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印刷2021/05/01 00:00

プレイレポート

「シヴィライゼーション VI」を“全部乗せ”にするとヤバイ。吸血鬼が仲間になるし,英霊召喚バトルができるし,ゾンビも襲ってくる

 ターン制ストラテジー「シドマイヤーズ シヴィライゼーション VI」PC/PS4/Xbox One/Switch 以下,Civ6)にて,シーズンパス「ニューフロンティア・パス」最後のアップデートが2021年4月23日に行われた。本作が発売されたのは2016年10月のこと。5年近くかけて,2つの大型DLCが配信されたあと,1年にわたるシーズンパスが展開され,さまざまな新要素や調整が加えられてきた。

画像集#018のサムネイル/「シヴィライゼーション VI」を“全部乗せ”にするとヤバイ。吸血鬼が仲間になるし,英霊召喚バトルができるし,ゾンビも襲ってくる

 さて,バニラ(何も加えられていない)の状態のCiv6は,1年近く前にEpic Gamesストアで無料配布され話題になったので,そのタイミングで初めて触った人も多いだろうう。ただ,このバニラのCiv6と,すべてのDLCを盛り込んだCiv6は,まったくの別物だ。バランス調整や使える文明の追加,作れる区域の多様化といった,分かりやすいアップデートはもちろん,だいぶイカれた新要素も増えた。
 吸血鬼が使えるようになったり,セイバーやバーサーカーっぽいのを敵文明に放つ英霊召喚バトルができるようになったり,邪神を崇拝するカルト教団と手を組んで世界を転覆させてみたり,ゾンビの恐怖に怯えたり。自分で書いておいてなんだが,何を言っているんだ状態だ。
 しかも,これらは特殊なモードというわけではなく,通常のゲームのオプションとして用意されているのだから,さあ大変。バニラでのゲームプレイとはまったく異なる,ぶっ飛んだ文明発展ゲームへと変貌する。

 本稿では,アップデートが出揃ったこのタイミングで,“全部乗せCiv6”にするとどうなってしまうのかを,これまでのDLCも含めて紹介していきたい。

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 Epic Gamesストアにて,ターン制ストラテジー「シドマイヤーズ シヴィライゼーション VI」が2020年5月29日00:00まで無料配布中だ。この機会にシヴィライゼーションの世界に飛び込む人に向けて,まずは何をすればいいゲームなのかを紹介していこう。

[2020/05/23 00:00]

行きつく先はロボット大戦。すべてのユニットを過去にする最強兵器


 DLC「嵐の訪れ」では,ゲーム中最強のユニットが追加されている。その名も「巨大戦闘ロボット」。前作には「巨大殺人ロボット」がいたので,ネーミングはマイルドになったが,それでも戦車や戦闘機で近代戦をしていたプレイヤーにとっては,いきなりのオーパーツだ。

画像集#001のサムネイル/「シヴィライゼーション VI」を“全部乗せ”にするとヤバイ。吸血鬼が仲間になるし,英霊召喚バトルができるし,ゾンビも襲ってくる

 しかも,その強さが尋常ではない。巨大戦闘ロボットは,通常の戦闘ユニットのような経験値でのレベルアップはなく,技術ツリーで専用の強化パーツを研究して,戦闘力が上がる仕組みだ。その研究内容は,粒子ビームやらアーマープレートやらいかにも強力そうなものなのだが,実際に性能はどれもこれもぶっ壊れている。
 パーツが揃った巨大戦闘ロボットは高火力,高機動力,高防御力の三拍子が揃い,遠距離攻撃が可能で,海も歩いて渡ることができ,都市砲撃能力も非常に高い。歩兵や戦車は撃てばまず即死。逆に撃たれようが,砲弾に晒されようが,爆撃されようが蚊に刺されたほどのダメージしか食らわず,ひとたび稼動しだすと手が付けられない。
 現実的な対抗手段は,核兵器をぶち込むか,こちらも巨大戦闘ロボットで立ち向かうしかない。資源のウランさえ確保していれば量産も可能なので,行きつく先は世界ロボット大戦である。

 ちなみに,時代があまりに未来まで進んだ場合は,敵文明どころかそのへんの蛮族ですら巨大戦闘ロボットを所持していたりする。何者だよ蛮族。どう考えても悪の科学者か何かが逃げ込んで作った,世界征服用のロボだ。

画像集#002のサムネイル/「シヴィライゼーション VI」を“全部乗せ”にするとヤバイ。吸血鬼が仲間になるし,英霊召喚バトルができるし,ゾンビも襲ってくる


戦争なんてくだらない,歌を聞け


 シヴィライゼーションシリーズといえば,戦争で敵に勝つだけでなく,技術や文化などさまざまな条件で勝利が狙えるのが特徴だ。その中でも,DLCで目指しやすくなったのが文化勝利である。というか,バニラの制覇勝利が強すぎたせいで,ほかの勝利条件もまともに狙えるようになった結果,文化勝利も強い。

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 文化勝利の最後の詰めとして登場した強力なユニットが「ロックバンド」だ。こいつらは敵の文明のさまざまな場所でコンサートを開き,文化勝利に必要な観光力(と,場合によってはゴールドも)を大量に巻き上げる。バニラの観光力は,世界遺産や偉人が生み出す絵画,彫刻などによって,じわじわと上げていくものだったが,ロックバンドの場合は能動的に獲得できるので,ゲーム終盤で荒稼ぎができてしまう。戦争そっちのけで歌って勝利に導くという,どこかの戦闘機が変形するロボットモノみたいな勝ち方が可能だ。

ものすごい観光力を生み出すロックバンド。コンサート後は,高確率で解散してしまう。メンバーの音楽性の違いが原因だろうか
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なぜか歴史の表舞台に出てくる吸血鬼


 ニューフロンティア・パスでは「秘密結社」という新オプションが追加された。これをオンにしたうえでゲーム中で特定の行動を取ると,4種類の秘密結社のうちから1種と手を結べるイベントが確率で発生し,その恩恵を受けられる。秘密結社はどれもこれも胡散臭いが,中でも面白いのが「緋の同盟」なる連中だ。彼らと手を結ぶと,なぜか不死身の吸血鬼が自文明に最大4体加わる。どういうことだよ。

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 吸血鬼は,特殊な戦闘ユニットだ。敵に倒されても,近くの都市でHP1で復活する特性を持ち,本当に不死身である。しかも,略奪によってHPを回復するため,戦争しようものなら敵の都市周辺を焦土にして暴れまわる。
 さらに,吸血鬼は周りでユニットが死ぬたびに戦闘力が強化されていく。敵味方問わず強くなるので,わざと吸血鬼にかわいそうな生贄を随伴させるなんて非道なプレイもできる。

 いろいろと試して面白かったのが,スキタイ文明との連携だ。スキタイは,軽騎兵を生産するたびに追加でもう1体もらえる特性を持つ。これを悪用して,大量の軽騎兵を作り,吸血鬼に血液ではなく馬刺しを食べさせまくることによって,戦闘力を過剰に強化できるのだ。紀元前の太古の時代から大事に馬刺しを食べさせてあげた吸血鬼は,巨大戦闘ロボットをタイマンで殴り倒す。未来の機械文明VS.ヴァンパイアという,B級映画か何かかという展開だが,吸血鬼を使っている側としてはやりたい放題でものすごく楽しい。
 スキタイの場合,敵を撃破するとHPが回復する能力までついてくるので,敵の雑兵が吸血鬼にとっては動く回復アイテムにしか見えないのも最高だ。

 秘密結社は,こうした文明とのシナジーを見つけられると嬉しいので,ぜひいろいろと試してみてほしい。

吸血鬼は自分の城を建てられるのだが,この城の出力は,周囲のタイルの出力に応じて高くなる。砂漠で「ペトラ」の遺産を建てて出力アップしたところに城を作るなど,高出力な場所を狙うと大変なことになる。砂漠に住む,馬刺し大好き吸血鬼の完成だ
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邪心を崇拝して世界を手に入れろ


 秘密結社では,「旧神」と呼ばれる邪神を崇拝するカルト教団「虚無の歌い手」とも手を組める。そのアイコンもタコっぽく,いかにもクトゥルフな感じ……というか,虚無の歌い手の説明文で,H.P.ラヴクラフトの名前そのものが出ていたりする。

画像集#006のサムネイル/「シヴィライゼーション VI」を“全部乗せ”にするとヤバイ。吸血鬼が仲間になるし,英霊召喚バトルができるし,ゾンビも襲ってくる
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 虚無の歌い手は,ターン毎の信仰力に応じてゴールドや科学力,文化力が獲得できるシンプルで強力な効果を持つだけでなく,「カルト教団員」を生産できる。彼らを敵文明の都市に送り込めば,邪教徒を増やしてその都市の忠誠心をがっつり下げられる。DLC「文明の興亡」適用後のCiv6は,忠誠心が下がりすぎた都市は反乱を起こし,その文明を離れてしまう。邪神信仰によって世界をめちゃくちゃにできると考えると,カルト教団員を量産したくなるというものだ。

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アーサーやヘラクレスが仲間に。まさかの英霊召喚バトル


 ニューフロンティア・パスで最も常軌を逸しているのが「英雄と伝説」というオプションだ。これをオンにすると,12体の強力な「英雄」ユニットがゲームに登場し,さまざまな条件でランダムに発見できるようになる。そして,どこかの自分の都市で「英雄の社」のプロジェクトを完了すると,発見した英雄のうち任意の人物を自文明に召喚できるのだ。

画像集#012のサムネイル/「シヴィライゼーション VI」を“全部乗せ”にするとヤバイ。吸血鬼が仲間になるし,英霊召喚バトルができるし,ゾンビも襲ってくる

 英雄は,アーサーやヘラクレス,ベーオウルフ,孫悟空,卑弥呼など,歴史上や物語の人物たち。彼らは撃破されるか,あるいは寿命を迎えると死んでしまうのだが,信仰心を使えば再召喚できる。どう見ても聖杯を巡る英霊召喚バトルである。
 それぞれの英雄は,どれもユニークな性能を持っていて,戦闘だけでなく内政にも役立つ。「この文明で獲得できれば夢が広がるな」と思えるので,秘密結社と合わせてやりたい放題な設定にすると,より楽しめるだろう。

アーサーは本人も強いうえ,ほかのユニットを固有の重騎兵ユニット「遍歴の騎士」に変えられる。「お前,今から円卓の騎士な」という感じ
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高い戦闘力を持つヘラクレスは「やっちゃえ!」と敵陣に送り込みたくなるが,彼の持つ内政向けの特殊能力はさらに強い。なんで?
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天変地異で世界がヤバイ


 DLC「嵐の訪れ」では,噴火や嵐,海面の上昇といった自然災害が追加されて,ハプニングが楽しめるようになる。これをさらにぶっ飛んだ方向に強化するオプションが,ニューフロンティア・パスの「黙示録」だ。これをオンにしてしまうと,災害の規模と頻度が増加するうえに,太陽フレアや彗星の落下といった強烈な災害も追加される。
 さらに,自ら災害を引き起こす新ユニット「終末の預言者」まで登場し,天変地異が起こりすぎて世界がヤバイ。黙示録をオンにする場合,ゲームにならない事態が起きかねないので,めちゃくちゃな世界でどうにか自分の文明に生き延びさせるプレイ向けといったところだろうか。

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嵐やら火災やらが立て続けに発生して,内政どころではない。立地によっては,「農場を建ててもどうせすぐ壊れるからいいや」みたいなことになる
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ゾンビから生き延びろ


 「ゾンビ撃退」のオプションをオンにすると,ゾンビが蔓延る世界でのCiv6に変貌してしまう。マップ上でユニットが倒されると,確率でゾンビとなって復活して,都市の側に出現するのだ。ゾンビは近くのユニットを手あたり次第攻撃するうえに,蛮族扱いなので経験値もほとんどもらえないという,迷惑すぎる存在だ。しかも,そのゾンビがユニットを破壊すると,必ずゾンビが1体増える。人類の歴史はゾンビとの戦いの歴史という感じで,古代から未来までずっとゾンビの対応に追われることになるのだ。

福岡がゾンビで滅びる!
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 ゾンビはただ倒して対処するだけでなく,「悪霊退散」のプロジェクトで一時的にコントロールしたり,罠を踏ませてダメージを与えることが可能。戦力さえ揃えれば,戦えない相手ではない。ただし,マップ上のどこかでゾンビが死ぬと,ほかのゾンビの戦闘力が上がっていくので,軍備の増強はサボれない。内政に特化するのではなく,防衛戦もこなしたい人向けの設定だ。

画像集#017のサムネイル/「シヴィライゼーション VI」を“全部乗せ”にするとヤバイ。吸血鬼が仲間になるし,英霊召喚バトルができるし,ゾンビも襲ってくる


最後のアップデートは大規模なバランス調整


 4月23日に行われた,ニューフロンティア・パス最後のアップデートにも触れておこう。このアップデートは,多くの文明やユニットに対してのバランス調整が実施されている。単純に数値が変わっただけでなく,新ユニットとして中世のカタパルトの進化型「トレビュシェット」,中世の剣士の進化型「メンアットアームズ」,産業時代のマスケット銃兵の進化型「戦列歩兵」も登場。アップグレード先が増えたことで,よりスムーズな戦力増強が可能になった。
 また,これまでアップグレードから作れなかった使い勝手の悪いユニークユニットが,新ユニットを置き換える形で作れるようになり,生産しやすくなったのもトピックだ。例えば日本なら,ユニークユニットの侍が,メンアットアームズの置き換え扱いになった。つまり,戦士や剣士からのアップグレードで侍を作れるので,文化を優先して発展させて侍の解禁を早め,数を揃えて敵陣に突入するといったプレイも楽しめる。

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 今回は分かりやすく面白い部分に絞って紹介しているが,細かな調整や新システムはバニラから大量に入っている。忠誠心による都市の離反システム,総督による都市の強化システム,蛮族と交渉できるようになるオプション,同じ高級資源を集めることで産業化してゴールドを得られるオプション,海賊としてプレイする新モードなどだ。“全部乗せ”にしたCiv6は,バニラより圧倒的に楽しいので,ぜひ好みの設定で時間を溶かしまくってほしい。

蛮族のオプションを有効にすると,交渉できる代わりにちょっとシャレにならないぐらい強くなる。ただでさえ鬱陶しいのに,ユニットの質も量も上がるため,高難度ゲームの序盤は蛮族の対応に追われて詰みかねない。筆者のようなマゾい設定が好きな人向けだ
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