstone」の春季世界選手権で熱戦繰り広げたTredsred選手にインタビュー。印象に残った盤面などを振り返ってもらった
Tredsred選手:
 クエストローグを意識した構成にすることも考えました。例えば,海賊ウォリアーからヒドラを抜いて,必殺の一撃だったりリロイだったりを入れたりすると,多少クエストローグに強くなります。
 ただ,クエストローグ自体のパワーの上下が激しいので,たとえクエストローグに勝てるような構成にしたところでも,ぶん回られるとどうしようもありません。

4Gamer:
 なるほど。ぶん回られるとキツイのは翡翠ドルイドにも当てはまりそうですが。

Tredsred選手:
 翡翠ドルイドはもっと素直です。もちろんベースはドルイドなので,マナを加速してぶん回ることもありますが,クエストローグのぶん回りに比べたら翡翠ドルイドなんてたいしたことありません。それも考慮して,今回完全に翡翠ドルイドメタのデッキで挑みました。

4Gamer:
 秘策メイジもうまく機能してましたよね。JasonZhou選手との戦いで,滋養呪文相殺が刺さったシーンが印象的でした。

Tredsred選手:
 あれは面白いシーンでした。僕は手札が見えていないのでなんとも言えないのですが,ああいうプレイをすると配信だったりコミュニティで,「Jason考えてなさすぎ」と叩かれると思うんですけど,あれはJasonZhou選手がそうするかもしれない,そうしても納得できるぐらいの状況で呪文相殺を貼ったんです。

4Gamer:
 というと?

Tredsred選手:
 あそこは本来,鏡の住民から使うべきタイミングなんですよ。呪文相殺を貼ってもコインチェックで剥がされますし,鏡の住民であれば,次のターンに出てくる翡翠の巨象を警戒できますから。
 それはJasonZhou選手も分かっていたと思いますし,あのシーンは鏡の住民が貼られたという前提でプレイしないと勝てない状況でもありました。なので,滋養でマナ加速してヨグ=サロン始祖ドレイクとかにつなげないと,勝てないだろうと思っていたはず。僕はそうしてくるだろうというのも考えて,あそこでは躊躇せずに貼りました。なので,JasonZhou選手があそこで鏡の住民を読んで滋養を使ったプレイ自体は,残された勝ち筋をしっかりなぞっただけで,悪いプレイだとは思ってません。

4Gamer:
 しかし,コインを持っている相手に対して,手札に1枚しかない呪文相殺をよく躊躇なく貼れましたね。

Tredsred選手:
 上級者同士の戦いだと,呪文相殺が貼られるまでコインは絶対に切らないんです。なので1枚目の呪文相殺はコインで阻止されるので,貼ることに躊躇しなくていいんですよ。

4Gamer:
 たしかに,メイジに秘策を貼られた状態で確実に使いたいスペルがあれば,コインチェックしますからね。

Tredsred選手:
 こっちが呪文相殺を温存すれば相手もコインを温存するだけなので,先に張ってコインを使わせてもう1枚貼るべきなんです。それもあって,あのシーンは呪文相殺を貼ることに躊躇しなかったんです。ただ,僕があまりにも躊躇しなかったので,それもJasonZhou選手に鏡の住民だと思わせることにつながったのかと思います。

4Gamer:
 ほかに印象に残っている盤面はありますか。

Tredsred選手:
 JasonZhou選手との初戦で,ステルス状態の六丸で殴るかどうかという盤面は,もしかするとミスプレイだったかもしれません。時間制限ギリギリで結局殴ることにしたのですが,あそこはすごく考えてました。

4Gamer:
 たしかに,それまではマナカーブ通りテンポよく進んでましたが,あそこで止まりましたよね。

Tredsred選手:
 あそこは,JasonZhou選手が次のターンに始祖ドレイクを出したそうな動きをしていたので,始祖は来るだろうと考えてました。相手の場には5/1と3/3/がいたと思いますが,まず1/3を3/3/にぶつけて3/2にしておいて,5/1と3/2が残る盤面にし,こちらはキュレーターを出すという状況にしておけば,相手が始祖ドレイクを出しにくくなるんですよ。
 ただ問題だったのが,六丸をどうするかでした。あそこで六丸を温存しておいても,始祖ドレイクが出てきたときに4/8のステータスを六丸で超えられないし,逆にフェイスに行って姿を晒したとしても,相手が始祖ドレイクを持っていなかったらなぎ払いで処理されてしまいます。
 結局は六丸をトレードして2体出すことを優先したわけですが,もっと良いプレイがあったんじゃなかと思います。

その時の盤面がこちら(会場スクリーン直撮り)。Tredsred選手の読み通り,JasonZhou選手は始祖ドレイクを握っていた
画像集 No.005のサムネイル画像 / 「Hearthstone」の春季世界選手権で熱戦繰り広げたTredsred選手にインタビュー。印象に残った盤面などを振り返ってもらった

4Gamer:
 大会におけるアグロ環境についてはどう思いますか。

Tredsred選手:
 大会で採用されているコンクエスト方式(4ヒーロー1BAN)では,デッキ内のタイプを揃えることが大事で,そのためにはタイプの幅広さが求められます。今の環境だとアグロ系はたくさんありますが,逆にアグロに勝てるコントロールデッキは,ンゾスパラディン,クエストウォリアー,トークンシャーマン,ぎりぎりでフリーズメイジの4種類しかありません。
 もし,大会をコントロール環境にしたいのであれば,実用的なコントロールデッキを5個,6個作れるような環境になってないとダメです。アグロに強いコントロールドルイドとかコントロールハンターとかが生まれない限り,大会でコントロールが活躍するゲームには中々ならないと思います。

4Gamer:
 ランクマッチではコントロールを結構見かけますけど,やはり大会となると考え方が違うんですね。

Tredsred選手:
 コンクエストというフォーマットの問題点だとも思ってます。これが2ヒーローであれば,僕はンゾスパラディンとクエストウォリアーで出ることも十分考えますし,ランクマッチではンゾスパラディンとかが一番強いレベルだと思ってます。

4Gamer:
 コミュニティでは,ウンゴロ環境のバランスを評価する声を多く見かけますが,Tredsredさんから見るとどうでしょうか。

Tredsred選手:
 僕もそう思います。今までのHearthstoneの中ではトップクラスにいい環境だと思ってますね。

4Gamer:
 クエストローグのナーフの内容については妥当だと思いますか。

Tredsred選手:
 ものすごく妥当な調整だと思います。達成条件が1枚増えるだけで相当弱くなると思うので。

4Gamer:
 環境からは消えると思いますか。

Tredsred選手:
 5/5がどんどん出てくるというのは強いので,環境から消えるかといわれると怪しいところですが,アグロに対して勝てなくなるのは確かですね。ただ,翡翠ドルイドに対しては相変わらず有利だと思うので,そういう局所的なところで使われることはあるでしょうが,ランクマッチで使われるデッキにはならないと思います。

4Gamer:
 そうなると,ランクマッチで翡翠ドルイドと当たる機会は増えそうですか。

画像集 No.007のサムネイル画像 / 「Hearthstone」の春季世界選手権で熱戦繰り広げたTredsred選手にインタビュー。印象に残った盤面などを振り返ってもらった
Tredsred選手:
 絶対ないですね,弱すぎるので(笑)。翡翠ドルイドという弱いところにクエストローグが落ちていっただけで,翡翠ドルイドが上に来ることはないと思います。単体除去がない翡翠ドルイドが上に来るためには,ヒドラをゲームから消さないとだめです。
 今の翡翠ドルイドは,どんなデッキでもヒドラを2枚挿せば勝てるので。海賊ウォリアーに対しては微有利と言われていますが,ヒドラを出されただけで一気に不利になります。なので僕の海賊ウォリアーにはヒドラが2枚積んであるのです。

4Gamer:
 今後の目標があれば教えてください。

Tredsred選手:
 ポイントは足りているので夏季選手権には出場しますが,夏に絶対勝ちたいというわけでもありません。昨年の春に日本で2位になって,今年の春にアジアで2位になっているので,来年の春には世界で2位になりたいなって感じですね。
 僕みたいな研究型は,カードのプールが大きく変わる春に強いと思ってます。ただ,アドベンチャーがリリースサイクルから消えたことで,時期を問わずカードのプールが増えますから,僕のような研究型の人間が夏にも活躍しているかもしれません。

4Gamer:
 そうなるとTredsredさんにも十分チャンスはありますよね。

Tredsred選手:
 僕は調子に乗ると難しいデッキを使いたがるタイプなんです。昨年は春で2位になって調子に乗り,夏に難しいデッキを持ち込んでひどい結果になったので。今年もまさにいまこの場所まで来ていることで調子に乗って,夏に難しいデッキを持ち込むかもしれません。そうなると無理ですね(笑)。
 ただ,プレイヤーとしてのスキルを高めるために大会に出ているので,慣れていないデッキにチャレンジする意義は十分にあると考えてます。

4Gamer:
 では最後に,日本で応援してくれていた人たちに向けてひとことお願いします。

Tredsred選手:
 今回はいろいろな人に協力してもらいました。とても感謝しています。

4Gamer:
 今後の活躍にも期待しております。ありがとうございました。

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