インディーズゲームの小部屋：Room＃762「Chained Echoes」

　子供の頃は年末になると，プリントゴッコでせっせと年賀状を刷っていた筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第762回は，ドイツ在住のゲームクリエイター，マティアス・リンダ氏が開発した「Chained Echoes」を紹介する。本作は，剣と魔法とメカが融合したファンタジー世界を舞台に冒険するRPGだ。今では年賀メールを送ることさえ少なくなってしまったけど，友達からの年賀状がいつも楽しみだったなあ……。


　本作のストーリーは，北のタリン，南のエスカニア，東のグラボスの三国による戦乱が絶えないバランディス大陸を舞台に，人知を超える力を持った謎の宝石「グランド・グリモア」を巡る冒険を繰り広げるというもの。物語は複数の登場人物による群像劇となっており，かつて傭兵組織「アイアン・ブル」に所属していた青年・グレンと，身分を隠して冒険者となったタリンの姫・レンネを中心にストーリーが展開していく。


　本作は「幻想水滸伝II」「クロノトリガー」「ファイナルファンタジーVI」「ゼノギアス」といった，いわゆるJRPGからインスピレーションを得て開発されたというファンタジーRPGで，これらの作品にも通じる緻密なピクセルアートが大きな特徴だ。戦闘はフィールド上の敵に接触すると発生するシンボルエンカウント方式となっており，おなじみのターン制バトルで進行する。


　一度に戦闘に参加できるのは4人だが，それぞれに控えのキャラを設定でき，戦闘中に任意のタイミングで交代させることで，最大8人でのバトルが可能。戦闘中はさまざまな行動によって「オーバードライブ」ゲージが上昇していき，ゲージがグリーンゾーンに達すると受けるダメージが減少し，スキルの発動に必要なTPが半減する。

　ただし，それを超えてレッドゾーンに突入するとオーバーヒート状態となり，敵から大ダメージを受けてしまうので要注意。ゲージは防御コマンドを使ったり，控えキャラと交代したりすることで減少するので，これらをうまく使ってゲージを管理しよう。


　本作では戦闘に勝利しても経験値を得られず，ボスを倒したりすることで入手できる「グリモア・シャード」を使って新しいスキルを習得することでキャラクターが成長していく。レベル上げのために繰り返し戦う必要がない代わりに，1つ1つの戦闘に重きが置かれており，ザコ敵との戦いも歯ごたえのあるものとなっている。戦闘が終了するとキャラクターが全回復するので，出し惜しみせずに常に全力で戦おう。


　また，ストーリーの中盤以降になると「スカイ・アーマー」と呼ばれる人型メカに搭乗しての戦闘や探索が可能になるのも面白いところ。スカイ・アーマーにはホバーモードと飛行モードの2つがあり，徒歩では進めない地形でも移動できるほか，戦闘中は専用のシステムとなり，3段階あるギアを切り替えながら戦うことで，生身では歯が立たない強敵にも有利に立ち回ることができる。


　ほかにも，武器や防具のカスタマイズやスキルの強化など，さまざまなやり込み要素が満載。王道ながらスケールの大きな物語や個性豊かな仲間達も魅力的で，古き良きJRPGを好きな人なら楽しめること間違いなしのゲームに仕上がっている。残念ながら日本語化されていないが，比較的やさしい英語が使われているので，興味を持った人はぜひどうぞ。

　そんな本作はSteamにて2980円で発売されているほか，Xbox Game Passでも配信中。また，Nintendo Switch版もニンテンドーeショップで発売中だ。

■「Chained Echoes」公式サイト

http://www.chainedechoes.com/