レビュー
ダミーヘッドを用いた計測で明らかにする,ゲーマー向けヘッドセット46製品の音質(5)出力品質で選ぶお勧め製品
「いかにして波形をより分かりやすく見せるか」は今後の検討課題とさせてもらえればと考えている。
というわけで,今回のテスト結果をどうまとめるのかなのだが,今回は,最安値でも平均価格でもなく,4Gamerが独自の価格調査時にチェックしている複数ショップの中心価格帯で,ざっくり「2万円以上」「1万円台後半」「1万円台前半」「7000円以上1万円未満」「7000円未満」の5カテゴリーに分け,それぞれの価格帯で,ヘッドフォン出力品質のみを基準として,主に接続方式別でお勧め製品を2〜3取り上げることにした。
それに先だって注意してほしいことは,先の製品検証パートで時折触れた装着感であるとか,使い勝手の善し悪しとか,そもそも今回の記事において何も言及していないマイク入力品質は,一切を考慮の対象外としていることだ。
とくに重要なのは「アナログ接続時におけるヘッドフォンアンプとの相性」「USB接続時の動作安定性」を考慮の対象外にしている点で,「ヘッドフォンアンプとの相性がシビアで,マザーボードのオンボードサウンド機能と組み合わせるとロクな音が鳴らない」とか,「USBドライバの品質が今ひとつで,ゲームプレイを長時間していると問題が起こる」という事実が仮にあったとしても,考慮はしないということである。
ひょっとしたら総合力では別の製品がより優れているかもしれないということは,どれだけ書いても強調しすぎることはないだろうと思う。
では,順にお勧めを紹介していこう。
中心価格帯2万円以上のお勧め製品
GAME ONE(Sennheiser Communications)
周波数特性がほぼ同じPC 373Dではなく,こちらを選んだのは,お気に入りのサウンドデバイスやヘッドフォンアンプと組み合わせることで,音質をカスタマイズできる,アナログ接続型ならではの柔軟性がゆえである。なので,同じワイヤードでUSBの簡便性により重きを置くのであれば,PC 373Dを選択するのも,もちろんアリだろう。また,音が漏れるオープンエア型はちょっと……という場合も,PC 373Dになりそうな気はする。
GAME ONE(White)をAmazon.co.jpで購入する(Amazonアソシエイト)
GAME ONE(Black)をAmazon.co.jpで購入する(Amazonアソシエイト)
G933 Artemis Spectrum Wireless 7.1 Gaming Headset(Logitech G/Logicool G)
G933をAmazon.co.jpで購入する(Amazonアソシエイト)
Razer ManO'War(Razer)
予算が許すなら,「G933とManO'Warを両方買って,好みのほうを残す」でもいいくらい,出力音質のレベルは拮抗している。
Razer ManO'WarをAmazon.co.jpで購入する(Amazonアソシエイト)
中心価格帯1万円台後半のお勧め製品
ATH-PDG1(オーディオテクニカ)
別途,良質なサウンドデバイスを用意する必要はあるものの,長く使うなら十分に元は取れるはずだ。
ATH-PDG1をAmazon.co.jpで購入する(Amazonアソシエイト)
G633 Artemis Spectrum RGB 7.1 Surround Gaming Headset(Logitech G/Logicool G)
G633をAmazon.co.jpで購入する(Amazonアソシエイト)
中心価格帯1万円台前半のお勧め製品
NASH 20(Mionix)
正直に言うと,改訂前の,税込で1万5000円を超える価格なら,1つ上のカテゴリーで落選していたと思うが,あまり競合の多くない価格帯へ下りてきたことによって,ぐっと魅力的になったと言える。
NASH 20をAmazon.co.jpで購入する(Amazonアソシエイト)
RIG Surround(Plantronics Gaming)
アメリカンな強めのドンシャリでありながら,高域に歪んだ感じがしないというのは,そうそうたくさんあるわけではないが,RIG Surroundであればその音が得られる。
RIG SurroundをAmazon.co.jpで購入する(Amazonアソシエイト)
中心価格帯7000円以上1万円未満のお勧め製品
Siberia 200(SteelSeries)
Siberia 200は,低域より下の周波数帯である重低域が強い。重低域が強い密閉型ヘッドセットらしい特性として,耳に近いところで音が鳴るので,音に迫力がある。
Siberia 200をAmazon.co.jpで購入する(Amazonアソシエイト)
Renga(ROCCAT)
この価格帯から選ぶときは,一聴の価値ありだ。
RengaをAmazon.co.jpで購入する(Amazonアソシエイト)
G430 Surround Sound Gaming Headset(Logitech G/Logicool G)
G430をAmazon.co.jpで購入する(Amazonアソシエイト)
中心価格帯7000円未満のお勧め製品
G230 Stereo Gaming Headset(Logitech G/Logicool G)
7000円未満の価格帯において,G230は文句なしにトップクラスの音響特性を持つ。「予算はあまりないけれども,外れは引きたくない」人が真っ先に検討すべき製品だ。
G230 Stereo Gaming HeadsetをAmazon.co.jpで購入する(Amazonアソシエイト)
G231 Prodigy Gaming HeadsetをAmazon.co.jpで購入する(Amazonアソシエイト)
TRITTON Kama Stereo Headset(Mad Catz Interactive)
音質傾向はけっこうキツめの右肩下がりなので,その点は人を選ぶだろうが,5000円以下という予算でゲーマー向けヘッドセットを買うならこれしかない。
KamaをAmazon.co.jpで購入する(Amazonアソシエイト)
最後に
何というか,ここまで各価格帯のお勧めにLogitech G/Logicool Gが並んでしまうと,また「4亀はロジ贔屓」「榎本はロジの回し者」と言われてしまうのであろう。そもそも特定のメーカーから何らかの優遇措置を受けているなら,こんなまどろっこしいことをする必要など欠片ものないのだが,まあ,こういう結果である以上,いろいろ言われてしまうのは仕方ないと諦めている。
現実的な話をすると,Logitech G/Logicool Gはゲーマー向け製品ブランドの巨人なだけあって,市場をよく研究しており,また,価格帯ごとに「仮にベストではなくともベター」なものを,うまく投入できているように思う。
今回のテスト結果からお勧め製品を選ぶとして,「極めて個性的で,ユーザーの評価が真っ二つに分かれる」ような製品ばかりを選んでもいられないわけで,Logitech G/Logicool Gの製品をオルタナティブ――というか,音響特性的なむしろコンサバど真ん中――として挙げておくとバランスが取れるというのが,偽らざる理由だ。
それ以外だと,ビッグネームはあらかた名前を連ねる結果となった。オーディオテクニカは初評価だったが,Sennheiser Communications製品と同じく,同様,貫禄の品質だったと言っていいだろう。買う,買わないはさておき,機会があれば一度試してみると,ホームオーディオメーカーが作るゲーマー向けヘッドセットがどのようなものかを知る,いい機会になると思う。
あとは,MionixにROCCAT,TRITTONを選ぶことができたのは,波形特性検証ならではということになるだろうか。総合評価では残念なRIG Surroundが一点突破で食い込んできたのも,個人的には面白かった。
では,このなかでどれがベストかという話になりそうだが,それは述べない。誰でも好みの音質はあり,しかもそれは個人個人でけっこう異なる。だからこそ音響の世界は奥が深く,だからこそ山ほどの製品が存在するのだ。
幸いにして,ダミーヘッドの導入で,今後は主観だけに頼らない製品評価を行えるようになった。今回,そして次回以降のヘッドセット評価記事が,読者のゲーマー向けヘッドセット選びに助けとなれば幸いである。
関連記事一覧
- 関連タイトル:
Sennheiser
- 関連タイトル:
Logitech G/Logicool G
- 関連タイトル:
Razer
- 関連タイトル:
ATH
- 関連タイトル:
Mionix
- 関連タイトル:
Plantronics Gaming
- 関連タイトル:
SteelSeries
- 関連タイトル:
ROCCAT
- 関連タイトル:
Mad Catz
- 関連タイトル:
audio-technica
- この記事のURL:
キーワード
- レビュー
- 入力デバイス
- サウンド
- HARDWARE:Sennheiser
- Sennheiser Communications
- ヘッドセット
- HARDWARE:Logitech G/Logicool G
- Logitech International
- ロジクール
- HARDWARE:Razer
- Razer(メーカー)
- オーディオテクニカ
- HARDWARE:Mionix
- Mionix(メーカー)
- HARDWARE:Plantronics Gaming
- Plantronics
- HARDWARE:SteelSeries
- SteelSeries(旧称:Soft Trading)
- HARDWARE:ROCCAT
- ROCCAT(メーカー)
- Mad Catz Interactive
- HARDWARE:Mad Catz
- ライター:榎本 涼
- ハードウェア購入ガイド
- HARDWARE:audio-technica
- HARDWARE
(C)2013 Logicool. All rights reserved.
Copyright (C) 2023 Razer Inc. All rights reserved
Copyright 2010 SteelSeries Aps
(C)2013 ROCCAT STUDIOS
(C)2013 Mad Catz, Inc. All rights reserved.