プレイレポート
歌い,祈り,殺す。狂気の宴を味わえるファンアイテム「レイジングループ 黄泉忌みの宴 〜和風人狼カードゲーム〜」を発売に先駆けてプレイしてみた
ポップアップストアイベントでは,さまざまなレイジングループのグッズが販売されるほか,謎解きイベント「ウソつきの謎」の実施,設定資料の公開などが行われる。
「レイジングループ」ポップアップストアの詳細を発表。会場では謎解きイベントも開催(12月13日〜15日は事前予約制)
Aetasは本日,ポップアップストア「謎解きレイジングループストア in 能里グランドホテル」の開催概要を公開した。このポップアップストアは人狼×和風伝奇ホラーADV「レイジングループ」の発売9周年を記念したもの。開催日時は12月13日〜22日の11:00〜20:00で,会場は新宿マルイメン 8Fイベントスペースだ。
本稿で紹介するのは,ポップアップストアで販売される限定グッズの1つ「レイジングループ 黄泉忌みの宴 〜和風人狼カードゲーム〜」だ。
こちらは,原作で繰り広げられる“黄泉忌みの宴”をベースとして,その感覚を深く味わえるように調整された人狼ゲームとなっている。
果たして“黄泉忌みの宴”がどのような形で再現されているのか,普通の人狼ゲームとどう違うのか。今回,4Gamer編集部の人々や関係者を集めて遊んでみたので,プレイレポートをお届けしていく。なお,試作品を使用しているため,実際の商品とはカードの加工が異なる点に留意してほしい。
ポップアップストア「謎解きレイジングループストア in 能里グランドホテル」公式サイト
「レイジングループ」公式サイト
「しんないもうで」を歌って人を滅ぼす
原作再現度100%の人狼ゲーム
まずは,原作にあたる「レイジングループ」について軽く紹介しておこう。“人狼×和風伝奇ホラーADV”を謳うレイジングループは,狂気の因習にまみれた集落で巻き起こる殺人儀式「黄泉忌みの宴」を描く作品だ。
プレイヤーは,倒れても記憶を引き継いで過去に戻る“死に戻り”を繰り返す主人公「房石陽明」となり,何度も儀式に挑まなければならない。キャラクターの役職はループごとに変化するため,単なる同じ状況の繰り返しにならない,独特な体験を味わえるゲームとして人気を集めた。
ゲーム内で展開される宴のルールは,一般的な人狼ゲームとほぼ同じだ。日中の議論によって狼をあぶり出す「ひと陣営」と,毎夜人を食い殺す「おおかみ陣営」に分かれ,各陣営の能力を活用して生き残りを目指すことになる。
今回のカードゲームについても,人狼ゲームに触れた経験があるか,レイジングループを遊んだことがある人であればスムーズにルールを理解できるだろう。理想的な参加人数は12名以上で,その際の役職と割り振りは以下の通りだ。
役職 | 対応役職 | 能力 |
---|---|---|
おおかみ | 人狼 | 12名中3名 / おおかみ陣営 夜にプレイヤーを1人選択して殺害する。選択できるのは「おおかみ」以外のプレイヤーのみ。 |
へび | 占い師 | 12名中1名 / ひと陣営 夜にプレイヤーを1人選択し,その役職を確認する。 |
さる | 双子 | 12名中2名 / ひと陣営 ゲーム開始時,自分と同じ「猿」のプレイヤーが誰であるかを確認する。 |
からす | 霊媒師 | 12名中1名 / ひと陣営 ラウンド開始時,「狼」によって殺害された人物の陣営を確認する。話し合いによって殺害された人物の役職は確認できない。 |
くも | 騎士 | 12名中1名 / ひと陣営 夜にプレイヤーを1人選択する。そのプレイヤーが「狼」による殺害の対象に選ばれた場合,殺害は失敗する。 |
ひと | 人間 | 12名中4名 / ひと陣営 能力を持たない。 |
むじな | 狂人 | ひとの中から1名が選ばれる / おおかみ陣営 狼陣営の勝利が自身の勝利となる「ひと」。「ひと」のプレイヤーの中から,2ラウンドめにランダムで決定される |
役職を配ってさあゲーム開始となったころ,ゲームマスターがすっと立ち上がり,ルールブックを手に取る。そして,プレイヤーたちが黄泉忌みの宴に参加するに至った背景や,儀式の序章が読み上げられた。こうした雰囲気たっぷりのテキストは,原作シナリオを手掛けたamphibian氏によって書き下ろされたものだという。
さらに,各プレイヤーに配られていた投票用カードの裏面を見るように促される。そこには,原作でも登場した「しんないもうで」が記載されており,宴の前にはこれを歌うのがよいのだそうだ。
机に集って腕を組み,不穏な民謡を歌うプレイヤーたちの姿は,まさに怪しい集落の狂った因習に参加した人々そのもの。レイジングループの世界に入り込んだようでめちゃくちゃ楽しいが,遊ぶ場所には注意したほうがよさそうだ。
なお,イントネーションが独特なので完璧に歌うのはけっこう難しいが,説明書にはPCやスマートフォンで「しんないもうで」を流すためのQRコードが用意されているので安心だ。たどたどしく周囲の歌についていくのも,逆に“外からやってきた人”としての振る舞いに近くなって楽しかったりする。
このように,レイジングループらしい“狂気”の雰囲気を盛り上げるフレーバー要素が多数用意されているのが,本作最大の特徴といえる。しっかりとルールにそってゲームを進めれば,普通の人狼ゲームとは違った独特なロールプレイを楽しめる。
雰囲気満点の人狼ゲームなわけだが,システム面にもいくらか特徴的な部分がある。その中でも,作品の雰囲気を反映しつつプレイフィールにも大きな影響を与えているのが「投票」に関するルールだ。
まず,通常の人狼では一斉に投票が行われるが,本作では上座から時計回りで順番に“指名”をしていく形式になっている。並び順で意思決定の比重が大きく変わってしまうルールなので,普通のアナログゲームとして捉えると問題点なのだが,本作に限ってはそれが評価点に変化する。
レイジングループにおける宴には「上座の者ほど地位が高い」というルールがあり,本作でもそれに従って並ぶことが推奨されている。比較的強い権力を持つ人物が印象ベースで最初の決断を行い,そこに従うか,従わないかによってプレイヤーに対する印象が変化していく流れは,まさにレイジングループにおける宴そのものだ。
さらに,指名で最多同数が発生した場合は,多くの指名を集めたプレイヤーを除いて再指名が行われ,それでも同数になったなら追放自体が行われない。状況によって意図的な膠着を起こせるこの仕組みも,原作における物語を再現できるギミックとして作用してくれる。
今回のプレイでは“原作を知る人/知らない人”と“人狼に詳しい人/初心者”が半々ほどのバランスでのプレイとなった。そのおかげか,周囲の意見に流されながら投票したり,ゲームの中盤あたりから危機的な状況を飲み込めるようになったり,原作でも発生したような流れを複数回体験することができた。
ルールだけを見ると人狼ゲームらしくない要素が随所に見られるが,遊んでみると「レイジングループらしさ」を深く感じられる。対戦ゲームとしての人狼だけにフォーカスしていては味わえない,ある種の“遊べるファンアイテム”として非常によくできた作品といえる。
ゲーム終了後に「レイジングループ 黄泉忌みの宴 〜和風人狼カードゲーム〜」開発のキーマンであるケムコの有光 力氏へ話を聞くことができたので,その模様をお届けしよう。レイジングループを人狼ゲームに落とし込む際に注意したことなどを聞いている。
4Gamer:
よろしくお願いいたします。ポップアップストアでは,さまざまなグッズが展開されますが,「レイジングループ 黄泉忌みの宴 〜和風人狼カードゲーム〜」の開発は早い段階で決まっていたのでしょうか。
有光 力氏(以下,有光氏):
そうですね。かなり初期のころだったと思います。Aetasの企画担当者様から今回のポップアップストアをやるにあたって,「レイジングループ」のリアル人狼ゲームを作りたいという話があったんです。
それなら,弊社でも協力しましょうということになり,原作の「レイジングループ」にも携わっていた私が参加することになりました。
4Gamer:
有光さんは原作の「レイジングループ」には,どういった形で関わっていたのでしょうか。
有光氏:
ディレクターとシナリオライターをやっていた,amphibianからあがってきたシナリオを読んで,テキストのチェックを行ったり,デバッグを行ったりしていました。デバッグの際も人狼ゲームを知っていた経験が生き,テキストチェックも楽しく行うことができましたね。そのほかにもSwitchに移植する際のディレクションも担当していました。
4Gamer:
今回「レイジングループ」をリアルな人狼ゲームに落とし込む際,こだわったポイントどこでしょうか。
有光氏:
「原作にあったルールをゲーム性のためになくさない」ということは意識していました。
たとえば,人狼ゲームでゲームバランスをとるなら,普通プレイヤーの人数が少ない場合,役職(加護者)を減らしていきます。ただレイジングループのシナリオでは,加護者を減らさず,「ひと」を減らすことで調整しているんです。「レイジングループ 黄泉忌みの宴 〜和風人狼カードゲーム〜」でも原作に倣って「ひと」を減らす調整にしています。
4Gamer:
原作では4つの加護はシナリオ上も重要な役割でした。
有光氏:
はい。加護が4つあるというのは,レイジングループとして外せないコンセプトです。プレイ中に歌う「しんないもうで」の歌詞にも,「一蛇,二猿,三烏,四蜘蛛」と4つの加護について触れられています。
それなのに,ゲームバランスのために加護者を外すというのは,原作の雰囲気を壊してしまうので,そこは設定を重視しようという考えで作っています。
4Gamer:
原作の要素を人狼カードゲームに落とし込む際,苦労した点はありますか。
有光氏:
一番苦労したのは,「むじな」のギミックですね。「むじな」は2ラウンド目に人の中からランダムに選ばれて,以降は「おおかみ陣営」として勝利を目指すいわゆる狂人的なポジションです。
1ラウンド目の夜に,ゲームマスターが「むじな」になったことを対象プレイヤーに伝える必要があるのですが,ゲームマスターがプレイヤーの肩を叩く,といったほかのプレイヤーにバレてしまう恐れがあるアクションは極力避けなければなりません。カードゲームとして処理するのは,なかなか難しかったのですが,最終的にカードに数字を割り振ってランダムに選ぶということで実現しました。
4Gamer:
本作は推奨プレイ人数が12人以上となっていますが,遊ぶときには必ずこの人数を集めなければならないんでしょうか。
有光氏:
基本的には12名以上を集めていただいた方が「レイジングループ」らしい体験ができると思います。少ない人数で加護者を抜いて……となると普通の人狼ゲームと変わらなくなってしまうので,黄泉忌みの宴の雰囲気を味わいたいという人は大人数を集めていただきたいですね。もちろん,普通の人狼ゲームとして遊ぶこともできます。
4Gamer:
テストプレイなどで,本作独自の要素によって,普通の人狼ゲームとは異なる状況が生まれたことはありましたか。
有光氏:
やはり,「誰も吊らない」という選択肢を選ぶケースがかなり見られたことでしょうか。普通の人狼ゲームだと「誰も吊らない」という選択はセオリー通りにやるなら,基本的に取らない方がいいんです。
テストプレイをやった人間が「レイジングループ」を知っていることもあったのかもしれませんが,「誰も怪しくないから吊らないでおこう」という選択を取った人がかなりいたのは,面白かったですね。
4Gamer:
白か黒かではなくグレーの選択肢を出されると,グレーに傾く人が多くなるのは,確かに想像がつきますね。
有光氏:
もともと「レイジングループ」のコンセプトに「人狼ゲームが現実に起きたら,人はどう行動するのか」というものがあります。実際にゲームでも人を吊らないという選択を採ることがありますが,このカードゲームでも同じ選択になるというのは,独特かつ面白い現象だなとテストプレイを見ながら感じていました。
4Gamer:
誰も吊らないという選択が採れるほかにも,上座から順番に投票するという方式もゲーム性にかなり影響を与えていたと思います。ガチガチの人狼ゲームをやりたい人は納得がいかないルールかもしれませんが,ゲームの雰囲気はかなり再現されているなと感じました。
有光氏:
冒頭でも申し上げた通り,原作の黄泉忌みの宴に参加したような気分を味わえることを目指したゲームなので,そう感じてもらえたら嬉しいですね。GMの台本もかなり長いものになっていて,原作のファンであればあるほど,出てくる台詞にニヤリとさせられると思います。
レイジンググループを知っている人たちで集まれば,盛り上がれると思いますので,ポップアップストアに足を運ばれる方はぜひ手に取ってもらいたいなと思います。
ポップアップストア「謎解きレイジングループストア in 能里グランドホテル」公式サイト
「レイジングループ」公式サイト
- 関連タイトル:
レイジングループ
- 関連タイトル:
レイジングループ
- 関連タイトル:
レイジングループ
- 関連タイトル:
レイジングループ
- 関連タイトル:
レイジングループ
- 関連タイトル:
レイジングループ
- 関連タイトル:
レイジングループ
- 関連タイトル:
レイジングループ
- 関連タイトル:
レイジングループ
- この記事のURL:
キーワード
(C)2015 KEMCO
(C)2015 dwango
(C)2015 KEMCO
(C)2015 dwango
(C)2015-2017 KEMCO (C)2015-2017 dwango
(C)2015-2017 KEMCO (C)2015-2017 dwango
(C)2015-2017 KEMCO (C)2015-2017 dwango
(C)2015-2017 KEMCO (C)2015-2017 dwango
(C)2015-2024 KEMCO (C)2015-2024 dwango
(C)2015-2024 KEMCO (C)2015-2024 dwango
(C)2015-2024 KEMCO (C)2015-2024 dwango