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  • 発表日:2016/10月中
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上から下まで4モデル展開のゲーマー向けヘッドセット「AIR」でHORIは何を狙うのか。開発者に聞く
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印刷2016/10/21 00:00

インタビュー

上から下まで4モデル展開のゲーマー向けヘッドセット「AIR」でHORIは何を狙うのか。開発者に聞く

 HORIと言えば,押しも押されもせぬゲーム機向け周辺機器メーカーの雄なのだが,知名度の割りに「売り方」があまりうまくなく,製品シリーズを立ち上げては終息させていくということを,よく繰り返している。以前4Gamerで取り上げた「G.E.A.R.」ブランドもその1つで,その第1弾ヘッドセットにして,完成度も当時としては高かった「ゲーミングヘッドセット OWL GEAR」(以下,OWL GEAR)も,ブランドとともに消えていってしまった。

AIRヘッドセットのラインナップ
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 せっかくのブランド,せっかくのヘッドセット製品が1モデル限りで終わってしまった反省を踏まえて……かどうか,HORIは,PlayStation 4(以下,PS4)向けに上から下まで一挙4製品を展開するという新しい製品シリーズ「AIR」を立ち上げた。専用のスピーカードライバーを開発し,フラットな音質傾向を目指した意欲的なシリーズだ。
 果たして今度は定着するのかどうか,OWL GEARに引き続きメカ設計を担当したHORIの小西良典氏と,電気的な部分を担当した同社木島一寿氏の2名に,その開発意図を聞けたので,今回はその内容を基に,AIRという新しいヘッドセットシリーズの正体に迫ってみたいと思う。


AIRでHORIが目指すもの


HORIはAIRブランドの立ち上げにあたり,2年近い時間を開発にかけたという
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 さて,まずはAIRというブランドの位置づけだが,HORIとしては,かなり重きを置いているようだ。小西氏は「今後はTAC(タクティカルアサルトコマンダー)と,RAP(リアルアーケードPro.),そしてこのAIRでいきたい」と述べていたので,主要ブランドの一角にまで育てる意気込みを見せたことになる。「G.E.A.R.では(ヘッドセット以外の)横展開をして失敗した」と語る氏によると,AIRブランドではヘッドセットのみに注力することになるそうだ。

 ところで,そこまで気合を入れて立ち上げたAIRにもかかわらず,HORIは国内販売限定という扱いに留めている。その理由は何だろうか。


小西良典氏(HORI 商品開発部)
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小西良典氏:
 もともと海外展開をするつもりで考えていたんですが,競合メーカーがかなり良い製品を安く作っているので,(海外市場では)勝負に入り込む余地がほとんどなく,なかなか難しい状況になってしまっているんですね。
 そこでまずは(HORIというブランドで勝負できる)国内に目を向けて,海外ユーザー向けに作られている製品でなく,日本のユーザーに満足していただけるような製品を作ろうと考えた次第です。


OWL GEAR
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 海外市場を見据えていたOWL GEARでは,海外でウケる,派手でごてごてしていて重く,側圧も強めのものを採用していたが,これについて日本のユーザーからは「重い」「野暮ったい」という意見がかなり寄せられたとのこと。そこで,国内展開に特化するAIRでは,長時間の装着時にも疲れにくい側圧や軽さにこだわっているそうだ。AIRという製品名の由来は,ここから来ているとのことである。


右はカラーバリエーションではなく,初期サンプル。黒いうえに,最終製品と比べるとちょっと大きい。「いざ作ってみると,ああでもないこうでもないという部分が出てきます」(小西氏)ということで,試行錯誤しながら小型化を目指したという
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小西良典氏:
 理想は,付けていることを忘れるぐらいの軽さです。「あれ,眼鏡はどこだ?」と探していたら,頭の上にあったというぐらいに(笑)。なかなかそれは難しいですが,最大限まで軽く仕上げました。

木島一寿氏:
 我々も今回はかなり自信があります。


 そんなAIRは全モデルがPS4用となるが,それも,国内市場に特化することを考えたときにはPS4が重要だと考えたからだそうだ。


小西良典氏:
 国内にあるお店のゲーム売り場に限定すると,まだそこまで(ヘッドセット)商品は並んでいないんですよね。もちろんヨドバシカメラさんのような大型量販店だと別ですが,弊社の販売チャネルが持つ強みを活かすとなると,PS4向けにし(て,全国津々浦々の量販店におけるPS4売り場に置い)たほうがいいのではないかと。


AIR ULTIMATEの53mm径ドライバー
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 製品コンセプトは,OWL GEARにおける「ゲーム向けの,フラットな音質」をさらに突き詰めたものになっているとのことだ。最上位モデルである「AIR ULTIMATE」で採用する53mm径のスピーカードライバー,そして上から2番めのモデルにあたる「AIR HIGH GRADE」で採用する40mm径のドライバーは,そのコンセプトに基づいて,1から作り込んでいるという。


AIR HIGH GRADEの40mm径ドライバー
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小西良典氏:
 当初,フラットな音だと,ユーザーから「迫力が足りない」と指摘されるのではと危惧していたんですが,今はかなり馴染んできているみたいです。実際,他社メーカーさんもフラットな音質の製品を作り始めているので,そこは受け入れられたのかなと。なので,そこは崩さずに追求していきました。


 では,その「フラットな音」は,どのようにして作り込んでいったのだろうか。


小西良典氏:
 そもそも,「音の設計を完全に行う」というのは難しいんですね。ヘッドフォンのOEMをやっている日本のメーカーさんに聞いても,「音の設計」をきちんとやれているのは世界でも数えるほどしかなく,かなりの有名ブランドであっても,出たとこ勝負で調整しているところがほとんどとのことでした。「こういう風に作ればこういう音が出る」と想定して設計するのは,それくらい難しいわけです。
 なので我々も,作っては聴き,聴いては作って,土台を作っていくしかありません。音の細かいところで差別化するというのは,難しくキリがないので,ユーザーのニーズに応えて,ゲームに特化した音に特徴づけていくことにしました。


 やや難解だが,要するに,ホームオーディオ機器メーカーですら試行錯誤しながら設計していくのだから,オーディオメーカーではないからといってHORIに不利な点はないと言っているように,筆者には聞こえた。

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 一方のマイクはOWL GEARと同じ指向性マイクを採用しているとのことだ。ゲーマー向けヘッドセットでは,マイクユニット自体は無指向性で,外装部における空気孔の開け方によって指向性を持たせるという設計が一般的だが,HORIはそうしていないわけである。


小西良典氏:
 我々がこれを(従来製品から引き続いて)選択しているのは,周りの音とかが聞こえないようきっちり口元までマイクを持ってきて,ちゃんと自分の声だけ拾えるようにというコンセプトのためです。
 少しでも口から外れてしまうと聞こえにくいというのは,指向性マイクのデメリットなのですけれども,昔からユーザーさんの意見だと指向性のほうがよいというのが多かったので採用しています。



4モデルそれぞれの特徴と,イヤーパッドに関するこだわり


 前段で2製品紹介したが,ラインナップは上から順に以下のとおりとなっている。最上位モデルであっても1万円未満で買えるというのは,昨今のゲーマー向けヘッドセット市場からすると,かなり異質だと言えるだろう。

  • AIR ULTIMATE:実勢価格8700〜9700円程度(※2016年10月21日現在)
  • AIR HIGH GRADE:実勢価格5300〜5800円程度(※2016年10月21日現在)
  • AIR STEREO:実勢価格2900〜3100円程度(※2016年10月21日現在)
  • AIR MONAURAL:実勢価格2400〜2700円程度(※2016年10月21日現在)

貴重なデザインシートより。「これはデザインに四苦八苦してる様子です」と小西氏は笑っていたが,HORIとしても初期は耳掛け型を検討していたことが分かる
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 上位3モデルはオーバーヘッド型の2chステレオ対応で,AIR MONAURALだけは製品名どおりの1chモノラル対応だ。ただし,一般的なゲーマー向けモノラルヘッドセットだと耳掛け型が主流なのに対し,オーバーヘッド型になっている。それは「耳かけタイプだと,長時間使っていて耳が痛くなるという声をいただいていた」(小西氏)ためだそうだ。

 採用するイヤーパッドは,上位2モデルが耳を覆うアラウンドイヤータイプで,下位2モデルは,コスト的な事情と,詳細未公表ながらスピーカードライバー径が小さくなることもあって,耳にイヤーパッドが直接当たるオンイヤータイプとなっている。

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AIR ULTIMATE
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AIR HIGH GRADE
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AIR STEREO
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AIR MONAURAL

 アラウンドイヤー型イヤーパッドを採用する上位2モデルはいずれもイヤーパッドの交換をサポートしており,AIR ULTIMATEではなんと標準のものも含めて4種類ものイヤーパッドが付属する。
 もちろん,イヤーパッドの交換で音響特性は変わるので,ユーザーはイヤーパッドの数だけ,得られる音の選択肢を得られるわけだ。実際,HORIで計測した音響測定結果も異なるという。


AIR ULTIMATEに付属する4種類のイヤーパッド。HORIは開発当初,エンクロージャの交換による音質変更も検討したが,コストに見合わず,OWL GEAR同様のイヤーパッド交換式に落ち着いたのだそうだ。「コストがより一層かかるにもかかわらず,効果はイヤーパッド交換と同程度なんですね。エンクロージャの付け替えついては今後,もう少し考えてみたいと考えています」(小西氏)
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小西良典氏:
 AIR ULTIMATEでは人工皮革と穴空き人工皮革,メッシュ,ベロアの4タイプ,AIR HIGH GRADEは人工皮革とメッシュで2タイプのイヤーパッドがそれぞれ付属します。
 以前の製品で採用していたイヤーパッドの交換機能ですが,こういったタイプのものが意外と他社製品になく,イヤーパッドの交換によって音質傾向を変えられることの評価も高かったんですね。なので(AIR HIGH GRADEではOWL GEARから引き続き2パターンの変更機能を維持しつつ)AIR ULTIMATEでは4つのイヤーパッドを交換できるようにしました。

 穴空きタイプとベロアタイプはけっこういろいろ挑戦していまして,「音の抜ける感じ」は味があって楽しめると思います。密閉されていて音のこもりがあると疲れるという人もいますので,そういう人はこちらを試していただければと。
 あと,イヤーパッド自体のクッション性と言いますか,付け心地もスポンジの入れ具合で大分変わってくるので,柔らかく,軽くなるよう,何度も試作していたりします。

木島一寿氏:
 細かいところですが,イヤーパッドの外周部分をフラットにして中央に凹みを作ることで耳への負担を軽減していまして,従来製品と比べて遮音性が若干向上しています。

AIR HIGH GRADEに付属する2種類のイヤーパッド(左)と,AIR STEREOおよびAIR MONAURALで共通のオンイヤー型イヤーパッド(右)
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 そのイヤ−パッドだが,OWL GEAR付属のそれに引き続き,触り心地のよさが印象的だったが,その理由としてなかなか面白い回答が得られた。


小西良典氏:
 我々は携帯ゲーム用のポーチも出していたりして,生地メーカーさんとのつながりがあるものですから,かなりの種類のサンプルから選ぶことができるんです。ポーチづくりなどをしていると,イヤーパッドを作るのも容易なんですよ(笑)。
 また同じ理由で,縫製の工場も,大手メーカーさんと取引されているところとお付き合いさせていただいているので,きっちりした生地を使えているのかなと思います。
 たとえば合成皮革のイヤーパッドがありますけれども,実は最初は,本革のものを使おうと考えていたんですね。ただ,すでに品質が本革とほとんど変わらず,耐久性の面でも我々の基準をクリアしたものが存在しているんですよ。人工皮革イヤーパッドではそれを使っていますので,長く使っているとボロボロになってしまうとか,そういったことはないはずです。


 装着感を決めるもう一つの重要な要素は,いわゆるヘッドバンドの締め付け具合,つまりは「側圧」だが,ここも前作以上にこだわったようだ。


木島一寿氏(HORI 商品開発部)
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木島一寿氏:
 開発の人間全員に「これをつけて仕事しろ」と言って装着させて,フィードバックをもらいながら側圧の調整を行いました。ちょっと使っただけでは分からない部分ですから,最低でも5〜6時間はつけっぱなしで過ごしてもらい,(そこから得られる)「ちょっと痛いね」などといった意見を聞きながら詰めていっています。


 ちなみに,落ち着いた白系の外観も注目だが,これもAIRというヘッドセットシリーズのコンセプトに基づいたものだそうだ。


AIR ULTIMATE(左)とAIR HIGH GRADE(右)で色合いを比較したカット
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小西良典氏:
 当初は黒いイメージを考えていたんですが,少し明るい色のほうが,目で見たときに軽いイメージを感じていただけると思い,白系の色を採用しています。正確に言えば,AIR ULTIMATEだけは,iPhoneの白モデルに近い銀色を採用していますね。



PlayStation公式ライセンスを取得するということ


 本稿の序盤でも触れたとおり,AIRはPS4用というコンセプトだが,ただ対応するだけでなく,全モデルでPlayStationの公式ライセンス取得済みというのが重要なアピールポイントにもなっている。
 アナログ接続型ヘッドセットで公式ライセンスを取得するにあたっては,どういう部分の最適化を行っているのだろうか。


最下位モデルであるAIR MONAURALも含め,全モデルがPlayStationの公式ライセンス取得済みだ
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小西良典氏:
 どちらかというと(音質というよりは)安全規格的なところが大半を占めています。音圧が余計なところまで出ないか,とかですね。あと,ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下,SIE)さんからは,付け心地に関する意見もいただいたりしています。

木島一寿氏:
 DUALSHOCK 4とのマッチングといったものもあります。インピーダンスや音圧レベルですとか,そういった部分ですね。

小西良典氏:
 そういう調整を経て公式ライセンスを取得していますから,安心して使っていただけると思います。
 安い価格帯だと,PC用のヘッドセットをそのまま流用したようなものもあって,あまり良い評価を得られていなかったりしますから,今回は,きっちり最適化して作ったものを準備させていただきました。


 幼児から大人までが対象となる据え置き型ゲーム機の場合,販売価格の割に高い耐久性を要求されるのが常だが,その点はどうだろうか。


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木島一寿氏:
 コントローラで採用する「おもちゃとしての耐久性」と同じ基準でヘッドセットも作っています。HORIの基準に当てはめると,オーディオメーカーさんのものって意外と耐久性がなかったりするんですよね。
 HORIでは,厳しく踏みつける,落下させるといったテストを行っています。うちはもともと,ファミリーコンピュータ時代から(周辺機器市場に)参入しているんですが,当時からプラットフォーマーの厳しい耐久基準を想定した,やはり厳しい内部基準を自社で持っています。

 そもそも,使用者が小さなお子さんだったりするんですね。そうなると,サポートセンターにお母さんから「壊れた」という問い合わせが入るのです。オーディオ機器だと,主に大人の方が扱われるので乱暴な取り扱いをされることはないんですが,お子さんだと激しく扱われることがありますので。
 実際,過去の製品だと,激しく使ったとき,ケーブルが断線してしまうということもゼロではありませんでした。そこでAIRでは新しく芯線を増やすなどして,いわゆる引っ張り耐性を上げています。


 ちなみにケーブルは上位2モデルが布巻きタイプで,下位2モデルがビニール皮膜タイプだった。上位モデルで布巻タイプを採用しているのは,耐久性というよりむしろ,クセなどのつきにくさからだそうで,ケーブルはいずれもHORIの定める耐久性基準をもちろんクリアしているとのことだ。


今度こそ? 得意の家庭用ゲーム機市場でAIRブランドの確立なるか


 以上,AIRシリーズでHORIがどこに力を入れているのか,開発者2名の語る内容を中心にまとめてみた。
 話を聞いていて分かるのは,HORIが,これまでの反省を十分に踏まえつつ,自社の強みを生かした製品展開を行うことで,AIRブランドの確立を目指そうとしている,確固たる意志だ。海外市場をひとまず棚上げして,確立できている国内PS4市場に絞った製品展開を行うという戦略が果たして吉と出るか,とても興味深いところである。

デザインシートより,AIRのロゴマークについて考察しているもの
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なお,言うまでもないことではあるけれども,AIRはアナログ接続型ヘッドセットで,しかもDUALSHOCK 4との互換性から4極の3.5mmミニピン端子を持つため,そのままスマートフォンやタブレットとつないで利用できるほか,(上位製品には付属している)3極3.5mmミニピン×2への変換アダプターを使えば,PCなどでも利用はできる。
 しかし,あくまでもターゲットはPS4市場であり,だからこそHORIは,最上位モデルでも実勢価格で1万円以下,下位2モデルは2000円台から購入可能という,ゲーム機用周辺機器として高すぎない設定にしてきたのだろう。価格がじわじわと上がり続けている,いわゆるゲーマー向けヘッドセットと一線を画す店頭価格はインパクトが大きい。

 それもあって個人的にはOWL GEARをベースに成熟の進んだ上位2モデルよりも,PS4ユーザーにとってのボリュームマーケットを狙った下位2モデルの品質が気になっている。2000〜3000円台のヘッドセットで,音質や装着感にこだわっている製品などというものは「皆無」と言っても過言ではないほど,ほとんど存在しないだけに,音質や装着感が(最高でなくとも)一定レベル以上であれば,ゲーマー向けヘッドセットは欲しいけれども,出費は抑えたいという人にとって福音になるからだ。
 いずれ製品を入手したら,その点を検証してみたいと考えている。

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