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「ドラゴンクエストVII Reimagined」の舗装路で「エデン」の砂利道を思い出す。感動の追体験と,形を変えたかつての手触りをどう感じるか
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印刷2026/06/05 12:00

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「ドラゴンクエストVII Reimagined」の舗装路で「エデン」の砂利道を思い出す。感動の追体験と,形を変えたかつての手触りをどう感じるか

 空前のリメイク/リマスターラッシュに沸くここ数年。かつてオリジナルをリアルタイムで遊び,今は仕事終わりにコントローラを握る世代の関心は変わりつつあるように感じる。

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 それは単に「ゲームの再現度や忠実度がどれだけ高いか」だけでなく,「今の自分たちの生活や感性に,そのアレンジがどうフィットするのか」という,より切実なQoL(Quality of Life)への視線だ。

 本稿は,多くの反響をいただいた2025年の年末企画「名作のリメイク/リマスターが相次いだ2025年に考える。途切れることのなかった「感動の追体験」というファンタジー」の視座をベースに,リメイク/リマスター作品とあらためて一つひとつ向き合ってみようという試みである。

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 「ドラゴンクエストI&II」「ゼノブレイドクロス ディフィニティブエディション」など,多くの日本の名作ゲームのリメイク/リマスター作品が誕生した2025年。以前から続いていた流れではあるが,“かつてのゲーム”を知る私たちはそれをどう受け取り,何を感じているのか。年の瀬を迎える今,考えてみた。

[2025/12/27 10:15]

 リメイクやリマスターとひと言でいっても,そこにある事情は作品ごとにまったく違う。オリジナルを遊んだプレイヤーの記憶も違えば,ゲームそのものが背負っている時代性も違う。昔のまま残したほうがいいものもあれば,今の遊び方に合わせて変えたほうが届きやすいものもある。そしてその判断は,作品ごとに異なるはずだ。

 だからこそ,「こんな風に快適になった」という表面的な話だけでなく,オリジナルが当時どんな体験だったか,その精神が現代的なゲーム作りのなかでどう形を変えたのかを紐解いていきたい。そのひとつ目の題材として,「ドラゴンクエストVII Reimagined」(以下,リイマジンド)を選ばせてもらった。

 なお本稿では,できるだけネタバレには配慮しているが,リメイク/リマスター作品としての変化を語る都合上,オリジナル版および「リイマジンド」の内容や一部の展開に触れている。未プレイの人は,その点に注意して読み進めてほしい。

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3D世界というフロンティアへの挑戦


 まず,オリジナルのPlayStation版「ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち」が発売された2000年当時の空気感を振り返っておきたい。

ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち
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 本作がリリースされたのは,実は当時の新世代機・PlayStation 2が発売されたあとだった。
 PS2の国内発売は2000年3月4日で,ドラゴンクエストVIIはその5か月後の8月26日。いわゆるハードの端境期において,“締め切りギリギリ”といえるタイミングだ。

 当時のゲームシーンでは「トゥームレイダー」シリーズや「ゼルダの伝説 時のオカリナ」といった,プレイヤーがカメラを操作できる3Dアクションがすでに高い評価を受けていた。また「バイオハザード」シリーズや「ファイナルファンタジーVII」のように,背景はプリレンダリングだがキャラクターは3D空間上を動かせるタイプの作品も,ゲームファンにとって馴染みのあるものになっていた。

 かつて2DのRPGにおける空間は,見下ろし型のマップやドット絵を手がかりに,プレイヤーそれぞれが頭の中で立体的に立ち上げるものだった。それが3D表現の普及によって,画面の中に描かれた「奥行きを持つ空間」として,より直接的に描けるようになっていった。
 それは当時のゲームファンに新鮮な楽しさをもたらすと同時に,ときには画面の向こうから三半規管にまで届く洗礼,つまり「3D酔い」ももたらしていた。

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 このように体験そのものが大きく変わるからこそ,国民的RPGである「ドラクエ」の3D化には,「満を持して」という期待と「3Dになって大丈夫なのか」という不安の両方があったことを覚えている。
 そして発表から約3年後に登場した「VII」は,ファミコンやスーパーファミコン時代のクラシカルな手触りを残しつつ,3Dフィールドならではの探索やギミックを融合させた,ハイブリッドな作品として完成していたのである。

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 実は当時,筆者はあるゲーム誌で本作の記事制作を担当していた。当時は攻略チームのメンバーと分担し,それこそ力技で先に進めるような遊び方だったため,「VIIは楽しかった」という筆者の印象には,いちプレイヤーとしての感覚だけでなく,「チームで仕事を成し遂げた」特別な感情も重なっているように思う。

 そこで,当時「普通に」遊んだ人たちの感覚を想像してみるため,本稿を書くにあたりオリジナル版をあらためて最初から遊び直してみた。

 結果,自分でも驚いたことに,単なる「執筆のための確認」という領域を超えて,ただのゲーム好きとして夜な夜な「VII」の世界に没頭してしまっていた。次の日の予定が頭の片隅によぎりつつも,夜中のドラクエタイムが楽しみで仕方がなくなっていたのだ。

冒頭のこの展開はすっかり忘れていた
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 以前担当した初代「ドラゴンクエスト」の企画記事中で,「バトルに予想以上にスリルや爽快感が感じられ,展開が読めない面白さがある」と書いた。このように筆者は,今の基準では遊びにくく感じられる昔のゲームでも,その時代ならではの文法として楽しめるほうだとは思う。

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 本日5月27日は「ドラゴンクエストの日」。37年前に発売された,初代「ドラゴンクエスト」に登場する40種類のモンスターを紹介しよう。当時プレイした人は“旧友との再会”を,初対面の人には,ドット絵ならではの味わいや技巧などを楽しんでほしい。

[2023/05/27 10:00]

 だが,それを差し引いたとしても,オリジナル版が持つゲームとしての“力強さ”はなかなかのものだ。
 特にゲームスタートから最初の島であるウッドパルナ周辺での冒険を終えるまでの数時間は,現在の3Dアドベンチャーや3Dパズルゲームと比べても遜色ない手触りだ。

 カメラを回して死角を探し,3D空間を調べていく遊びへの導線もかなり手厚い。当時のドラクエファンのなかには,「VII」で初めて3D空間を探索するゲームの感覚に触れた人も少なからずいたに違いない。そう考えれば,あの丁寧さも必要な配慮だったのだろう。

今の基準だと単に通過してしまいそうな場所だが……
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 昨今のドラクエシリーズのリメイク方法として確立した「HD-2D」化は,ビジュアルを現代風にしつつ,2D時代の探索の感触を現在の表現で広げていくアプローチと言える。
 しかし「VII」の設計思想はそれらとはまったく異なる。舞台を単に3Dにしたのではなく,見知ったドラクエの世界が3Dとして立ち上がり,プレイヤーが「そう望んだときだけ」自由に見渡せる。その距離感にこそ,本作ならではの面白さがある。

 視点を切り替えることで世界の見え方や進める道が変わっていく。近年でいえば,「CASSETTE BOY」などのインディーゲームで味わえる感覚にも近い。

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 2026年1月15日,パズルアクションRPG「CASSETTE BOY」が発売となった。本作は,ワンダーランドカザキリが開発するタイトルだ。「プレイヤーから見えなくなったものが世界から消える」というルールを使って解いていくパズルや,メロウな物語を楽しめる本作を紹介しよう。

[2026/01/16 16:50]

 「CASSETTE BOY」はゲームボーイ風のルックで2D的な見た目と3D的な空間把握を重ね合わせたゲームだが,PS版の「VII」は,スーパーファミコンのドット絵の印象を保ったまま立体になったような佇まいだ。

 すでに次世代ハードが姿を見せていた時代の目で見ると,当時から解像度の粗さを感じる部分があったことも事実だが,いざ実際にコントローラを握り,見慣れたドラクエ世界でカメラをぐるりと回せた瞬間の衝撃は,言葉が見当たらないほどだった。

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 バトル中のエフェクトやアニメーションにも,かなり力が入っている。当時は少しだけ演出過多に感じた記憶もあるが,それは筆者が急ぎ足で先へ進める必要があったからかもしれない。今の目で見ると必要最低限の尺に思えるし,登場するモンスターがドット絵かつ種類が豊富なこともあり,「VI」以前のドラクエとの連続性も強く感じられる。

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大容量メディアがもたらした「仲間と共に歩む感覚」


 世界の断片である「石板のかけら」を集め,見知らぬ土地へ赴き,そこで起こっている問題をひとつずつ解決していく。
 この「諸国漫遊記」または「大河ドラマ」的な構造は,現代のオープンワールドゲームが各地に配置している一話完結型のサイドクエストを,ひとつの流れの中で味わっているようなプレイ感だった。

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 漢字を交えたメッセージで綴られる物語は,ただ膨大なだけでなく,今の目で見ても違和感がない。昔話を思わせる寓話的なエピソード,人ならぬ存在との攻防戦,花園で繰り広げられる切ないメロドラマ……などなど,時空を越え,バリエーション豊かに描かれる心模様は,どこか今の世相にしっくりくるものも多い。

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 そして何より特筆すべきは,「仲間との会話」の作り込みの凄まじさだ。物語の進行段階はもちろん,それこそ街の人ひとりに話しかけて新しい手がかりを得るたびに,マリベルやガボたちのリアクションが変わっていく。誰かに話を聞くたび、反応の変化を確かめていた人も少なくなかったはず。

 発売から26年が経った今でも,これほどプレイヤーの行動を細かく見て,テキストを変化させるゲームにはあまりお目にかかったことがない。これに匹敵する“執念”を感じたのは「バルダーズ・ゲート3」などだろうか。まさに作り込みの極北である。

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 バトルの表現やテキスト量の変化には,ハードとソフトの変化も大きく関わっている。前作「VI」のROMカセットの容量は32メガビット(約4メガバイト)程度。それがCD-ROM2枚組になり,1ギガバイト以上の容量を扱えるようになった。
 それまで容量の制約で削りに削ってきたテキストを「必要なだけ,適切な分量で配置できる」ようになったことは,開発陣にとってどれほど大きな変化だったのだろう。そんなことまで想像しながら遊んでいるうちに,筆者は26年の時を越えて,その「心地よいテキストの渦」に呑み込まれていた。

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歩きやすい舗装路のような「リイマジンド」の優しさ


 では,“リイマジンド”された新作はどうだったか。現代に蘇ったVIIを遊んだ感触は,一言で言えば「穏当」であり,極めて「優しい」ものだった。

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 オリジナル版は冒頭が長く,最初のバトルにたどり着くまでにも相応の時間がかかった。
 後の物語を考えれば決して無駄ではなく,主人公たちの暮らす世界や登場人物の関係性,そして冒険へ踏み出す前の空気を描く大事な時間ではあったが,早く冒険に出たいプレイヤーにとってはそこで退屈してしまう部分もあったはずだ。

 「リイマジンド」ではその導入部がテンポよく整理され,謎解きも全体的に簡単になっている。キャラクターや背景はドールハウスのような親しみやすい質感となり,オリジナル版の物語が持っていたかげりや生々しさは適度に中和され,現代のJRPGファンに受け入れやすい洗練されたパッケージに仕上がっている。

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 プレイヤーにストレスを与えないためのQoL向上は,徹底的なまでに施されている。
 エピソードとしては味わい深かったものの,本編との関連が薄めなクレージュ,リートルードなど一部の地域がカットされたことは,その最たる例だろう。

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 あの毒の水に踊らされる人々の描写や,「明日が来ない」時間ループの物語。そしてその後に控えるダンジョンに戸惑い,メモを取った思い出は確かに名残惜しい。しかし,再構成にともなって仲間の加入タイミングも変わり,3人で冒険する期間が短縮されたというメリットもある。

 もちろん,3人旅には3人旅の味わいがあったが,「リイマジンド」ではパーティの人数が早い段階で揃うことによって,バトルの緊張感は大幅に緩和されている。
 また単なるカットだけでなく,ダーマ神殿などの要所では,当時から印象的だったキャラをクローズアップするなど,現代のプレイヤーにも分かりやすく,当時を知る人へのサービスも忘れない,どちらにとっても「優しい」ものとなっていた。

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 それでも,オリジナルが大切にしていた「3Dならではの遊び」が失われたわけではない。視点を回して死角を探すような難しさは抑えられているが,空間の奥行きやカメラを動かしたときに見える景色の変化など,3Dになったドラクエ世界を眺める楽しさはきちんと残されている。

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台座をほぼ一覧することが可能
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オリジナルはかなり広々としていた
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カラーストーンの鉱山もかなり様変わりしている

 オリジナル版では「プレイヤーが望んだときに話しかける」ものだった仲間との会話も,本作では「話しかけるべきタイミング」が画面にアイコンで表示されるようになった。その内容も,仲間と一緒に冒険しているフレーバーであると同時に,オリジナルにもあった「次にすべきこと」を教えてくれる性質が強くなった。
 制作者にとってはリイマジンドであり,プレイヤーにとってはリマインド。再設計された仲間との会話は,そんな役割も担うものとして機能しているようにも感じる。

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 さらに,マップを開けば次に進むべき目的地に印がついており,宝箱や石板の場所までナビゲートしてくれる。それはさながら「公式の攻略サイトを見ながら歩いている」かのような快適さだ。
 細かい部分では,街の人の少し毒気を含んだセリフや冗談めいた言い回しが,前向きな言い方へと置き換えられているところもある。オリジナル版では味わいになっていた言葉が,現代では作り手の意図とは別の意味合いで受け取られかねない。そんな時代の変化も踏まえた調整なのだろう。


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殊勝なことを言っている彼だが,オリジナル版の人間味あるセリフも筆者は好きだ

 基本的な物語の流れは同じなのに,「リイマジンド」では体験としてのストレスがほとんどなくなっている。一日の仕事を終えて,重くなった目をこすりながらコントローラを握ることが多い今の筆者にとって,この「至れり尽くせり」な設計は,素直に嬉しいものだった。一方で,どこか少しだけ寂しさを覚えたのも事実である。

 オリジナルのように「石板のかけら」がはまる箇所を見つけたり,回転させたりする必要もなく,カチリ,カチリと台座にはまっていくのを眺めていると,ふとオリジナル版の“砂利道を歩くような手触り”が頭をよぎる。

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 つねに見逃しがないか注意しながらの探索は,どこかスリリングにさえ感じたものだった。ときには面倒で,ときには不親切にも思える。しかし,そうやって自分の目で世界を確かめていく感覚こそが,オリジナル版「VII」を忘れがたい作品にした「のりしろ」だった。

 対して「リイマジンド」は,プレイヤーを迷わせず,淀みなく物語を楽しませてくれる。視点を回して死角を探す緊張感は薄れたが,そのぶん,物語の流れやキャラクターの感情にはまっすぐ向き合いやすくなった。探索の手触りに強い個性があった「VII」を,現代のドラクエとして受け取りやすい形へと整えたアレンジだと言えそうだ。

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大人になったからこそ響く,登場人物の心の機微


 淀みなく流れていく物語を追っていくと,登場人物の心の動きも,オリジナル版とは少し違ったものに見えた気がする。
 もちろんそれは「リイマジンド」そのものの変化だけでなく,筆者自身が当時よりも年齢を重ねたからこそ,受け止め方が変わった部分もあると思うが,この「物語の印象の変化」についても,ネタバレを避けつつ触れておきたい。

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 主人公を冒険の旅へと誘う,良き兄貴分であるキーファ。彼が自らの人生と向き合う“あの決断”は,今回もやはり胸に迫るものがあった。特にオリジナル版は,テキストの余白のなかにじわじわと予感が高まっていく流れがあり,今回の再プレイでも目頭がじわりと熱くなってしまった。

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 描かれていたのは,自分の心に正直に,自らの足で歩もうとする少年の,危ういまでの純粋さ。テキストと音楽のタイミング合わせも完璧だった。

 対して「リイマジンド」における描写は,あの日の出来事を大人になってから静かに振り返るような,丁寧に意味づけし直された味わいとなっていた。筆者が今,仲間たちと「VII」を攻略した日々を思い出すかのように……。

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 一方で,大人になった今だからこそ,当時とはまったく違う手触りで響いてきた部分もある。それは,主人公を自分のそばにつなぎ止めようとするマリベルの,あまりにも切実で不器用な心の揺れだ。

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 当時子供だった人には特に,単なる「わがままなお嬢さん」に見えていたかもしれない彼女。だが,「リイマジンド」で多くのプレイヤーは,マリベルのあの理不尽で,不器用な態度の裏にある寂しさに気づき,ふと立ち止まってしまったはずだ。

 「人間って,こういう割り切れないところもあるよな」と。

 自分でもどうしていいか分からないまま,相手に強く当たってしまう。オリジナル版を遊んでいた頃の筆者は,そんな「人の心の機微」を,はたしてどこまで理解できていただろうか。

 「リイマジンド」がもたらした感動の再現は,現代のプレイヤーに届く形へとゲームを磨き直した成果だ。一方で,その洗練の過程では,プレイヤーが自ら想像し,補い,ときに戸惑いながら世界に入り込むための“のりしろ”が削ぎ落とされることもある。

 感動を今の形で届け直すことと,かつての余白をそのまま残すこと。そのふたつを,同じ場所に同じ分量で置いておくのは,案外難しいのかもしれない。

このあたりのセリフを読んでいればさすがに気がついたと思うが……さてどうだったろう
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舗装路を歩きながら“砂利道”を思い出す


 オリジナル版の開発時,なぜ堀井雄二氏をはじめとするクリエイターたちは,石板の欠片を世界の隅々に隠し,プレイヤーに探させたのだろうか。それは決して,プレイヤーを困らせようとしたわけではないだろう。

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 その動機は,現代のオープンワールドが,広大なマップの各所にクエストや発見を配置していることとも通じるのではないかと思う。
 ただ広いだけの空間ではなく,そこに行く理由や,何かを見つける喜びを用意すること。オリジナル版の「VII」における石板のかけらも,そうした役割を担っていたのではないだろうか。
 世界が2Dから3Dへと広がったあの過渡期において,「空間の圧倒的な広がり」をただの広さで終わらせず,プレイヤーが能動的に見て回るための「おもてなし」として機能していたように思う。

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 現代の「リイマジンド」は,そうした探索の緊張感をやわらげ,プレイヤーを純粋なストーリー体験へと導いてくれる。それは現代のライフスタイルに寄り添った「ひとつの回答」であり,作り手の「優しさ」そのものだ。

 それでも,本作にはオリジナル版への大きな敬意と,元の手触りをできるだけ残そうとする姿勢が感じられる。
 かつて石板のかけらが隠されていた場所に「ちいさなメダル」が置かれているのは,探索の楽しさを損なわないための配慮だろう。「世界の隅々まで,能動的に探した人がちょっと得をする」という,ちいさなメダルの役割が生かされているのも上手い。

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 「リイマジンド」というゲームは、現代の人にとっての「舗装路」のような存在なのだと思う。迷わず,転ばずに,物語を「歩んでいける道」。その優しさは,今の自分にとって間違いなくありがたい。

 それでもふと,かつて自分を熱中させた「砂利道を一歩一歩踏みしめるような感覚」を懐かしく思い出したとしたら。また当時を知らなくとも,オリジナル版の探索の感触を少しだけ味わってみたいと思ったなら。
 そのときは,設定でカメラ距離を「近い」に変更し,マップは極力開かないようにして,街やダンジョンを歩いてみてほしい。視界が狭まり,死角が生まれることで,自分の足で世界を探索する感覚が味わえるようになる。

見える範囲がオリジナルに近づく
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 至れり尽くせりの「おもてなし」が施された舗装路の上で,あえて少しだけ不便な「のりしろ」を自らの手で取り戻してみる。
 それは,単にオリジナル版に戻ろうという話ではない。現代の遊びやすさを受け取りつつ,その中にかつての手触りを少しだけ呼び戻す手段だ。そして当時を知らないプレイヤーにとっても,「VII」にもともとあった探索の魅力を,別の角度から知る機会になるはずだ。

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 アスファルトの上で,かつての砂利道の感触を思い出す。あるいは,舗装される前の道が,どんな様子だったのかを少しだけ想像してみる。そんな遊び方を試してみるのも,「リイマジンド」との,最も贅沢な付き合い方なのかもしれない。
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