プレイレポート
対神4人チームのマゾ設定で「シヴィライゼーション VI」の拡張パックに挑む。ポーランド・タートルズとローマの風呂で目指せ世界制覇
暗黒時代到来,低下する忠誠心
RaFの新システムがポーランドを襲う
苦戦しながらも何とかインドネシアの都市を奪ったポーランドだったが,今度は無情な時の流れに阻まれる。産業時代に入ると同時に,暗黒時代に突入してしまったのだ。黄金時代や暗黒時代は,RaFで追加された新要素で,これは時代ごとに稼いだスコアによって,次の時代でさまざまな補正が掛かるというもの。黄金時代に到達できれば,ゴールド収入やユニット生産などにボーナスが得られる。代わりに,時代スコアが稼ぎにくくなるので,次に暗黒時代を迎えやすい。
暗黒時代の一番の問題は,都市の忠誠心が下がることだ。忠誠心もRaFの新要素なのだが,これが低下すると,都市が反乱を起こして独立し,どこの文明にも属さない「自由都市」になってしまう。さらに,忠誠心は周囲の都市からも圧力を受けて上下するため,放っておくと,自由都市が圧力の大きな文明に寝返ってしまうのだ。
神AIはブーストの関係で都市数が多い。つまり,こちらが暗黒時代に陥ったということは……せっかく取ったカワもビマも,勝手に敵の文明に帰ってしまうのである。しかも,圧力が高すぎて「4ターン後に反乱」とか言っているので,手を打つ暇もない。えええ,あんなに苦労して取ったのに……。
冒頭でRaFにより難しくなったと述べたが,それはこの忠誠心のせいだ。これまでは神AI相手であっても,強引に都市を攻略して,和平交渉で賠償金をふんだくり,それを使って次の戦争でまた新たな都市を……という流れで有利にゲームを進められた。しかし,現在の仕様では,1つ都市を取ったぐらいでは寝返るので意味がないのである。かといって都市を占領せずに完全破壊すると,次の戦争の足がかりになる拠点が得られない。攻める側からすると,かなりキツいのだ。
また,時代によって都市を維持できたりできなかったりするのも,占領するか破壊するかの見極めを難しくしている。
絶望の淵に現れた救世主,ポーランド・タートルズ
1570年,産業時代は終わりを迎え,近代に移り変わる。ようやく産業時代の騎兵の生産に手を付けたポーランドとしては,何を言っているの状態だ。
ヌビアからのゴールド供給で軍資金には困らないものの,紀元前から全力で戦い続けてきたポーランドには,科学力も文化力もない。正直,戦力を整える時間がほしい。しかし,このまま待っていても敵から宣戦布告されるだけであり,時代スコア的にはこちらから仕掛けたほうが大幅にプラスなので,嫌でも戦争しないとならないのが辛いところ。というわけで,3度目の開戦である。
ポーランドの主力は騎兵で,未だにウイングフッサーも現役なのだが,敵は当然,近代兵器を投入してくる。何だか史実のポーランドみたいなことになっているが,ここが踏ん張りどころだろう。ローマが何か準備をしてくれることを信じて,戦い続けるしかない。
主戦場となるインドネシアとの国境沿い,ブリュッセルに歴戦の騎兵隊が配備されていた。これまでも,不利な戦いを打ち破ってきた精鋭達であり,敵がいかに強大であろうと向かっていく,ポーランド軍の最強戦力だ。後方には,敵都市を打ち砕く大砲がズラりと並び,次なる目標への攻撃指令を,今か今かと待っている。
しかしこの日,精鋭達は信じられないものを目にすることになる。
戦場に異音が響く。敵都市から飛び出したそれは,一瞬でブリュッセル内に侵入し……
「防衛戦においてウイングフッサーがヘリコプターに撃破されました」
は? ヘリ? 近代どころか,原子力時代の兵器じゃねーか! 時代が4つ違うわ!!
さすがにこれには筆者も叫ぶ。いくらなんでも,科学力にブーストが掛かりすぎというレベルではない。しかも,すでに量産されているうえに,戦闘力が強化された軍団まで配備されているではないか。こんなの,都市に突撃されるだけで防壁が消し飛ぶ。
ポーランド軍の士気はどん底である。ユニットの質が違いすぎる。しかも,ヘリ部隊だけでなく,イギリスやヌビアの戦力も相手にしなければならない。もはやここまでか……。
絶望の淵に立たされる国民達。しかし,ポーランドにも残っているものがあった。この文明ができた紀元前から伝わる,心の支え……そう,亀である。
相手のヘリコプターの戦闘力は82。軍団なら92。対する主力の騎兵の戦闘力は62だ。しかし,亀を信仰する都市内であれば,信仰の守護者の効果により戦闘力+10。さらに,ポーランドは「神権政治」の政治体制を強いており,「宗教戦争」の政策を行えるので,他の宗教を信じる文明には戦闘力+4。加えて,都市の領土内での戦闘力を強化できる総督「ビクター」や,戦闘ユニットを強化する偉人も配備。これらにより,最大+23もの補正を掛けることで,場所を選べば強引に戦闘力の差を埋められるのだ。
しかも,神権政治に進んだことで,ポーランドは信仰力で戦闘ユニットを生産することが可能となっていた。肝心の信仰力は,亀の創始前に獲得した戦の神があるので,ヘリを撃破することで大量に手に入る。亀への祈りで,騎兵と大砲がどこからともなく現れ,強力なヘリ軍団にも,ユニット数で対抗可能だ。
亀の守りと戦の神の加護により,いかなる敵をも通さぬ戦闘集団,ポーランド・タートルズの完成である。
ポーランドの快進撃は終わらない。ポーランドには,“文化爆弾”と呼ばれる能力がある。これは,特定の区域などを建設すると周囲のタイルを奪えるというもので,いくつかの文明が使えるのだが,ポーランドの場合は,「兵営」の区域か,「工兵」のユニットによる土地改善「要塞」を建てると発動する。とくに要塞は手軽に建設可能で,例え敵の都市のタイルであっても,強引に奪ってしまえるのが大きな強みだ。
つまり,敵の都市を攻める際,最前線に要塞を築けば,こちらの領地が1タイル延びる。すると「今からここはポーランド。はい,信仰の守護者! 戦闘力+10!」という感じで,無理やり強化しながら進めるのである。
これなら何とかなりそうな気がしてきた,ありがとう,亀!
最大のピンチから大逆転
ポーランドの信仰が奇跡を呼ぶ
原子力時代を迎える頃,インドネシアの都市の防壁が強化され,現在の戦力での突破が不可能になってしまう。ひとまず,まだ防壁が柔らかいヌビアに狙いを変えるが,こちらの強化も時間の問題だろう。ここから先の戦争は,大砲の射程を伸ばす「観測気球」か,防壁を安全に削れる「爆撃機」,情報化時代の対都市ユニットである「ロケット砲」,そして核兵器のいずれかが必要になる。
一番早く作れるのは観測気球なのだが,それにしてもかなり時間が掛かる。なにせ,技術ツリー的にまったく研究が進んでいないのだ。技術ツリーはだいたい上下2本に分かれており,陸上戦闘ユニットは主に下側のツリーで獲得できる。ポーランドが伸ばしてきたのは下側で,戦車やヘリを作れるまで進んでいるのだが,上のツリーはなんと古典時代止まり。教育どころか数学も知らない脳筋文明だ。空なんて飛べるわけがない。
準備が整うまでは侵攻のしようがなく,ひとまず停戦。敵のユニットがいかに強力でも,信仰の守護者さえあればどうにかなることが分かったので,かなり心に余裕がある。技術さえ追いつけば,残りの都市も攻略していけるはずだ。しかし,敵はそんな時間を与えてはくれなかった。
「ヌビアが宇宙開発プロジェクト『人工衛星の打ち上げ』を完了しました」
科学勝利を進めていたのである。科学勝利の達成条件を満たすには,高い科学力で技術を発展させ,さらに膨大な生産力で宇宙船基地や人工衛星,月面着陸船,火星植民モジュールなどを作らなければならない。通常,宗教や文化,科学と,複数の勝利条件を何でもかんでも狙うなんてことはできないのだが,神AIのぶっ飛んだブーストによって,科学まで押さえてきたというわけである。
科学勝利の最終段階は,火星植民モジュールが3基打ち上がると達成となるが,放っておいたら,こんなものはすぐに終わってしまう。これはもう,勝敗を賭けた最終戦争に入るしかない!
とはいえ,こちらは情報化時代の都市を突破できるような技術力は持っていないので,攻めようにも攻められない。そこでポーランドの取った作戦は……ヘリによる特攻である。ポーランドは,以前の戦争で大量に生産した騎兵を所持しており,そのすべてをヘリにアップグレードしていた。そして科学勝利には,宇宙船基地が健在でないと,宇宙開発プロジェクトを進行できないという欠点がある。そこで,ヌビアの領地内に一斉にヘリを出撃させ,すべての宇宙船基地を略奪してしまおうというわけだ。
どうにかヌビアは止められるとしても,それだけではこちらが勝利できない。ここはローマの文化に頼りたいところだが……大問題が発生する。長風呂のせいですっかりのぼせていたのか,文化に走りすぎたローマはロクな戦力を持っておらず,防衛隊が壊滅して敵に攻め込まれてしまったのだ。何やってんの!?
さらに,文化力も観光力も敵に抜かれる始末。ローマの都市数や科学力(ゲーム後半の文化勝利には科学も必要)を考えても,文化勝利は絶望的だ。こうなったら,敵文明の首都をすべて陥落させる制覇勝利しか道がない。
しかし,もはやゲームは終盤。敵は歩兵や軽騎兵,重騎兵,対騎兵など,さまざまな陸上戦闘ユニットの研究をすべて終えており,戦闘力が+17される大軍団化したうえで,バカスカ量産してくる。さらに,道路の整備が進んで各ユニットの機動力は格段に上昇しているので,ヌビア,インドネシア,イギリスの最強ユニット連合軍が,容赦なくポーランドを襲ってくるのである。
対するポーランドは,宇宙船基地破壊のために戦車もヘリも全力投入しており,近接戦闘ができるユニットはほぼ壊滅。残るは都市攻撃用に温存していた大量の大砲だけだ。無茶言うなっつーの!
最大のピンチを向かえるポーランド。この絶体絶命とも言える状況を救ったのは……やっぱり亀である。地道に技術ツリーの上側を伸ばしていたおかげで,ついに観測気球が完成。これを使うと,周囲の大砲の射程が1延びる。これにより,敵の都市を砲撃の射程外から一方的に攻撃できるだけでなく,敵ユニットにも砲弾の雨を降らせることが可能となったのだ。
対都市ユニットは敵ユニットへの攻撃にマイナス補正が掛かるので,本来はそれほどのダメージにならないが,我らには信仰の守護者がある。幸い,大砲も数だけはある。敵が最強ユニットだろうとなんだろうと,集中砲火で破壊できてしまうのだ。しかも,反撃を受けない遠距離攻撃なので,こちらのユニットは減らない。むしろ,敵を倒して得た信仰心で増える一方だ!
要塞建築の文化爆弾を活用し,「敵都市を砲撃できる位置だけど,ポーランド領内」という都合の良すぎるタイルを作り,大砲もひたすら増産して,攻勢に転じるポーランド。インドネシア,ヌビアの都市を次々と陥落させ,奥にいたイギリスの都市への攻撃も進めていく。3面戦争を完全に押し返したのである。これはいけるぞ!
爆撃,核兵器,そして……
ようやく勝ち筋が見えてきたところで,予想外の展開でゲームは終わりを迎えることになる。
記録的な大勝にポーランドが沸き上がる中,ヌビアのジェット爆撃機がローマに飛来し,首都の防壁が完全に吹っ飛んでしまう。敵ユニットを叩いてギリギリ持ちこたえてはいるが,このままでは制圧も時間の問題だ。最も生産力が高いのは首都なので,そこで強力なユニットを生産してどうにかしようとするが……
「クメールが核分裂兵器を発射しました」
ローマに核が放たれた。すでに都市はボロボロであり,ユニットを突入させるだけで占領という状態だったので,核を使う必要はまったくないはず。いくらなんでも酷すぎる。というか,これまであまり目立っていなかったが,クメールはそんなに強いのだろうか。ポーランドからは立地的に遠いので手出しもできず,それほど警戒していなかった。
さらにダメ押しとばかりに,クメールは宇宙開発プロジェクトをものすごい勢いで推し進めていく。完遂まで少しは時間があるかと思っていたら,同じターンに2基の火星植民モジュールが打ち上げられ,あっという間に科学勝利一歩手前だ。どんな生産力だよ。こちらとしては,宇宙船基地を潰したいが,たどり着くまで時間が掛かる。隣り合っているローマには,クメールを攻めるだけの戦力は残されていない。
急遽ヘリ部隊を再編成してクメールに向かわせるが……最後の火星植民モジュールが宇宙へと飛び建ち,神AIチームの科学勝利が決まってしまったのだった。
一番の敗因は,ローマの長風呂だろう。文化は敵の妨害用と割り切って,途中から戦闘ユニットの配備に注力してクメールと戦っていれば,おそらくポーランドの戦力で全文明を踏みつぶして制覇勝利できたはず。ただ,文化勝利は条件がややこしく,慣れていないと難しい。今回の失敗を糧に,次こそは友人に文化勝利を飾ってもらいたいところだ。
とはいえ,ここまで不利な戦局をひっくり返したのは筆者も今回のプレイが初めてで,ポーランド固有の能力を駆使して立ち回れたこともあって,実に楽しかった。中盤あたりで敵の都市数を削れていなかったので,「敗北濃厚かな」と思っていたのだが,最終的に良い勝負まで持ち込めて満足だ。ハプニングも多々あったが,それでこそマルチプレイは面白い。
ちなみに,今回は制覇勝利を目指したが,この設定でもほかの勝利条件は狙える。実際,敵の首都を落とすより文化勝利したほうが早いという展開になったこともある。個人的には,宗教勝利や科学勝利より制覇してしまったほうが楽な気はするが,あえて狙ってみるというのも遊び方としてはアリだろう。
今回の設定の欠点は,敵文明と仲良くする余地が一切ないことだ。どこかと戦争するだけで世界大戦が始まってしまうし,かといって戦争をしないと逆転できないので,どうしても戦いっぱなしになってしまう。外交で優位に立って勝利を目指すプレイがしたい人には向いていないだろう。その代わり,マップサイズ小の協力プレイで高難度に挑戦したい人は楽しめるかと思うので,ぜひ遊んでみてほしい。より面白い設定があれば筆者も真似したいので,広めてもらえると嬉しい。
「シドマイヤーズ シヴィライゼーション VI」公式サイト
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シドマイヤーズ シヴィライゼーション VI
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