連載
結のほえほえゲーム演説:第206回「1月24日放送『ゲームゲノム』シーズン2 第3回の『風ノ旅ビト』回に出演します!」
2024年1月10日にシーズン2がスタートした,NHKのゲーム教養番組「ゲームゲノム」。1月24日にオンエアされる第3回「人生という旅 〜風ノ旅ビト〜」に出演しました。
シーズン1で「This War of Mine」の回(シーズン1第9回「自問自答〜This War of Mine〜」)に出演させていただきましたが,今回はまさに正反対のような作品。収録までの約2か月間「風ノ旅ビト」を繰り返しプレイしながら,「この言葉のない世界に漂う魅力をどうやって言語化しよう?」と必死でした。言葉にしようとした瞬間に,砂のように指と指の間からこぼれおちてしまいそうで。
「風の旅ビト」は,気が付くと広大な砂漠に立っていて,自分が何者なのか,この世界はどんな状態なのか,これから何をするべきかも分かりません。でも,そこから見える建物を頼りに旅を進めていくと,心がいろいろな方向に引っ張られていきます。好奇心。心地良さ。ときには漠然とした恐怖。ゲーム自体に台詞もテキストもなくて,言葉で語られないのに,旅が終わるころには,自分自身の心の中に「物語」のようなものが生まれるのが「風ノ旅ビト」の特徴のひとつ。プレイした人たちにそれぞれの物語があるので,だからこそ「それってどこまで共有できるんだろう? 共感できるんだろう?」と不安でしたが,私は私なりに「風ノ旅ビト」を見つめてみることにしました。
ひとり旅の醍醐味
実は私,ふらっと空いた時間にひとり旅に行くことが多いんです。静岡県や長野県の温泉旅館をネットで予約して,あとはなーんにも調べずにふらふらと。
「風ノ旅ビト」をプレイしていると,その感覚を思い出すことがあります。たとえば,どうやって前に進めばいいかわからず右往左往していると,ふとしたキッカケで赤い布の橋が架かることに気付く場面。あれって,私が知らない土地で無計画なひとり旅をしているときに「あっ,ここからバスに乗れるんだ!」って見つけた感覚にとても近いんです。
事前に旅行のプランを決めたい人からしてみると,信じられないかもしれませんが,私はこれが好きなんですよねぇ。あてどもなく「何か」を探しにいく旅だからこそ,いいお店やいい景色を見つけることに特別な喜びがあるというか。偶然の出会いのなかで,思いがけず新たな自分を見つける。それが旅の醍醐味なんじゃないかと思うんです。
出会いの存在
「風ノ旅ビト」は,同じ時間にプレイしているプレイヤーと道中で出会えるゲームです。と言っても,できることは光と音を出すことだけ。名前も表示されず,メッセージも送れません。NPCだと思って気付かない人も多いでしょう。
誰とも協力し合わずにクリアできるゲームですし,誰かを助けてもアイテムがもらえるわけでもない。それなのに,行く先を導いてくれたり,先に進まずに待っててくれたりするのって,損得勘定じゃない優しさに寄り添ってもらえた気がするんです。言葉がなくとも誰かの心に触れられる気がする,そんな不思議な体験でした。
「風ノ旅ビト」で最もニクい演出は,道中に出会ったプレイヤーの名前が,クリア後のエンドロールで初めて出るというもの。「あれって多分NPCじゃなくて人だったよな……?」と思いつつゲームを進めて,最後の最後にようやく確信が得られるんです。
現実の旅で「道を教えてくれた人に,名前を聞くのか?」と考えると,正直聞けないなと思うんです。優しい人だったなぁ,嬉しかったなぁ。二度と会えないと思うと寂しいけれど,じゃあどうしたいか? と言われると難しい。
旅の出会いってそういうものじゃないですか。でも「風ノ旅ビト」は,エンドロールで出会いに感謝するタイミングをちゃんと与えてくれるんですよね。これってゲームだからこそできる体験だなぁと思うんです。
私の人生にエンドロールがあるとしたら,相手がとっくに忘れてしまっていたとしても,私にとって忘れられない人の名前が出てくるんだろうなと思います。一緒にいた時間の長さに関係なく,大切な人の名前が。そして私も誰かの人生のエンドロールに載れたらいいなって。誰かが人生を振り返ったときに,ふと名前が浮かぶような。
ゲームはアートなのか?
「風ノ旅ビト」は,アートとしても高く評価され、ニューヨーク近代美術館に所蔵されていることでも知られています。ゲームがアートとして認められるのは,ゲーマーとして誇らしい気持ちですが,そもそも私はアートだと思って作品に触れていたのかというと,答えはNOです。これは番組でも話し合われたのですが,この「ゲームはアートなのか?」という問いについて,日本を代表するアーティストである三浦大知さん,清塚信也さんと議論できたことはとても貴重な経験でしたね。
出演回については,本連載の特別編として1月10日に掲載された総合演出の平元慎一郎さんとの対談企画でも詳しく語っています。こちらもご一読いただけると嬉しいです。
「ゲームゲノム」シーズン2の第3回「人生という旅 〜風ノ旅ビト〜」の放送日時は,1月24日23:00〜23:29。NHK総合のほか,NHKプラスでは同時配信と1週間見逃し配信で番組を視聴できます。ゲームゲノムという旅路の果てに何を見つけたのか,ぜひご覧ください。
NHK公式サイト「ゲームゲノム」番組情報ページ
4Gamerの「ゲームゲノム」関連記事一覧
結のほえほえゲーム演説:特別編「いよいよシーズン2が始まるNHK『ゲームゲノム』について,総合演出の平元慎一郎さんと熱く語り合いました」
結さんの隔週連載「結のほえほえゲーム演説」の特別編として,2024年1月10日にNHK総合にてスタートする「ゲームゲノム」シーズン2対談をお送りします。総合演出の平元慎一郎氏と番組への思いを語り合い,そして見どころについて話しました。
- キーワード:
- 企画記事
- :風ノ旅ビト
- アドベンチャー
- thatgamecompany
- ソニー・インタラクティブエンタテインメント
- ファンタジー
- 協力プレイ
- :風ノ旅ビト
- :風ノ旅ビト
- 結のほえほえゲーム演説
- ライター:結
- 連載
- OTHERS
- ライター:箭本進一
- カメラマン:増田雄介
- :ファイナルファンタジーXIV
- RPG
- MMO
- CERO C:15歳以上対象
- スクウェア・エニックス
- ファイナルファンタジー
- :ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー
- スクウェア・エニックス
- :ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー
- :ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー
- :ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー
- :ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー
- :ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ
- :ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ
- :ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ
- :ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ
- ゲームゲノム
- :ストリートファイター6
- アクション
- カプコン
- プレイ人数:1〜2人
- 格闘
- 対戦プレイ
- :ストリートファイター6
- :ストリートファイター6
- :ストリートファイター6
- :ストリートファイター6 タイプアーケード
■■結(女優・タレント)■■
女優・タレントとして活動中。国内映画祭にて主演女優賞を多数受賞。幼少期からのゲーム好きが高じ,数多くのゲーム番組でMCを務め,イトキチ(糸吉)の愛称で親しまれている。
公式サイト:http://yui-monogatari.com/
公式Twitter:https://twitter.com/xxxjyururixxx
ニコニコチャンネル「結チャンネル」:http://ch.nicovideo.jp/yuichannel
YouTubeチャンネル「結ちゅーぶ!」:https://www.youtube.com/channel/UCNwmczTygyPzEnouz9tR_Fg/
キーワード
(C)Sony Computer Entertainment America LLC. Developed by thatgamecompany
(C)Sony Computer Entertainment America LLC. Developed by thatgamecompany.
(C)2012-2019 Sony Interactive Entertainment LLC. Journeyは、ソニー・インタラクティブエンタテインメントLLCの登録商標です。
(C) 2012-2019 Sony Interactive Entertainment LLC. Journey is a trademark of Sony Interactive Entertainment LLC. Developed by thatgamecompany.