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「ChinaJoy 2026」の会場では,「鳴潮」の漂泊者,「ドルフロ2」のクルカイ,「崩壊:スターレイル」のロビンなど,数多くのコラボ製品を展示していた。
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今回会場で,同社の代表取締役で開発部門も統括する水月氏と,副社長兼最高マーケティング責任者の徐大力氏(どちらもニックネーム表記),それぞれに話を聞く機会を得た。ブランドがどう始まり,どういう体制で製品を作っているのか。
そして,同社の顔とも言えるコラボ製品を,どんな考えで手がけているのか。この機会にお届けしたい。
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水月雨の設立は2015年。耳の中に差し込むカナル型イヤホンが普及し始める一方で,平べったい形状のインナーイヤー型は市場で存在感を失いつつあった。水月氏にとって,本当に満足できる製品がなくなっていたことから,「それなら自分で作ろう」と決心したことが,水月雨のスタートになった。
なぜインナーイヤー型だったのか。理由を尋ねると,現在はまったくそんなことはないと前置きしたうえで,当時の水月氏はカナル型に抵抗があり,耳の中に入れること自体があまり気持ちいいものではないと感じていたそうだ。
こうして作った第1弾がヒットする。
ちなみに「水月」は水月氏の本名の部首に,水と月が入っているからというシンプルな由来だった。ブランドの「水月雨」は,奥さんの名前に雨が入っているからだという。とてもいいネーミングで,水月氏の笑顔に,ハンカチを噛みしめたくなった。
水月氏は,もともとbilibiliでオーディオレビュー動画を投稿していた,筋金入りのオーディオファンだった。子供のころからサブカルチャーの影響を受けており,オタク文化に造詣が深い。
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もっとも,レビューを書く側としての活動は途中でやめている。会社を立ち上げて製品を出す立場になった以上,両立できないと考えたからだ。
水月雨といえば,パッケージやプロモーションに登場するイラストの印象が強い。だがこれも,戦略として始まったものではなかったようだ。もともと水月氏が漫画好きで,自分のためにキャラクターを1体用意し,それをそのままパッケージに載せた。
それがこのキャラクター水月有希である。
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音楽も二次元寄りのカルチャーも本人が本当に好きなもので,それを混ぜてみたら思いがけず好評だった,というのが実際のところらしい。そのまま掲載はできないのだが,代表の名刺も,副社長の名刺も萌えキャラの半透明なカードになっている。挨拶したときに,ノベルティをプレゼントしてくれたと完全に勘違いした名刺だ。
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その後,水月雨は小規模なIPとのコラボレーションをいくつか実施していった。当時は自社の規模もまだ小さく,大きなタイトルに手が届く状況ではなかった。
もっとも,徐氏曰く,表面的にはコラボやアニメばかりやっている会社に見えるかもしれないが,実際には収益の大部分を研究開発に投じ続けており,そこには一切の出し惜しみがないのだという。
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中国の製造業は非常に発達している一方で,業界は激しい消耗戦の渦中にある。そんな環境で水月雨が目指すのは,市場にないもの,誰も実現していないもの,誰も研究していない分野へ挑戦し,自分たちのやり方で差別化を図ることだ。
純粋な研究開発の人員だけで,100人を超えたそうだ。全体の規模は,完全自社の工場や,グラフィックス,イラスト,マーケティング,カスタマーサポート,ECなどのチームがあり,300人くらいとなっている。
また,水月雨はコラボ製品にかなり力を入れている。自社の製品を売るためのコラボではなく,自社の利益を削ってでも,妥協はしない。型番は競争力のある最新のものを使用したうえで,価格は可能な限り上乗せはしない。
イラストだけでなく,パッケージの内装や装飾,通常版にはない付属品に加え,製品自体もコラボ先のキャラクターなどに合わせて,デザインや音もカスタマイズする。元の型番がなく,IPのために新しく作成したモデルも存在する。
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社員の多くが普段からアニメを見てゲームを遊び,デザイン担当者自身もそのIPのファンだ。そのため,ファンが何を求めているのかを当事者の視点で理解できるという。
小規模なIPから始まったコラボは,今や大型タイトルにまで広がっている。どう広げたのかを水月氏に聞くと,相手から声をかけられることのほうが多いという。
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最初の相手はもともと関係性があるところが中心。そこで真面目に作っていたらよその目に留まり,話が来るようになったのだという。
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ただし,来た話をすべて受けているわけではない。リソースには限りがあるので,相手が大きいから受けるということはせず,また,社員がそのIPをしっかり理解していなければ良いものにならないので,断ったケースもいくつもあるという。
イヤホンは,インナーイヤー型もあれば,カナル型,最近はイヤーカフ型も流行っている。コラボモデルで使用する形状は,版権元と相談して決めており,版権元も自分たちのユーザーがどの形状を好むかを考えているので,一緒に議論を進めているという。
もっとも,すべてのユーザーに100%納得してもらうのは不可能だ。それを分かったうえで,ベストを尽くすしかないとも語った。
イヤホンの形状のトレンドについて,水月氏の見解を聞くと,どれが良いというものはなく,それぞれ違うシーンに向いているだけと分析していた。もともと水月氏は,イヤーカフ型の音はよくないと考えていたが,実際に試して,流行っている理由が理解できたという。
音質だけでいうなら,カナル型,ヘッドホンのほうが良い。それでもイヤーカフ型の体験は代えが利かないので,ならばその中で体験の質を高めればいい,という考え方だ。
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コラボにおいて最も大切にしていることは何かと聞くと,水月氏はめちゃめちゃ悩んだあと,真面目にきちんと製品を作ること,と語った。好きだという気持ちはもちろん大事だが,好きの度合いと,その仕事に本気で向き合うかどうかはイコールではない,と付け加える。
IP側は監修の負担を考えて,デザインの枠を狭く設定してくることがある。図案を1つ載せるだけ,パッケージを変えるだけと,範囲を絞れば簡単で,監修のやり取りが往復することもない。
だが,そうやって作ったものはあまり受け入れてくれないと水月雨は考えてしまうという。前の製品が良い出来だったのを見ている人ほど,次が薄ければユーザーはいい気分じゃない。
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そこで本気で作り込もうとすると,今度は別の壁にぶつかる。特別なデザインを盛り込みたいと提案すると,相手から「これは通らないかもしれない」と返されるという。
それでも実際に形にして,こうなります,本当にカッコいいでしょう,と見せる。すると相手も理解して,難しいけれど社内で掛け合ってみる,と言ってくれることがある。
上長のひと言でダメになることも多いなかで,まだもう一押しできるはずだと粘り,説得し,デザインを通していく。ここがいちばん困難な部分であり,同時に,最終的に出てきたときにいちばんユーザーの心を動かすのも,そういうディテールなのだという。
水月氏は日本にも自社の拠点を立ち上げており,日本でも活動している(インタビュー中,日本語も一部伝わっており,直接日本語で答えてくれた場面もあった)。
ECや店頭への展開は,代理店を経由せず,自社で行っている。それで日本での価格が抑えられているのかと聞くと,理由の1つではあるけど,それがすべてではないと答えていた。
中国では業界全体で激しい競争が続き,各社が消耗戦を繰り広げている。そうした環境で生き残り,成長してきたため,高い価格を付ける感覚が身についていないと説明した。
自分が欲しいものがないから,自分で作ってしまう。そんなところからスタートして,素直に向き合ってきた。水月雨のブランドには,そういった思いが詰め込まれていそうだ。

















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