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内なる“怒り”が新生FFXIVを作った――不定期連載「原田が斬る!」,第6回は「ファイナルファンタジーXIV」吉田直樹氏に聞く,MMORPGの過去と未来
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印刷2018/05/09 12:00

インタビュー

内なる“怒り”が新生FFXIVを作った――不定期連載「原田が斬る!」,第6回は「ファイナルファンタジーXIV」吉田直樹氏に聞く,MMORPGの過去と未来

MMORPGにブレイクスルーはあるのか


原田氏:
 吉田さんの在りし日のゲーム遍歴をお聞きしたところで,MMORPGの話に戻るんですけど,僕はMMORPGというものに,ずっと憧れを抱いていた人間なんですよ。それこそ20年くらい前は,今の吉田さんみたいな立場になりたいと思ってましたし,もっと言えばリチャード・ギャリオットになりたかった。「自分の王国の中で皆を楽しませられるなんて,なんて羨ましい人生なんだ!」って。だけど,さっきも話たように,WoWっていう「正解」を見せられて,段々と熱が冷めていってしまった。

吉田氏:
 分かります。

原田氏:
 それでも「MMORPGというジャンルは未来永劫続くんだ!」と思っていたけど,最近はそれも突破口が見えなくなってきている気がして。それは格ゲーも一緒で,メジャータイトルとマニアックなものに二極化してる状況なんですが,吉田さんは,そのあたりについてどうお考えですか。MMORPGのパラダイムシフトやブレイクスルーというのは,今後あり得ると思いますか?

吉田氏:
 ……結論から言うと,もうないと思っています。ないというより,ブレイクスルーみたいな分かりやすい一点突破という形でMMORPGを構成するのはもう無理なんじゃないかと。原田さんがおっしゃったように,今はほかにいくらでもエンタメがありますし,それに皆さん,恐ろしく時間がない。

原田氏:
 そう,今は時間の奪い合いなんですよね。もはやライバルは,ゲームメーカー同士ではなくなってしまった。動画の定額見放題サービスなんかが代表例で。

吉田氏:
 そうなんです。皆さんが生活するうえで使わなければいけない「必需時間」が延びてるんですよ。僕自身はもう,テレビを生活から切り捨てちゃってますし。

原田氏:
 僕も同じです。オンデマンドじゃなきゃ無理ですよね。

吉田氏:
 観たいときに,観たいものだけチョイスして観るしかない。連続ドラマに視聴者がかじりついて,視聴率がいくら取れました,というのは既に古くて,実は皆さんわかっているけど止め時がわからなくて続けている面がある。そう考えたときに,MMORPGはエンタメとして最も除外しやすい位置にいる。

原田氏:
 そうですね。僕もMMORPGを自分の生活リズムに取り入れるのは,もう難しいです。

吉田氏:
 時間がないというのは,もうどうやっても変えられない。だから「リーグ・オブ・レジェンド」に代表されるようなMOBAやFPS,あるいは「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」のようにルールが分かりやすく,すぐ始められて,すぐエキサイトし,すぐ終われるものじゃないと,マスをとるのは難しい。FPSが日本で普及してきたのも,普及の努力を続けてきたことに加え,やっぱり時間がないから短い時間でエキサイトしたいという側面が大きいと思うんです。対してMMORPGは,長く積み重ねていくからこそ,エキサイトできるわけじゃないですか。

原田氏:
 MMORPGは,1週間とか1か月単位のエクスタシーですからね。

吉田氏:
 この時間の使い方は,今の時代を生きる人にとって恐ろしく贅沢なんです。僕はあと7〜8年くらいで,もう1度MMORPGのブームが来ると思っているんですが,その時に何かブレイクスルーが起きているかというと,きっとそうではないと思います。その時は二つの側面があると思っていて,ひとつは新しい世代の人にとって「目新しい遊び」として再認知されること。もうひとつは,時代に寄り添える短時間で遊べるコンテンツを主軸にしながら,Time to Winじゃない遊びの集合体として完成すること。ただこれを作るのは,パッケージゲームの比じゃないぐらいリスクが高い。

原田氏:
 MMORPGは,ビジネスとしてのリスクが高すぎるんですよね。だから皆,手を出さなくなってしまいました。

吉田氏:
 新しいゲームが出ないことには,進化もありませんから,今はかなり行き詰まっちゃっているのは確かです。

原田氏:
 一方でサバイバル系のゲームが,じわじわ来てるじゃないですか。「DayZ」「ARK: Survival Evolved」といった,FPSとサンドボックスを組み合わせたようなタイトル群があって,あれがちょっとMMORPGの空気感に似ていると感じるんです。それも,PKがあった頃のMMORPGに。それを見て,なんだか時代が2周ぐらいしたあげく,PKが容認される時代になってきたのかな,とも思えるんだけど。

DayZ
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター

吉田氏:
 あると思いますよ。でもそれは,恐らく人数の問題なんです。毎日少しずつ,もしくは遊べるときにどっぷりとっていう遊び上手な人達は,減ってはいないし,むしろ育ってきていると思います。例えば「Minecraft」って目的がないゲームじゃないですか。

原田氏:
 あれって,ちょっと前の日本人なら「これって何したらいいゲームなの?」ってなってましたよね。

吉田氏:
 ええ,そう思います。サンドボックスって生き残りをかけた殺伐とした部分もありながら,だからこそ団結しようというゲームじゃないですか。だからPKがある世界を望む人は今だって確実にいる。だけどスクウェア・エニックスみたいな大手企業が,ものすごいPR費用と開発資金を投入して運用するには,やっぱりプレイヤー人口が足りない。

原田氏:
 ああ,そうか。そうですね。

吉田氏:
 だから,もしやるとしたらオリジナルブランドで,徹底的なサンドボックスを目指すしかない。プレイヤーは勇者じゃないから虎とかと戦ったら即死するし,もちろんPKだってある。そうした殺伐感をウリにして,マイクロトランザクションで人数を集める。需要は間違いなくあると思いますが,問題はチャレンジしようという人がインディーズ以外で出てくるかどうか,というところですね。

原田氏:
 需要,ありますか。

吉田氏:
 この「自由な遊び,空間の提供」というジャンルに絶対的な需要はあると思っています。ただ何十万人とはいかないでしょうね。FFXIVでも感じることですが,これだけの頻度でアップデートして,ボリュームをこれだけ用意していても,全盛期のWoWのプレイ人数には及ばない。一歩ずつ近づいているにしても,時代が違うと感じることは多いです。ただこれは,もしかしたらFFというIPの限界なのかもしれないとも思っています。FFだから,という理由でプレイしない人もいますからね。

原田氏:
 ああ,そうか。もちろんFFだからプレイする,という人も多いのでしょうけど。

吉田氏:
 FFXIVの復活があるのは,もちろん「FFだから」と遊んでくれた人がたくさん居てくれたおかげです。しかしこれはやはり「FFを知っている人たち」に限られてしまう。だから僕らも,新しいプレイヤーを呼び込むには,「FFって何」というところからPRしないとダメなんだろうなと考えています。特に海外はそれがより顕著です。一番腐心しているのは「FFだから」プレイしない人に,「食わず嫌いせずにやってみよう」と呼びかけることですね。

原田氏:
 確かに,そのほうが効果は大きいかもしれないですね。

吉田氏:
 あとはSNSを活用して,友達を通して輪を広げていく。今の時代,自分が信頼している相手から誘われることほど,効果の大きいPRはないと思っています。今の時代にMMORPGが生き残る道は,こういう地道なところにしかないと考えています。

原田氏:
 もう一つ,これは漠然と考えていたものなんですけど。子供の頃に友達とキャンプに行くじゃないですか。焚き火をたいて,ただ夕陽を眺めているだけなのに,なぜかそれがすごく楽しかったりする。夜が楽しみで仕方なくて,とくに冒険したわけでもないのに,ものすごく思い出に残るっていう。ああいう時間の過ごし方って,大人になるとなかなかないですよね。
 だけどMMORPGを遊んでいると,たまにそういう気分になることがあるんです。いつもは何かしらのクエストに追われていたとしても,ふとした瞬間に思い出すというか。

吉田氏:
 ああ,ありますね。

原田氏:
 あの瞬間を,どうにかシステムやイベントに組み込めないものですかね。

吉田氏:
 あれはシステムとかじゃなく,世界だと思います。その刹那を作ること自体は,FFXIVでもやろうと思えばすぐできます。ただそれも,繰り返したら飽きてしまうはずです。MMORPGは,長く遊んでもらわないことには成り立ちませんから,それでは意味がない。例えば明日サービスを終了してもいいんだったら,その刹那に1万円払ってもらっても良いと思うのです。

4Gamer:
 それこそ,旧FFXIVのクローズ時のような。

ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター

吉田氏:
 まさにあれです。僕はオンラインゲームの場合「世界を継続できなくなってしまうこと」が,真剣に遊んでくださっているプレイヤーに対する最大の罪だと思って仕事をしています。「思い出」は世界が続いてるからこそ思い出なのであって,終わってしまったら単なる昔話になってしまう。さらに言えば,世界を存続させていくためには,ビジネスとして成り立たせ続けなくてはならないんです。僕らがどんなに願っても,人が減り,利益が出なくなれば,その世界の運営を閉じてしまうしかなくなる。だから,儲けないと話にならない。

原田氏:
 いや,それはそのとおり。僕もまったく同じことを思っていて,例えば格闘ゲームでも,既存プレイヤーの意見を全部詰め込んだようなものを作ろうと思ったら,ある程度は実現できるかもしれない。でも,それではダメなんですよね。

吉田氏:
 それだけをやると,終わっちゃうんです。人の流入と,新しい世代のプレイヤーのこと,飽きを抱えているプレイヤーのこと,その3軸を常に見ていなければ終わってしまう。

原田氏:
 そう。「変えるな!」「戻して!」って意見は,「新しいものが見たい」って声と,矛盾するんですよね。「増やして!」になると,今度はバランスと相容れなくなって,「昔はよかった!」は,「新しい今の世代がいい」と共存できない。そういうことが,往々にしてあるわけです。でも「変わらないこと」「守ること」を選んで死んだIPを,僕らはたくさん見てきている。そこに目をつぶって守りに入ると,IPそのものが死んじゃうんです。

吉田氏:
 新しい血を入れていかないと,世界が終わってしまうから。でも同時に,僕はプレイヤーがそれに気づいて,ありがたがる必要もないと思っています。僕ら開発チームや運営チームが見ているのは未来だし,プレイヤーが見ているのは今この瞬間楽しいかどうか。視点が違うのだから,相容れない部分はどうしても出てくる。でも,同じゲームが好きな者同士,相容れる部分だってあるはずじゃん? だからそこを話そうよ,というのが僕のスタンスです。

原田氏:
 ああ,そのとおりです。だからこれまでの世界のことは大切だけど,刺激になるようなギリギリの線はやっぱり攻めなくちゃならない。

「ストリートファイターIII 3rd STRIKE」で登場したキャラクターの一人である“Q”。異色なキャラクターが多い同作の中でも飛び抜けて謎の多い人物で,その特異な風貌とマニアックなバトルスタイルが話題(?)を呼んだ
吉田氏:
 多少ドラスティックに見えたり,今までの路線とは違うってことだってやっていかなくちゃなりません。プレイヤーが望むと望まないとに関わらず。ブレイクスルーって,つまりはそういうことなのかなと思うのです。守りつつも攻めは少しずつやってみる。「3rd」が究極に行っちゃったのは,その真逆に突き進んでしまったからなので。新キャラとしてQが発表されたときは,「え?ちょっと,どこ行くの?」ってなりましたもん……。

(一同笑)

原田氏:
 なるほどねえ(笑)。

吉田氏:
 そうやって新しい血を取り入れて,唯一無二の体験をしたとしても,サブスクリプションだと月額1000円とか1500円だから逆にリスクが取りにくい面もあります。だからまず,ピーキーさをウリにするゲームを作るのなら,そこを変えないと先はないのかな,とも思います。マイクロトランザクションなら……マスはもう取れないかもしれないけど,ぎりぎり成立するかもしれない。

原田氏:
 確かにそうですね。UOで体験したようなイベントが月イチでもいいから起こるんなら,イベントチケットに3000円払ってもいいと僕は思います。むしろ,忘れた頃に来てほしいくらい。

吉田氏:
 それがUOの凄いところなんですよね。システムで組まれたものじゃないイベントだからこそ,いつなんどき自分に降りかかってくるのかとワクワクしていられた。あの頃って「今日は何をやろう」じゃなく,「今日は何が起こるかな」って思いながらログインしてたじゃないですか。

原田氏:
 ああ,確かに。

吉田氏:
 でも今は,時間を投資してもらうのに「この先になにがあるのか分からない」,ではもう難しい。時間を投入した分だけ,感覚的にだとしても「見返りが確約されている」必要がある。一時期EQでも月5000円のレジェンダリーサーバーがあって,GMがハプニングを起こしますっていうサービスだったけど,やっぱり投入金額にプレイ体験のリターンが追いつきませんでしたしね。

原田氏:
 うーん,なんとかシステム化できないかなあ。未来のすごいAI技術があれば……。

吉田氏:
 でもシステム化しちゃうと,人間はすごく適応能力高いから気付くんですよね。可能性があるとすれば,「The Elder Scrolls V: Skyrim」なんかにあった,タイムスケジュールで動いているイベントに,偶然プレイヤーが介入するようなもの。プレイヤーが,想像して勝手に物語を補完するのが,一番いいんじゃないかと。

4Gamer:
 今の若い人達には,それこそアニメの「ソードアート・オンライン」(以下,SAO)とかでMMORPGを知ったような人も多いと思うんですが,自分でもやってみよう,とはならないものなんでしょうか。

原田氏:
 SAOが好きで見ている人でも,実際にMMORPGをやった事のある人は少ないかもしれませんね。なんていうか,今はMMORPGのネガティブなイメージ――時間がかかるとか廃人だとか,ハイスペックなPCが必要とか,そういうキーワードの方が一人歩きしていて,体験そのものよりも先にアクセスできるようになっちゃってるところもあるのかなあ。

吉田氏:
 僕らの頃は,まったく未知の世界に飛びこむようなものだったのですが,さっきの時間のお話しと同じで「未知のものに飛び込んでいる時間がない」というのが大きいかもしれませんね。

原田氏:
 未知ですし,テレホーダイすら存在しない時代だったから,あこがれがすごかったですね。今はスマホでいいやってなっちゃう。スマホのMMORPGも入口としてはいいのかな,って思い始めてますけど。

吉田氏:
 FFXIVも,今は中韓がすごく伸びていて,とくに韓国なんか若い世代が急増中です。しかも6割くらいは女性なのです。中国も最近2ワールド分のサーバーを追加したのに,まだパンク状態ですし。だから今も昔も,きっかけがあってプレイさえしてくれれば,僕らがそうだったようにMMORPGって文化にハマってくれる人はたくさんいると思うんです。現に,僕がイベントで出会うプレイヤーは,皆さん「FFXIVが初めてのMMORPGです」って嬉しそうに話してくださる方が多いですね。

原田氏:
 FFXIVが初めてのMMORPGって,ある意味でちょっと恵まれ過ぎですよね。僕らは350ポリゴンぐらいのカックカクのWoodelfを見て,「超かわいい」って言ってたのに(笑)。

吉田氏:
 至れり尽くせりですからね。まあ,キャラメイク直後に手すりから転落死することを差し引いたとしても,ウッドエルフは可愛いですけど(笑)。

EverQuestのWoodelf。かわいい
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター

原田氏:
 ちなみに,FFXIVのプレイヤーって世代的にはどのあたりなんですか。先ほどの話だと,シリーズをまったくプレイしていない人も多そうですけど。

吉田氏:
 「X」世代のプレイヤーはあまり多くないですね。ボリュームがあるのは,もっとずっと古いFFが好きという人達と,FFXIVで初めてFFを知ったという若い世代。とくに最近は後者の比率が顕著に増えていて,FFシリーズとしてではなく,オンラインゲームとしてプレイする人が増えてきました。

原田氏:
 ああ,そうなんですね。じゃあ,そういう人はもちろん初代や「II」はやってないし,最新作の「XV」もプレイしていないんだ。

吉田氏:
 もしくは,「VII」「VIII」くらいのFFに触れて,クラシックなFFを遡ってプレイした30代か,そもそも初代から「VII」くらいまでが好きなんだよね,という人達。「XIII」「XV」からって人は,あまり多くない印象です。僕自身はどちらかというと,日本発の王道ファンタジーがやりたいと思って制作しています。

原田氏:
 ああ,王道。そうそう,日本のファンタジーって,わりとすぐSF化しちゃうんですよね。

吉田氏:
 それ自体は制作者の好みなので,特に良いも悪いもないのですが,僕はどうしても「キング・アーサー」とか「ロード・オブ・ザ・リング」に憧れた日本人の考える,ド直球のファンタジーを作りたいと思ってしまうんです。以前は大量にあったのですが,このポジションは今の日本にはあまりないのかなと。

原田氏:
 そう言われると,そうかもしれません。

ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター
吉田氏:
 面白いなと感じたのが,先日発売した「紅蓮のリベレーター」です。色々リスクもあるかなと思っていたのですが,僕たちが考えていた以上に海外でシナリオが絶賛されて,MMORPGではほぼ取れないメタスコアが90点近かったのです。それを見ていても,今は直球がうける時代なんだなって。こういうのってループするものじゃないですか。直球に飽きると変化球が欲しくなるし,変化球が多くなると直球が欲しくなる。

原田氏:
 そうですね。時代時代で変わってくる。

吉田氏:
 だから正解があるわけじゃなくて,時代に合わせるべきなんだなと。僕たち自身が“今これを見たい”っていうのを,そのまま放り込めばいいのかなと感じた例でした。

原田氏:
 それでいうと,格闘ゲームは今,真逆ですね。鉄拳の歴史でいうと,最初は当時はやっていた異種格闘技戦のノリから始まって,徐々に正統派格闘ゲームの仲間入りをして,そこからさらにバラエティ化して,今はなんでもありって感じになってる。つまり鉄拳7は今,変化球なんです。これは時代による市場の変遷に合わせた結果でもあるんですが。でも,これからは原点回帰が来る気がしていて……。

吉田氏:
 なるほど,今度は本物が見たいと。

原田氏:
 そう。フィジカルな本物の異種格闘技のアイデンティティと,ナショナリズムを混ぜ合わせたようなニーズを感じます。だから,恐らく次はちょっと正統派に戻る気がします。

吉田氏:
 同じように,「本格的なゲームが遊びたい」というニーズも,間違いなくまたループして戻ってくると思っています。ただその時のために,単に時代に身を任せるんじゃなくて,より瞬間的に楽しめるコンテンツをばら撒いておきながら,この世界から離れられないようにするにはどうすればいいのか,というのを真剣に考えておかなくてはならない。もちろん,世界を存続させるビジネスの仕組みも込みで。

原田氏:
 ああ,そのとおりだと思います。

吉田氏:
 だからそのためにも,MMORPGの一番難しいところ――「ビジネスの部分」をまずなんとかしておかなくちゃならない。今の仕組みでは企業にとってハードルが高すぎて,チャレンジする価値がなくなっていますので。

原田氏:
 そう。チャレンジできないんですよね。それだったらスマホゲームを3年ぐらいしっかり運営して,着実に稼ぐほうがいいってことになる。

吉田氏:
 僕がビジネス側だけの人間だったら,その判断は正しいと思うんです。任期中にしっかり収益を上げることが求められている。それで好成績を残しておけば将来安泰というのが,いまだ日本の風習です。当然ながら経営側がそういう判断になるのはまだ避けられない。これをわかっているか,わかっていないかは大きいと思います。でも日本のゲームメーカーも,もう少しで変わる時期がきます。そのときに自分が好きだったものに投資できる状態なら,また面白くなる可能性だってあると考えています。
 例えば原田さんがもう一段上に行って,若手や現場が上げてくる企画に投資判断をする立場になったら,9割は堅実なものを選ぶにしても,1本ぐらいは突っ走ったものを選ぶんじゃないですか?

4Gamer:
 若手からMMOの企画上がってきたら,原田さんは通せます?

原田氏:
 ……やらせてあげたいですね。でもやっかいな上司だと思われるんじゃないかな。絶対いろいろ口を出すから。

吉田氏:
 でしょうね! 一番うるさいと思いますよ(笑)。でも,それでもやりたいって言ってきたら,やらせてあげたいじゃないですか。

原田氏:
 ええ。今は新規タイトルを立ち上げることが簡単にできない時代だから,若い開発者を見てるとかわいそうで。でもアイデアがないわけじゃなくて,話してみると,ドキっとするようなことを言ったりする。やっぱり生まれた時からインターネットがあった世代だから,彼らにしか作り得ないものって絶対にあるんですよね。本人達は気付いてないかもしれないけど。

吉田氏:
 間違いなく,それはそうだと思います。

原田氏:
 で,そういうドキッとするアイデアを言われると対抗心が出てきて,さっきの「お前な,昔のPKってそんなもんじゃなかったんだぞ」,みたいな事を言いたくなるという(笑)。完全な老害ですよ(笑)。

(一同笑)

吉田氏:
 でもゲームも映画と同じで,制作は基本的に三角形のヒエラルキーでできているから,自分が作りたいもの作るんだったら,上をなぎ倒していくしか方法はないんです。ディレクターもプロデューサーも頂点はそれぞれ1人しかなれないわけだから。僕自身がそうだったし,それは変わらないですよね。

原田氏:
 FFXIVを継ぐ人は大変ですよね。そんな気概のある人が,果たして出てくると思いますか?

吉田氏:
 自分達がそうだったから,いずれ出てくると信じています。FFXIVより前の話ですが,若手にもっとやらせるべきだと思っていた時期が,僕にもあったんです。でも,うまくはいかなかった。若手にチャンスを与えるとかって,むしろ僕たちの驕りのような気がしています。

原田氏:
 ああ,なるほど。

吉田氏:
 だったら,「お前みたいなロートルはもう降りろ」って言われるまで,最前線で戦うほうがいいのかなと。それで引きずり下ろしてくるヤツが出てこないなら,そこまでのことなんだろうと。

原田氏:
 吉田さんみたいな人が,40を超えて未だに夜遅くまで会社にいるんじゃ,ちょっと超えられる気がしないと思いますけどね(笑)。


 
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