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印刷2019/10/12 00:00

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「ハースストーン」の中継で出た政治的発言と選手の処罰をめぐる出来事が議論に

 Blizzard Entertainmentが,「ハースストーン」の公式大会の実況中継で政治的発言を行った香港のプレイヤーに,1年間のトーナメント参加禁止と称号および獲得賞金の剥奪という厳しい処分を下した。これに対して,ファンやゲーム業界関係者からの批判が集まっている。最近では,ゼネラルマネージャーの香港支援ツイートを謝罪したNBAへの反発が一般メディアも取り上げるほどの大きな騒ぎになってもいる。今後,何らかの進展があるとは思えるが,この段階で一連の状況をまとめておきたい。


ストリーミング中に政治発言を行ったプレイヤー


 サービス開始から5年以上を経て,今なお高い人気を誇るBlizzard Entertainmentのデジタルカードゲーム「ハースストーン」。現在は11月の「BlizzCon 2019」で行われる決勝大会,「GrandMasters 2019 - Global Finals」に向けて各地で最終予選が繰り広げられており,10月5日と6日には,アジア太平洋地域のチャンピオンを決める「GrandMasters 2019 Season 2 - Asia-Pacific」でも熱い戦いが繰り広げられていた。

 このアジア太平洋大会の参加者の1人である香港出身のBlitzchung選手――本名はグ・ワイ・チュン(Ng Wai Chung)さんが試合後のインタビューで政治的な発言を行ったとして,Blizzard EntertainmentはBlitzchung選手のグランドマスターの称号と獲得した賞金(3000ドル)を剥奪し,1年間のトーナメント参加禁止という厳しい処分を下した。このことに対して,ファンやゲーム関係者だけでなく,大手メディアも参加した議論が巻き起こっている。

 日本から参加したglory選手Alutemu選手と同じディビジョン2でプレイしていたBlitzchung選手は,公式配信のインタビュー中,スキーのゴーグルとガスマスクを着用したうえで,「香港を解放せよ! 我々の時代の革命だ!」と叫んだ。笑い声を押し殺すように様子を見ていた2人のキャスターは,この発言の前に「早く8文字の言葉を言って,この放送を終わらせようよ」と話していたので,もともと予定の行為だったのだろう。8文字の言葉とは,Blitzchung選手の叫んだスローガン「光復香港,時代革命」だという。
 この行為を問題視したBlizzard Entertainmentが上記の処分を下し,それに対して多くのファンが反発する形になっているのだ。

「GrandMasters 2019 Season 2 - Asia-Pacific」の公式ライブストリーミングで,Blitzchung選手が政治的な発言を行った際の映像
画像(001)「ハースストーン」の中継で出た政治的発言と選手の処罰をめぐる出来事が議論に

 Blizzard Entertainmentは,北米時間10月8日に公式サイトで声明を発表しており,今回の処置は,Blitzchung選手が大会規約「2019 Hearthstone Grandmasters Official Competition Rules」に違反したからだと説明した。該当する「section 6.1 (o)」を訳すると,以下のようになる。

「Blizzardの独自の裁量において,公衆を不名誉に導く行為,公衆の一部やグループの感情を害する行為,そのほかの,いかなる方法であってもBlizzardのイメージに損害を与える行為は,Grandmastersの称号を剥奪し,プレイヤーの賞金を0ドルに減し,ハンドブックおよびBlizzard Entertainment公式サイトの利用規約に基づく追加条件が課される」

 一読すればお分かりのように,対象となる行為はかなり曖昧だが,基本的に差別発言や,差別行為を助長する言動を処罰するために設けられた条項だと考えられる。
 政治発言は差別発言とは異なるので,以下は筆者の考えだが,そもそも大会規約に政治発言を禁止する条項がなかったため,「section 6.1 (o)」が適用され,結果として厳しい処置が下されることになったのではないだろうか。なお,公式発表ではインタビューに同席した2人のキャスターはもう使用しないとも述べられている。

 しかし,この説明に納得しないファンやプレイヤーが数多く出現し,それをBBCThe Wall Street Journalなどの大手一般メディアが次々に報道。「Call of Duty: Mobile」のヒットで上がっていたActivision Blizzardの株価は,一時的に3.8%ほど下落することになった。

11月1日〜2日の日程で,恒例のイベント「BlizzCon 2019」が開催される。昨年の「Diablo」騒ぎと同様,一波乱あるかもしれない (写真はBlizzCon 2015で行われた「ハースストーン」の大会)
画像(002)「ハースストーン」の中継で出た政治的発言と選手の処罰をめぐる出来事が議論に

 Battle.netを脱退するプレイヤーも少なからずいるようで,Blizzard Entertainment在籍時には「World of Warcraft」の開発部隊を率いていたマーク・カーン(Mark Kern)氏は,自身のTwitterで,#BoycottBlizzardへの参加を表明し,続けていた「World of Warcraft」の月額サービスを終了させたという。また,世界18位のプレイヤーで,BlizzCon 2019でキャスターを務めると予想されていたプロゲーマーのブライアン・キブラー(Brian Kibler)氏が同イベントへの参加を取りやめると発表するなど,Blizzard Entertainmentへの反発はなお激しくなっているようだ。


政治とビジネス,そして理念の間で求められるゲームメーカーの難しい舵取り


 キブラー氏は声明で,「ハースストーン」にはさまざまな国のプレイヤーが参加しており,未成年者もプレイしている。そういう場では,いかなる理由があろうとも政治的発言を許容しないというBlizzard Entertainmentの判断は正しいと述べている。「あの土地はわが国のものだ」とか「あの政治家を弾劾しろ」などとそれぞれのプレイヤーが訴え始めれば,取り返しのつかないこともある。

 しかし,そのうえでキブラー氏は,Blitzchung選手に下された処置は厳しすぎ,さらに,Blizzard Entertainmentの今回の判断には「ビジネス的な理由」もあるのではないかという懸念をはっきりと示し,BlizzCon 2019への参加を止めているのだ。

 ご存じのように,Blizzard Entertainmentは「ハースストーン」を始めとする多数のタイトルを中国で展開しており,中国の巨大IT企業であるテンセント(騰訊)がActivision Blizzardの5%におよぶ株式を保有していることもよく知られている。Wall Street Journalは上記の記事中で,Activision Blizzardは「Call of Duty: Mobile」の中国市場への展開を重視していると述べており,最近の政治情勢について神経を尖らせているのは間違いない。

ローンチ1週間で1億ダウンロードを記録したという「Call of Duty: Mobile」を中国市場でも成功させたいActivision Blizzardだが,慎重な舵取りが求められることになるだろう
画像(003)「ハースストーン」の中継で出た政治的発言と選手の処罰をめぐる出来事が議論に

 実際,ときを同じくして,全米プロバスケットボールリーグ(NBA)のヒューストン・ロケッツのゼネラルマネージャーが,香港のデモをサポートするというツイートをしたことから,中国のスポーツ用品メーカーや銀行が次々とスポンサー契約を解除し,さらに,中国中央電視台(CCTV)が中継を取り止めるといった出来事が起きている。過去に中国人選手が所属していたことから,中国では最も人気のあるチームであるロケッツだったが,1つのツイートをきっかけに,大きな打撃を受けることになった。

 この件でロケッツのGMは謝罪したが,今度はその謝罪について「NBAは中国マネーに屈した」と抗議する国会議員が現れるなど,アメリカ国内からの反発を受けることになった。最近の米中の不安定な政治情勢下で,各企業は利益の追求だけでなく理念やモラルも勘案した,難しい判断を迫られているようだ。

 例えば,Activision Blizzardを上回る,全株式の40%をテンセントが保有するEpic GamesのCEO,ティム・スウィーニー(Tm Sweeney)氏は,「Fortniteプレイヤーやコンテンツクリエイターを政治的な発言でBANしたり,懲罰を加えることはない」とメディアへのインタビューに答えており,中国からの多額の出資を受けているとはいえ,企業によって方針が異なることは知っておくべきだろう。

 筆者は香港で起きていることにコメントできるだけの専門的知識を持たないが,北米の大型掲示板「Reddit」に立てられた専用スレッドを読んでみると,香港民主化のサポーターであってもなくても,多くの「ハースストーン」プレイヤーが,「政治発言でトーナメント参加禁止になるのはまだ分かるが,企業にとってはわずかな額であろう3000ドルまで取り上げなくても」というコメントをよく見かける。また,大会規定の条項はどう読んでも差別発言を禁じるものであり,政治的発言については具体的な条項を作っておくべきだったという意見も一理あると思う。

BoycottBlizzardでは,ファンメイドのさまざまなミームが公開されており,特に中国人という設定の「オーバーウォッチ」のメイは良く使われている
画像(004)「ハースストーン」の中継で出た政治的発言と選手の処罰をめぐる出来事が議論に

 今回の件について,当のBlitzchung選手は所属チームの公式サイトにコメントを寄せており,「僕自身も数か月にわたってデモ活動に参加していて,Grandmastersに集中する時間もなかった。僕が行ったことの意味は,十分に理解している」と述べ,自身の信条は曲げないが,Blizzard Entertainmentの処罰には理解を示している。

 BlizzCon 2019まで約1か月を残す現在,まだ新たな展開がありそうなので,注視し続ける必要はあるだろう。Blitzchung選手自身やキブラー氏は,香港に帰った際の(Blitzchung選手の)身の安全を危惧しており,そこは筆者も同感だ。

関連記事:「ハースストーン」でのプロゲーマーの政治的発言と処罰について,Blizzard Entertainmentが修正をアナウンス

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