レトロンバーガー Order 85：2022年は「Kung Fury：Street Rage」のUltimate Editionが出るし，短編映画の続編もあるから実質1980年代編

　伝説的なカンフースターであるブルース・リーは，こう述べました。

　人生にはたびたび困難が訪れます。Steamでウィッシュリストに入れていたゲームが販売中止になったり。それ以外の大抵のことは，最低でもニコラス・ケイジさん主演のホラーコメディ映画「ウィリーズ・ワンダーランド」的な方法論で解決できるので，がんばりましょう。

　しかし「ピッグ」の豚泥棒を追うニコラス・ケイジさんや，「カラー・アウト・オブ・スペース -遭遇-」の宇宙的恐怖に侵食されていくニコラス・ケイジさん，「マンディ 地獄のロード・ウォリアー」の復讐鬼と化したニコラス・ケイジさんでも，Steamでの販売中止は覆せません。メジャーなタイトルならSteamキーをどこかで購入できるかもしれませんが，マイナーなものは絶望的です。ググって見付けたロシアの怪しいデジタルショップに登録してみたくなるくらい希望がありません。

　ただ，そんな困難を耐えしのいだら福音が訪れるということもあるかもしれません。そんなわけで，今回はSteamでちょっと前に配信停止となったの「Kung Fury: Street Rage」でやっていきましょう。

考えるな，感じるんだ！

　「Kung Fury：Street Rage」は2015年に，YouTubeなどで公開された短編映画「Kung Fury」のコンパニオンゲームとして，PC版（Steam/Microsoft Store）およびiOS/Android版がリリースされました。一見するとベルトスクロールアクションゲームのようですが，ゲームシステムはSilver Dollar Gamesの「One Finger Death Punch」をパク……もとい踏襲した，十字キーやショルダーキーなどに割り振られた左右への攻撃で，襲い来る敵を倒していくというもの。

KUNG FURY Official Movie [HD]（YouTube）

敵の耐久力や「ダメージを受けると逆側にテレポートする」などの特性を考えながら，左へ右へと拳を繰り出していきます

　キャラクターのドット絵やブラウン管状の演出など，グラフィックスはなかなか凝っていますが，あくまで「Kung Fury：Street Rage」は「映像作品のユーザーエクスペリエンスを補強するためのコンテンツ」という雰囲気のゲームでした。2010年代は「GODZILLA ゴジラ」（2014年）のアプリゲーム「Godzilla: Strike Zone」（iOS/Android）や，「ランペイジ 巨獣大乱闘」（2018年）のVRコンテンツ「Project Rampage VR」など，映像作品とタイアップしてデジタルコンテンツをリリースすることが微妙に流行していたので，それに乗じたのかもしれません。

　一般的な映画プロモーション用のデジタルコンテンツならライセンスの契約期間満了と共に配信終了となるものですが，あまり一般的でない立ち位置の「Kung Fury：Street Rage」は配信が続けられました。しかも2015年には第1弾DLC「KungFury：Street Rage-The Arcade Strikes Back」がリリースされます。このDLCで追加されたゲームモードでは，新たなプレイヤーキャラクターを操作できる他，ボス戦では任意の左右移動が可能となり，ちょっと普通のアクションゲームっぽくなっています。


　さらに6年後の2021年，第2弾DLC「A Day at the Beach」がリリースされます。これによって追加されるゲームモードでは簡易的なシステムながら本物のベルトスクロールアクションゲームとなり，ドラマ「ナイトライダー」のマイケル・ナイト役で知られるデビッド・ハッセルホフさんがプレイヤーキャラクターとして追加されたりもします。



　そんな7年かけて「ベルトスクロールアクション風」から「ベルトスクロールアクション」へと進化した「Kung Fury：Street Rage」が，今月上旬に配信停止となりました。「A Day at the Beach」のリリースから半年以上経っているとはいえ，「後で買おう」と思って機会を逃してしまった人も少なくないでしょう。

Steamの「Kung Fury: Street Rage」ストアページ

　なぜ配信停止となったのか――ハイ，Steamのお知らせに書いてある！　「Kung Fury: Street Rage - Ultimate Edition」が出るからです！　Steamに書いていないことまで言えば，Nintendo Switch向けにも出るからです！　


　Steamでは「returns later this year」，Hello There Games公式サイトではNintendo Switch版に関して「COMING THIS SUMMER!」と書かれているので，プラットフォームによってリリース時期はズレるようですが，いずれにせよ今年中には，よりパワーアップした「Kung Fury：Street Rage」を買えるようになる（なおSteamで旧DLCを購入済の場合はUltimate Editionを無償で入手可能）わけです。まあ，Nintendo Switch版が日本でリリースされる可能性は低いでしょうし，同じく配信停止となったPS4 / iOS / Android版はどうなるのかなーと思ったりもしますが。

　また，短編映画の続編「Kung Fury 2」も年内の公開が予定されています。「Kung Fury 2」にはデビッド・ハッセルホフさんの他，マイケル・ファスベンダーさんとアーノルド・シュワルツェネッガーさんが出演し，撮影はすでに完了しているとか。

　映画館では「ゴーストバスターズ」や「トップガン」，「機動戦士ガンダム」，「ウルトラマン」の映画が公開されるなど，今は昭和何年だという2022年（そういうことを毎年言ってるような気もしますが）。ついでに「Kung Fury: Street Rage - Ultimate Edition」と「Kung Fury 2」で，脳をブラウン管とVHSと8/16bitとパルプ・フィクションの世界に浸しちまいましょう。脳が気持ちよくなりますよ。