インタビュー
「ドルフロ」の2022年を先取る! 新作ニューラルクラウドや少女前線2も含め,まるっと上海散爆・羽中氏にインタビュー
今年はドルフロ本編の進捗もそうだが,物語の過去編にあたる「少女前線 ニューラルクラウド」(仮称)の中国配信や,正統続編にあたる「少女前線2」(仮称)がβテストが行われ,年明け直後にはアニメ放送もはじまるなど,IP展開の輪を本格的に広げはじめている。
今年頭にも今後のビジョンについては尋ねていたが,これから2022年のドルフロはどんなもんになるのか? さっそく話を聞こう。
「少女前線2(ドルフロ2)」は今どんな感じ? 10年後の続編世界や少前シリーズのビジョンなど,上海散爆・羽中氏にインタビュー
少女前線ことドールズフロントラインの続編「少女前線2」が,中国で正式発表されている。とはいえ“10年後の未来でドンパチ”以上の話が漏れ聞こえてこない。そこで上海散爆の羽中氏にインタビューしてみたら,いろいろ出てきたという次第で。
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サンボーンは50%パワーアップ?
4Gamer:
今年のサンボーン,総括するとどうでしたか。
羽中氏:
2021年はサンボーンが大きく前進しました。この1年でゲームの運営・開発チームは昨年比で約50%ほど拡大し,「少女前線 ニューラルクラウド」の中国でのリリースも実現させることができました。
そのほか「少女前線2」をはじめとするプロジェクトも順調に進行しており,あと少しでファンの皆さまにお届けできる予定です。
4Gamer:
堅調のようで。複数タイトルの同時運用による変化はありますか。
羽中氏:
やはり会社拡大に伴う社内調整の手間や,そのためにも活用しなければならないリソースなどが以前よりも増えたことです。
幸い,チーム間での交流や共有は盛んになってきましたが,プロダクトのワークフローと計画性はますます重要になってきましたね。
4Gamer:
この1年,ゲーム市場の変化はどうだったでしょう。
羽中氏:
市場がこれまでより,さらに拡大しているように感じています。
そういった市場拡大につれ,ゲームファンの皆さまからの新作ゲームに対する期待や要望もますます高まりつつあるので,我々としても新作ゲームの開発目標はより高く設定しなければなりませんでした。
「ニューラルクラウド」のお話
「少女前戦 ニューラルクラウド」(iOS / Android。以下,ニューラルクラウド)は,ドルフロの過去世界における電脳空間を舞台とする,よりサイバーチックなローグライクシミュレーションゲームだ。
中国現地では2021年夏に配信が開始され,新たなカワイイを届けているようだが。さて,日本サービスはどれほど近くなったのか?
4Gamer:
ニューラルクラウドを中国でリリースできた,今のお気持ちは。
羽中氏:
ニューラルクラウドは我々にとっては“初めて自ら運営するゲーム”であり,内容ともどもまったくの新しいチャレンジでした。
そのため,モバイルゲームのパブリッシング領域についてはこれからも多くのことを勉強し,自分たちを高めていかなければなと思っています。よりよい運営体制を構築すべく,引き続き努力していきます。
4Gamer:
実際に遊んだ中国プレイヤーからの反響はいかがでしょうか。
羽中氏:
ローグライクシミュレーションとしての遊び方やグラフィックスに対して,プレイヤーの皆さまから多くの好評価をいただけました。
それに伴い,ニューラルクラウドに対しては今も高い要求と期待が寄せられているので,チームとして全力をあげて,新しいコンテンツを提供することで,皆さまの期待に応えなければと考えています。
4Gamer:
ニューラルクラウドはどんな物語なのでしょう。
羽中氏:
作中世界はドルフロと同じですが,時代は過去です。指揮官であるプレイヤーは,ニューラルクラウドプロジェクトの責任者「教授」から権限を与えられ,自らの意識をクラウドサーバー「マグラシア」にアップロードし,過去の事故で行方不明になった戦術人形を捜索していきます。
指揮官はサーバー内で人形たちを集め,「追放者」組織を作り上げて,独立エリア「オアシス」を建設しながら,人形行方不明事故のさらなる真実を探っていく。つまり,過去の世界でさらに過去の事件をひもとく物語なんです。ドルフロとは完全に独立した内容になっているので,ニューラークラウドから遊びはじめても違和感はないはずです。
4Gamer:
それが過去編の真相でしたか。メインキャラクターは誰ですか。
羽中氏:
42Lab所属で,研究所16Labの設立者でもあるペルシカ博士が自身をモデルに開発した,個人所属のAI研究用人形「ペルシカ」です。
博士は42Labがニューラルクラウドプロジェクトを起動したのち,ある理由で「ペルシカ」を42Labへと送り,実験に参加させます。彼女はPersicariaタイプと呼ばれる人形であり,人形でありながら人工知能分野の研究者であると同時に,自らを観察対象としています。
4Gamer:
なんというか,とても科学ですね。
羽中氏:
人形と人工知能の関係性が微妙だったこの時期。AI分野を研究する人形たちは常に,物理およびメンタルレベルでエラーを引き起こす危険性と隣り合わせでした。しかし,この問題を解決するために作られていた「ペルシカ」には独自のデータバッファゾーンが設けられていて,もし人形のメンタルが矛盾を感じたときは矛盾の部分だけを切り離し,バックグラウンドでロジカルを再建して,冗長データを出力することで――。
4Gamer:
なるほど,つまり科学ですね。
そういった新たな世界で,ドルフロと最も異なる点はなんでしょう。
羽中氏:
ドルフロでは世界規模の戦いを描いていますが,ニューラルクラウドは“人形のメンタルとはなにか?”を掘り下げる物語と言えます。
人形たちが衝突する理由は,もしかしたら人工知能がこの世界に対してしている考え方とも似ているのかもしれない,などと。
4Gamer:
刺激的な哲学になりそうな。ではゲーム面の特徴はどうですか。
羽中氏:
ローグライクシミュレーションのシステム部分は,簡単な操作性で気軽なプレイ体験を目指したので,短時間でもたくさん遊べる内容になっています。また要素としても,人形たちとたわむれる「宿舎」や,頭身低めの3Dバトルユニットが多くの皆さまから愛されています。
4Gamer:
それでは一番知りたい,日本サービスの展望に関しては?
羽中氏:
今現在,サンボーンが全力をあげ,海外リリースのための開発とローカライズを進めています。日本語版ニューラルクラウドに関しては,もうまもなく,そう遠くないうちに皆さまのもとにお届けできるはずです。
「少女前線2」のお話
「少女前線2」(iOS / Android)は,ドルフロの約10年後の未来世界を舞台とした,完全3D仕様の戦術ストラテジー育成ゲームだ。
賞金ハンターとなった元戦術指揮官(プレイヤー)は,戦術人形「グローザ」を相棒に,2074年の未来で新たな陰謀に立ち向かう。
こちらに関しては先んじて中国版CBTを遊び,ほどほどにあやふやなプレイレポートを掲載済みだが,現時点での手応えはどうだろうか?
「少女前線2(ドルフロ2)」のCBTを遊んだよ。10年後の世界では,グローザが年季の入った相棒系お姉さんヒロインになってたよ
ゆくゆくはサンボーンジャパンの「ドールズフロントライン2」と呼ばれるのであろう,上海散爆の新作ゲーム「少女前線2」をクローズドβテストで遊んだ。一言でまとめると,シリーズ最新のフラッグシップにふさわしい仕上がりであった。
4Gamer:
CBT2を終えての所感を聞かせてください。
羽中氏:
恥ずかしながら,テスト前には気づかなかった問題をたくさん見つけられました。今後はテストプレイをしてくださった皆さまからの意見を参考に,戦略性とゲーム性の開発強化を施して,シミュレーションゲームとしての基幹をより面白く仕上げていきたいと考えています。
4Gamer:
ゲーム内容は狙いどおりに作れているでしょうか。
羽中氏:
「少前2:追放」(現地名)プロジェクトは立ち上げ当時と比べ,開発計画が大きく膨れあがっています。当初予定していたものでは,現代のゲームファンを満足させることができないと気づいたからです。
当面はより多く,より良くを目指し,内容の充実を図ります。
4Gamer:
本編の10年後の指揮官ですが,かなりすれた人格でしたね。
羽中氏:
10年もの歳月,多くの苦難を味わってきたプレイヤーたる元戦術指揮官は,今では多少の困難に直面しても,余裕を見せつけられるようになっています。一方で,内心は以前よりも慎重かつ敏感になりました。10年前よりもさらに荒廃を極め,混迷したこの世の中では,他人を信頼することさえ難しくなっているからです。しかし,指揮官はそうなったことを他人に感づかれることなく,陽気で優秀な賞金稼ぎを気取っています。
そういう,したたかな人物像をイメージしました。
4Gamer:
戦術人形にも銃器の名称ではなく,個人名がついていました。
羽中氏:
指揮官と同様,グリフィンから離脱した戦術人形たちは,自分の力だけで汚染された世界を生き延びねばならなくなりました。すると,指示されて戦うだけでよかった単なる兵器では生きていけないので,自己の生存のため,人間らしく生きる知恵を磨かなければなりませんでした。
ですから,人のような名前を持つ人形たちというのは,人類社会に溶け込むために人形としてのあり方から変えた子たちなのです。
4Gamer:
納得です。それら人形たちは全員,物語に関わるのでしょうか。
羽中氏:
ええ。作中に登場させるキャラクターについては全員,バトルの役目だけではなく,ストーリーに関わらせたいと考えています。
4Gamer:
マルチプレイの内容はどうでしょう。CBTでは未実装でしたが。
羽中氏:
今はまだ多くを話せませんが,マルチプレイには「探索とサバイバルの要素」を導入することを検討しています。
それと「プレイヤー間の協力・対抗の関係」も含める予定です。
4Gamer:
同じくCBT未実装の「休憩室」では,具体的になにができますか。
羽中氏:
休憩室では人形たちの戦闘以外の一面,彼女らの優しい素顔を指揮官に届けられるようにしたいと考えています。
ここにいる人形は銃器などの武装を外した姿を見せてくれて,好感度に応じて「知られていない秘密」を教えてくれたりします。
4Gamer:
期待どおりです。ではこちらも日本サービスの展望については?
羽中氏:
ゲームの開発計画と運営体制はすでに準備できたので,あとはCBT後のブラッシュアップに力を注ぎ,リリース時は据え置きゲーム機のような体験を皆さまに届けられればと思っています。ぜひご期待ください。
「ドルフロ」などのお話
4Gamer:
ドルフロについては,2021年を振り返ってみてどうでしょう。
羽中氏:
今年はこれまでとは違った作品ジャンルとのIPコラボを実現させてきました。ストーリーのほうもいよいよ新たな佳境に近づいています。
4Gamer:
となると,2022年には物語にまた一区切りが?
羽中氏:
はい。ドルフロのメインストーリーは2022年中に,また新たなクライマックスを迎えます。もちろん,それ以外のコラボイベントやオフラインイベントも企画していますので,楽しみにしていてください。
4Gamer:
あとは2022年1月にアニメも放送されますね。
羽中氏:
とても楽しみです! これまでもミニアニメ「どるふろ」がありましたが,今回はメインストーリーをなぞる内容のため,アニメという媒体で,ドルフロの魅力がどう表現されるのか。今から楽しみです。
ファンの皆さまには楽しんでほしいですし,アニメをきっかけにドルフロを好きになってくれる人が出てきたら,とてもうれしく思います。
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映像でも,硝煙立ち込める「少女」たちの前線へ。アニメ「ドールズフロントライン」が2022年1月7日から公開されることを受け,サンボーンジャパンとワーナー・ブラザース ジャパンの担当者らに,アニメドルフロの魅力を聞いてきた。
4Gamer:
このほか,発表できることはありますか。
羽中氏:
2022年中をめどに,ドルフロ関連の買い切り型ゲームがリリースされる予定です。そちらの最新情報もまもなく発表される予定です。
4Gamer:
羽中さんはリアル世界が今後,ドルフロのようになると思いますか?
羽中氏:
リアル世界はもっと平和になってほしいです(笑)。
誰も苦しまないような世界になるといいですね。
4Gamer:
人となりを勘違いしていまして恐縮です。それでは最後にアニメからの未来のファンも含めて,2022年の意気込みを一言ください。
羽中氏:
2022年は数々のビッグタイトルをお届けする予定です。皆さま引き続き,ドルフロシリーズと散爆 Micaチームをよろしくお願いいたします!
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