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インテル,Sandy Bridgeのアーキテクチャを日本語で詳しく解説
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印刷2010/09/30 20:08

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インテル,Sandy Bridgeのアーキテクチャを日本語で詳しく解説

挨拶に立ったインテルの代表取締役社長,吉田和正氏
画像集#002のサムネイル/インテル,Sandy Bridgeのアーキテクチャを日本語で詳しく解説
 Intelの日本法人であるインテルは,2010年9月30日,定例の報道関係者向け説明会「IAプレス・ミーティング」を開催。そこで,現地時間9月13〜15日に米サンフランシスコ市で開催された開発者向け会議「Intel Developers Forum 2010 San Francisco」(以下,IDF 2010 SF)の内容を,日本法人として総括した。
 本稿ではそのなかから,次世代CPU「Sandy Bridge」(サンディブリッジ,開発コードネーム)に関する話題を中心にまとめてみたいと思う。

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吉田氏はIDF 2010 SFを振り返り,Sandy Bridgeに関する詳細が明らかになったことと,北米におけるAppUpストアの立ち上がりなど,Atomプロセッサの市場が広がっていることを強調
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Core i5&i3プロセッサの順調なシェアの拡大をアピールする吉田氏。日本のノートPC市場ではすでにCore i5搭載機のシェアが50%に迫り,Core i3搭載モデルと合わせると80%近いとした


「シームレスなビジュアル体験の実現」

を目指すSandy Bridge


インテル技術本部 副本部長の土岐英秋氏
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 IDF 2010 SFにおけるSandy Bridgeの発表に関しては4Gamerでも現地からレポートをお届けしているが,今回のIAプレス・ミーティングでは,IDF 2010 SFで明らかになった情報が,インテル技術本部の副本部長である土岐英秋氏によって日本語でまとめ直されたのが大きなポイントになる。

IDF 2010 SFレポート:Sandy Bridgeのアーキテクチャ

 さて,土岐氏は,Sandy Bridgeのキーワードを「シームレスなビジュアル体験の実現」という言葉で紹介した。これが,日本におけるSandy Bridgeの訴求ポイントになるということなのだろう。
 下に示したスライドは,「インテルとして,『(PCの)ユーセージがこういう方向に向かっていくだろう』と考えているもの」(土岐氏)。注目したいのは,ここには「メインストリームの3Dゲーム」が含まれていることだ。“インテル語”の「メインストリーム」は,要するに「エントリー」とか「カジュアル」といった意味だが,そのあたりのゲームまではカバーする気満々ということになる。

シームレスなビジュアル体験とはなんぞや,がまとめられたスライド
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 続けて土岐氏が示したのは,Sandy Bridgeでの改良点をまとめたもの。現行製品であるWestmere世代のグラフィックス機能統合型CPUだと,パッケージ上にCPUダイと,いわゆるGMCH(=ノースブリッジ)機能のダイが並ぶ,マルチダイ構造になっていたが,Sandy Bridgeではこれらが1つのダイに集積されるのが大きな特徴となる。Westmere世代からさらに一歩,組み込み分野向けのSoC(System-on-a-Chip)に近づいたといえるかもしれない。

Sandy Bridgeでの改良点を総まとめしたスライド。CPUコアとグラフィックス機能,メモリコントローラ,PC ExpressなどPCの構成要素の多くが1つのダイに統合される。「もはやCPUとは呼べないほど」と土岐氏
画像集#007のサムネイル/インテル,Sandy Bridgeのアーキテクチャを日本語で詳しく解説
Westmere世代とSandy Bridgeの違いを示したスライド。CPUとノースブリッジによる「Multi Chip Package」から,「Full Silicon Integration」へと大きな変貌を遂げる
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 土岐氏はSandy Bridgeで改良された点を順に説明していった。
 下のスライドは,Sandy BridgeにおけるCPUコアのマイクロアーキテクチャである。黄色い部分が改良点だが,Westmere世代で,メモリから値を読んだり書いたりするロードユニットとストアユニットはそれぞれ1基だったのに対し,Sandy Bridgeではロード/ストアユニット2基+データ専用ストアユニット1基へと拡張されているのは,大きなポイントとなるかもしれない。Sandy Bridge世代で追加される新命令「AVX」(Intel Advanced Vector eXtentions)が256bitのレジスタを使用するため,大きな単位のロードとストアが発生することはもちろん,そもそもx86命令セットはロード&ストアが頻発しやすいということもあるので,パフォーマンスの向上に直結しやすい改良だろうと思う。

CPUコアのマイクロアーキテクチャ。黄色い部分がWestmere世代のCPUコアからの改良部分とのことだ。スライド中「Branch Pred」となっている分岐予測部分やuOPキャッシュの増強,Sandy Bridgeで追加される新命令「AVX」がらみの追加ユニットに加え,本文で指摘したとおり,ロード/ストアユニットが強化されている点が重要な変更点となる
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 統合されるグラフィックス機能の性能向上も,Sandy Bridgeにおけるトピックの1つだ。
 下に示したスライドにあるとおり,複雑なシェーダの実行が高速化されているなど,3Dグラフィックス性能の向上に直結する改良に加え,実行ユニット(EU,Execution Unit)そのものも「APIとインストラクション(=命令)を1対1対応にすることで,従来比で2倍のスループットになっている」(土岐氏)という。

IDF 2010 SFのレポートでもお伝えしているとおり,実行ユニットそのものの性能が大きく向上しているという
画像集#011のサムネイル/インテル,Sandy Bridgeのアーキテクチャを日本語で詳しく解説

 ただし,EUの数については「知っているのだが(笑),現時点では言えない」とのことで,まだまだ公表できない部分があることを窺わせていた。Westmere世代と比べて減ることはさすがにないと思われるが,EUが何基あるのかによってグラフィックスの性能は大きく変わるだろう。そもそも,製品シリーズでEUの数が異なる可能性もあるはずで,気になるところだ。

高い性能を持つリングバスで,CPUコアと統合型グラフィックス機能,そしてメモリコントローラなどを含む「System Agent」が接続される。リングバスの帯域幅は1つのLLCあたり96GB/sに達するという
画像集#012のサムネイル/インテル,Sandy Bridgeのアーキテクチャを日本語で詳しく解説
 性能に関する部分では,CPUコアそれぞれが持つ「Last Level Cache」(ラストレベルキャッシュ,以下 LLC)とグラフィックス機能が,高速なリングバスでつながる点も,大きなインパクトを持つものと思われる。
 グラフィックス機能がキャッシュへ高速にアクセスできることによる速度面でのメリットはもちろん,「キャッシュにヒットすれば外(=メインメモリ)に行く必要がないので,メモリアクセスの効率が上がる」(土岐氏)といった恩恵も期待できよう。

 「山手線と違って,片方向のみになる」(土岐氏)Sandy Bridgeのリングバスで,データは基本的に1方向にしか動かない。そのため,ワーストケースでの効率は悪そうに思えるが,その点,Sandy Bridgeでは,LLC(など)に2つの出入り口を持ち,最短経路を通ることができるようになっているとのこと。模式図でハシゴのようになっているのは,そういう意味なのだ。
 土岐氏は「リングバスがどう動くのか」も示したので,以下,簡単にまとめてみたい。

[左上]CPUコアとグラフィックス機能から,データを読み取るリクエストがバスに出力される
[右上]リクエストされたデータがLLCに存在した(ヒット)
[左下]データの読み取りに成功したことを示す結果(Global Observation)がバスに乗せられる。また,グラフィックス機能からのリクエストもLLC上でヒット
[右下]データがバスに乗せられコアやグラフィックス機能へ……
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ブロックに分かれているLLCは,リングバスを通じて細かく制御されているという。LLCはグラフィックス機能からも利用され,またドライバはグラフィックス機能のためにキャッシュを制御するようなので,LLCの存在はSandy Bridgeのグラフィックスパフォーマンスを語るうえで欠かせない存在になりそうだ
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 氏は「グラフィックスドライバがグラフィックスストリームをキャッシュ上で制御できる」とも説明していたが,これは,今日(こんにち)のCPUが持っているキャッシュ制御命令のようなものが,グラフィックス機能からも利用できるようになるということかもしれない。グラフィックス側からもキャッシュを細かく制御できるようになれば,3Dグラフィックスの性能向上を期待できるが,グラフィックスドライバの出来不出来でパフォーマンスがかなり左右されるということはありそうな気配もあり,果たしてどうなるかが気になるところだ。

 なお,LLCはCPUコアごとのブロックで管理されてはいるものの,リングバスで結ばれて緊密に連携しているため,各キャッシュが同じデータを持とうとする現象である「スラッシング」の回避や,高度なコヒーレンシ(coherency,首尾一貫性。ここではキャッシュとメモリの内容に一貫性を保つこと)を実現していると,土岐氏は述べていた。

 パフォーマンスに関して,もうひとつ大きなトピックになりそうなのが次世代の「Intel Turbo Boost Technology」(以下,Turbo Boost)である。

 土岐氏はこれを「冷えているものが暖まるのには時間がかかる。これを応用しようというもの」と説明していた。CPUはアイドル状態が続いている限り,十分低い温度にある。だから,立ち上がりに大きな負荷がかかったときには,TDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)の枠を超える電流量を流し(て,より高い動作クロックに設定し)ても,元が“冷えている”から,発熱的には問題ない,という理屈である。

Sandy Bridge世代のTurbo Boostは,CPUが冷えている状態で負荷がかかると,TDPを超えるブーストを行い,CPU温度が上がってきたら段階的にクロックをTDPの枠内へ収めていく
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 (アイドル状態から)アプリケーションを立ち上げるとき,規定値を大きく超えたクロックで動作することになるため,「体感のレスポンスを大きく改善すると見ている」(土岐氏)とのことだ。

System Agentにパワー・コントロール・ユニットが内蔵され,チップ全体の電力管理を行っているとのこと。CPU内部ののモジュールごとに電源とクロックが別々に制御され,「きめ細かく」(土岐氏)制御されているのも,次世代Turbo Boostの動作に貢献しているようだ
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 以上,土岐氏の解説は非常に分かりやすく,2011年1月にも登場すると見られるSandy Bridgeの登場に向けて,日本法人側の準備はほぼ整ってきたという印象を受けた。予定どおりだとすればあと約1四半期。登場を楽しみに待ちたいところだ。
  • 関連タイトル:

    Core i7・i5・i3-2000番台(Sandy Bridge)

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