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この連載で紹介してきた日本製ボードゲームのほとんどは,タカラ,バンダイ,エポック社,トミーの4社がリリースしたものでした。個人的にはこの4社が日本のレトロボードゲームメーカーのビッグ4だと思っていますが,第13回で紹介した「西部警察ゲーム」の米沢玩具のように,昭和から平成にかけての時期は,ほかの企業も多くのボードゲームを販売していました。
そしてその中にはあのコナミ(現在のコナミデジタルエンタテインメント)も。コナミといえば「パワプロ」「eFootball」「メタルギア」「Castlevania」(悪魔城ドラキュラ)といったビデオゲーム,あるいは「遊戯王」をはじめとしたトレーディングカードゲームのイメージが強いと思いますが,実は昔からボードゲームもリリースしていて,現在もボードゲーム原作のメディアミックスプロジェクト「ヨフカシプロジェクト」(外部リンク)をブシロードクリエイティブやドロッセルマイヤーズなどと共同で進めています。
ヨフカシプロジェクトのゲームはビジュアルからして今風ですが,かつてのコナミは“激渋”なボードゲームをリリースしていました。今回の「昭和・平成レトロボードゲーム大百科」では,そんなコナミ製ボードゲームの1つ,「ザ スパイ」を紹介します。
パッケージからゲーム盤,コマまで
とにかく渋い,大人のボードゲーム
平成2年(1990年)にリリースされた本作のパッケージは,これまで本連載で紹介してきたものと比べると,ややコンパクト。「人生ゲーム」などではなく,「カタン」や「スコットランドヤード」などの海外製ボードゲームに近いサイズ感です。
そこに描かれているイラストも劇画調で,暗証番号を入力するスパイ,ピストル,そして奥から迫る警備員という構図。もう子供が入り込む余地がありません。対象年齢は8歳からとなってますが,ターゲット層としては,かなり大人を意識していたんじゃないでしょうか。
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その感想は内容物を見ても変わりません。ゲーム盤は地下金庫があるフロアを見下ろした視点で描かれており,各マスにはテキストが記載されていないなど,“すごろく感”は控えめ。使用するコマは人型ではあるものの非常に抽象的なデザインで,どんなゲームにも代用できそうなシンプルさです。そういった面からも,海外ボードゲームのような雰囲気が感じられます。
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そんな「ザ スパイ」では,プレイヤーがスパイとして地下金庫フロアに忍び込みます。4つある金庫のどこかに保管されている「機密文書」「暗号解読書」「通行許可書」を盗み出し,敵スパイと警備員の目をかいくぐっていち早く脱出すれば勝利です。
ゲーム開始前に,まず36枚のカードをシャッフルし9枚ずつの山を4つ作り,ゲーム盤上の金庫の位置にそれぞれ配置。続いてプレイヤーのコマを盤上中央のスタート位置に,警備員コマを盤上4隅のうちのどこかにセットしてゲームスタートです。
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自分のスパイコマと
警備員コマの両方を操作
あらためてゲーム盤である地下金庫フロアを確認すると,通路は田の字型になっていて,それによって区切られた4つのスペースが金庫室です。通路の外側には警備室と救急室,そして2つの出口が配置されています。通路にはマス目が描かれていて,プレイヤーはサイコロの出目に従ってこのマス目を移動します。
ただし,プレイヤーが自分の手番で振るサイコロは2つあります。1つは「普通のサイコロ」で,1〜6の出目以内で,好きなだけ自分のコマを進められます(最低1マスは進む必要あり)。そしてもう1つが「数字のサイコロ」で,こちらは出た数だけ警備員のコマを1方向に動かします。プレイヤーと警備員がはちあわせすると,当然ながらペナルティです(詳細は後述)。
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なお,警備員は通路の外周部分を移動し,内側の十字部分には入ってこないので,そこはスパイにとっての安全地帯となります。しかし各金庫の入口はすべて外周部分にあるので,金庫に向かうときには警備員との距離を見計らう必要があります。
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なお,プレイヤーのコマと警備員コマはどちらを先に動かしてもOKなので,状況に応じて先に動かすコマを決めるといいでしょう。そして無事に金庫室に侵入したら,金庫破りの開始です。
見事に金庫を開錠!
しかし取れるのは1つだけ
金庫のマスに入ったら,その時点でもう1度,数字のサイコロを振ります。そして青い数字の目が出たら解錠成功(数字サイコロなので,このときに出目の数だけ警備員を動かすのも忘れずに)。この金庫にあるカードすべてを見ることができ,そこから任意のものを1枚取ります。
カードの種類と枚数は,以下のとおりです。
- 機密文書 1枚
- 暗号解読書 2枚
- 通行許可書 6枚
- IDカード 1枚
- ナイフ 1枚
- Gun 22口径 2枚
- Gun 357Magnum 1枚
- 偽文書 22枚
実に半分以上が,何の役にも立たない偽文書……! カードはゲーム開始時にランダムで各金庫に9枚ずつ置かれているので,金庫を開けたらすべて偽文書だった,なんてこともありえます。
説明したように,このゲームの勝利条件は「機密文書」「暗号解読書」「通行許可書」を盗み出して脱出することなので,この3枚が優先です。特に機密文書は1枚しかないので,まずはこれ。次いで2枚しかない暗号解読書,通行許可書は6枚と比較的枚数はありますが,取れるときに取っておいたほうがいいです。
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それ以外のカードについても説明しておきましょう。IDカードは,持っていれば警備員に捕まらないカード。警備員のコマを通り抜けるルートも選べるので,移動時にはかなり有利になります。
つづいて,ナイフ,Gun22口径,Gun357Magnumの3種は名前からも分かるとおり武器で,持っていればスパイ同士の決闘で力を発揮します(詳細は後述)。
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こうして必要なカードを入手したら,また別の金庫破りに挑んでカードを集めます。なお,プレイヤーが持てるカードは最大4枚なので,5枚目を入手する際は,代わりに所持カードから1枚金庫に戻さなくてはなりません。そして金庫破りで必要なカードすべてが揃わなかったら,スパイ同士での奪い合いです。
あるときは敵,あるときは味方
警備員の誘導が成否を分ける
奪い合いの際,敵にも味方にもなってくれるのが警備員です。先ほども書きましたが,プレイヤーは数字のサイコロで出た数だけ警備員を動かせるので,ほかのスパイを捕まえられます。もちろん自分が捕まってしまうこともあるので,安全地帯やIDカードをうまく活用したいところ。
なお,捕まったスパイは,任意のカード1枚だけを手元に残せますが,残りのカードはまとめてどこかの金庫に戻さなくてはなりません。当然,カードが戻された金庫は狙い目です。
そして捕まったスパイは警備室に収容されてしまい,自分の手番時に普通のサイコロで4〜6を出さないと戻れません。ただし2回連続で出なかったら3回目は必ず成功扱いとなり,1〜3なら警備室の外のマスに出て,さらに出目の1〜3マス移動。4〜6なら警備室の外のマスに移動できます。とはいえカードを失ったうえに大きなタイムロスとなるので,警備員にはできれば捕まらないように。
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敵スパイとの決闘に勝利し
重要書類を奪え!
奪い合いのもう一つの手段が,スパイ同士の直接対決,決闘です。複数のスパイが同じマスに止まり,その中の誰かが決闘するプレイヤー名を宣言することで決闘開始です。挑まれたプレイヤーは拒否できず,お互いサイコロを2個振って,その合計の大きかったほうが勝利です。
このときに役立つのが武器カード。サイコロを振る前にカードを開示し,カードに書かれた戦闘力をサイコロの目に加算できます。なお,同数だった場合は決闘を挑まれた側の勝利となります。
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決闘に勝利したプレイヤーは,相手(防御側)のカードをすべて見て,欲しいカードを1枚奪えます。それによって手持ちのカードが4枚を超えてしまう場合は1枚を戻すのですが,その戻し場所は,決闘を挑んだ側の場合,決闘相手のプレイヤーで,挑まれた側の場合は,どこかの金庫になります。
そして,決闘を挑んだうえに負けた場合は,コマが救急室に入れられます。警備室と同様に,自分の手番で指定されたサイコロの目を出さないと戻れませんが,今度は5か6と条件が厳しくなっています。ただしこちらも2回連続で失敗したら,3回目は成功扱いです。
カードが揃ったら出口を目指せ
そしていち早く脱出せよ!
そんなこんなを繰り返し「機密文書」「暗号解読書」「通行許可書」が揃ったら脱出です。通行許可書に「西EXIT」もしくは「東EXIT」と書かれているので,その出口を目指します。
EXITマスに到着したら,そこでいったん手持ちのカードをオープンし,3枚すべて揃っていることを全員に見せます。そして通行許可書に書かれたサイコロの目が見事に出れば脱出成功となり,そのプレイヤーの勝利です。
指定された出目でなければ次の手番で再チャレンジですが,その間に追いつかれたら決闘をしなくてはならないので,最後の最後まで気が抜けません。
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といったように,本作では素早く重要書類(3枚の必要なカード)を入手し,揃ったことを悟られる前に脱出するのもよし,あるいはとことん戦って重要書類を奪い,悠々とフロアを出ていくのもよしです。それぞれのスパイ道を貫いてみてください。
なお,今回の「ザ スパイ」も,筆者が経営している「Book CAFE ヨミヤスミ」のイベント「8時だョ!レトロボードゲーム」にてプレイできますので,よかったらご参加ください。
■■Book CAFE ヨミヤスミ■■
京王線の京王多摩川駅から徒歩6分ほどの場所にあるブックカフェ。1980〜90年代の本や雑誌,漫画に加えて,パソコン雑誌やゲームブックなども揃っています。
毎週末開催されるイベント「8時だョ!レトロボードゲーム」では,本連載で紹介したものをはじめとしたレトロボードゲームをプレイできますので,下記のイベントサイトでお申し込みのうえ,ぜひご来店ください。
公式サイト:https://sites.google.com/view/yomiyasumi
公式イベントサイト:https://sites.google.com/view/yomiyasumi-8jidayo
公式X:https://x.com/yomiyasumi


























