ニュース
[GDC 2022]小規模店舗経営シム「Flat Eye」。AIに命じられるままに客への対応を求められる,ディストピアな世界観に注目
Monkey Moon Studioは,タクシー運転手として毎夜,客を乗せながら,彼らとの会話によって街を騒がせる連続殺人犯を追っていくという「Night Call」(2019年)でデビューしたデベロッパで,今回の「Flat Eye」も,かなりエッジの利いた作品になっている。
初めの頃はフラット・アイの指示も「トイレを設置してください」などという簡単なもので,「500人の客に対応しましょう」といった短期的目標を目指して作業をこなし,目標を達成するごとに,電力源となる地熱発電機など,新たな機器を設置できるようになる。それぞれの機器には詳細にデザインされた技術ツリーが用意されており,例えばトイレも,やがてバイオエネルギーを生成できたりなど,近未来を感じさせる最新技術が登場する。デモを見せてくれたMonkey Moon Studioのローレン・ヴィクトリーノ(Laurent Victorino)氏によれば,ゲームに用意されたテクノロジーは,それらのほとんどが試作段階だったりと,現実でも利用可能になりそうなものばかりだという。
4Gamer:GDC 2022関連記事一覧
このように,雪に覆われたアイスランドの小さなお店で,のんびり経営を行っていくという本作だが,「AIに指示されるままに黙々と業務をこなしていく」という行為を続けるうちに,なにやらAIとハイテクノロジー,そして商業主義に支配されたディストピアの輪郭が次第に見えてくる。
最初は名前も知らないお客でも,何度が訪れてくると顔見知りとなり,世間話を繰り返すことで親交が深まり,彼らの生活や身辺の状況が少しずつ分かるようになる。これこそがまさにEye Lifeの目的のようで,例えば「病気で苦しいけど,長生きしたい」と漏らした女性のために,「SurgeryLife」という製品がEye Lifeから送られてくる。これは,寿命を300年延ばすために開発された最新鋭のロボット手術および健康管理装置のプロトタイプだという。フラット・アイの説明では,まだ10年ぐらい寿命が延びた程度という怪し気なものだが,それをどのように女性に伝えるか,選んだ会話によって物語の流れが変わっていくという。
こうしたお客(プレミアムカスタマー)は30人ほどおり,それぞれに異なるストーリーが用意されている。
ヴィクトリーノ氏によると,ラッシュの時間帯には店内が客でごった返したり,設置しているさまざまなモジュールが壊れたら修理をしたりしなければならないなど,純粋な経営シムとしても遊び込めるようにデザインされているという。そのうえで,上記のようなストーリー性が加えられ,田舎の小店舗のマネージャーに過ぎないプレイヤーの選択が,やがては人類の未来に影響を与えることになる。ヴィクトリーノ氏は,20時間ほど楽しめるボリューム感だと話していた。
ボイスやテキストの量もそれなりにある「Flat Eye」だが,Steamのストアページによれば,「Night Call」と同様,残念ながら日本語対応の予定はないようだ。独特のタイトルを作り続けるMonkey Moon Studioのアイデアが詰め込まれた本作だけに,続報に期待したい。
- 関連タイトル:
Flat Eye
- この記事のURL:
キーワード
(C)Copyright 2021 EYE LIFE CORPORATION. Published by Raw Fury AB. All Rights Reserved.
We're always watching.