「テイルズ オブ オーケストラコンサート 〜25th Anniversary〜」レポート。東京フィルによる演奏で歴代タイトルの感動が蘇る

　2020年9月5日，バンダイナムコエンターテインメントは横浜市のパシフィコ横浜 国立大ホールにて「テイルズ オブ オーケストラコンサート 〜25th Anniversary〜」を開催した。このコンサートは，シリーズ25周年を記念して，歴代タイトルのテーマソングをフルオーケストラで演奏するというものだ。

会場となったパシフィコ横浜 国立大ホール

　指揮者は栗田博文氏，演奏は東京フィルハーモニー交響楽団と，テイルズ オブのオーケストラコンサートでは恒例となった顔ぶれ。「テイルズ オブ ファンタジア」でミント・アドネード役を演じた声優かつ，シンガーでもある岩男潤子さんも出演し，懐かしい楽曲を歌いあげた。

「テイルズ オブ オーケストラコンサート 〜25th Anniversary〜」公式サイト

テイルズ オブ オーケストラコンサート 〜25th Anniversary〜
セットリスト

・夢は終わらない 〜こぼれ落ちる時の雫〜
「テイルズ オブ ファンタジア」より

・夢であるように
「テイルズ オブ デスティニー」より

・flying
「テイルズ オブ エターニア」より

・Key to my heart
「テイルズ オブ デスティニー2」より

・Starry Heavens〜そして僕にできるコト〜二人三脚
「テイルズ オブ シンフォニア」「テイルズ オブ シンフォニア ―ラタトスクの騎士−」よりメドレー

・good night
「テイルズ オブ リバース」より

・TAO
「テイルズ オブ レジェンディア」より

・mirrors〜meaning of birth
「テイルズ オブ ジ アビス」より

・VS（ヴァーサス）
「テイルズ オブ ザ テンペスト」より

・Follow the Nightingale
「テイルズ オブ イノセンス」より

・鐘を鳴らして
「テイルズ オブ ヴェスペリア」より

・永遠の明日
「テイルズ オブ ハーツ」より

・まもりたい〜White Wishes〜
「テイルズ オブ グレイセス」より

・Progress〜Song 4 u
「テイルズ オブ エクシリア」「テイルズ オブ エクシリア2」よりメドレー

・White Light
「テイルズ オブ ゼスティリア」より

・BURN
「テイルズ オブ ベルセリア」より

　コンサートは，「夢は終わらない 〜こぼれ落ちる時の雫〜」（テイルズ オブ ファンタジアより）の演奏から始まった。真っ白な衣装に身を包んだ岩男潤子さんが，まるで聴衆を慈しむかのような，優しい雰囲気で歌っていた。

この衣装はミントのイメージカラーである「白」にちなんだもの

　今回のコンサートはオンラインでも配信されており，視聴者からは「まじで涙が止まらない」「ミント好き！」など，率直なコメントが寄せられた。
　歌い終えた岩男さんは，「夢の中にいたような気持ちで歌いました。フルオーケストラの前で歌うのは初めての経験で，たった一度しかない本番に備えてイメージトレーニングをしていたものの，昨日のリハーサルでは歌い出しを失敗してしまいました」とコメント。彼女もまた，大きな想いを抱いてこの場に臨んだことをうかがわせた。
　なお岩男さんは本来，「テイルズ オブ フェスティバル 2020」でこの歌を披露する予定だったとのこと。同イベントは新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の影響で開催延期となったため，期せずしてオーケストラバージョンを先に歌う形になったそうだ。


　続いて，「夢であるように」（テイルズ オブ デスティニーより），「flying」（テイルズ オブ エターニアより），「Key to my heart」（テイルズ オブ デスティニー2より）の3曲が連続で演奏される。
　ヴォーカルパートをさまざまな楽器に置き換え，元曲の印象を残しつつ，ラストをシンフォニックに盛り上げる「夢であるように」。いかにもオーケストラらしい厚みのある響きを楽しめる「flying」。公の場ではこれが初演奏となった，旅路を感じさせるような旋律とリズム感が心地いい「Key to my heart」。以降，第一部の演目はシリーズの歩みを追うかのように進み，8曲目の「mirrors〜meaning of birth」（テイルズ オブ ジ アビス）によって一旦締めくくられる。ひと口にクラシックアレンジといっても曲調はさまざまで，聴衆の心をしっかりと掴むような構成となっていた。

「TAO」（テイルズ オブ レジェンディアより）

「mirrors〜meaning of birth」（テイルズ オブ ジ アビスより）

　第二部は，「VS（ヴァーサス）」（テイルズ オブ ザ テンペストより）と「Follow the Nightingale」（テイルズ オブ イノセンスより）からスタート。早鐘のように鳴る心臓を連想させる「VS」，ブラス中心で勇壮にも感じられる冒頭と，切々とした旋律の対比がドラマチックな「Follow the Nightingale」が，一気に会場を盛り上げていく。

「VS」（テイルズ オブ ザ テンペストより）

　そのあとはしっとりとした3曲「鐘を鳴らして」（テイルズ オブ ヴェスペリアより），「永遠の明日」（テイルズ オブ ハーツより），「まもりたい〜White Wishes〜」（テイルズ オブ グレイセスより）が続き，客席には思わず目をうるませる人の姿もちらほら。

　そうこうするうちに公演時間はあっという間に過ぎていき，セットリストの最後の2曲，ブラスを中心にした力強いアレンジが意外で楽しい「White Light」（テイルズ オブ ゼスティリアより）と，原曲のメロディアスな印象をそのまま残した「BURN」（テイルズ オブ ベルセリアより）の演奏が終わると，会場　は万雷の拍手に包まれた。

「White Light」（テイルズ オブ ゼスティリアより）

「BURN」（テイルズ オブ ベルセリアより）

　そして鳴り止まぬ拍手の中，指揮者の栗田氏は再度ステージに姿を表し，観客のアンコールに応じた。


　演奏されたのは「テイルズ オブ アスタリア」「テイルズ オブ ザ レイズ」「テイルズ オブ クレストリア」といったスマートフォン用アプリの曲のアレンジ。それらは歴代シリーズのキャラクターたちが共演する作品だけに，シリーズの歴史を支えてきた人々や，この情勢下に会場に集ってくれた観客に対する，深い感謝が伝わるかのような演目となっていた。


　今回は新型コロナウイルス感染拡大防止策の一環として，人が密集しがちな物販スペースはなく，キャラクターの立て看板を使った撮影スペースも設けないなど，従来とは異なる形での開催となった。
　とはいえ，コンサートで演奏された曲は，「世界の危機と救済を描いてきたRPGシリーズ」のメインテーマの数々。きっとイベントに参加したすべての人の心を癒やし，同時に勇気づけたに違いない。

　なおこのコンサートの模様は，9月30日23時59分まで，公式サイトで有料配信されている。会場に足を運べなかったという人は，ぜひアーカイブでの鑑賞を検討してみよう。

「テイルズ オブ オーケストラコンサート 〜25th Anniversary〜」公式サイト