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「ディバインゲート零」は“新しい音楽の聴かせ方”。テーマ設定の経緯などを森下一喜氏と山岡 晃氏に聞いてみた
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印刷2017/08/16 15:00

インタビュー

「ディバインゲート零」は“新しい音楽の聴かせ方”。テーマ設定の経緯などを森下一喜氏と山岡 晃氏に聞いてみた

画像集 No.028のサムネイル画像 / 「ディバインゲート零」は“新しい音楽の聴かせ方”。テーマ設定の経緯などを森下一喜氏と山岡 晃氏に聞いてみた
 ガンホー・オンライン・エンターテイメントが配信中の「ディバインゲート」iOS / Android)。同社の看板タイトル「パズル&ドラゴンズ」iOS / Android)に続いて2013年に配信されて以来,深みのあるストーリーや個性的なキャラクター,数多くのコラボなどにより,ファンに長く愛され続けているタイトルだ。
 そんな本作だが,ガンホーフェスティバル2017のステージにて,2017年夏に「ディバインゲート零」として生まれ変わることが発表された。音楽をテーマにしていたり,パラレルワールドが舞台になっていたり,デザインが黒ベースのスタイリッシュなものから爽やかな青基調になっていたりと,その変化に驚かされたプレイヤーも多いはずだ。

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 本稿では,ガンホー・オンライン・エンターテイメント代表取締役社長CEOの森下一喜氏と,グラスホッパー・マニファクチュア取締役 サウンドクリエイターの山岡 晃氏,「ディバインゲート」四次元広報のミスター☆ディバイン氏に,新章突入に合わせて“再醒”する本作について話を聞いた模様をお届けする。
 探索パートのカットやアドベンチャーパート導入の意図,音楽をテーマにした経緯などについて触れているので,ぜひともチェックしてみてほしい。

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改修を重ねた先で行き着いた“零”


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。早速ですが,「ディバインゲート」が「ディバインゲート零」(以下,「零」)になることが決まった経緯やきっかけを聞かせてください。

森下一喜氏(以下,森下氏):
 「零」になったのは,ディバインゲートをリリースしてから時間が経過し,新要素が増えるにつれシステム上の問題も増えてしまって,改善するには作り替える必要があったというのが大きな要因です。ディバインゲートを良くしようといろいろと考えているなかで,部分的に改修していくよりも,いっそ根本的に作り替えたほうが良くなるという結論に至りました。

4Gamer:
 なるほど。

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森下氏:
 作り替えることを考えていたとき,ストーリーが一区切りつきそうだったので,ゲームコンセプトをそのままにして“新章”として展開していくのがいいんじゃないかと思ったんです。

 なので,「零」は,1から作り直しているんですが,キャラクターやゲームシステム自体はディバインゲートを踏襲したものとなっています。今まで集めたユニットはもちろん使えますし,これまでのストーリーも「零」に関わっています。言ってしまえば,“パラレルワールド”ですね。アカネやアオト,アーサーが存在している世界とは別に,「零」の世界も別次元に存在しているのです。

4Gamer:
 となると,ディバインゲートのキャラクターはどのようにして「零」に関わってくるのでしょうか?

森下氏:
 ものすごくザックリ言ってしまうと,危機に瀕した「零」の世界を救うために,ディバインゲートのキャラクター達が登場します。ただ,キャラクター達が直接来るわけではなく,“幻影”のような存在が戦いに加わり,「零」のキャラクター達をサポートのような感じですね。
 これにはちゃんと意味があるんですが,これは実際に「零」になったときにプレイヤー自身の目で確認してほしいなと。

4Gamer:
 とても気になります。ちなみに,タイトルの「零」にはどういった意味が……?

森下氏:
 ガンホーのゲームって,タイトルに漢字が入っているものが少ないので,あえて漢字を使ったというところはありますね。

4Gamer:
 ディバインゲートって,スタイリッシュというか洋風なイメージだったので,和風テイストはイメージとのギャップがあってびっくりしました。

森下氏:
 実は,これを機にほかの国での展開も考えていて,日本ならではのオリジナリティを出したくて漢字を使っているというのもありますね。あと,音楽の記号に“ゼロ”があるので,そこにちなんでいます。

山岡 晃氏(以下,山岡氏):
 音楽の記号のほうは後付けなんですけどね(笑)。

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「零」は“新しい音楽の聴かせ方”


4Gamer:
 続いて,「零」のテーマについて聞かせてください。

森下氏:
 はい,「零」のテーマはズバリ音楽です。主要メンバーである,カズシ,ムサシ,シンク,リアン,ココロ,ミカがバンドマンだったり,ロゴにギターを入れてみたりと,ディバインゲートからガラリと雰囲気を変えています。
 また,主人公達は基本的に4ピースのバンドなんですが,ストーリーの進捗次第では,メンバーが増えたり,ボーカルが代わったりします。バンドとしてボーカルは決まってはいるけど,歌うのは曲に合わせてその都度変わっていくという感じですね。シンク(ベース)やリアン(ドラム)がボーカルを務めることもあるかもしれません。

4Gamer:
 なるほど。

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カズシ
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ムサシ

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シンク
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ココロ

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リアン
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ミカ

森下氏:
 また,それぞれがギター,ベース,キーボード,ドラムなどの楽器を持っているんですが,これらはただの楽器ではなく,“エクステ”と呼ばれる特別な楽器で,ディバインゲートでいうところの“ドライバ”にあたります。このエクステから奏でる音でバトルしていく感じですね。もちろん,「落ちてくるアイコンに合わせてリズムよくタップ!」というリズムゲームではありませんが(笑)。

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4Gamer:
 パネルRPGがリズムゲームになったら,それはすでに別アプリですもんね(笑)。

森下氏:
 最初,バンドメンバーは1人1人がバラバラだったんです。カズシはもともと別のバンドを組んでいたり,シンクはバンドをやっていなかったり……。各キャラクターがバンドに参加するまでのバックグラウンドを持っていて,今の世界を救うためにそれぞれの思いがあって集まったんです。
 そして,エクステを使うことで,ディバインゲート世界の人を呼び出してバトルができるようになり,最終的には1つのバンドとして活動するようになるんです。

4Gamer:
 バックグラウンドがしっかりしていることによって,よりキャラクターに愛着がわきやすくなっているんですね。

森下氏:
 少し先走った話になりますが,理想としては,各キャラクターにファンがついて,彼らがゲームから離れたところでライブをしたり,インタビューを受けたり,音楽雑誌に登場したりしてほしいですね。

4Gamer:
 音楽ナタリーに出てくるみたいな。

ミスター☆ディバイン氏:
 そうです。そんな感じで主人公達には(2次元の存在ではあるものの),3次元世界でうまく活動させられたらいいよね,という話はしています。

4Gamer:
 なかなか壮大な話ですが,イメージとしては,初音ミクのライブ的な感じでしょうか?

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森下氏:
 近いですね。ただ,ミクの存在って2次元的だと思うんですよ。あくまで理想ですが,「零」は3次元的な活動をさせたいなと思っているんです。

4Gamer:
 といいますと?

森下氏:
 こういったゲームのライブというと,通常は担当した声優さんにライブをやってもらうことが多いと思うんですが,「零」ではプロのアーティストにやってもらおうと思っています。

4Gamer:
 つまり,主要キャラクター達の実写版がいるということですか?

森下氏:
 いえ,存在としてはあくまでバーチャルなので実際に表に出てくることはないですが,その中身は音楽のプロフェッショナル達です。

4Gamer:
 気になりますね……。

森下氏:
 世界レベルの技術を持っている方ばかりですよ。楽曲は山岡が作っているんですが,演奏は普段違うバンドなどで活躍されているプロのアーティストの方々に集まってもらっているので,これ自体が珍しい試みだと思います。

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山岡氏:
 選抜みたいな感じなんですが,音楽業界でもあまり聞かないですね。

ミスター☆ディバイン氏:
 あまり前例のない,新しい試みだと思います。ティザームービーの中の人は,名前を聞いたことのあるアーティストがいると思いますよ。

4Gamer:
 なるほど。

森下氏:
 今後はどんどん新しい楽曲も増えていきますし,主人公達のライバル的なバンドも出てきます。もちろん,そういったキャラクター達もプロのアーティストが演じるので,ご期待いただければと思います。

4Gamer:
 そういえば,ティザームービーに森下さんも出ていませんでしたか?

森下氏:
 僕はただの通りすがりです。


4Gamer:
 通りすがりの割には楽譜っぽいものを開かれて,がっつりリズムに乗っているようでしたが(笑)。

(一同:笑)

4Gamer:
 最初に「零」のテーマを聞いたとき,ディバインゲートからはなかなか想像しにくかったのですが,どういった経緯でテーマが決まったのでしょうか?

森下氏:
 もともとは「音楽の聴かせ方」について,山岡と日頃からいろいろ話していたことがキッカケですね。よりゲームと音楽を近い形でお客さんに楽しんでもらえる方法はないのかと,いつも考えていたので。

4Gamer:
 と言いますと?

森下氏:
 音楽をよりゲームにシンクロさせて,ゲームプレイや物語に深く関わらせたかったんです。うまい言い回しが見つからないんですが,CDやiTunesなどとは違う音楽の楽しみ方――つまりは,音楽とゲームがしっかり重なり合っている“新しい音楽の聴かせ方”ですね。
 もちろん,先ほども申し上げたように,「零」はリズムゲームではないので音楽が中心なわけではなく,物語とゲームの間に音楽があるという感じです。

山岡氏:
 さっきも少し話題が出たのですが,「音楽の聴かせ方」から派生して,音楽に新しい価値を生み出せるようなものを提供できないかということも考えています。色々アイデアがあったなかで,リズムゲームじゃないアプローチもできればいいよね,というところから「零」のテーマが音楽になった形ですね。

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山岡 晃氏は凄腕の料理人


4Gamer:
 今回の音楽は山岡さんが担当されているとうかがいました。

森下氏:
 バンドメンバーの子達が演奏する楽曲は,新曲も含めて山岡が担当しています。

4Gamer:
 「零」の音楽はどういうイメージで作られたんでしょうか?

山岡氏:
 前提として,僕自身,実はカッコイイ音楽かどうかは重要視していなくて,「零」の音楽を聞いてれば楽しくなるとか,キャラを好きになるとか,ゲームを通じて音楽に興味を持ってもらえたらいいなとか,そういうことを考えながら作っています。
 ただ,今回の音楽のイメージを強いて挙げるとすれば,カズシ達のイメージから奏でそうな音楽を考えつつ,森下さんのオーダーを踏襲していった感じですね。

4Gamer:
 お二人はカズシ達に対してどういったイメージをお持ちですか?

森下氏:
 カズシとムサシとリアンはやんちゃな感じですよね。ある意味でスキャンダラスと言いますか(笑)。

山岡氏:
 ココロは家庭をしっかりと守ってくれそうな感じで,シンクも安定感ありますね。あと,シンクは普段メガネをかけているんですが,バンドのときだけ外すんですよ。このギャップに惹かれる人は多いと思います。……といった感じで,各キャラクターのイメージを膨らませていますね。

4Gamer:
 ちなみに森下さんからのオーダーというのは?

山岡氏:
 どんなオーダーだったかな……。最初何個か作りましたよね?

森下氏:
 ……。

4Gamer:
 森下さんは覚えていないようですが(笑)。

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森下氏:
 いや,違うんですよ(笑)。「零」でたくさんの楽曲をお願いしているので,始まりってどれだったかなと思って……。ちょっと脱線しちゃうんですが,つい最近も楽曲依頼の連絡をしようとしたら,なかなか電話がつながらなくて,折り返しの電話が来たと思ったらベラルーシに出張に行ってるって言うんですよ。
 でもそんな話知らないから,1曲2曲頼んだんですよね。金曜日に連絡して月曜日までにお願いって。

4Gamer:
 えー!! そんなすぐできるものなんですか……。

森下氏:
 いえ,山岡だからこそなんですが……! そんな感じで,とにかく色々な楽曲をお願いしてるので,正直,最初にどういうオーダーだったのかすぐに思い出せないんです。

山岡氏:
 ホントにね,毎日のようにこういうやりとりをしてるんですよ。

森下氏:
 しかも,山岡ってロックやメタルが得意だと思っていたんですが,EDMとかも平気で作っちゃうんです。ただ,「ちょっとEDMで作りたいんだよね」みたいなことを言ったら「は?」と,笑われたのはいまだに覚えてます。

山岡氏:
 いや,だって社長が「EDM」って言葉を知ってるんですよ? すごくないですか。

森下氏:
 そりゃ知ってるよ(笑)。しかもEDMにしたいって言ったときは,引っ掛けみたいなデータが送られてきて,「それEDMじゃなくて,トランスだよ」みたいなこともあったり。

4Gamer:
 試されてますね(笑)。

森下氏:
 この間はHIP-HOPも作ってましたし,何でもできるんですよね。突然「ラーメンが食べたい」と言ったら,気分にあったラーメンをすぐに作ってくれるような感覚ですよ。……何でそんなにできるの?

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山岡氏:
 音楽でいうEDMとかロックって,要は料理でいうカレーライスとかラーメンっていうカテゴリーなんですよ。
 森下さんから,ディバインゲートがどういうゲームで,今までのお客さんやファンはどういうところに喜んでいるのかを聞いて,僕はその人達がゲームをやりながらどういう音楽だと楽しくなるか,ということを想像しながら作っているんです。

4Gamer:
 さきほどのカッコイイ音楽かどうかは重要じゃない,というところにつながりますね。

山岡氏:
 森下さんとの会話のなかで「こういうことを言いたいのかな?」というのは何となく分かるので,例えば,「ラーメンが食べたい」とは言われたものの,その前にお酒を飲んでるのか,昼間に食べたいのか,どれくらいお腹が空いているのかなど,相手の要望を汲んだうえでラーメンを提供するようにしています。その状況に適した作り方は知っているので,実際にやっていることとしては,そこに当てはまるラーメンを作っているだけなんですよ。

森下氏:
 山岡は簡単に言ってますが,恐ろしいスピードで作りますからね。「いや違うんだよね,そうじゃなくてこういう感じでさ……」と少し注文すると,すぐに作り直してくれるんですよ。すごい大ざっぱに注文してるはずなんですが,しっかりまとめてくるあたり,本当にすごいと思います。

山岡氏:
 そういえば,オーダーの1つを思い出しました。ゲームを始めたときに“声”が聞こえてきたらいいね,みたいな話はしたような。

森下氏:
 あー,それはしたね。

山岡氏:
 ゲームを起動した直後に声が聞こえてきたら「ハッ!」とするから,そのときに流れる音楽はどんなのがいいかなって考えた気がします。ジャンルの話もしますが,基本的には「このときにこういう気持ちになったらいいよね」っていう感覚的なところから入ることが多いですね。ゲームをプレイする人達がどんな気持ちになりたいのか,というところから,それに適した音を探していくみたいな。

森下氏:
 スマホゲームをプレイする人って,割と音を消しがちなんですが,初回プレイ時はミュートにしないことが多いと思うんですよ。そんなときに歌が聞こえてきたらなかなかインパクトがありそうだなと。

山岡氏:
 そういえば曲のコード数を少なくする話もしましたね。基本は4つのコードだけで作ろうと。

4Gamer:
 私は音楽にあまり明るくないのですが,コードが少ないとどうなるんでしょうか?

森下氏:
 分かりやすくはなりますね。ただ,4つのコードも実は奥が深くて,結構複雑にもできるんです。昔はコード数が少ないと「実は弾けない人なんじゃないか?」なんて思ってたんですが,そういうわけじゃないんですよ。

4Gamer:
 脱線しちゃうんですが,今注目しているアーティストはいますか?

森下氏:
 最近はやっぱりポルノグラフィティじゃないですかね。

4Gamer:
 完全にTVアニメ「パズドラクロス」に引っぱられてますね(笑)。

(一同:笑)

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4Gamer:
 ポルノグラフィティといえば,アポロやアゲハ蝶,ミュージック・アワー,サウダージなど,自分はドンピシャ世代です。TVアニメ「パズドラクロス」で最初のオープニングを担当したUVERworldも,個人的に大好きなグループなのでとてもテンションが上がりました!

森下氏:
 UVERworldは,ロックだけどミクスチャー系で割と癖のある感じがとても気に入っていて,僕のほうから指名させてもらいました。ただ,UVERworldの歌ってすごく歌いにくくて,カラオケで主題歌を入れても「歌えるかい!」ってなります(笑)。山岡さんは「TT」ダンスの子達じゃない?

山岡氏:
 TWICEですか。

4Gamer:
 え,TWICE!? K-POPで最近話題の!

山岡氏:
 実はK-POPの話もするんですよ。

4Gamer:
 幅広い……。

森下氏:
 僕も山岡から話を聞いたときに「K-POP!?」ってびっくりしましたよ(笑)。

山岡氏:
 毎週チャートは見てますね。あとはDREAMCATCHERとか,日本だったらTeddyLoidがすごいなと思います。

「DREAMCATCHER」公式サイト

「TeddyLoid」公式サイト


森下氏:
 ほかにも,back numberとかBUMP OF CHICKENなど,本当に色んなジャンルの話をするんです。格段に音楽性が変わっていくバンドもあれば,変わらないバンドもありますし,バンドって千差万別で面白いですよね。
 たとえば,ポルノグラフィティの曲はずっと「ポルノらしさ」があるし,サザンオールスターズの曲も「サザンらしさ」がある。そういうバンドって素直にすごいと思います。

ミスター☆ディバイン氏:
 脱線してしまいましたが,本当に幅広いジャンルの音楽をキャッチアップしていて,その幅広さが「零」の楽曲にも反映されています。「零」の新しい要素として,山岡さんが作る音楽も楽しんでほしいですね。


探索パートのカットとアドベンチャーパート導入の意図


4Gamer:
 では話を戻して,「零」のゲーム的な方向性を聞かせてください。

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森下氏:
 ディバインゲートのパネルアクションは,いうなれば,テンポよく遊べる「スピード」といった感じなのですが,そこを変えるつもりはありません。ただ,現状はひたすらスキルを出すためにパネルを組み合わせる感じになっているので,より戦術性や戦略性を高めていく要素を加えようと思っています。

 例えば,次の戦術を組み立てやすくするために導入された“NEXTパネル”などがそうですね。一見するとシンプルな要素ですが,パネルアクションの爽快感を損なわずに,戦略性と戦術性を高められたと思います。それと,パネルアクションの見せ方は,ちょっと音楽的な要素を入れたものにしています。

4Gamer:
 なるほど。

森下氏:
 あと,すでに発表済みなのでご存じかと思いますが,探索パートをカットします。いろいろと悩んだ結果,よりテンポよくゲームを遊んでもらおうと思い,こうした結果となりました。

4Gamer:
 素朴な疑問なんですが,探索パートはもともとどういう意図で採用されたのでしょうか?

森下氏:
 開発当初はいきなりバトルに入るのがどこか味気なく感じていて,ダンジョンRPG的な見せ方で,パネルをめくって敵とランダムにエンカウントすれば盛り上がる,という理由で採用しました。

ミスター☆ディバイン氏:
 リリース当初はそういった狙いがあったのですが,「零」では,もっとテンポ良くプレイヤーに遊んでもらいたいと試行錯誤を繰り返した結果,思い切って探索パートをカットしようということになりました。この影響でロード時間も少し短くなっています。

4Gamer:
 地味ながら,ロード時間ってすごく大事な部分ですよね。遊ぼうと思ってもロードが長いとやきもきしますし。それと,探索パートのカットに合わせて,アドベンチャーパートの導入も発表されていましたが。

森下氏:
 ディバインゲートの物語は,ユニットの紹介文などから紐解いていく形だったのですが,「零」では,よりスムーズに物語を楽しめるよう,各キャラクターにアドベンチャーパートを用意していますね。

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4Gamer:
 ユニットの紹介文で紐解いていくのは面白い部分でもありましたが,手持ちだけでは完結できなかったり,不足分を脳内で補完したりする必要があるなど,なかなか尖った形式の読み物でしたよね。

森下氏:
 そうですね。「零」でしっかりとしたストーリーを用意するのは主人公達のみですが,彼ら以外も話に関わってくるので,6人だけで話が完結するわけではないです。

4Gamer:
 アドベンチャーゲームだと選択肢によって物語が分岐することがあると思いますが,その点はどうでしょうか?

森下氏:
 アドベンチャーゲームとして作ってはいないので,その要素は入っていません。またバトル部分のみを楽しみたい人もいると思うので,物語をスキップできるようにしてあります。その兼ね合いでもありますね。
 ただ,アドベンチャーパートでは,主人公達が戦っている理由やキャラクター同士の関係性などが見えてくるので,ぜひ見てみてほしいです。

4Gamer:
 アドベンチャーパート以外の新要素としては,バトルパートのHPが個別管理になったとのことですが。

森下氏:
 これは,各ユニットを大切にしつつ,戦略性を高めることが狙いです。例えば,ユニットが1体やられてしまうとガクッと戦力が落ちてしまうので,やられそうなユニットをかばったり,守ったりすることができる,といった感じですね。

4Gamer:
 確かに戦略性が高まりそうな要素です。ということは,例えば,ヘイトを集めることもできるんでしょうか。また,細かい話ですが,1体を選択して回復させるといったことも可能ですか?

森下氏:
 ヘイトを集めるスキルは想定しています。

ミスター☆ディバイン氏:
 個別回復はまだできないですね。

4Gamer:
 なるほど,「まだ」できないんですね。

(一同:笑)

ミスター☆ディバイン氏:
 HP個別管理,“NEXTパネル”と合わせて,「零」ならではの戦略性の深さをぜひ楽しんでほしいですね。


マルチプレイの構想も


森下氏:
 それと,「マスター」をバンドメンバーの中から選ぶようにしたのもこだわりのポイントです。というのも,最近のゲームって,リーダーを選ぶときに思い入れよりも性能が優先されがちだと思うんですね。
 「このキャラクターのことすごく好きだけど使わない(使えない)」みたいな。そうならないよう,性能ではなく単純に好きなキャラクターをマスターとして選択できるようにしました。

ミスター☆ディバイン氏:
 マスターは主人公から好きなキャラクターを自由に選んで,あとのバトルメンバーは従来どおりに,自分が編成したユニットを引き連れて戦う形になります。

4Gamer:
 なるほど。

森下氏:
 「俺はリアン推しだ!」ということであれば,まずはリアンを選んでもらって,「やっぱりミカがいいなあ……」と思ったら乗り換えることも可能ですよ。

4Gamer:
 同じキャラクターを使い続けることのメリットはあるんでしょうか?

森下氏:
 メリットはありますが,そこまで大きな差はないので,好みを重視してもらいたいですね。

4Gamer:
 新要素についてはかなり理解が深まりました。既存システムや引き継ぎ要素についても教えてください。

ミスター☆ディバイン氏:
 既に公開しているとおり,持っているユニット,フレンド,ランク,チップ,ユニットのレベル,CHARM,プラス値に加えて,リンクシステムと親密度も引き継がれます。また,探索パートで使うスキルは変更されますが,そのほかは基本的に変わらないです。



4Gamer:
 ほとんどの要素が引き継がれるということで,既存のプレイヤーには朗報かと思います。ただ,新章から始める新規プレイヤーとスタートの段階からかなり差が開いていると思うんですが,そのあたりはどうでしょうか?

森下氏:
 大前提として,「零」は1人でもしっかりと楽しめるゲームになっているので,新規と古参の差が開いていることって,実はそこまで問題ではないと思うんですよ。逆に言えば,あとからやり始めた人はどこかで詰まってしまっても,調べたら攻略法などが見つかることも多いので,むしろ遊びやすいんじゃないかなと。

4Gamer:
 つまり,対戦やランキングイベントなどのマルチ要素は,今後予定されてはいないということですか?

森下氏:
 とくに今すぐというわけではないですが,遊びの幅を広げていくようなマルチプレイ的な要素は今後も検討してはいきたいと思っています。それがCo-opなのか,対戦なのかは分かりませんが,個人的には対戦的なものをやりたいなと考えています。ただ,どのタイミングで何をどう入れるかというのは,ユーザーの状況を見ながらやっていこうかなと。……バンドにちなんで,対バン形式なんてよさそうですね!

4Gamer:
 ちなみに,ディバインゲートで手に入るキャラクターは,「零」から始めた人は手に入れられないんでしょうか?

ミスター☆ディバイン氏:
 いえ,そんなことはないです。イベントやスクラッチなどで入手できるようにする予定です。

4Gamer:
 なるほど。では,そろそろお時間ですので,最後に読者へ一言いただければと思います。

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森下氏:
 本当にすごく変わっちゃうんじゃないかなと心配している人もいると思うんですが,今までの物語はそのまま引き継がれていきますし,新しい物語との接点もちゃんとあります。パネルアクションは今までよりも進化していますし,個別のHP管理やNEXTパネルなどで戦略性が高まり,よりスピーディーなプレイが楽しめると思います。

 ディバインゲートの1章,2章があって,今度は3章だ! ぐらいの気持ちで物語はそのまま引き継がれていて,今までのキャラクターとかストーリーがすべてなくなるわけではない,という点は改めて伝えておきたいですね。音楽で例えるなら……「GOLDFINGER '2017」的な。別になくなってるわけじゃないんだよという。

ミスター☆ディバイン氏:
 接点はあるので,これまで「ディバゲ」をプレイしてきた方にも,引き続きプレイして見届けてもらいたいですね。

森下氏:
 今までディバインゲートを遊んでくれていた人は,既存のゲームシステムも探索パート以外はすべて入っていますし,ストーリーをちゃんと読み物として見られるアドベンチャーパートも入っているので,パラレルワールドとしての新章を楽しんでほしいですね。
 また新しいプレイヤーには,新たな物語が展開されていく,ある意味で横並びのスタートとなるので,この機会にぜひ遊んでもらえれば嬉しいです。

山岡氏:
 ディバインゲートという既にファンの多いゲームですが,新しさが音楽という部分にも出てきていますので,ちょっと音楽に興味がある人にもゲームを遊んでもらいたいなと思います。

ミスター☆ディバイン氏:
 「零」は新しいストーリーや,山岡さんの作られる新しい音楽が入りますし,ゲーム性も進化してよりスタイリッシュに,そしてスピーディになっています。先ほどの話でもあったように,ディバインゲートのキャラクターはそのまま使えますし,もしかしたらみなさんのお気に入りユニットが今後ストーリーに出てくるかもしれません。そのあたりを期待してもらいつつ,新章が始まるまでにしっかりとユニットを強化して,引き続きディバインゲートを楽しんでいただければと思います。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。
―――2017年7月12日収録

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