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ロジクールのiOS 7対応ゲームパッド「G550」レビュー。iPhoneは携帯ゲーム機を超えるのか?
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印刷2013/12/27 00:00

レビュー

iOS 7用ゲームパッドの登場でiPhone 5s&5は携帯ゲーム機を超えるのか?

Logitech(ロジクール) PowerShell Controller+Battery

Text by 林 佑樹


PowerShell Controller+Battery
メーカー:Logitech(ロジクール)
問い合わせ先:ロジクール カスタマーリレーションセンター 電話:050-3786-2085(平日9:00〜19:00)
直販価格:9980円(税込。※2013年12月26日現在)
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 いまや携帯ゲーム機をしのぐゲームプラットフォームとして成長しつつあるiPhone。世代を経るごとにスペックの強化も続いており,2013年12月時点における最上位モデル「iPhone 5s」は,3Dベンチマークテストアプリ「3DMark」のスコアランキングにて,2013年登場のスマートフォンの中でも上位に位置するほどの性能を誇るほどだ。
 またAppleも,ゲームプラットフォームとしてのiOS端末を強化しようと,さまざまな施策を打っている。成功しているとは言い難いものの,ゲームを軸としたSNS的機能を持つアプリ「Game Center」も,その1つといえよう。

 さて,そんなAppleはiOS 7で,新しくゲームパッド用API(Application Programming Interface,命令や関数をまとめたもの)を導入した。ゲーム側がこのAPIを採用していれば,同じくこのAPIに対応するゲームパッドでそのゲームをプレイできるようになるというものだ。Windowsにおける入力デバイス用API「DirectInput」や「XInput」と似たようなもの,というとイメージできる人もいるだろう。

 Appleはゲーム開発者に対して,このAPIへの対応を積極的に呼びかけており,対応ゲームも増えつつある。しかし,このAPIが真価を発揮するには,当然ながら対応するゲームパッドが必要なのだが,なかなか製品が登場しなかった。12月に発売されたスイスLogitech(日本ではロジクール)の「PowerShell Controller+Battery」(国内製品名「G550パワーシェルコントローラ+バッテリー」。以下,G550)は,ようやく登場したiOS 7対応ゲームパッドの第1弾である。
 ちなみにこのG550,いま紹介したとおり,ゲーマー向け製品ブランド「Logitech G」(日本では「Logicool G」)に属する製品とされる一方で,北米市場においては「G+数字」の型番が与えられていない。ロジクールに確認したところ,日本市場をはじめとする極東アジア地域では「G+数字」表記が浸透しているため,特別にG550という型番が与えられたとのことだ。北米のフレンドなどに対して「G550買っちゃってさー」という話をしても「何それ」と言われることになるので注意しておこう(?)。

 以上,前置きがやや長くなったが,果たしてG550の登場で,iPhoneのゲームプレイは変わるのか否か。その実力をさっそくチェックしていきたい。

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G550の製品ボックスは意外とコンパクト(左)。右写真は開封したところで,段ボールだろうか,固い素材でできた「G」ロゴで本体を押さえているのがちょっとユニークだ


PS Vitaよりもやや大きな横幅は,携帯時に気になるかも


 G550は,iOS 7を採用するiPhone 5sとiPhone 5,および第5世代iPod touch(以下,iPod touch)に対応するゲームパッドだ。写真を見てのとおり,G550の中央にiOSデバイスをはめ込んで使用するデザインで,横位置にしたiOSデバイスの両サイドにゲームパッドのボタンが配置される,といった見た目になる。
 iOSデバイスの装着部分は,iPhone 5sやiPhone 5がぴったり収まるサイズだ。そのため,厚みがやや薄いiPod touchを装着する場合は,G550の製品ボックスに同梱されるスペーサー「iPod touch adapter」を敷いて,高さを調整することになる。

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G550の本体正面。中央にiOSデバイスをはめ込む。iPod touchを装着する場合は,取り付け部にスペーサーを敷く
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本体背面。中央やや右に見える穴は,アウトカメラ用の穴である。「G」マークはバッテリー充電時に点灯する仕組みだ

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付属のiPod touch adapter(左)。柔らかいゴムのような素材できているため,iPod touchを装着しても滑ったりしない。右写真はG550にiPod touch adapterを敷いた状態

 G550の公称サイズは200(W)×63(D)×21(H)mmで,公称重量は約120g。iPhone 5sを取り付けた場合には同232gだ。なんといっても気になるのは,「iOSデバイスを横向きにして,さらにその左右に操作系を追加した」というデザインで,実際,新型PlayStation Vita「PCH-2000」の公称約183.6mmと比べても16mmほど長い。重量はほとんど気にならないのだが,その長さがゆえに,iPhoneと一緒に持って歩くには大きすぎると思う人もいるだろう。
 余談気味に続けておくと,200mmというG550の横幅は,「iPad mini」や7インチクラスのAndroidタブレット端末を横置きにした状態と同じくらいだ。これらタブレット端末を横置きで持ったことがあるのなら,サイズがなんとなくイメージできるのではないだろうか。

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 iOSデバイス取り付け部を挟んで左側には,8方向入力に対応した「Analog D-Pad」が,右側には[A/B/X/Y]ボタンがある。そのほかのボタンは,[A]ボタンの下にある[一時停止]ボタンと,上側面の左右端に[Shoulder trigger](日本では「アナログショルダーボタン」。以下日本語表記)がそれぞれ1つずつという配置だ。
 [A/B/X/Y]ボタンのサイズは直径7mm。Analog D-Padは約18mmで,アナログショルダーボタンは約6mmの幅がある。据え置きゲーム機のゲームパッドに比べるとボタンサイズは一回り小さいが,入力しにくいとは感じなかった。

左写真は本体上側面。左右端にアナログショルダーボタンがある。右写真は本体下側面。左からストラップホール,G550充電用のUSB Micro-B端子が並ぶ。iOSデバイス側の音調調節ボタンなどを操作するための切り欠きも確認できよう
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 iOSデバイスの取り付け部分には,G550とiOSデバイスのインタフェースであるLightningコネクタが用意されている。G550のLightningコネクタは可動式になっており,わずかに斜め向きとなることでスムーズな付け外しが可能だ。
 G550はiOSデバイスをガッチリと固定してくれるため,プレイしながら大きく動かしても外れることはなかった。プレイ中についつい熱くなってしまい,大事なiPhoneが滑落,という目に遭うことはまずないと思われる。

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iPhone 5sを斜めにスライドさせてセットしている様子
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Lightningコネクタ部分は可動式で,写真の角度くらいまで動く

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取り外すときは,背面のカメラ穴(左)からiOSデバイスを押す。すると軽く浮き上がるので,そこを引っ張るように持ち上げることになる(右)。慣れないうちは不安を感じるかもしれないが,Lightningコネクタ可動部の作りはしっかりしているため,そう簡単には壊れない

 なお,G550側にサウンド入出力機能はなく,マイク入力も,スピーカーもしくはヘッドフォン出力も,iOSデバイス自体のスピーカーかヘッドフォン出力に頼ることとなる。
 G550ではLightningコネクタの両脇に2つの穴が空き,そのままG550の正面までつながっているような格好になっており,iOSデバイス内蔵マイクとスピーカーは,この穴を利用することで利用できる。あるいは,本体正面向かって右下に設けられた円筒状のトンネルを利用すればiOSデバイスの純正ヘッドセットを押し込むようにして直接接続することも不可能ではない。

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左の写真で見える3つの穴は,奥から順にスピーカー出力用,マイク入力用,ヘッドセット接続用。右の写真はiPod Touchを接続した状態で本体向かって右側面から除いたところ。ご覧のとおり,ヘッドセット接続端子が見える

G550の製品情報ページにあるヘッドフォン延長ケーブルの写真。見栄えがいいとはいえないが,ヘッドフォンを取り付けやすくなる
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 しかしそれ以外のヘッドフォンだと,プラグ形状によってはこの穴を通らない。そのためG550には,ヘッドフォン接続用の延長ケーブルが同梱されているそうだ(※延長ケーブルの名称は「Headphone adapter」「Headphone extender」「Headset extender cable」と,表記が統一されていない。日本では「ヘッドフォンアダプター」,または「ヘッドフォン延長ケーブル」と記されているので,以下ではヘッドフォン延長ケーブルと表記)。
 「そうだ」と伝聞口調なのは,試用機にはヘッドフォン延長ケーブルが同梱されていなかったので,仕組みや使い勝手が分からなかったためである。
 G550の製品情報ページにある写真を見ると,右側面の穴に青いヘッドフォン延長ケーブルが差し込まれ,その先にヘッドセットやヘッドフォン(のケーブル)が差さる仕組みになっていた。確かにこれなら,ヘッドフォンのプラグ形状を気にする必要はないだろう。


背面とボタンの滑り止め加工が安定したホールド感を実現


 ゲームパッドにおいて重要な要素の1つとなるのが,手に持ったときにしっかりとホールドできるかどうかだ。その点G550では,持ちやすくするための工夫が随所に見られる。特徴的なのは背面で,上下中央部を頂点として丸く膨らんだラウンドフォルムに,指先を置くことになる左右両端部に設けられた滑り止め,そして同じく左右両端部で薬指と小指を自然に配置できるよう用意された凹みなど,コストがかかっている印象だ。
 滑り止め加工はAnalog D-Padとアナログショルダーボタンにも施されており,操作中にも指は滑りにくい。

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背面はラウンドフォルムを採用し,両端には滑り止め加工を施したソフトラバー素材と,曲線的なデザインとでホールド感を高めてある(左)。左写真の中央に見える出っ張りが,ちょうどイイ感じなのだ。アナログショルダーボタンも背面と似たような素材が採用されており,とても押しやすい(右)

 iOSデバイスを中央にはめ込むデザインのおかげで,装着状態での重心はほぼセンターにある。この重心バランスと滑り止め加工のおかげで,携帯ゲーム機と比べても,G550は持ちやすい部類に入る印象だ。テスト中にはさまざまなゲームをプレイしてみたが,ときどき持ち直しをするくらいで済んだ。iOS 7対応ゲームパッドで最初に出た製品として,仕上がりは良好といえる。

 ちなみに,G550を付けたままでもiPhone 5s&5の[電源/スリープ]ボタンは押せる。また,ホームボタンもそのまま操作できるので,大きさを気にしないのであれば,ゴツいジャケット的な運用もできる。とても目立つ姿になるものの,そのまま電話することだって可能だ。プレイ中にかかってきた電話にも対応可能なあたりは,iPhone 5s&5をゲームに使う時間の長いユーザーにはありがたい。

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[電源/スリープ]ボタンを操作したいときは,スライドスイッチ(赤丸内)をAnalog D-Pad側にスライドさせる
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iPhone 5sのジャケットとしても,グリップ感は案外良好だ。この状態で使ったり電話をしたりするのは目立つので,覚悟は必要かもしれないが

G550のバッテリーからiOSデバイスを充電するためのスイッチが,本体向かって左側面に用意されている
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 G550の充電機能についても簡単に触れておこう。製品名に「+Battery」とあることからも想像できるように,iOSデバイス側の充電用として,G550は1500mAhのリチウムポリマーバッテリーを内蔵している。
 iOSデバイスを接続した状態で,G550の左側面にある「Extended battery on/off switch」(日本では「延長バッテリーON/OFFスイッチ」,以下日本語表記)を操作すると,デバイス側の充電が開始されるという仕組みだ。G550自体の充電は,下側面にあるUSB Micro-B端子で行う。

 バッテリーに関する細かい仕様は公開されていないのだが,満充電状態のG550に,バッテリー残量1%にした筆者私物のiPhone 5sを取り付けて充電を行ったところ,73%まで充電できた。移動中やイベント時にiOSデバイス側のバッテリー残量が不足しても,G550からの充電でピンチを乗り切れそうな印象だ。
 なお,G550にはバッテリー残量を細かく示す機能はなく,普段は消灯している「Logitech G」の背面ロゴマークが赤く光ったら,残量が少ないことを示すだけである。バッテリー容量からすると,G550の内蔵バッテリーは3時間もあればフル充電になると思われるが,重要なバッテリーに関する情報が分かりにくい点はやや残念だ。

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本体左側面の延長バッテリーON/OFFスイッチを操作すると,背面の「Logitech G」ロゴが一時的に青く点灯する(左)。G550側のバッテリー残量が少なくなると,ロゴが赤く光るという仕組みだ。右写真はiPhone 5sを充電しているところ。ごく普通の充電である


Analog D-Padでの斜め入力は慣れを要する


 ここからは実際にG550で対応ゲームをプレイして,操作感を確認してみたい。
 実のところ,筆者がG550を操作して最初に思ったのは,「あ〜,まるでAtariの『Lynx』だわ」だったりするのだが,通じない読者のほうが多いだろうから真面目にやろう。

G550はPSPよりも横に広いので,プレイするときには自然と少し腕を広げたような形で持つことになる
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 まずは各ボタンを押し込んで,感触をチェックしてみた。押し込むと指にほどよい重さと押し返しが感じられる。感触は良好だ。[A/B/X/Y]ボタンやアナログショルダーボタンの感触は,「Xbox 360 Controller」や,Logitech(ロジクール)の「F310 Gamepad」の押下感に近い印象だ。プレイしていて不満を感じることはなく,Logitechが持つゲームパッド開発のノウハウがG550のボタンにも投入されていると見ていいだろう。
 なお,各ボタンの操作音は小さく,電車の中でプレイしていても迷惑にはなりにくそうな程度だった。

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[A/B/X/Y]ボタンのサイズはちょうど親指の先くらい(左)。[A/B/X/Y]ボタンの出っ張りは2mm程度だった

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ショルダーボタンは押しても音がしない仕様だ。軽く押しても反応してくれる

 [A]ボタンの下にある[一時停止]ボタンは,G550で操作できるどんなゲームでも一時停止として動作する……わけではない。というより,筆者がいくつかのゲームで試した限り,このボタンを押しても一時停止するゲームはなかった。[一時停止]ボタンを押すとメニューが表示されるゲームはいくつか確認できたのだが。
 聞くところによると,iOS 7のゲームパッド用APIに対応するゲームパッドとしてAppleから認定されるには,[一時停止]ボタンの搭載が必須なのだそうだ。しかし,ボタンをゲームがどう処理するかはあくまでもゲーム側の実装次第。押しても一時停止しないゲームがあることは覚えておこう。

 触っていて気になったのは,Analog D-Padのほうだ。上下左右の入力は正確にできるのだが,斜め方向の入力を確定させるには,押し込み方にコツがいる印象だった。

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何がアナログなのかよく分からない「Analog D-Pad」(左)。直径は約18mmで,側面から見ると,高さは1.5mmほどだ(右)

 下に示したムービーは,G550で対応ゲームである「THE KING OF FIGHTERS-i 2012」のトレーニングモードをプレイしているところだ。これを見てもらうと分かるのだが,7に入力したつもりでも,8と判定されていることがあり,意識して斜め方向に強く入力しないと反応してくれない。
 236のような波動拳コマンドを入力するときも,据え置きゲーム機のゲームパッドと同じ感覚で入力してもまず成功せず,とにかく斜め方向を意識して入力することで,やっとコマンドが成立するといった具合だった。ボタン側のレスポンスはいいだけに,斜め入力に関するAnalog D-Padの挙動は少々残念だ。



非対応ゲームでは反応しないG550


 冒頭でも触れたが,G550はiOS 7のゲームパッド用APIに対応するゲームパッドなので,G550が使えるかどうかは,ゲーム側がiOS 7のゲームパッド用APIに対応するか否かにかかっている。下に掲載したムービーは,G550での動作が確認されているアクションアドベンチャーゲーム「Oceanhorn」をプレイしてみた様子だが,このようにG550でプレイできるゲームはまだまだ少ないのが実情だ。


 Logitechの日本法人であるロジクールは,G550との互換性が確認されているゲームのリストを公開している。また,今後対応予定のゲームとして,スクウェア・エニックスのiOS版「FINAL FANTASY III」や「ファイナルファンタジーIV」など,FFシリーズ5タイトルの名前も挙げられている。逆にいえば,G550で現状確実にプレイできるのは,このリストにあるゲーム程度といってもいい。
 理屈のうえでは,iOS 7のゲームパッド用APIに準拠したゲームであれば,リストになくてもG550で動作するはずだが,意外とゲーム側の独自仕様も多いのか,試用期間中には見つけられなかった。

G550と現在互換性のあるiOS 7ゲーム


 また,G550はあくまでもゲームパッドなので,「ワンダーフリック」のような,フリック操作でプレイするゲームは問答無用で非対応だ。
 画面の向きが縦向き固定だったり,横向きでもG550の装着状態とは逆方向に表示されるようなゲームでも,G550は使えないと思っていい。iOS版「ドラゴンクエスト」がその例で,G550のボタンは一切反応しなかった。

画像集#031のサムネイル/ロジクールのiOS 7対応ゲームパッド「G550」レビュー。iPhoneは携帯ゲーム機を超えるのか?
iOS版「ドラゴンクエスト」は画面回転機能がないうえ,ボタンも反応せず……
画像集#032のサムネイル/ロジクールのiOS 7対応ゲームパッド「G550」レビュー。iPhoneは携帯ゲーム機を超えるのか?
画面の向きが固定されている「解放少女」は,写真のとおり,悲しい状況になった

 困ったことに,互換性確認済みゲームとしてリストアップされているタイトルの中にも,G550のボタンやAnalog D-Padを使えないゲームはある。たとえば,下に掲載したムービーは,互換性確認済みリストに名前の挙がっている「Nitro」をプレイしている様子だ。「ハンドル操作をAnalog D-Padでできるのであれば,それは素敵なことだ」と思ったのだが,実際はご覧のとおり。iOSデバイスを傾けて操作するだけで,これではG550を使うメリットがない……。



斜め入力以外,ハードウェアとしての完成度は高い

対応ゲームさえ増えれば……


 ゲームパッドというハードウェアとしてのG550は,何よりも「Analog D-padで斜め入力しくい」のが痛い。格闘ゲームのような,素速く正確な入力が要求されるタイトルではとくに注意が必要といえ,斜め入力が前提のタイトルを前にすると,G550は苦しいと言わざるを得ないだろう。

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 しかし,斜め入力以外のボタンは反応がよく,また,持ちやすさもたいへん良好だ。コマンド選択が多いRPGなどで対応タイトルが増えていくと,G550の価値は増していくのではなかろうか。
 その意味で「G550が買いかどうか」は,今後,どういうジャンルでどれだけ対応ゲームタイトルが増えるかにかかっているといえる。iOSのゲームパッドAPIに対応するタイトルが出揃って,各社の対応ゲームパッドも登場してからG550の購入を検討しても遅くはないと思う。
 ただこれは,そういう事情を理解して,新しいガジェットとして向き合うのであれば,G550は十分に楽しめる製品だということでもある。斜め入力以外,ハードウェアの完成度は高いので,「iOSタイトルをゲームパッドでプレイする」環境をいち早く試してみたいなら,G550は買って損のないデバイスだ。

ロジクールのG550製品情報ページ

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  • 関連タイトル:

    Logitech G/Logicool G

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