業界動向
ネクソンは,今年が勝負の年となるか。韓国本家が,組織や人事の大改編で会社を強化中。「アラド戦記」や「デュランゴ」の新作にも期待がかかる
最近,カン・デヒョン - キム・ジョンウクの共同代表制で新しい体制を迎えたネクソンコリア(以下,ネクソン)は,開発総括副社長として,ネクソンゲームズのパク・ヨンヒョン代表を4月15日付で選任した。これをもってパク・ヨンヒョン代表は,ネクソンとネクソンゲームズという2つの組織で開発を総括することになった。
[インタビュー]「リネージュII」「TERA」「ブルーアーカイブ」……数々のヒット作を出してきたパク氏の次なる目標は「世界に通用するゲームを作ること」
パク・ヨンヒョンという名前を聞いて「あぁあの人!」と思い付く人は,そう多くないだろうが,「リネII」や「ブルアカ」,「TERA」などを作った,韓国トップレベルのゲーム開発者だ。滅多に表舞台に現れない人だが,今回時間をもらうことができたので,その様子をお伝えしよう。
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パク・ヨンヒョン代表は,NCSOFT時代にMMORPG「リネージュ2」の開発を総括し,ゲーム業界にその名を知らしめた。その後は,チャン・ビョンギュ氏とブルーホールスタジオ(Bluehole Studio。現在のKRAFTON)を共同創業し,そこでPC MMORPG「テラ(TERA)」を開発,なお衰えぬRPG制作の力量を証明した。
さらに2013年には,バルンソングループの投資を誘致してナットゲームズ(NAT Games)を設立した。ここではモバイルRPG「ヒット(HIT 〜Heroes of Incredible Tales〜)」を開発し,ネクソンとパブリッシング契約を締結して興行的にも成功した。2016年の大韓民国ゲーム大賞で,最高賞である大賞と人気ゲーム賞を受賞し,作品性と興行成績の二兎を追うことに成功した。
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この結果を受け,ネクソンは2016年にNAT Gamesに投資を決定,2大株主の一つになり,両社間の有機的な協業の基盤を整えた。その過程でNAT Gamesは2017年にコスダック市場に上場,同年11月には,「ヒット」の次期作である収集型RPG「OVERHIT」(iOS / Android)をローンチし,ここでもまたビジネス的な成功を得ている。
中でも2021年に発売した「ブルーアーカイブ」は,韓国や日本などグローバルなサブカルチャー市場で大成功している。「学園」「青春」「ミリタリー」をキーワードとするサブカルチャーRPGは,サブカルチャーの本場である日本でも,いまなお順調なサービスを行っている。
発売以降,ファン層を順調に厚くしてきた「ブルーアーカイブ」は,2023年1月には初めて日本のアプリストアで売上1位を記録している。その2023年には,日本だけで最高売上1位を4回も記録し,韓国や台湾など様々な地域でも根強い人気を集めている。
グローバルモバイル市場調査業者「Sensor Tower」は2月の報告書を通じて,サービスから3年を経たブルーアーカイブが累積売上5億ドルを達成したと発表し,最近ではアニメ「ブルーアーカイブ The Animation」が韓国や日本などで放映を始めるなど,“成功したIP”として完全に定着したという評価を与えている。
TVアニメ「ブルーアーカイブ The Animation」,ノンクレジットED映像を公開。少女たちの穏やかな日常が描かれる
Yostarは本日(2024年4月15日),TVアニメ「ブルーアーカイブ The Animation」のノンクレジットエンディング映像をYouTubeで公開した。エンディング映像は,RED氏制作の楽曲「真昼の空の月」が使用され,少女たちの穏やかな日常を描いたものとなっている。
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2021年12月にネクソンは,NAT GamesとネクソンGTを合併させ,社員1000人を超える大型開発会社であるNEXON Games(ネクソンゲームズ)がスタートした。ネクソンゲームズの名前で発売されたMMORPG「HIT2(邦題:HIT:The World)」も独創的なシステムを搭載して成功し,グローバル市場を狙った新作も準備されている。
その先陣を切るのが,2024年夏に発売を控えた新作「The First Descendant」だ。 そしてネクソンの代表IPである「Dungeon & Fighter(邦題:アラド戦記)」IPベースの「Project DW」と「デュランゴ(Durango)」IPベースの「Project DX」を開発している。
「アラド戦記」はネクソンの看板PCアクションRPGで,2005年8月にローンチされて以来,グローバル累積プレイヤー数が8億5000万人に達する代表作だ。
オープンワールドMMORPG「野生の地:Durango」も,2018年に国内をはじめとするグローバルでローンチされて以来,生涯累積ダウンロード1200万を突破していた。今回新たに副社長となったパク・ヨンヒョン氏は,いままでNEXON Gamesを成長させてきて,数々のグローバルヒット作を作ってきた人物であり,そのことが,現在ネクソンで開発中の新作ゲームの方向性にどのように影響するかが注目されている。
そしてこの組織の本部長として,「デイブ・ザ・ダイバー」のファン・ジェホ ディレクターが任命された。この新任本部長は,既存のMINTROCKETで開発していたサバイバルゲーム「NAKWON:LAST PARADISE」,TCGジャンルの新作およびリアルタイム戦略シミュレーションジャンルの新作など,中小規模のゲームの開発を総括する予定だ。
ところでNEXONは,2021年から「Big&Little」を内部開発の指針として掲げ,キム・ダイフン副社長が両分野を統括して開発を導いてきた。「Little」では「デイブ・ザ・ダイバー」が大きな成果を上げたが,「Big」ではこれといった成果を出せていなかった。
そのためNEXONは,「Big」を総括する人物として,巨大開発会社であるNEXON Gamesで成功を突き進んできたパク代表を,「Little」を総括する人物として「デイブ・ザ・ダイバー」を成功させたファン氏を選任したようだ。実際のところ,パク代表が率いる新規開発本部は「Bigゲーム本部」という名前に変更される予定で,これにより,「Big」と「Little」で成功の可能性を高めることに注力するという計画だ。
PS版「デイヴ・ザ・ダイバー」,4月16日配信決定。PS Plusのゲームカタログにも登場
ネクソンは本日,「デイヴ・ザ・ダイバー」のPS5/PS4版を2024年4月16日に配信すると発表した。本作は,メタボ気味の主人公デイヴが,昼間は海に潜って獲物を追い,夜は手に入れた食材ですし屋を切り盛りする海洋ADVゲームだ。配信同日に,PS Plusのゲームカタログにも追加が予定されている。
そのほか,NEXONで広報および対外政策業務を総括していたキム・ヨンデ コミュニケーション本部長は対外広報副社長を担当することになり,NEXON Networksのムン・セウォン代表がネクソンの運営副社長職を任され,ライブサービス(運営型サービス)の強化に乗り出している。また,「メイプルストーリーグループ」を総括していたキム・ガンギ ディレクターが,メイプルストーリー海外総括ディレクターを担当し,海外市場攻略に拍車をかける予定だ。
これほどまでに大がかりな人事異動をすることで,韓国ゲーム会社初の年間売上高4兆ウォン突破のための強力な体質を作ることを目指しているのだ。(著者:パク・サンボム,ザン・ヨングォン)
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